日本臨床外科学会雑誌
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77 巻 , 6 号
選択された号の論文の53件中1~50を表示しています
平成27年度学会賞受賞記念講演
  • 梨本 篤
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1303-1316
    公開日: 2016/12/29
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    新潟県立がんセンター新潟病院(新潟がんセンター)で28年間,胃癌一筋にがん医療を続けてきました.系統的リンパ節郭清や標準手術の確立後は拡大リンパ節郭清や他臓器合併切除など拡大手術を行う一方で,QOLを考慮した機能温存・低侵襲手術も積極的に取り入れました.手術後の患者さんたちが集まって話し合う機会の必要性を痛感し,1996年に「胃・友の会」を立ち上げました.以後総会,支部会,親睦会,機関誌発行などの活動を行い,今年で21年目を迎えました.5大がん地域連携パスのひな型を作成し,全国に発信するとともに新潟県の連携パス作成を指導してきました.
    無謀とも思われた地方がんセンターからの日本胃癌学会理事へ立候補でしたが,無事当選することができ,2010年3月に「温故知新」をテーマに第82回日本胃癌学会総会を新潟市で開催させていただきました.諸先輩が培われてきた新潟県における胃癌医療の質の高さが評価された結果であったと心より感謝しております.
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臨床経験
  • 西村 廣大, 太田 俊介, 池山 隆, 川合 亮佑
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1317-1323
    公開日: 2016/12/29
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    当院において,胃噴門部の管内発育型胃粘膜下腫瘍4症例に対し胃内手術を施行した.腹腔鏡と経口胃内視鏡を併用し,胃壁内外より腫瘍を観察しながら胃内留置用ポートの位置を決め,胃壁と腹壁を固定した.12mmバルーン付きポートと5mm VersaStepTM(COVIDIEN社)ポートを胃内に留置し,腹腔鏡観察下または経口胃内視鏡下に自動縫合器で胃内腔から腫瘍を切除した.手術時間は平均254分,出血量は平均30.5ml,術後在院日数は平均10.3日で術後合併症は認めなかった.全例で胃の変形はほとんどなく,術後の噴門狭窄や胃食道逆流も認めなかった.胃噴門部の手術では胃の変形や逆流防止機構の破壊が問題となるが,胃内手術ではその危険を回避でき,胃内腔からの切除は有用と考える.
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症例
  • 水田 誠, 福井 由紀子, 遠藤 真一郎, 内田 茂樹, 坪野 充彦, 足立 靖
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1324-1328
    公開日: 2016/12/29
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    Stewart-Treves症候群(以下STSと略す)は,乳房切除後の上肢のリンパ浮腫に続発した脈管肉腫として報告された比較的稀な疾患である.今回,乳房切除術後24年で発症したSTSの1例を経験した.患者は80歳の女性.56歳時に左乳房切除術を受け,19年後に左上肢のリンパ浮腫が出現し,さらに,その5年後に左胸部から左上肢の皮膚の異常が出現した.左上肢の浮腫が著明で,左前胸部から左上肢に非連続的で境界明瞭な地図状の暗赤紫色の皮膚腫瘍を認めた.生検の病理所見は血管肉腫で,臨床経過からSTSと診断された.明らかな遠隔転移は認められなかったが,有効な治療法は確立されていないため,左上肢痛に対するモルヒネの使用等,緩和ケアのみを行った.その後,肉腫は急速に増大し多量の侵出液と悪臭を伴うようになった.低栄養が進行し,左胸水の増量から最終的には呼吸不全をきたし,初診から4カ月で死亡した.
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  • 齋藤 善広, 鈴木 幸正, 横山 智, 笹野 公伸
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1329-1335
    公開日: 2016/12/29
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    乳房温存手術後8年目にPaget病を発症した症例を経験したので報告する.症例は,初回手術時47歳の女性,非浸潤性乳管癌の診断で乳房温存手術兼腋窩郭清を施行後,ER/PgRが陰性であり,放射線療法のみで経過観察となった.病理診断はpTis,N0,断端まで1.2cmであった.8年後に乳頭部のびらんで発症,乳房内に病変を認めず,Paget病の診断で乳房切除術のみ施行した.病理診断は乳頭・乳輪部に限局するPaget病で,乳腺内に病変は認めなかった.再発かde novoに発生した病変かの判別に,ホルモン受容体・各種上皮性マーカー・HER-2・P53・Ki67を用いた免疫組織化学的検索を行った.結果はKi67標識率のみが異なっていたが,他のマーカーはすべて同様の発現動態を示し,再発かde novo発症かの結論は困難であった.
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  • 藤澤 憲良, 西江 優子
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1336-1340
    公開日: 2016/12/29
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    乳腺原発腺様嚢胞癌(adenoid cystic carcinoma)は特殊型に分類される稀な乳癌で,発生頻度は全乳癌の0.1%以下とされている.男性発生例はさらに稀であるが,今回われわれは,男性の乳腺原発腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例は36歳の男性,左乳頭部の有痛性腫瘤を自覚し受診となった.乳腺超音波検査で左乳頭直下に径24mm大の血流亢進を伴う腫瘤を認めた.左乳腺炎症性腫瘤の画像診断であったが,疼痛が強いため切除生検を施行したところ,腺様嚢胞癌と診断された.全身検索ののち,定型的に左乳腺全切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.最終病期診断はpT2(24mm)pN0M0 stage IIAで,ER(-),PgR(-),HER2(-)のトリプルネガティブ乳癌であった.術後は特に補助療法を施行せず経過観察したが,18カ月までの間に再発は認めなかった.
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  • 竹島 雅子, 下里 あゆ子, 村田 祐二郎, 緒方 晴樹, 寺島 裕夫, 岸田 由起子
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1341-1346
    公開日: 2016/12/29
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    患者は74歳,女性.1992年に左乳癌に対してPatey法を施行.浸潤性小葉癌 T2N2M0,stage IIIA,ER(+),PgR(+)であった.術後内分泌療法を行うも,術後4年目に骨転移が出現した.5-FU内服で経過をみていたが,2006年には骨転移の増悪があり,パクリタキセルとゾレドロン酸点滴で外来治療を行っていた.術後21年目にあたる2013年に全身倦怠感と易疲労感の訴えがあり,採血で著明なトランスアミラーゼの上昇を認めた.画像検査では,明らかな腫瘤病変は指摘されないものの肝機能障害は悪化してDICの状態となり,肝生検を行った結果,浸潤性小葉癌のびまん性肝転移の診断に至った.原病に対する治療を行うも,既に肝不全の状態であり,入院から16日目(肝生検施行から11日目)という短期間で永眠した.
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  • 真栄城 兼誉, 小野 亮子, 赤嶺 健吏, 新里 千明, 高宮城 陽栄, 宮国 孝男
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1347-1352
    公開日: 2016/12/29
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    症例は40歳台の女性.検診で高Ca血症を指摘され経過観察されていたが,血清Ca値およびintactPTH (以下,iPTH)の上昇を認めたため当院へ紹介された.胸部CTで前縦隔に2.5cm大の腫瘤影を認め,99mTc-MIBI副甲状腺シンチグラム検査で腫瘤に一致してRI異常集積像を認め縦隔内異所性副甲状腺腫と診断され,胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行した.左半側臥位,3portで手術を施行し,胸腔内に炭酸ガスを送気して視野確保し手術を開始した.腫瘍は前縦隔上行大動脈基部上縁に存在しており,小指頭大で周囲胸腺に埋没し胸腺の一部と合併切除した.病理組織診断は副甲状腺腺腫であった.術後経過は良好で,術後1日目の血清Ca値8.7mg/dl,iPTH 36pg/mlと速やかに低下した.その後,再燃兆候なく外来経過観察中である.炭酸ガス送気下に胸腔鏡下縦隔異所性副甲状腺腺腫摘出術を施行した1例を経験したので報告する.
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  • 鈴村 雄治, 橋本 雅之, 一瀬 増太郎
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1353-1357
    公開日: 2016/12/29
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    症例は64歳,男性.左背部痛を主訴に近医を受診,胸部X線写真・胸部CTで左胸水を認め,膿胸が疑われ当科紹介となった.当院の胸部CTでも膿胸が疑われ胸腔ドレナージを開始した.胸水は淡血性であったが膿性ではなく,ドレナージ後も左上中肺野の陰影は残存した.発熱もなく炎症反応も軽度であり膿胸以外の血腫や腫瘍性疾患も考慮し,診断治療目的で胸腔鏡下手術を施行した.胸腔内所見では,胸腔内に血腫は認めず壁側胸膜に約14cmの膨隆を認めた.壁側胸膜を切開すると凝血塊が充満しており,胸壁血腫と診断した.膨隆部の壁側胸膜を切除し凝血塊を掻爬したが,明らかな出血点は確認できなかった.術後経過は良好で,術後14日目に退院となった.発症前に手術,外傷の既往はなく抗凝固剤の服用もなく出血傾向の素因は認めなかった.われわれが検索しえた範囲では,胸郭内に腫瘤を形成した急性特発性胸壁血腫の報告はなく,極めて稀な症例と思われたので報告する.
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  • 青山 孝信, 藤井 弘通, 瀬尾 浩之, 笹子 佳門
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1358-1362
    公開日: 2016/12/29
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    症例は72歳,女性.2011年6月に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術(SJM Regent弁19mm)を施行した.他院で行われていたワルファリンコントロールは不良であった.2014年7月,倦怠感とタール便を訴え,救急搬送され,出血性胃潰瘍と診断され内視鏡的止血術を受けた.第2病日の心エコー検査で人工弁圧較差の増大を認め,弁透視検査にて人工弁の一葉が半閉鎖位で固定しており,人工弁機能不全と診断した.心不全症状を認めず,緊急手術は不要と判断し,出血性胃潰瘍の止血を確認後,ヘパリンとワルファリンによる抗凝固療法を継続した.第45病日に施行した弁透視で人工弁葉の可動性の改善傾向を認め,ワルファリン投与のみで第59病日に退院した.外来での厳重な抗凝固療法の継続により人工弁葉の可動性は完全に改善した.血栓弁に対して再手術,血栓溶解療法を施行せず抗凝固療法のみを継続して治療しえた貴重な症例であった.
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  • 和田 幸也, 平松 和洋, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基, 青葉 太郎
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1363-1368
    公開日: 2016/12/29
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    症例は55歳,男性.突然の心窩部痛を主訴に当院を受診した.胸腹部造影CTで上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:以下SMA)の造影が途絶し,上行大動脈に壁在血栓を認めたことから,上行大動脈壁在血栓に起因したSMA塞栓症と診断した.腹部血管造影検査で血栓の吸引・溶解を行い主要血管の血流の改善を認めたため,ヘパリンの持続投与を行いながら経過観察を行った.血栓性素因が疑われ精査したところ,プロテインC欠乏症による易血栓傾向であることが判明した.発症6日目に,上行大動脈壁在血栓が総腸骨動脈分岐部を塞栓し,腋窩-両側大腿動脈バイパス術を施行した.その後,なかなか経口摂取が進まず,小腸造影にて狭窄所見を認めたため,発症35日目に小腸切除術を施行した.SMA塞栓症の原因が,プロテインC欠乏症に伴う上行大動脈壁在血栓であることは稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 上野 知尭, 横山 直弘, 馬越 通信, 進藤 吉明, 齋藤 由理, 田中 雄一, 小野 巌, 鈴木 敏文
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1369-1372
    公開日: 2016/12/29
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    症例は72歳,男性.腹部の不快感と脱力を主訴に他院を受診した.腹水貯留と起立性低血圧が認められたため,当院に紹介された.腹部造影CTで大網静脈瘤破裂による腹腔内出血が疑われ,緊急開腹術を施行した.大網に破裂した動脈瘤様の病変を認め,大網切除を行った.術中に出血性ショックをきたしたが,術後23病日に後遺症なく退院した.病理診断では大網動静脈奇形破裂と診断された.今までに大網動静脈奇形の報告はなく,極めて稀な症例と考えられた.多量の腹腔内出血をきたすため,迅速な診断・治療が求められる.
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  • 吉野 敬, 本山 悟, 佐藤 雄亮, 佐々木 智彦, 奧山 学
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1373-1378
    公開日: 2016/12/29
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    人工肺(ECMO)管理で救命しえた食道癌・肺癌同時手術後の重症acute respiratory distress syndrome (ARDS)の1例を経験したので報告する.症例は70歳台の男性.食道癌・右肺原発扁平上皮癌の診断で右肺上葉切除,1群リンパ節郭清,肋間筋弁による上葉気管支断端被覆術および食道亜全摘,胃噴門部切除,2領域リンパ節郭清,胸壁前経路胃管再建,腸瘻造設を行った.術後7病日にARDSとなり人工呼吸器管理としたが,改善せず16病日に人工肺(extracorpreal membrane oxygenation:ECMO)を導入した.人工肺離脱に難渋し,長期管理となったが,55病日に深い鎮静下に人工肺を離脱した.呼吸状態は徐々に改善し,人工呼吸器を141病日に離脱した.術後約8カ月で退院,現在も在宅酸素の補助は必要であるが,無再発生存中である.
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  • 山田 竜也, 吉本 健太郎, 久保田 伊知郎
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1379-1383
    公開日: 2016/12/29
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    症例は23歳,女性,職場検診で左下肺野に20mmの結節影を指摘された.8年前に一度指摘されるも経過観察とされていた.受診時,閉塞性肺炎像を認め,診断加療目的に左肺S8区域切除術を施行した.術中迅速凍結病理診断では悪性所見を確認できず,手術を終了した.術後病理診断にて非定型カルチノイドと診断されたため,7週後に残存左肺下葉切除+2群リンパ節郭清を施行した.気管分岐下リンパ節にカルチノイド腫瘍の微小転移を認め,最終病理診断はpT1bN2M0,IIIA期となった.術前ProGRPは高値を示し,術後速やかに低下した.非定型カルチノイドに対する手術以外の有効な治療は現在確立されていないため,安易な縮小手術ではなく非小細胞肺癌に準じた肺葉切除,系統的リンパ節郭清を行うべきあると考える.また,ProGRPが診断の一助になる可能性が示唆された.
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  • 松本 理恵, 今井 茂郎
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1384-1388
    公開日: 2016/12/29
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    奇静脈葉はよく知られた形成異常であるが,ここに発生した肺癌の報告は非常に稀である.われわれは66歳の男性に発生した右上葉S2の肺癌および奇静脈葉腫瘍に対し,胸腔鏡下右上葉切除および縦隔リンパ節郭清術を施行した.病理検査では奇静脈葉の腫瘍は扁平上皮癌,S2の腫瘍は腺癌であり,重複癌と診断された.奇静脈葉を有する患者に胸部外科的処置を施す場合,合併症の危険性に十分留意する必要があるが,本症例に関しては,奇静脈葉と縦隔胸膜との癒着が軽度であり安全に胸腔鏡手術が施行できた.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 松村 卓樹, 宮地 正彦, 齊藤 卓也, 大橋 紀文, 小松 俊一郎, 佐野 力
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1389-1394
    公開日: 2016/12/29
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    食道癌に対して,右開胸開腹食道亜全摘術,後縦隔経路胃管再建を施行後,横隔膜ヘルニアを発症した2例を経験した.ヘルニアの発症は,手術後2カ月と7カ月であった.2例とも術前に化学放射線療法を施行していた.CTで左胸腔内への腸管の脱出を認め,横隔膜ヘルニアと診断し緊急手術を行った.陥入した腸管に明らかな壊死所見はなかった.腹腔内へ腸管を戻し,1例は食道裂孔を部分的に縫合し,もう1例は食道裂孔縫縮に加えて大網被覆固定を行った.本2症例に特異的な原因としては,上腹部胃管周囲に広汎にセプラフィルム®を使用したことで食道裂孔周囲の癒着が軽度であったため,陰圧である胸腔内に腸管が引き込まれたこと,また術前の化学放射線療法による組織修復不良が考えられた.今後,鏡視下手術の増加に伴い,食道癌術後の横隔膜ヘルニアの発症は増加する可能性があり,食道裂孔の縫縮や横隔膜との固定といった予防策が必要と考える.
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  • 阿部 由督, 廣瀬 哲朗, 中村 直人, 石上 俊一, 土井 隆一郎
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1395-1399
    公開日: 2016/12/29
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    症例は61歳,女性.外傷歴なく10年来,CTで横隔膜ヘルニアを指摘されるも無症状にて観察中,嘔吐・吐血で紹介となった.上部内視鏡検査では食道裂孔近傍より胸腔内へ引き込まれる胃内腔を認め,上部消化管造影検査では上下逆位を示した.CTでも左肺背側に胃・大網の脱出を認めたため,胃軸捻を伴うBochdalek孔ヘルニアと術前診断した.長期ヘルニアの高度癒着危惧と低呼吸機能から開腹術とした.術中,食道裂孔から左横隔膜脚を挟んで1 cm左側に横隔膜傍裂孔ヘルニアを認め,癒着を剥離し脱出臓器を腹腔内へ還納,ヘルニア門を縫縮閉鎖した.術後,問題なく再発もない.横隔膜傍裂孔ヘルニアは横隔膜ヘルニア中0.2~3.3%と極めて稀とされ,医学中央雑誌(1983年から2015年)を検索すると本邦で10例の報告のみで,特に緊急手術適応判断を要する長軸性胃軸捻を伴ったものは,これまでわずか2例のみのため報告する.
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  • 北山 紀州, 大平 雅一, 田村 達郎, 櫻井 克宣, 久保 尚士, 平川 弘聖
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1400-1404
    公開日: 2016/12/29
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    症例は80歳,女性.嚥下困難を訴え近医内科を受診.上部消化管内視鏡検査を施行したところ下部食道に狭窄を伴う潰瘍を認めたため,当院消化器内科に紹介され精査の結果,逆流性食道炎の疑いで内服加療を開始した.しかしながら症状の改善は認めず,手術を勧めたが本人・家族の強い希望で逆流防止弁付き金属ステントを留置した.症状は消失したが留置後3カ月頃から再度嚥下困難が出現し,ステントやや口側で全周性狭窄がみられ細径内視鏡も通過しなかった.ステントの内視鏡下での抜去は不可能と判断し,右開胸,腹腔鏡補助下に食道・胃部分切除を行い胃管にて再建した.病理組織学所見では悪性所見は認めなかった.現在術後1年6カ月,嚥下困難は出現していない.食道ステント留置後に肉芽組織増生によって再狭窄をきたし,食道切除を施行した報告は検索した限り認めなかった.文献的考察を加えて報告する.
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  • 皆川 幸洋, 遠野 千尋, 高橋 正統, 藤井 仁志, 大崎 洸, 棚橋 洋太, 鈴木 正通
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1405-1409
    公開日: 2016/12/29
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    症例は68歳,男性.既往歴として約40年前,他医にて十二指腸潰瘍にて幽門側胃切除術を施行された.1年以上前から,食事摂取時に咽頭部違和感を自覚していた.某年1月,消化器科を受診し上部内視鏡検査を施行したところ,切歯から約15cmの上部食道に食道ポリープを認め,残胃に1型腫瘍を認めるため,残胃癌に併存した食道ポリープの診断にて当科紹介となった.同時手術の方針にて経口的内視鏡下にendoloop結紮切離を行い,残胃全摘手技時に切離した腹部食道断端より食道ポリープを回収した.残胃癌に対しては残胃全摘術,Roux-Y再建術を施行した.摘出標本は正常粘膜に覆われた4.5cm×3.5cmの弾性軟な腫瘍で,病理組織学的には腫瘍内部に脂肪組織,線維組織,血管構造が様々な割合で混在する,良性のfibrovascular polypと診断された.残胃癌は1型,pT1N0M0,Stage IAと診断された.
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  • 深田 真宏, 長尾 成敏, 仁田 豊生, 田中 千弘, 河合 雅彦, 國枝 克行
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1410-1416
    公開日: 2016/12/29
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    症例は67歳,男性.39℃の発熱と右側胸部痛を主訴に近医を受診.肺炎と診断,加療目的に当院紹介となる.胸部上部食道癌穿孔による縦隔炎と診断され,約1カ月の治療の後,手術の運びとなる.術前検査の結果,右側大動脈弓(Edward IIIB型)を合併する胸部上部食道癌,cT4,cN2,cM0,cStage IVaと診断し,胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した.右肺癌の既往で上葉切除後であること,穿孔による縦隔炎で右上縦隔の正常解剖の把握が困難と考え頸部操作にて右反回神経を同定してから胸部操作を開始した.術前の画像診断により安全に手術が施行できたが,右気管支への直接浸潤があり根治性が得られないことから,上縦隔の郭清・頸部郭清は行わず胸骨後胃管再建を行った.右側大動脈弓を合併した食道癌では術中の反回神経,重要血管の同定が困難であるため術前の十分な画像診断を行い,術式を検討することが重要であると考えられた.
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  • 小林 照之, 間狩 洋一, 酒井 健司, 村上 雅一, 池田 公正, 黒川 英司
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1417-1421
    公開日: 2016/12/29
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    症例は65歳の女性.急性胃軸捻転で近医へ入院し上部消化管内視鏡を施行したが,残渣が多く観察困難であり中止し,減圧加療を継続していた.2日後に下腹部痛が出現して再度腹部CTを施行され,胃穿孔の診断で,当院に救急搬送され,緊急手術となった.完全内臓逆位の胃軸捻転(短軸性,前方型)であり,胃体上部後壁に約3.5cmの穿孔部位を認めた.捻転を解除して,壊死穿孔部位を含む形で部分切除をした.再発予防目的で大網を前腹壁に3点固定した.術後,経過良好であり,第23病日に退院し,再発はみられなかった.内臓逆位に伴う消化器合併奇形では,腸回転異常・先天性胆道閉鎖・前十二指腸門脈・多脾症・輪状膵などが報告されている.内臓逆位に伴う胃軸捻転は,本邦では小児で1例報告されているのみであり,成人では報告例はない.本疾患について若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 松本 奏吉, 仲田 興平, 田中 吏佐, 許斐 裕之, 本下 潤一, 一宮 仁
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1422-1427
    公開日: 2016/12/29
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    化学療法後に治癒切除しえたStage IV胃小細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は63歳,男性.2011年8月に腹部腫瘤および腹部膨満感を自覚し,進行胃癌の診断で当科紹介となった.術前診断で非治癒因子はなく手術を施行したが,腹腔洗浄細胞診陽性で切除不能と判断し,腫瘍生検のみで終了した.組織型は小細胞癌であり,化学療法としてCDDP+CPT-11を7コース,CPT-11を12コース施行した.腫瘍は一旦ほぼ消失したが,2014年4月の上部消化管内視鏡検査で新たに隆起性病変が出現,生検で腺癌を認めた.その他に新規病変はなく,初回手術から2年9カ月後の2014年9月に腹腔鏡下胃全摘出術を施行した.現在,初診後4年の長期生存を得られている.一般に胃小細胞癌は予後不良で,確立した治療法はないが,適切な化学療法およびR0手術を行うことで予後の改善が期待できると考える.
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  • 渡部 嘉文, 中場 寛行, 谷口 英治, 吉川 浩之, 玉川 浩司, 佐々木 優, 有馬 良一
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1428-1433
    公開日: 2016/12/29
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    症例は66歳,女性.上腹部痛と上腹部皮下腫瘤の精査加療目的に当院紹介.上部内視鏡検査にて胃前庭部大彎に3型低分化腺癌を認めた.PET-CTでは胃に加えて,多数の皮下腫瘤,縦隔腫瘍,左頸部と傍大動脈リンパ節にFDGの集積を認めた.診断的加療目的で手術療法を選択し,上腹部皮下腫瘤摘出術,幽門側胃切除術,左頸部リンパ節生検術,縦隔腫瘍摘出術を施行.各標本で低分化腺癌を認め,胃癌の全身転移と診断した.残存病変に対して,術後にS-1+CDDPを導入も,副作用でS-1単剤へ変更し,1年後にcomplete responseを得た.5'-DFURへ変更し3年5カ月内服継続も再発を認めず化学療法を終了したが,術後7年6カ月の現在まで再発なく経過している.
    S-1療法にて術後7年以上生存を認めている多発皮膚転移を伴う胃癌の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 奥出 輝夫, 北村 祥貴, 太田 尚宏, 稲木 紀幸, 黒川 勝, 伴登 宏行, 車谷 宏
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1434-1439
    公開日: 2016/12/29
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    症例は51歳,男性.検診の上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に20mm大の粘膜下腫瘍を指摘され,生検でソマトスタチン産生神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor,以下NET)と診断した.腹部造影CTでは十二指腸下行脚に早期濃染する壁肥厚を認め,十二指腸水平脚近傍に25mm大に腫大したリンパ節を認めた.亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,病理組織診断で腫瘍は主に粘膜下層に存在し,筋層から一部漿膜下層に浸潤を認めた.類円形の核を持つ細胞の島状・管状増殖を認め,免疫染色でソマトスタチンが陽性であった.核分裂像は1個/10HPF,Ki-67標識指数は1.42%であり,ソマトスタチン産生NET G1と診断した.また,胆道癌取扱い規約第6版での#13と#14dリンパ節に転移を認めた.十二指腸ソマトスタチン産生NETは比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 北口 大地, 坂下 信悟, 橋本 真治, 小田 竜也, 大河内 信弘, 野口 雅之
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1440-1445
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    67歳,男性.全身掻痒感と黄疸を主訴に近医を受診,CTで遠位胆管の閉塞を認め入院した.上部消化管内視鏡で十二指腸乳頭部に腫瘤を認め,生検で低分化型腺癌と診断され,膵頭十二指腸切除術を施行された.
    腫瘤は25×15mm大の灰白色調充実性の隆起性病変であり,病理所見では腺癌と扁平上皮癌の成分が混在し,腺扁平上皮癌と診断された.さらに,trophoblastに類似した腫瘍細胞も見られ,免疫染色でhCG-βが陽性で,trophoblastic differentiationと考えられた.
    十二指腸乳頭部腺扁平上皮癌ならびにtrophoblastic differentiationは,各々が急速進行性の臨床経過と予後不良を示唆する因子である.本症例でも積極的な術後の経過観察を要すると考えられ,臨床的意義も大きい.
    多彩な組織像を呈する極めて稀な1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 水野 均, 畑中 信良, 森本 芳和, 平尾 隆文, 山崎 芳郎
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1446-1451
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.心窩部不快感が出現したため,近医を受診したところ黄疸と肝機能障害を指摘されたため,精査加療目的に当院に紹介受診した.上部内視鏡検査にて,十二指腸乳頭部癌と診断した.腹部造影CT検査は,膵頭部リンパ節転移を伴った進行乳頭部癌を示した.3次元CT血管構築像は,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery,以下SMA)根部近傍に90%狭窄を描出し,胃十二指腸動脈および膵頭部動脈アーケードの代償性拡張像を示した.SMA領域の腸管血流は,膵アーケードを介し供給されており,乳頭部癌根治切除には,膵アーケード切除を伴った膵頭十二指腸切除術が不可欠と判断した.SMA狭窄部にステント留置と拡張術を先行させたのち,一週間後に膵頭十二指腸切除術を施行した.術後腸管虚血の所見なく良好に経過し,35日目に軽快退院した.
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  • 門屋 一貴, 末吉 晋, 日野 東洋, 島松 一秀, 的野 吾, 赤木 由人
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1452-1457
    公開日: 2016/12/29
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    症例は37歳,女性.第3子を帝王切開にて出産後,下腹部のしこりを自覚し次第に増大傾向であった.出産から約2年後に突然の腹痛を認め,精査にて小腸間膜に14cm大の多房性嚢胞性病変を認めた.腸間膜腫瘍と診断し開腹手術を行った.開腹所見では,Treitz靱帯より30cm肛門側の小腸間膜内に15cm大の暗赤色の嚢胞性腫瘍を認め,空腸の一部を含め腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は多房性嚢胞性の腫瘍で,嚢胞内腔には血液が充満していた.病理組織学的には嚢胞の内腔は一層の扁平な上皮で被われており,免疫染色ではCD31(+),CD34(-),D2-40(+)で,小腸間膜リンパ管腫と診断した.成人小腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患であり,本邦報告を含めた文献的考察を加え報告する.
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  • 岡山 卓史, 山中 直樹, 亀岡 宣久, 横畑 和紀, 的場 直行
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1458-1463
    公開日: 2016/12/29
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    NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)とは,診断に難渋し極めて予後不良な疾患である.症例は82歳,女性.昼食後の嘔吐・歩行困難にて当院紹介受診となった.CT検査上索状物による絞扼性イレウスが考えられ,同日緊急手術を行った.術中絞扼部の壊死腸管に隣接して回腸の一部に分節状に虚血を疑わせる所見を認めたが上腸間膜動脈の閉塞は認めず,境界は不明瞭であった.Second look operationを念頭にして絞扼腸管のみ切除し,手術を終了した.20時間後に理学所見より再手術を行ったところ,小腸の大部分からS状結腸までの広範囲にわたり非連続性の壊死を認めた.壊死腸管を全て切除し空腸人工肛門を造設した.術後全身状態は安定し,長期療養型病院へ転院となった.術中にNOMIを疑わせる所見を認めたため術後慎重に経過を診ていき,期を逸することなくsecond look operationを行い救命した症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.
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  • 石井 智, 中村 隆俊, 三富 弘之, 佐藤 武郎, 山下 継史, 田中 俊道, 渡邊 昌彦
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1464-1470
    公開日: 2016/12/29
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    症例は77歳,女性.下痢と嘔吐を主訴に当院を受診した.血液生化学検査で低蛋白血症を認めた.消化管精査では,空腸に不整な潰瘍が多発していた.蛋白漏出シンチで同部からの蛋白漏出を認めた.蛋白漏出胃腸症を呈する空腸多発潰瘍症と診断し,保存的治療抵抗性であったため,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.切除標本肉眼像では空腸14cmに多数の潰瘍を認めた.病理的所見では絨毛の短縮および上皮内リンパ球浸潤を認め,免疫組織学的染色ではCD3/8強陽性,CD4/20陰性にてself-limited coeliac disease-like enteropathyであった.術後5年経過したが低蛋白血症は認めていない.今回,self-limited coeliac disease-like enteropathyの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 荒川 信一郎, 阪本 研一, 上松 孝
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1471-1476
    公開日: 2016/12/29
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    症例は50歳,男性.20歳時に機械に腹部を挟まれ経過観察入院となった既往がある.今回,腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部全体に軽度の圧痛を認めたが反跳痛は認めず,造影CT検査で回腸に狭窄像と狭窄部口側の腸管拡張像を認めた.小腸狭窄の診断で入院5日目に開腹術を施行したところ,機械で挟まれた部位に一致して腹壁と大網・小腸間膜が直線状に癒着し同部位に小腸の狭窄を認めたため,癒着解除術+小腸部分切除術+虫垂切除術を施行した.術後腸蠕動の回復に時間を要したが,術後31日目に退院となった.腹部外傷後に一定期間を経てから小腸の狭窄症状を呈することがあり,遅発性小腸狭窄として知られている.多くは受傷後30日以内に発症するとされるが,自験例のように長期間を経て発症することもあり,繰り返す腸閉塞の原因として遅発性腸閉塞の可能性を念頭に置き,問診で外傷既往を確認することが重要であると考えられた.
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  • 宇根 範和, 岸本 浩史, 笹原 孝太郎, 田内 克典
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1477-1481
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.局所進行直腸癌に対して人工肛門を造設した後に,術前放射線療法を行う方針とした.全骨盤に対して総線量50Gy/25分割の強度変調放射線治療を施行したが,終了した5日後に腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.筋性防御を伴う下腹部痛と,腹部骨盤造影CT検査で腹水と骨盤腔にある小腸壁の造影効果の低下を認めた.放射線性腸炎による小腸壊死と判断し,同日緊急手術を施行した.回腸末端の小腸に著明な壁肥厚と暗紫色の変化がみられ,同部位を切除するように回盲部切除術を施行した.術後の経過は良好で,術後10日目に退院した.
    放射線性腸炎の早期障害は可逆性の変化であることが多く,手術治療が必要になるのは稀である.今回,放射線性腸炎の早期障害による腸管壊死の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 横山 邦雄, 吉田 佐智子, 西田 十紀人, 生田 肇
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1482-1487
    公開日: 2016/12/29
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    症例は28歳,男性.下痢,下腹部痛,発熱を主訴に当院受診.下腹部全体に圧痛,腹膜刺激徴候あり,腹部CTにて骨盤内に周囲脂肪織濃度の上昇を伴った嚢胞性腫瘤を認めた.その際,虫垂の同定は困難であり,穿孔性虫垂炎に伴う腹腔内膿瘍疑いにて緊急手術を施行した.術中,回腸末端より約50cm口側の小腸間膜内に約15cmの炎症を伴った嚢胞性腫瘤を認めた.同部を含めて約20cmにわたって小腸切除術を施行した.嚢胞部を穿刺したところ,白色混濁膿性排液を認め,培養検査にてPasteurella canisが検出された.病理結果では,小腸が腸間膜内に連続性に進展して嚢胞状に拡張しており,嚢状重複小腸と診断された.
    重複腸管症は消化管のいずれの部位にも発生する稀な先天的消化管奇形である.また,Pasteurella canisは犬猫の口腔内常在菌であり,これまでに腹腔内感染の報告はない.文献的考察を加えて報告する.
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  • 大畑 多嘉宣, 中川 智徳, 柴田 泰洋, 宇根 良衛, 丁子 清, 長渕 英介
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1488-1492
    公開日: 2016/12/29
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    過去に報告例のない鼠径ヘルニア根治術9年後に発症した,メッシュ感染・腹壁膿瘍を伴う虫垂炎の1例を経験した.症例は77歳,男性.右下腹部の腫脹と発赤を主訴に来院.9年前に両側外鼠径ヘルニアに対し,当科でProlene Hernia System (PHS)法を施行した既往があった.腹部CTにて右大腿ヘルニアおよび腹壁膿瘍と虫垂腫大の所見を認め,右大腿ヘルニアおよび腹壁膿瘍を合併した虫垂炎の診断で緊急手術を施行した.右大腿ヘルニアとは別に虫垂先端が前腹壁に強固に癒着しており,腹膜前腔にはPHSメッシュ汚染を伴った膿瘍を併発していた.大腿ヘルニアを修復した後メッシュを取り除き,虫垂切除と洗浄ドレナージを施行した.術後に創感染を認めたが創開放にて治癒した.
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  • 鈴木 紳祐, 渡辺 一輝, 市川 靖史, 石部 敦士, 大田 貢由, 遠藤 格
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1493-1499
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の男性で,検診で貧血を指摘され,鼠径部痛も自覚していた.精査目的の下部消化管内視鏡検査で横行結腸癌を指摘され,当科へ紹介受診となった.CT検査で右大腿ヘルニア嚢内に腫瘤を認め,PET検査で同部位に集積を認めた.以上より,横行結腸癌,右大腿ヘルニア嚢内転移と診断し,拡大右半結腸切除術,大腿ヘルニア根治術を施行した.ヘルニア嚢以外には,明らかな腹膜播種巣を認めなかった.病理診断は中分化管状腺癌,T4a,N2,ly3,v2,でヘルニア嚢には横行結腸癌と同様の腺癌を認め,腹膜播種と診断した.術後8カ月で腹膜播種再発を認め,同14カ月後に播種巣切除・脾摘・胆摘・直腸切除・腹腔内温熱化学療法を施行した.現在,初回手術後27カ月無再発生存中である.大腸癌の鼠径部ヘルニア嚢転移は稀な疾患で,横行結腸癌の大腿ヘルニア嚢内への転移は海外を含め第1例目であった.文献的考察を加え,これを報告する.
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  • 山本 淳, 杉浦 浩朗, 三宅 益代, 長嶺 弘太郎, 亀田 久仁郎, 久保 章, 竹川 義則
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1500-1504
    公開日: 2016/12/29
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    症例は71歳,男性.左鼠径部痛を主訴に当科を受診した.来院時,左鼠径部から左陰嚢にかけて圧痛を伴う新生児頭大の膨隆を認め,還納は不可能であった.血液生化学的検査で炎症反応の上昇を認めた.腹部骨盤造影CTで左鼠径ヘルニアを認め,内容はS状結腸であり一部に造影効果を伴う壁肥厚を認めた.ヘルニア嚢内に液体貯留とfree airを認め,左鼠径ヘルニア嵌頓,S状結腸癌ヘルニア嚢内穿孔の診断で緊急手術を施行した.鼠径法でアプローチすると,ヘルニア内容はS状結腸で,腸間膜内に膿汁が充満していた.術中迅速病理診断でS状結腸癌の診断を得た.左鼠径ヘルニア根治術と,下腹部正中切開を追加しHartmann手術を施行した.術後,創感染と腹腔内膿瘍を併発したが,保存的加療で軽快し,術後29日目に退院した.ヘルニア嚢内で穿通した結腸癌の症例は極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 山口 和哉, 青柳 治彦, 小関 啓太, 渡邉 一郎, 仁瓶 善郎, 伊藤 雅史
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1505-1508
    公開日: 2016/12/29
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    大腸癌における精索転移は非常にまれな病態である.今回われわれは,直腸癌術後4年9カ月で左精索に転移性腫瘍を認め,切除した1例を経験したので報告する.症例は59歳,男性.2009年9月(54歳時),直腸癌に対して低位前方切除術(D3)を施行した.病理組織学的所見はStage IIIaであった.術後補助化学療法を施行し,経過観察中であった.2014年6月(術後4年9カ月),左鼠径部の有痛性の腫瘤を自覚し精査した.造影CTで左精索に造影効果を伴う腫瘤を認め,転移性精索腫瘍疑いと診断された.2014年7月,左高位除睾術を施行し,術後経過は良好であった.病理組織学的所見は中分化腺癌で,前回手術の直腸癌の転移として矛盾しない所見であった.退院後より化学療法を開始したが,術後1年4カ月で永眠された.大腸癌の精索転移は,本症例を含めて本邦ではわずか9例の報告を認めるのみであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 大菊 正人, 平山 一久, 山下 万平, 川田 三四郎, 池松 禎人, 西脇 由朗
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1509-1512
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は87歳の男性で,仙骨部人工肛門から脱出した腸が戻らないとのことで救急搬送された.人工肛門は自然肛門と尾骨の間に造設されており,自然肛門は瘢痕化していた.脱出した腸管には,直腸脱様の部分に加え腸間膜と結腸紐も観察された.CT所見も合わせると脱出腸管が穿孔し,そこからさらにS状結腸が露出していると診断したため,緊急手術を施行した.開腹下に骨盤底の近くでS状結腸を切離した後,仙骨側から切除側腸管を摘出した.仙骨部人工肛門切除部は縫合閉鎖し,左下腹部に下行結腸単孔式人工肛門を造設し手術を終了した.仙骨部人工肛門造設の経緯は,肛門出血に対する緊急手術の末に施行されたとのことであった.仙骨部人工肛門は直腸癌に対する背側切除に伴う造設法として明治後期~昭和初期に報告が認められる.本症例は仙骨部人工肛門にさらに脱出腸管穿孔を伴った貴重な症例であった.
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  • 坂本 里紗, 渡部 顕, 関戸 仁, 清水 哲也, 朴 峻, 中崎 佑介, 新野 史
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1513-1518
    公開日: 2016/12/29
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    77歳,男性.黄疸の既往があるが精査歴はない.下血を主訴に前医受診し,当院紹介となった.下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に2型腫瘍を認めた.生検で直腸癌と診断し腹腔鏡下低位前方切除,D3郭清術を行った.術中所見で黒色肝を認めた.術後に著明な黄疸を認め,精査でDubin-Johnson症候群(以下,DJS)と診断した.経過観察のみで黄疸は改善した.腹部USで肝S6に24mm大の高エコー腫瘍を認め,造影CTとEOB-MRI所見と合わせ,肝転移と診断した.術後53日目に肝S6部分切除術を行った.術後に黄疸を認めたが経過観察のみで改善した.最終診断は直腸癌RSRa pT3N1aH1P0M0 Stage IVで,肝臓の病理所見もDJSで矛盾しなかった.DJSは稀な体質性黄疸として知られ,直腸癌の合併の報告は少ない.DJSに対し直腸切除と肝切除を行った1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 山東 雅紀, 渡邉 博行, 田口 泰郎, 新宮 優二, 法水 信治, 坂本 英至
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1519-1524
    公開日: 2016/12/29
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    症例は42歳,男性.バイク事故によりショック状態で当院へ救急搬送された.CTで肝内側区全体に及ぶIIIb型肝損傷があり,造影剤の血管外漏出を認めた.Transient responderであり,肝動脈塞栓術を施行した.止血は得られたが,受傷3日目に多量腹水による腹部コンパートメント症候群に対し腹腔ドレナージを行った.再度腹水貯留があり,受傷16日目に腹水穿刺を施行し胆汁混じりの腹水を認めた.胆管損傷を疑いDIC-3D-CT・MRCPを施行したが,胆管損傷部の診断に至らなかった.ERCPで中部胆管の断裂所見を認めたが,上流胆管の所見は得られず,経皮胆道造影を施行した.左肝管損傷および中部胆管断裂の診断に至り,受傷51日目に肝左葉切除および右肝管空腸吻合を行った.経過良好で,術後21日目に退院となった.鈍的肝外傷に伴う胆管損傷の存在に留意すべきであり,複数箇所の胆管損傷部の診断に経皮胆道造影が有用であった.
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  • 坪井 一人, 谷田部 沙織, 原田 篤, 良元 和久, 梶本 徹也, 柏木 秀幸
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1525-1528
    公開日: 2016/12/29
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    症例は39歳,男性.BMI 37.2と肥満を認め,糖尿病性腎症からの慢性腎不全にて内科へ通院中であった.総胆管結石に対し内視鏡的乳頭切開術の治療歴がある.総胆管結石による胆管炎を繰り返すため腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応と判断した.手術は通常通りに行い,執刀前にインドシアニングリーン(ICG)を静注し,PINPOINT®を用いて術野を観察した.通常観察では観察不可能であった胆嚢管が本システムにより確認され,誤認なく安全に胆嚢管の処理が可能であった.手術時間は110分,術中出血量は少量であった.術後経過は良好であり,第2病日に軽快退院となった.今回,薬事承認後初のPINPOINT®を用いたICGイメージング手術を経験した.脂肪層が厚く十分とは言えないものの,本症例のような高度肥満患者においても操作をしながらリアルタイムに胆嚢管の検索可能な本システムは有用なツールの一つになり得ると考えられた.
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  • 坂本 聡大, 蒲池 浩文, 敦賀 陽介, 横尾 英樹, 神山 俊哉, 三橋 智子, 武冨 紹信
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1529-1534
    公開日: 2016/12/29
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    症例は70歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診した.26年前に胆石症に対し胆嚢摘出術の既往があり,CTで総胆管の壁肥厚や狭窄を認めず中部胆管右腹側に2.2cmの腫瘤性病変を認めた.遺残胆嚢管癌が疑われ当科を紹介受診した.EUS-FNAの生検結果は腺癌であり遺残胆嚢管癌と診断した.肝左葉の萎縮と右門脈と右肝動脈前区域枝までの浸潤があり,門脈前区域枝塞栓後に肝左三区域切除,肝外胆管切除,右肝動脈・門脈合併切除を施行した.切除標本は遺残胆嚢管合流部に潰瘍性病変を認め,病理診断は高分化型管状腺癌であった.胆嚢管に上皮内病変を認め,胆嚢管原発が示唆された.原発性胆嚢管癌は,胆道癌の中でも比較的稀であり遺残胆嚢管癌の報告は検索しうる限り自験例を含め10例と少ない.遺残胆嚢管癌は胆嚢管閉塞に伴う症状が無いため臨床症状に乏しく,診断時には進行している症例が多い.稀な遺残胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.
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  • 海氣 勇気, 桒田 亜希, 小林 健, 内藤 浩之, 藤野 豊寿, 立本 直邦, 大上 直秀, 安井 弥
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1535-1541
    公開日: 2016/12/29
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    症例は80歳,女性.食思不振を主訴に近医を受診し黄疸を指摘され,精査目的に当院を受診した.腹部造影CT検査で下部胆管に全周性壁肥厚を認めた.リンパ節等への転移は認めなかった.内視鏡的逆行性胆道膵管造影で下部胆管に欠損像を認め,上流の総胆管ならびに肝内胆管の拡張を認めた.下部胆管癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.標本では下部胆管の2箇所に腫瘍形成を認めた.末梢側の腫瘍は免疫染色でsynaptophysinならびにchromogranin A陽性であり,Ki-67指数50~60%であったため,WHO2010分類でNECと診断した.中枢側の腫瘍では高分化管状腺癌の増殖を認めた.両者の間に連続性は認められなかった.現在術後1年で無再発生存中である.これまで,胆管原発の神経内分泌細胞癌と腺癌を独立して合併した症例については報告がなく貴重と考えられたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 森 秀暁, 太田 徹哉, 國末 浩範, 藤原 拓造, 内藤 稔
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1542-1545
    公開日: 2016/12/29
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    患者は72歳,女性.2008年7月に総胆管結石に対し内視鏡的乳頭切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)を施行されたが,EST後1日で後出血を認め内視鏡的焼灼止血術を施行された.その後も出血を断続的に認めたため,内視鏡的焼灼止血術を計5回施行された.その後,膵管口閉塞をきたし急性膵炎を発症した.膵管チューブ留置を試みられたが挿入不能であったため,EST後60日に膵管減圧目的に脾温存尾側膵切除および尾側膵―胃吻合術を施行された.術後は集中治療室に収容され,持続血液透析濾過法を施行された.術後7日で集中治療室を退室し,術後60日で自宅退院された.慢性化しておらず,比較的早期の膵炎に対し外科的に膵管減圧を必要とする状況は頻度として極めて低いと思われるが,本法は膵頭切除術や膵管空腸側々吻合術と比較して低侵襲に施行可能な術式と考えられた.
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  • 西尾 康平, 木村 健二郎, 天野 良亮, 山本 晃, 大谷 博, 平川 弘聖
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1546-1550
    公開日: 2016/12/29
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    症例は40歳,男性.主訴は血便.30歳よりアルコール性慢性膵炎の急性増悪を繰り返していた.4カ月前に膵仮性嚢胞内出血を指摘され,手術予定であった.1週間前から血便を認め,当日朝に多量の下血を認め緊急入院となった.入院時,血圧は98/65mmHg,血液検査で軽度貧血を認めた.造影CTでは膵尾部に50mm大の仮性嚢胞を認め,嚢胞内部に血腫を認めた.また,嚢胞と横行結腸の瘻孔形成が疑われ,横行結腸穿通を伴う膵仮性嚢胞内出血が血便の原因であると疑った.出血が持続するため,同日緊急血管造影検査を施行した.脾動脈下極枝に仮性動脈瘤を認め,同部位のコイル塞栓術を施行した.以後は血便なく経過した.再出血,嚢胞結腸瘻による感染等を考慮し,膵体尾部切除術および左半結腸切除術を施行した.本症例のように消化管出血を伴う膵仮性嚢胞結腸瘻は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 吉田 祐, 村上 真, 五井 孝憲, 片山 寛次, 今村 好章, 山口 明夫
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1551-1556
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳台,女性.子宮頸癌の治療中,膵頭部に6.5cm大の腫瘤性病変を指摘された.CT検査,FDG-PET検査で膵頭部の漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm:SCN)と診断され経過観察となった.半年後のCT検査で腫瘍径が軽度増大し,MRI検査を行ったが,画像上は漿液性嚢胞腫瘍に矛盾しない所見であった.確定診断のため超音波内視鏡下穿刺吸引生検を施行,膵神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor of the pancreas:PNET)の組織と診断された.CT検査やMRI検査ではSCNに矛盾しない所見であったがPNETの合併と考え,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は,弾性軟で膨張性に発育し,周囲臓器と炎症性の癒着を認めた.切除標本割面の肉眼所見で,腫瘍は薄い被膜を有し,内部は出血を伴ったスポンジ様の部分と充実性の部分から構成されていた.病理検査所見では,SCNの成分は認められず,PNET Grade1と診断された.
    本症例は,画像検査でSCNと鑑別が困難であったPNET症例と考えられたので報告する.
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  • 成田 知宏, 國光 敦, 高橋 洵, 阿佐美 健吾, 高橋 一臣, 佐藤 智行, 矢嶋 信久
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1557-1561
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    尿膜管遺残に対し単孔式腹腔鏡下に手術を行い,良好な経過を得た3例を経験したので報告する.症例は13歳から42歳の男性2例・女性1例で,いずれも繰り返す臍炎を訴えて来院した.いずれも尿膜管洞の症例であった.抗菌薬投与を行い,炎症が軽快したのちに手術を施行した.臍窩単一創より,3ポートを留置し,遺残尿膜管を摘出した.摘出後欠損腹膜を縫合し,閉腹,臍形成術を行った.平均手術時間は137分,出血量は少量で,平均術後在院日数は3日であり,いずれも術後経過は良好であった.既報では腹腔鏡下尿膜管摘出術後の腹膜縫合は行われていない例が多いが,若年症例が多い疾患であり,長期の予後を考慮すると腹膜縫合は行う方が望ましいと,われわれは考えている.単孔式腹腔鏡下尿膜管摘出術は美容性に優れ,簡便かつ安全に施行可能であり,尿膜管摘出術の標準手術となり得ると考えている.
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  • 北村 大介, 秦 政輝, 関 英一郎, 権田 厚文
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1562-1565
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.約1カ月前から右鼠径部膨隆を自覚し受診.排尿時の右鼠径部違和感もあったため,腹部CT検査を施行したところ右内鼠径ヘルニアに膀胱ヘルニアを伴っており,TAPP(transabdominal preperitoneal repair)法を施行した.術前診断されていたため,特に膀胱損傷なく手術を終えた.膀胱ヘルニアの分類ではparaperitoneal typeであった.術後経過は良好で,2病日目に退院となった.TAPP法は膀胱ヘルニアに対しても安全に施行でき,診断には腹部CT検査が有用であった.
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  • 熊谷 祐, 坪井 一人, 良元 和久, 梶本 徹也, 柏木 秀幸, 矢永 勝彦
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1566-1569
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,女性.約1週間からの下腹部痛を主訴に前医を受診.穿孔性腹膜炎の診断で当科へ搬送となった.体温は38.5℃,下腹部全体に圧痛を認め,血液検査では著明な炎症反応の上昇を認めた.腹部CT検査では腹腔内遊離ガスとともに,S状結腸の多発憩室と同部の壁肥厚,および骨盤内膿瘍を認めた.以上より,S状結腸憩室穿孔による穿孔性腹膜炎の診断で同日緊急手術を行った.開腹所見では腹腔内に多量の膿性腹水を認め,S状結腸より右卵管へと穿破する異物を認めた.以上より異物による穿孔性腹膜炎と診断し,右付属器切除とHartmann手術を施行した.摘出標本からはS状結腸より右卵管に穿通した35mmの魚骨が検出され,右卵管内膿瘍が疑われた.問診での異物誤嚥の既往は無く,成分分析検査の結果,異物は魚骨であった.魚骨による消化管穿通例の報告は散見されるが,卵管への穿通・膿瘍形成を認めた症例は極めて稀であるため,報告する.
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  • 友藤 克博, 中川 祐輔, 石田 直樹, 今井 良典, 渡邊 常太, 梶原 伸介
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1570-1574
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,direct Kugel法術後にイレウスを発症した1例を経験したため報告する.症例は,81歳の男性.右鼠径ヘルニアに対してdirect Kugel法を施行した.術後翌日よりイレウスを発症し,術後10日目に腹腔鏡下イレウス解除術を施行した.イレウスの原因は,初回手術により腹膜欠損が生じ,欠損孔から腹膜前腔へ小腸が迷入しメッシュと強固に癒着していたためと考えられた.虫垂炎術後の既往があり,右下腹部の腹膜癒着が腹膜損傷の誘因となったと推測された.下腹部手術歴のある患者では,腹膜前腔の剥離操作は慎重に行う必要性があった.鼠径ヘルニア手術による術後イレウスは稀な合併症であり,なかでも本症例のように腹膜欠損部に起因する発症形態も念頭に置き,早期の発見,治療が重要であると思われた.
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  • 齋藤 裕人, 大畠 慶直, 西島 弘二, 宮下 知治, 二上 文夫, 西村 元一
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1575-1579
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    鼠径ヘルニアに横行結腸が嵌頓する病態はまれである.今回われわれは,腹腔鏡観察により嵌頓した横行結腸の切除が不要と判断し,meshを用いたtransabdominal preperitoneal approach (TAPP)法による鼠径ヘルニア修復術を行った症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は77歳,男性.2日前からの右鼠径部膨隆,腹痛を主訴に当科を受診した.造影CTにて血流障害を疑わせる横行結腸を内容物とする右鼠径ヘルニアと診断した.発症から48時間経過しており,用手還納を行わず緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,内鼠径輪に横行結腸と大網が嵌頓していた.大網の癒着を剥離し愛護的に横行結腸を牽引し嵌頓を解除したところ,嵌頓していた腸管の虚血や穿孔は認めなかった.腸管切除の必要はなかったため,meshを用いたTAPP法により鼠径ヘルニア修復術を行った.術後経過は良好で,術後13日目に退院となった.
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  • 齋藤 博紀, 阿部島 滋樹, 畠山 純一, 平野 聡
    77 巻 (2016) 6 号 p. 1580-1584
    公開日: 2016/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は94歳,女性.心窩部痛を主訴に当院内科を受診.腸閉塞の診断で入院し保存的加療を開始した.入院2日目に嘔気,右下肢痛を認め当科に紹介された.CT検査にて右閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.閉鎖孔に嵌頓していた回腸を整復したところ,穿孔部から腸液が腹腔内に漏出した.ヘルニア門,ヘルニア嚢は処置せずに小腸部分切除,洗浄ドレナージを施行した.術後26日目に発熱および右大腿部痛が出現し,CT検査にて閉鎖孔から右大腿部に進展する膿瘍形成を認め,右大腿部を切開し排膿した.さらに,膿瘍が大腿深部に波及したため,切開ドレナージの追加を要した.その後,膿瘍は徐々に消退し,術後62日目に退院となった.
    閉鎖孔ヘルニア術後に炎症反応の遷延や再燃を認めた場合は骨盤から大腿に波及する深部膿瘍を合併する可能性があり,その際には十分なドレナージ処置が肝要である.
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