全日本鍼灸学会雑誌
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35 巻 , 3-4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 丹沢 章八, 廖 英一, 林 敬之, 小幡 純一
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 173-181
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    I. 鍼灸の科学化について: 鍼灸の生体に対する作用機序について内分泌系に及ぼす影響から検索した結果, 鍼刺激は副腎皮質・卵巣ホルモンの産生能を高める作用があり, 一次的な作用点は視床下部―下垂体系を賦活することを確認した。また肝ブドー糖代謝, 尿中カテコールアミンの動態を検索し, 鍼刺激が生体の恒常性維持に働くことを証明した。一方, 鍼刺激を体性感覚誘発電位で描出し, 知覚伝達系の機能と鍼刺激効果との関連性を明かにし, 体性感覚誘発電位の結果が鍼治療の効果予測の資料になることを提示した。
    II. リハビリテーション医学への鍼治療の導入は, 適応を明確に選び効果的な補助手段として活用する姿勢を強調した。
  • 河内 明, 北出 利勝, 木村 邦夫, 桂川 鉚一郎, 豊田 住江, 平井 清子, 御厩 恵利子, 兵頭 正義, 細谷 英吉
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 182-187
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    われわれは, さきに, D-フェニルアラニン (DPA) が, 鍼鎮痛効果を増強することを疼痛閾値の上昇より実験的に立証したことを報告してきた。今回は, 当麻酔科外来での慢性腰下肢痛患者を対象にDPAの術前投与法の違いによる効果を検討した。すなわち, 第I法は前日投与群 (1.5g 分3), 第II法は当日投与群 (4g) とし, これを偽薬投与群の設定により, 二重盲検法にて検討した。
    対象は罹病期間が3ヵ月以上の慢性腰下肢痛56例で, DPAの投与方法を2つに分けた。その (1) は, 1.5gを3回 (鍼治療前日の夕食後0.5g, 就寝前0.5g, 治療当日の朝食後0.5g) に分けて行い, 投与方法 (2) は, 4g (鍼治療前30分) を経口投与した。鍼治療は低周波置鍼療法を用いた。26例に対しては, (1) の投与方法で行い, 30例に対しては (2) の投与方法で行った。各々について「DPA+鍼」を2回,「偽薬+鍼」を2回, 計4回行い「直後効果」を数値スケール法によって両群を比較した。一方, ボランティア3名にDPA 4g・1.5gを内服させ, 2時間後, 4時間後及び翌月の血漿フェニルアラニンの経時的変動を調べた。
    その結果, 投与方法 (1) では,「DPA+鍼」(26例) 著効7.8%, 有効69.2%, やや有効19.2%であり (偽薬群に比べて有意), 投与方法 (2) によれば,「DPA+鍼」(30例) 著効23%, 有効37%, やや有効20%, 無効20%であった (偽薬群に比べて有意)。投与方法を比較すると, (2) より (1) の方が, 著効および有効を合わせると17%の増強を認めた。血漿フェニルアラニンの変動は4gの場合2時間~4時間後に高値を示し1.5gの場合は2時間後に高値を示した。
    われわれは, DPAの投与方法 (投与時期と投与分量) に関して臨床的な検討を行った。すなわち, 投与 (1) の方法と, 投与 (2) の方法との効果を比較すると, 慢性腰下肢痛における鍼鎮痛効果は, 当日投与よりも前日投与の方が, より効果的である傾向がわかった。症例数が少ないために再検討の余地はあるが, アメリカのエーレンプライスの提唱どおりDPAが slow onset, long acting に効果を発揮することに鑑み, 前日から分割して投与する方が望ましいと言える。
  • 篠原 正明, 山内 教宏, 上村 浩一, 佐藤 暢
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 188-191
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    星状神経節刺針 (SG刺針) は交感神経系を刺激するが, 脈拍数は減少させることをすでに報告した。そこで, 今回は副交感神経機能を反映するといわれている心電図のR-R間隔を指標として, 24人の患者を用いて, SG刺針と経穴刺針 (神門穴と〓門穴) との対比を行ないその影響を検討した。その結果, 心拍数の平均値は, 刺針で両群とも1~3回/分減少し, その変動係数は, SG群は4.2%から1~2%上昇, 経穴群では4.1%から1%上昇し, R-R間隔の平均値は, SG群は39~47msec. 延長, 経穴群も, 20~44msec. 延長した。変動係数は, SG群のみ4.2%から1%上昇した。以上より, 両群とも副交感神経系にも作用を及ぼしていることが判明した。
  • 山口 敬, 田辺 成蹊, 柴 紘次
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 192-195
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎は, 花粉症の増加に伴い, 最近特に注目されている疾患で, くしゃみ・鼻汁・鼻閉の三症状を示し, 慢性に経過しやすく早期治癒が非常に困難である。今回我々は, 7例のアレルギー性鼻炎患者に対して, 鍼通電刺激による治療を行った結果, 87%の有効率を得た。2例が早期に症状改善を見たが, 全体的な傾向としては, 季節的変動等を受けやすく, 治療経過が長期に亘ることも多く, 今後さらに経年的検討を加えていく必要があると思われる。
  • 田辺 成蹊, 山口 敬, 柴 紘次
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 196-199
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    突発性難聴は, 原因が明確でないものが多く, そのため患者の受ける苦痛は長期間にわたっている。耳鼻科領域でも各種の治療法が行われているにもかかわらず, 治療成績は低く, 鍼治療においても, 十分な効果が期待できないと言われている。今回, われわれが行った鍼治療では, 14症例中, 著効14%, 有効14%, 有効28%, やや有効36%, 無効21%で有効率78%であった。特に, オージオグラムの変化を検討すると, 初診時から2週間以内の聴力の変化が, 予後を判断する一つの材料になることを示唆しているように思われる
  • 野口 栄太郎
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 200-207
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    我々は, 鍼灸治療に来療する患者群の内で「膝の痛み」を主訴とする患者を対象に, 階段昇降動作を筋電図により観察し, 膝痛症に対する鍼灸治療の効果を分析検討したのを報告する。
    1. 膝痛症群及び健康者群の大腿四頭筋とハムストリングを対象に階段下降動作時の筋電図を表面電極法で測定分析した。この結果, 健康者群で明確な二峰性の活動パターンを示した。
    2. 鍼灸治療と筋力トレーニングを併用することによって, 膝関節機能が改善されるとともに筋の活動パターンが健康者と同様の傾向をしめした。
    3. 以上のことから, 膝痛症患者群では大腿四頭筋のうちで特に外側広筋及び内側広筋の筋電図測定が膝関節の機能改善を客観的に観察する方法として有用であることが認められた。
  • 宮村 健二, 沢田 勝之, 佃田 行夫, 林 秀樹, 中村 幹夫, 不破 伸一, 細川 哲夫, 米島 芳文, 西條 一止
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 208-214
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Comparative trials were undertaken using 16 types of guide-tubes of different caliber and external diamter: small caliber (1.35mm) and large cliber (1.80mm) tubes of eight types of external diameter (i. e, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5 and 6.0mm). 540 tappings was performed with a hard needle (length: 58.0mm, diameter: 0.16mm, head diameter: 1.25mm).
    The result can be summarized as follows:
    1. Among the six small guide-tubes with 2.5-5.0mm external diameter, the larger external diameter was, the less sticking pain was experienced.
    2. The four small caliber guide-tubes with 4.5-6.0mm external diameter caused significantly less sticking pain compared with the four small caliber guide-tubes of 2.5-4.0mm and the four large guide-tubes of 4.5-6.0mm.
  • 佐伯 路子, 高橋 幸, 松元 丈明, 木下 晴都
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 215-225
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    東洋医学の原典である「内経」を中心とし, 他の文献に記載された経穴の出典を明確にするために調査を行った。経穴については, 1982年にWHO西太平洋地域事務局で決定された経穴名を, 現行経穴名と呼ぶ。調査の結果, 現行経穴名での記載は,「素問」単独で15穴,「霊枢」単独で77穴,「素問・霊枢」の両書では46穴であり, その合計は138穴であった。なお「内経」には, 現行経穴名と同部位の経穴を, 別名称で記載しているものが25穴あり, 合計の経穴数は163穴であった。
    他の文献では,「甲乙経」に209穴が記載されており, その他の書籍にも14穴あって, 総計361穴の出典が明らかになった。
  • 上村 浩一, 山内 教宏, 能見 登志恵, 佐藤 暢
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 226-232
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    折針は鍼治療における危険な合併症であるが, 折針の体内移動を観察すべく, 成犬を用いて, X線による解析と病理学的検討を行った。体重25kgの成犬を全身麻酔下に, ステンレス製, 寸六, 5番の未使用針の針先を, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0cmの長さに切断した7本の針を皮膚に垂直に刺入し, 断端を皮下まで埋伏して72日間飼育した。3~7日ごとに9回のX線撮影を行った後, 解剖し, 折針迷入部の肉眼的, 顕微鏡的観察を加えた。可動域の大きい関節部の折針は広範囲に移動し, 骨幹部の折針の移動は少なかった。剖検では折針の多くは筋膜下や皮下に存在し, 1本は脊髄内に迷入していた。病理学的には, 2本の折針迷入部で炎症所見を認めた。
  • 任 公越
    1985 年 35 巻 3-4 号 p. 233-248
    発行日: 1985/12/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者は鍼灸を情報療法の1つの形であると考えている。情報療法とは最適な情報注入点 (経穴) から変調した経絡にネガティブ・フィードバック (負帰還) 情報を与えることによって治療するものである。情報療法, 理学療法, 化学療法の間には本質的な違いがある。情報療法は施術者 (あるいは情報療法のための機器) と自律神経系の間の交信あるいは対話である。鍼, 灸, 吸角, 膏薬貼付, マッサージ療法などは広義鍼療法であり, 狭義情報療法でもある。この論文ではこれらと共に気功 (深呼吸運動法), バイオフィードバック, 催眠, 暗示療法などを含む広義情報療法についても簡単に解説する。
    この論文で論じられるのは, 陰陽の経絡, 表裏の経絡, 経絡の左右, 手と足の経絡, 腹募穴と背兪穴などの関係, さらに五行の相生相剋, 等位穴, バイオホログラフィ法則など, 経絡の虚実, 入力情報の補瀉, 経絡における情報処理の基本法則についてである。また5種類の巨刺法 (反対側刺鍼法) と準巨刺法を紹介する。
    著者はサイバネティクスの視点から鍼を取り扱う。彼は情報療法の研究が発展すれば, 将来まったく新しい科学技術の分野―経絡サイバネティクスが形成されると考えている。それは人工知能やコンピュータ科学に重要な影響を与えるであろう。
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