全日本鍼灸学会雑誌
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38 巻 , 3 号
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  • 川名 律子
    1988 年 38 巻 3 号 p. 249-258
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    〈目的〉足腰の冷えを訴える患者は, 日常よく体験する。当センターに来療した足の冷えを訴える患者92症例のうち, 生理異常, 更年期症状を併せ持つ, 3症例について例示し, 鍼灸治療の実際とその効果について報告する。
    〈方法〉例示症例は, 足の冷えをもつ年齢21~49歳の女性3症例である。治療方法は, 東洋医学の特色を生かして, 全身愁訴の一分症としてとらえ, ツボ処方は, 病巣および遠隔部位 (機能解剖の視点より経絡, 経穴を選定) とし, 普通鍼およびパルス併用の鍼刺激を行った。治療回数は15~20回であった。評価法は, 当センターの愁訴表 (全身愁訴合計70項目) により, その変動を6段階に分類記入し, 効果を判定した。
    〈結果〉(1), 例示患者3症例中, 2症例に鍼灸治療による2~4段階の改善が見られ, 生理異常, 更年期症状も64.7%の軽減あるいは消失が見られた。(2), 残りの1症例は, 足の冷えに変化はなかったが, 冷えに伴う愁訴の軽減あるいは消失も39.3%と低かった。(3), 足の冷えを訴える患者92症例中, 1段階以上の改善を示した50症例に冷えを伴う愁訴の軽減率も高い傾向が認められた。(4), 当センター来療患者2000症例のうち足の冷えは5.2%を占め, その50.7%に鍼灸治療の効果を認めた。
    〈結論〉このことから一連の東洋医学療法は「足の冷え」という一分症にとらわれず, 全体像を対象とすることの必要性が確認できた。
  • 川名 律子
    1988 年 38 巻 3 号 p. 259-270
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    今回アンケート方式により東京衛生学園, 専門学校看護科学生, 年齢19歳より30歳までの女性228例のうち冷えを訴える女性132症例 (58%) より, 特に強い症状を訴える30症例について, アンケート調査並に観察検査した, 更年期の冷え症 (36回全日本鍼灸学会報告) と若年層との冷え症には共通する所見が多いが, 今回は冷え症の骨盤内循環阻害の関与度について検討した。(1) 骨盤周径では狭骨盤の傾向が強く, (2) 腹証所見と相関することがわかった, (3) 月経前, 月経中に著しい自律神経愁訴が多い, (4) 赤外線サーモグラフィーによる皮膚温分布では下半身に低温分布を認めた, (5) 深部温では僅かであるが経時変動が認められた。
  • 大沢 秀雄, 西條 一止, 佐藤 優子
    1988 年 38 巻 3 号 p. 271-280
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    皮膚刺激の尿管運動に及ぼす影響を麻酔ラットを用いて検討した。皮膚の侵害性刺激であるピンチ刺激と非侵害性刺激であるブラシ刺激を種々の皮膚領域に加え, 尿管蠕動頻度の変化を観察した。ピンチ刺激によって, 尿管蠕動頻度は増加したが, 足蹠・胸部・会陰部の皮膚領域の刺激が増加反応に有効であった。この増加反応は, 下腹神経, 骨盤神経, 迷走神経の両側性切断では消失せず, 内臓神経の切断で消失した。以上の成績から, この増加反応は皮膚の侵害性感覚神経を求心路とし, 内臓神経を遠心路とする反射性反応であることが示唆された。皮膚のブラシ刺激では尿管蠕動頻度に有意の反応は起こらなかった。
  • 安藤 文紀, 中村 辰三, 神谷 勝久, 竹中 洋, 水越 治
    1988 年 38 巻 3 号 p. 281-287
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハウスダスト・ダニ鼻アレルギーに対し, 鼻粘膜誘発テスト下で, 強鼻閉側に星状神経節を目標に刺鍼をおこない, 鍼刺激の影響を観察した。刺鍼により刺激側の鼻汁分泌の抑制がみられ (P<0.05), 刺激側で5例中4例に鼻腔通気度の改善がみられた。これらは, 頸部交感神経系の興奮によると考えた。また, 保存的治療と鍼治療を併用しておこない, 治療法としての有用性を検討した。刺鍼直後7例のうち6例に鼻閉などの自覚症状の軽減がみられた。効果の持続は4例が1日以内であり, 2例は効果が持続し症状の改善につながった。長期的に鍼治療をおこなうことにより, ハウスダスト・ダニ鼻アレルギーは5例とも全て症状の改善がみられた。
  • 小俣 浩, 山口 智, 芹澤 勝助, 大野 修嗣, 北川 宏
    1988 年 38 巻 3 号 p. 288-294
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    内科総合病院東洋医学外来で取り扱った慢性腎疾患で, 血液透析療法を行っている患者12名について分析した。
    性別は女性が多く, 年齢別構成では31歳~71歳で平均53.3歳である。透析歴は比較的長期透析患者が多く, 透析時間もほとんどが週3回, 1日4~5時間の間, 一定姿勢を保持し透析を行っている。原疾患は, 慢性糸球体腎炎, 糖尿病性腎症, 多発性嚢胞腎・腎硬化症である。これらの患者の血液生化学検査では, BUN, CRE, UAが高く, 電解質K, Na, Ca, Piはほぼ正常範囲内であった。また, 薬物療法では, 尿酸生合成阻害剤, 電解質代謝改善剤が主体であった。これらの患者の長期に渡る持続する一定姿勢, 電解質K, Na, Ca, Piの異常による愁訴は, 頭痛・頸肩の凝り感・上肢痛・背腰部痛・下肢痛・膝関節痛であり, その鍼治療成績は, 有効・やや有効合わせて73.1%であり, また, 悪化例は認められなかった。
  • 河内 明, 豊田 住江, 酒井 佳, 北出 利勝, 兵頭 正義
    1988 年 38 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    私達は, 音楽リズムを直接パルス波に変換し, 音楽と同調する音楽リズム低周波置鍼療法について従来の低周波置鍼療法との臨床効果を「肩凝り症」に限定して比較検討した。慢性化した肩凝り症の愁訴をもつ50名の患者を対象とし, これらの同一名患者を無作為に (1) 従来の3Hz連続波低周波置鍼療法群 (C群), 音楽の聴こえない音楽リズム低周波置鍼療法 (S群), (3) 音楽リズム低周波置鍼療法 (M群) の3群に分けて, その直後効果と快適度を比較した。治療は, 主に肩背部の圧痛および硬結部を基準とし, 使用鍼30ミリ20号鍼を用い, 音楽の種類は演歌, 通電時間15分とした。
    治療効果を比較するとM群 (有効率76%) は, C群 (60%), S群 (58%) に比べて約20%の有効率の増加が認められた。なお, 快適度についてもM群が, やや優れている傾向が認められた。すなわち, 音楽リズム低周波置鍼療法は, 音楽を同時に聴かせることが効果上, 心理的にも必要であることが分かった。
  • 池田 宏, 芹澤 勝助
    1988 年 38 巻 3 号 p. 300-305
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    対象は, 昭和61年9月から同62年2月までに財団法人東洋医学技術研修センター臨床治療施設を来療した13例の患者である。これらの患者に連続血圧計を用いて, 1回の鍼灸治療中の血圧を測定し, 検討したので報告する。
    その結果, (1) 血圧は, 治療中, 下降傾向を示した。(2) 普通鍼, 鍼麻酔方式, 整体手技後に, 最高血圧が下降傾向を示した。(3) 治療後, その血圧は, 徐々に治療前の血圧に近づいていった。
    このことから鍼のみでなく, 幾つかの関連療法を併用することにより血圧の安定を図ることが有用と実証できた。
  • 沢津川 正一, 影山 照雄
    1988 年 38 巻 3 号 p. 306-313
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    合谷穴への刺針, パルス通電刺激で人体に生じる反応を観察し, 既往症・現症を有する病的部位, 経絡, 痛覚閾値上昇部位等との関連性について検討した。
    その結果,
    1) 病的部位での反応発現は, 鼻炎, 蓄膿症等の鼻疾患を有する者で, 鼻部に反応発現の優位性が見られた。
    2) 反応発現に左右差はなく, 顔面部では刺激側より対側に多発し, 古典に記載された経絡―流注の走行との類似性が示唆された。
    3) 痛覚閾値上昇部位に特定性はなく, 全身全ての部位で痛覚閾値の上昇が認められ, 感覚伝達現象との関連性は見出し得なかった。
    以上の成績等から合谷穴への針通電刺激により, 人体に発現機序の相違する反応が同時的, 並行的に発生していることが示された。
  • 坂本 秀治
    1988 年 38 巻 3 号 p. 314-319
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報1, 2)で加齢による運動失調をスイムパホーマンスの測定により検索し, 加齢の或程度始まっていると思われるラットにおいて有意な運動パホーマンスの低下を認め, さらにこの運動失調がドーパミンおよび施灸刺激により回復することを観察した。今回さらに卵巣除去後皮下移植して自律発情周期をほぼ獲得したと思われる動物を vehicle control condition として, これに対し正常動物および施灸動物につき比較検討した。その結果, 正常動物における swimming success にも (15分間テストの間) 12箇月齢ラットはヤングアダルトとの間に明確なパホーマンスの差を認め (P<0.01), 加齢効果を示した。施灸動物ではこの低下を抑制しパホーマンスを維持する傾向を示した (P<0.01)。卵巣除去後移植した vehicle control の場合は両パホーマンスはむしろ加齢ラットの方が高まった。
  • 坂本 浩二, 笠原 多嘉子, 桜井 淑子
    1988 年 38 巻 3 号 p. 320-325
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    経穴部位への灸刺激による生体反応に部位差が生ずるか否かを検索した。ddY系雄性マウス (6週齢) を用い総艾重量5mg, 15mg/bodyを左右ヒト期門穴相当部位およびヒト大横穴相当部位へ施灸後, 1, 3, 6, 24時間に血清生化学検査を行った。その結果, アミラーゼ, LDH, CK, GOT, GPTは期門穴よりも大横穴の方が上昇し, CHEでは大横穴の方が低下した。以上の結果より大横穴と期門穴との比較, において, 大横穴への施灸に生体反応性が強い事を認めた。
  • 菅田 良仁, 東家 一雄, 大西 基代, 黒岩 共一, 戸田 静男, 木村 通郎
    1988 年 38 巻 3 号 p. 326-329
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    灸刺激が生体内におよぼす温度変化を調べるため, 実験動物を用い, 熱電対による温度測定を皮膚表面, 皮下, 筋層内について行なった。艾の燃焼にともなう最高温度は施灸毎に異なったが, その温度変化は, 測定部位により特徴づけられるパターンを示した。また, 皮下および筋層内における温度変化は, 表皮上と異なり, 連続して数壮施灸することにより強められた。このことは, 灸刺激が浅層のみでなく, 深部にまでおよんでいることを示唆している。
  • 戸田 静男, 大西 基代, 木村 通郎, 和田 清吉
    1988 年 38 巻 3 号 p. 330-333
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    艾の含有成分を確認することは, 品質管理や灸療法の作用機序を知る上で重要であるので, 艾の精油について, Gas liquid chromatography を行った。その結果, n-nonacosane, n-hentriacontane の存在が示唆された。艾には, tricosanol, hentricontane, arachinakohol, thujone のような化合物の存在が認められているが, 今回認めた n-nonacosane, n-hentriacontane は新規の確認である。
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