日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
78 巻 , 11 号
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原著
  • 梅村 将成, 湯浅 典博, 竹内 英司, 後藤 康友, 三宅 秀夫, 永井 英雅, 吉岡 裕一郎, 深田 浩志, 宮田 完志, 藤野 雅彦
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2391-2397
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    目的:虫垂憩室炎の臨床像を急性虫垂炎と比較し明らかにすること.
    方法:虫垂切除が施行され病理組織学的に急性虫垂炎(n=324)あるいは虫垂憩室炎(n=20)と診断された344例を対象とし,年齢,性,BMI,膿瘍・穿孔の合併,手術直前の血液検査データを両群で比較検討した.
    結果:虫垂憩室炎群は急性虫垂炎群と比較して白血球数,好中球/リンパ球比,alanine amino-transferase (ALT)が低く,総蛋白が高かった(p<0.05).多変量解析では血清アルブミン低値,ALT高値,病理診断での虫垂憩室炎は膿瘍・穿孔の合併と有意に関連した.急性虫垂炎と比較して,虫垂憩室炎群では膿瘍・穿孔の合併率が有意に高かった(30% vs.12%,相対リスク2.5).結論:虫垂憩室炎は急性虫垂炎より血液検査での炎症所見が軽度であっても膿瘍・穿孔を伴いやすい.
症例
  • 橋本 陽子, 湯淺 壮司, 伏見 聡一郎, 和仁 洋治
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2398-2404
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    結節性筋膜炎(nodular fasciitis)は,線維芽細胞の良性増殖性病変で,乳房内に発生することは稀であり,乳癌と類似した画像的特徴を有している.今回,両側乳癌に偶発した結節性筋膜炎の1例を経験したので,報告する.症例は44歳の女性,検診異常にて来院.エコーで左B領域に18×13mm大の腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳管癌と診断された.右CD領域にも21×11mm大の境界不明瞭低エコー域を認めた.MRIでは,右に区域性に連なるnon-mass enhancementを認めた.針生検では乳管内乳頭腫が疑われたが悪性疾患も否定できず,診断確定目的に右切開生検を施行した.病理組織診では,右主病変はpapillary DCISであったが,線維芽細胞の増殖を伴う腫瘤が隣接しており,免疫染色の結果から結節性筋膜炎と診断した.
  • 堀岡 宏平, 北原 光太郎, 中村 賢二, 八谷 泰孝, 槇原 康亮, 福山 時彦
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2405-2409
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は33歳,女性.10カ月前に左腋窩に小豆大のしこりを自覚し,徐々に増大してきたため来院.左腋窩に50mm大の弾性硬な腫瘤を触知した.画像上は50mm弱の腫瘤を左腋窩に認め,針生検で副乳に由来する線維腺腫や葉状腫瘍が疑われ腫瘍摘出術を行った.病理組織学的検査の結果,副乳に由来する良性の葉状腫瘍と診断した.術後経過は良好で,術後2日目に退院した.術後6カ月経過したが再発は認めていない.
  • 和田 侑星, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高山 祐一, 深見 保之, 高橋 崇真
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2410-2415
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.大動脈解離(Stanford B型)フォロー中に再解離を認め,当院心臓血管外科でBentall術と上行弓部置換術を施行された.術後7日目に腹痛と嘔気が出現し,緊急造影CT検査で門脈ガス血症,腹腔内遊離ガス,小腸壁内ガスを認めた.腸間膜主要血管の造影欠損は認めなかった.非閉塞性腸間膜虚血症(nonocclusive mesenteric ischemia : NOMI)を疑い,同日緊急開腹術を施行した.開腹所見では上部空腸から回腸末端までの小腸に非連続性の壊死所見を認め,小腸切除と回盲部切除を施行した.残存小腸は約1mであった.術後再虚血の可能性も考慮し,吻合はせず2連銃式の人工肛門を造設した.造設術後43日目に人工肛門閉鎖術を施行し,下痢のコントロールとリハビリを行い術後99日目に退院となった.NOMI発症から早期に緊急手術を施行し救命しえた症例を経験したため報告する.
  • 都島 由紀雄, 梶原 崇弘, 中島 洋介
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2416-2421
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    診断技術の向上や治療法の進歩による生存期間の延長に伴い,高齢者肺癌に対する外科手術が増加するにつれて,併存疾患を有する手術症例も増加し,感染症を合併した高齢者肺癌症例にも遭遇する.患者は86歳,男性.咳を主訴に近医を受診し,胸部単純X線で左上肺野に異常陰影,CTで左肺上葉に2箇所の結節影を認め,当院へ紹介となった.多発肺癌疑いと術前診断をし,左肺上葉切除術を施行した.病理診断は上区の結節は肺アスペルギルス症,舌区の結節は扁平上皮癌であった.高齢症例であるが術後経過は良好である.術前に診断し得なかったが,同一肺葉内に肺アスペルギルス症を合併した高齢者肺癌切除例を経験したので報告した.多発肺結節の診断の際には,多発肺癌だけでなく,生物学的に異なる結節の併存に関しても考慮する必要があり,高齢者の肺癌と肺アスペルギルス症の併存症例に対する手術適応はある.
  • 千葉 龍平, 長谷 龍之介, 佐藤 彰記, 大高 和人, 東海林 安人, 仙丸 直人, 藤田 美悧
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2422-2428
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.検診の胸部単純X線写真で右中肺野に腫瘤影を認め,当院紹介となった.初診時より38度台の発熱を認め,白血球19,000/μl,CRP 10.2mg/dlと上昇していた.胸部CTでは右肺上葉S2に径50mmの腫瘤影を認めた.精査中肺化膿症も考慮し抗菌薬を投与したが,発熱や炎症反応は改善しなかった.経気管支生検で非小細胞癌の診断となった.FDG-PETでは右肺上葉の腫瘤影に一致してSUVmax=15.0の高集積を認めるほか,体幹骨優位に全身骨にもびまん性に集積亢進を認めた.血清G-CSF値も157.0pg/mlに上昇していたため,G-CSF産生肺癌と診断し右肺上葉と壁側胸膜合併切除を施行した.術後は順調に経過し,術後3日目より解熱し白血球数も正常化した.術後3カ月目に行ったFDG-PET検査では術前に認めた骨髄への集積は消失していた.本症例の経過を文献的考察も加え報告する.
  • 湯目 玄, 大島 有希子, 遠藤 文庫, 兒玉 英謙, 手島 伸, 斎藤 俊博
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2429-2434
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    外傷に起因した遅発性横隔膜ヘルニアで真性ヘルニアとなった症例を経験し,腹腔鏡下に修復しえたため報告する.症例は46歳の男性で,35歳時に交通外傷にて前胸部を打撲した.それ以降,特に症状もなく生活していたが,11年後に心窩部痛を主訴に当院を受診し,精査したところ胃穹窿部が左胸腔内に入り込んでいる所見がみられた.遅発性外傷性横隔膜ヘルニアの診断となり,腹腔鏡手術が施行された.ヘルニア門は食道裂孔左側の横隔膜でヘルニア嚢がみられる真性ヘルニアであった.腹腔鏡下にヘルニア門の直接縫合による修復術が行われ,以後再発は認めていない.外傷に起因した遅発性横隔膜ヘルニアで真性ヘルニアとなることは稀で,腹腔鏡下修復術が可能であったため報告する.
  • 澤田 俊哉, 小棚木 均, 工藤 和大, 吉楽 拓哉, 小棚木 圭, 升田 晃生
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2435-2440
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    われわれは,成人肥厚性幽門狭窄症が原因で食道破裂した1例を経験した.症例は78歳,男性.突然の呼吸苦と嘔吐で発症.CT検査で広範な縦隔気腫,胃拡張,胃幽門部腫瘍を認め,食道破裂が疑われた.呼吸状態の改善を優先し,胸腔鏡下縦隔切開ドレナージ術を先行した.翌日の食道造影で下部食道の穿孔が明らかになった.胃幽門部腫瘍による幽門閉塞が原因で発症した食道破裂の診断で緊急手術を施行した.手術は食道穿孔部縫合閉鎖,fundic patch,胃空腸吻合,縦隔ドレナージ術を施行した.破裂部の狭窄予防と食道減圧を目的に経皮経胃的ネラトン管留置等を行った.術後,食道穿孔部の縫合不全,縦隔炎を併発し,治癒まで3カ月を要したが,食道破裂部の狭窄はなかった.術後4カ月目に胃幽門癌を疑って胃幽門切除術を施行した.病理所見では肥厚性幽門狭窄症の診断であった.
  • 大塚 裕之, 橋本 泰司, 二宮 基樹, 坂下 吉弘, 嶋本 文雄, 宮本 勝也
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2441-2447
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.以前より左副腎近傍に26mmの腫瘍を指摘され,フォローのCTで48×40mmと腫瘍の増大,形態の変化を認めた.上部消化管内視鏡では胃体上部小弯に早期胃癌を認めるのみであった.EUSでは胃体上部後壁に接する低エコー腫瘍を認めたが胃壁との連続性は認めなかった.EUS-FNABではKIT(3+)であり,胃もしくは後腹膜由来のGISTと診断し手術を施行.腫瘍は胃後壁から有茎性に発育し,小網を経由し後腹膜に位置していた.内視鏡を併用し胃漿膜筋層局所切除術を施行.腫瘍径は53×40mm,核分裂像数は≦5/50HPFsであり中リスクだが生検による偽被膜損傷の可能性を考慮し,clinically malignant GISTとしてimatinibを投与中である.本症例は早期胃癌を併発し,特異な進展形式を示した管外発育胃GISTで,後腹膜腫瘍の鑑別診断を行う上で示唆に富む症例であった.
  • 前田 光貴, 田端 正己, 大澤 一郎, 加藤 憲治, 岩田 真, 三田 孝行
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2448-2453
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    極めてまれな多発リンパ節転移を伴ったRindi分類I型の胃neuroendocrine tumor (NET)の1例を報告する.症例は48歳,女性.心窩部痛を主訴に当院を受診.上部消化管内視鏡検査では萎縮性胃炎を背景として,胃全体に5-10mm大の隆起性病変が多発していた.血清抗胃壁細胞抗体は陽性,血清ガストリン値は高値を呈し,組織生検と併せてRindi分類I型の胃NETと診断した.造影CTでは胃周囲リンパ節が多数腫大しており,脾合併胃全摘術,D2郭清を施行した.摘出標本では最大径9mmの隆起性病変が多発し,組織学的にはNET G1で,深達度はいずれも粘膜下層までに留まっていた.しかし,静脈浸潤およびリンパ管侵襲が陽性で,5個のリンパ節転移が認められた.術後42カ月,無再発生存中である.
  • 清水 康博, 杉田 光隆, 中嶌 雅之, 小野 秀高, 馬場 裕之
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2454-2459
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    乳糜腹水伴う絞扼性イレウスは比較的稀な病態であり,今回われわれはその2例を経験したため報告する.2例ともに胃癌術後であった.症例1は59歳,男性.徐々に増悪する腹痛を主訴に当院に救急搬送され,腹部造影CTで上腸間膜動脈周囲のwhirl sighと腹水貯留を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.腹腔内の癒着を起点に小腸が約30cmにわたり反時計回りに360度捻転していた.腹腔内にはピンク色の腹水を中等量認めた.症例2は58歳,男性.突然の腹痛を主訴に当院外来を受診した.腹部造影CTで小腸のclosed loopと腹水の貯留を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急手術を行った.Y脚吻合部の間膜に間隙があり,その間隙に小腸が約120cmにわたり陥入し絞扼されていた.腹腔内には乳白色の腹水を中等量認めた.2例ともに腸切除を要せず,術後経過は良好であった.
  • 鈴木 佳透, 清水 芳政, 捨田利 外茂夫, 大橋 真記, 立川 伸雄, 古内 孝幸
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2460-2464
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    小腸アニサキス症による腸閉塞は比較的多く報告されているが,今回われわれは,異所性アニサキス症による腸閉塞という稀な症例を経験した.若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は52歳の男性.入院2週間前より発熱・下痢の症状があり,入院3日前より右下腹部痛を認め,当院を受診した.CTで小腸の拡張,空腸周囲の炎症所見とwhirl signを認め,腸閉塞の診断で経過観察入院とした.症状が改善しなかったため,第14病日に原因検索,治療目的に審査腹腔鏡を行った.術中所見では,Treitz靱帯から100cmの空腸腸間膜に壁外性の腫瘤を認め,大網,腹壁,腸間膜と癒着を形成していた.この癒着で形成された空間に,肛門側の小腸が陥入していた.手術は鏡視下で癒着を切離し小腸部分切除を施行した.病理結果では,腸管壁外の好酸球性の化膿性肉芽形成と,内部にアニサキス幼虫を認め,異所性アニサキス症と診断した.
  • 吾妻 祐哉, 飯塚 彬光, 佐藤 敏, 石山 聡治, 森 俊明, 横井 一樹
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2465-2468
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.生来健康.下腹部痛のため当院救急外来を受診.腹部CTで骨盤腔内に壁肥厚を伴う拡張小腸を認め,closed loopを形成していた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.Treitz靱帯左側の傍十二指腸窩にヘルニア門を認め,ほぼすべての小腸が陥入していた.また,S状結腸間膜右葉に異常欠損を認め,間膜内側から外側に空腸が約30cm陥入していた.欠損孔が狭く欠損部を拡張し陥入腸管をすべて用手的に整復した.空腸が約30cm鬱血していたが壊死,穿孔は認めず非切除とした.ヘルニア門2箇所を縫合閉鎖した.術後経過は良好で,術後7日目に退院した.左傍十二指腸ヘルニアを伴ったS状結腸間膜内ヘルニアによる絞扼性イレウスという稀な重複内ヘルニアの症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 河野 眞吾, 田村 真弘, 石山 隼, 高橋 玄, 五藤 倫敏, 坂本 一博
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2469-2473
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    メトトレキサート(methotrexate:MTX)は,その免疫抑制作用によりリンパ増殖性疾患の発症リスクを増加させる因子として知られている.今回,MTX治療中のリンパ増殖性疾患により,回腸穿孔を発症した症例を経験した.症例は77歳,女性.関節リウマチに対して5年前からMTXを内服していた.急激な腹痛を認め来院した.腹部全体に圧痛および反跳痛を認めた.腹部CTで腹腔内遊離ガス像と腹水を認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.腹腔内には混濁した腹水と回腸に穿孔を認め,穿孔部を含めた回腸を部分切除し,人工肛門を造設した.病理組織学的検査でMTX関連びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫を認め,それによる穿孔と診断した.術後はMTXを中止し,リンパ増殖性疾患は改善した.MTX関連リンパ増殖性疾患による消化管穿孔はまれで,本疾患について若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 藤田 敏忠, 貝塚 真知子, 小林 義典, 山田 武男, 浅野 功治, 濱口 實
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2474-2480
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.貧血精査のための大腸内視鏡検査にて,S状結腸に亜有茎性のSM深部浸潤を疑う隆起性病変を認め,生検で高分化型腺癌であった.胸腹部CTでは遠隔転移は認めず,腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.術中,偶発的に肝S4表面に腫瘤を認め,術後の精査で転移性肝癌と診断し,6週間後に腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.最終的にcolon cancer,S,type0-I s,tub2,pT1b,簇出(Grade1),ly2,v0,PN0,pN2,pM1a(H1)(GradeB),Stage IV,pPM0,pDM0,pRM0,R0,CurBと診断した.
    初回手術から13カ月後に肝S6に再発を認め,再肝切除を行った.23カ月後に多発肝肺転移,腹膜播種を認めたが,30カ月現在生存中である.過去に同時性肝転移を伴う早期大腸癌の報告は非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 奈良 昌樹, 野崎 剛, 大石 晋, 吉原 秀一, 舘岡 博
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2481-2485
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.直腸癌(RS)の診断で高位前方切除・D2郭清を施行,T1(SM)N0H0P0M0 fStage Iの診断であった.術後3年3カ月目にCEA上昇を認め精査施行したところ腹部CTで傍大動脈リンパ節腫大を認め,開腹生検にて大腸癌由来の腺癌の診断を得た.消化管精査や造影CTでは他に原発巣となり得る病変や転移は認めず,Stage I SM大腸癌からの傍大動脈リンパ節再発と診断した.Stage I大腸癌の再発率はRSを含む結腸癌で2.7%,深達度SMでは1.3%とされている.また,傍大動脈リンパ節再発頻度はS状結腸癌で2.1%,直腸癌で1.9%との報告があり,そのうち97.1%は深達度SS以深であった.また,約31%で肝転移を,約20.8%で腹膜播種を伴っていた.Stage I SM大腸癌で傍大動脈リンパ節単独に再発をきたした極めて稀な症例を経験したので報告する.
  • 正見 勇太, 松井 俊樹, 勝田 浩司, 春木 祐司, 谷口 健太郎, 下村 誠
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2486-2491
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は93歳,女性.当院入院の14カ月前に,他院にて経肛門的に直腸脱根治術が施行されたが再発し,9カ月前に腹腔鏡下直腸後方固定術を施行された.しかし,1カ月前より直腸脱が再々発し,手術予定であった.今回,排便時に怒責した際に肛門から腸管の脱出を認め,当院へ救急搬送となった.来院時,直腸脱と約1mの小腸の脱出を認めた.直腸穿孔に伴う小腸脱出を疑い,緊急手術を施行した.開腹すると直腸前壁に25mm大の穿孔を認め,同部位に小腸が嵌入していた.腹腔内の汚染はほぼ認めなかった.直腸前壁の穿孔部は吸収糸を用いて穿孔部単純縫合閉鎖を行った.脱出していた小腸は血流障害を認めたため,約100cm切除した.直腸縫合閉鎖部の縫合不全のリスクを考慮し,双孔式S状結腸瘻を造設して手術を終了した.術後合併症を認めず,20日目に退院したが,術後2カ月頃より直腸脱の再発が出現するようになり,術後7カ月目に腹会陰式直腸切断術を施行した.
  • 田代 恵太, 梶原 由規, 神藤 英二, 山本 順司, 長谷 和生, 上野 秀樹
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2492-2496
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は88歳,男性.膀胱癌に対する経尿道的腫瘍切除後の約2週間後に腹部膨満感を自覚し来院.理学所見上,腹部は圧痛を認めず,軟だが著明な膨隆を認めた.腹部CTでは直腸より口側の大腸が著明に拡張していた.大腸イレウスの診断にて緊急入院とし,経肛門イレウス管を挿入した.下部消化管内視鏡検査では肛門縁から4 cmの下部直腸に粘膜発赤を伴う全周性狭窄を認めたが,生検では悪性所見を認めなかった.腸管減圧後にも症状の改善が得られず,腹腔鏡下S状結腸双孔式人工肛門造設術を施行.同時に施行した狭窄部の経肛門的直視下生検にて,粘膜脱症候群の診断を得た.粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome,以下MPS)は,直腸粘膜が機械的刺激または虚血性変化を受け直腸前壁に発症するとことが多いとされるが,大腸イレウスの原因となる全周性MPSは稀である.
  • 柴田 賢吾, 横田 良一, 巖築 慶一, 廣方 玄太郎, 田口 宏一, 岩木 宏之, 武冨 紹信
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2497-2502
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.精査にて直腸癌,Ra-Rb,Circ,type2,7×7cm,T4b(骨盤壁),N1,M1a,PUL2(GradeC),Stage IVと診断した.S状結腸双孔式人工肛門を造設し,mFOLFOX6を9コース,l-LV+5-FUを5コース施行.CTで肺転移と原発巣は共に消失しCRとした.さらに,テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムを1カ月,テガフール・ウラシル配合剤を4カ月,FOLFIRIを6コース施行.治療開始から3年後,低位前方切除術を施行.病理診断は,Ra-Rb,ypT3,N0,M0,ypStage II,治療効果判定はGrade2であった.補助化学療法は行わず,術後6年無再発生存中である.多発転移を有した症例での5年以上の無再発生存の報告はなく本症が初めてであった.化学療法の進歩により,当初は切除不能であっても集学的治療を行うことで根治できる可能性が考えられた.
  • 鳥谷 建一郎, 渡邉 一輝, 高山 真秀, 古嶋 薫, 針原 康
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2503-2507
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    直腸癌を有するFournier壊疽の治療では,全身状態管理に加えて直腸癌に対する治療も時期を逸せずに施行する必要がある.集学的治療により長期生存を得た直腸癌に伴うFournier壊疽の1例を経験したので報告する.症例は71歳の男性.主訴は陰部発赤と腫脹.会陰から下腹部に発赤と握雪感を認めた.骨盤CTで陰嚢から下腹部の皮下にかけて広範な腫脹,液体貯留,ガス貯留を認め,Fournier壊疽と診断した.同日,緊急で膿瘍切開・ドレナージ術を施行した.原因精査の過程で直腸癌cStage IVを認めたため,会陰状態の落ち着いた後の第73病日にMiles手術を行った.第94病日より初回化学療法を開始し,第174病日に自宅退院された.最終診断は直腸癌Rb,Circ,3型110×70mm,環周率100%,pT3,cN3,cM1(PUL1),pStage IVであった.術後3年4カ月に病状の進行のため死亡した.
  • 藤川 正隆, 向山 知佑, 野木 雄也, 岡本 大輝, 裏川 直樹, 田中 賢一
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2508-2513
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.30年来の痔瘻の既往あり.2014年頃より肛門部腫瘤を自覚していたが放置していた.2016年1月,腫瘤の増大を認め近医を受診した.肛門管癌を疑われ,精査加療目的に同年4月に当科紹介となった.肛門辺縁の3時から7時方向に肛門外に突出する5cm大の肛門腫瘍を認めたが,肛門管には異常を認めず,痔瘻癌を疑った.生検にて高分化型管状腺癌を検出.また,術前精査にて直腸S状部に全周性の2型病変を認め,生検にて高分化型管状腺癌を検出.痔瘻癌の診断基準より原発性痔瘻癌とは診断できず,組織型が類似していたことより直腸癌,転移性痔瘻癌と診断した.肛門機能温存は困難であったが,根治切除可能と判断し,侵襲性を軽減するため腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的検査にて原発性痔瘻癌の可能性も考えられたが,免疫組織学的検査を行い直腸癌と同型であることを確認し,転移性痔瘻癌と診断しえた.
  • 東堂 まりえ, 酒井 健司, 森本 芳和, 大澤 日出樹, 畑中 信良, 山崎 芳郎
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2514-2519
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性.2011年より原発性硬化性胆管炎(以下PSC)の診断で当院消化器内科にて経過観察していた.2014年7月に右季肋部痛と黒色便を認め救急外来を受診した.造影CTで胆嚢は緊満腫大し,壁肥厚を認め,胆嚢内に高吸収域を呈し,血腫の存在が示唆された.出血性胆嚢炎が疑われ,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本では胆嚢体部に10mm大の隆起性病変を認めた.病理診断では同部位の粘膜が潰瘍によって消失し,腫瘤状の凝血塊が形成していた.また,周囲胆嚢壁には慢性胆嚢炎の所見を認めた.出血性胆嚢炎は比較的稀な疾患であり,今回はPSCによる慢性胆嚢炎を背景として,急性胆嚢炎に起因した潰瘍から出血し発症したと考えられた.本邦においてPSCに合併した出血性胆嚢炎の報告は認めず,希少な症例と考え報告する.
  • 井上 広英, 山本 直人, 神谷 真梨子, 渥美 陽介, 益田 宗孝, 森永 聡一郎
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2520-2524
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,肝内胆管癌と悪性リンパ腫が併存したまれな症例を経験したため報告する.
    症例は73歳,男性.白血球高値を数年経過観察されていたが,上昇傾向に伴い精査を行ったところ,肝内胆管癌および悪性リンパ腫疑いの診断となり,左肝3区域切除術およびリンパ節生検が施行された.術後1年目に左耳下腺腫大を認めたが,R-CHOP療法およびRituximab単剤療法を行い,寛解に至っている.肝内胆管癌は術後再発なく,現在術後5年6カ月生存中である.悪性リンパ腫と腹部原発悪性腫瘍の重複癌では,リンパ節転移との鑑別がしばしば困難であり,治療方針を誤る危険性があり,注意が必要であると考えられた.しかし,適切な治療を行えば良好な予後を期待できる可能性が示唆された.
  • 高橋 宏明, 大坂 喜彦, 植村 一仁, 本間 直健, 渋谷 一陽, 大平 将史
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2525-2533
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は87歳の女性で,胸やけを主訴に当院を受診.腹部CT検査で膵頭部に,嚢胞状変化を伴う長径59mmの多血性腫瘍を認めた.主膵管は膵頭部で途絶し,その末梢側は著明に拡張していた.膵尾部では膵実質は索状物として描出され,主膵管は同定できなかった.膵体尾部脂肪置換を伴う膵神経内分泌腫瘍と診断し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.膵体尾部は脂肪組織に置換されていたため残膵再建は行わなかった.術後膵瘻や糖尿病の合併はなかった.病理組織学的診断は,膵管内浸潤を伴う膵神経内分泌腫瘍(WHO分類grade 2)であった.膵神経内分泌腫瘍の膵管内進展は稀であり,膵管内への進展様式としては腫瘍栓の形態をとることが多いとされる.しかし,自験例では腫瘍細胞は膵管上皮へ浸潤し,主膵管に沿って広範囲に進展していた.膵管上皮浸潤の術前診断は困難であり,術中迅速病理で切除断端に腫瘍がないことを確認する必要がある.
  • 緑川 隆太, 南 泰山, 北里 雄平, 清松 和光
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2534-2539
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    48歳の男性で,健診の腹部超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘された.腹部所見では腹部腫瘤に触れず,圧痛も認めなかった.腹部造影CTにて左腎下極前方に径3cm大の表面平滑,境界明瞭,均一な造影効果を伴う類円形腫瘤を認めた.MRIではT1低信号,T2高信号を呈していた.副脾やGISTを疑ったが確定診断には至らず,診断・治療目的に腹腔鏡下切除を行った.術中所見では大網から伸びる,長い捻じれた左胃大網動脈からの栄養血管を伴った灰色の類円形腫瘤を切除した.病理組織検査では副脾の所見を呈し,大網副脾と診断した.自験例では固定性を欠き,長い茎と捻じれた栄養血管を持っており,今後の捻転の可能性がある所見を呈していた.腹腔鏡下に切除を行った無症状で発見された有茎性大網副脾の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 武田 圭佐, 川村 秀樹, 今 裕史, 小池 雅彦
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2540-2545
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    患者は48歳,男性.健診の腹部超音波検査で異常を指摘され,当院を受診した.腹部CTでは膵体部・総肝動脈背側に,径3cm大で内部不均一に造影され,辺縁整,境界明瞭な腫瘍を認めた.腹腔動脈幹は欠損し,脾動脈・肝動脈・左胃動脈は上腸間膜動脈経由で造影された.MRIではT1WIで低信号,T2WIで高信号であり,遷延性に造影された.カテコラミン3分画は正常範囲で,非機能性の傍神経節腫paragangliomaを疑い,腹腔鏡下腫瘍切除術を行った.胃をPenroseドレーンで吊り上げて良視野を確保し,後腹膜から腫瘍を剥離した.腫瘍は境界明瞭であったが血流豊富で可動性に乏しく,脾動脈を切離することで完全鏡視下に切除しえた.病理学的には,synaptophysin陽性, S-100陽性であり,傍神経節腫と診断された.症例により後腹膜腫瘍に対しても腹腔鏡手術は安全・有用であると考えられ報告した.
  • 吉岡 慎一, 斎藤 明菜, 福永 睦, 岡 義雄, 小林 研二, 根津 理一郎
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2546-2550
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.腎移植のため,左斜切開にて手術された術後創に,18×11cmの腹壁瘢痕ヘルニアが生じており,この病変に対して1年3カ月目に,通常のメッシュを用いた腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術(intraperitoneal onlay mesh法:以下,IPOM法)に腹壁縫合を加えたIPOM Plus法を行った.術後は目立った合併症なく,術後3年現在,再発なく経過観察中である.
    腎移植術後に発生した腹壁瘢痕ヘルニアは範囲も比較的大きく,初回手術が側腹部の斜切開で行われた後に生じた巨大なヘルニアであるため著しく左右差を生じている状態であり,通常のIPOM法ではこの左右差に対応することは困難である.
    本術式は低侵襲であり,縫合を加えることにより斜切開で初回手術を行ったような巨大腹壁瘢痕ヘルニアの左右差を改善できる有用な方法であると考えられた.
  • 相良 亜希子, 永吉 絹子, 永井 俊太郎, 久保 真, 小田 義直, 中村 雅史
    2017 年 78 巻 11 号 p. 2551-2557
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    患者は64歳,女性.S状結腸癌の術前精査中,右乳癌と診断された.同時性肝転移を指摘され,肝生検より乳癌の転移と診断された.また,同時性多発骨転移を認め乳癌の転移と考えられた.転移乳癌に対する全身療法に先立ち,S状結腸癌に対し原発巣切除を施行した.術中所見より両側卵巣転移が疑われたため,卵巣合併切除を行った.術後経過は良好で術後9日目に退院した.病理組織学的検査では,所属リンパ節および両側卵巣に大腸癌と乳癌の衝突癌を認め,現在は乳癌に対して内分泌治療に引き続き化学療法を施行している.衝突癌は重複癌の特殊型であり,大腸癌では原発巣に多いとされ,転移巣での衝突癌は非常に稀である.転移性衝突癌は進行した重複癌で見られ,治療方針に関しては双方の悪性度や進行度,予後を考慮した上で慎重に決定する必要がある.今回,S状結腸癌と乳癌の転移性衝突癌を有する稀な1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
国内外科研修報告
支部・集談会記事
編集後記
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