近年, 社会構成が複雑多岐になり, 現代はストレス社会ともいわれるようになってきた。そしていわゆる不定愁訴を訴える人が多くなり, これ等の人々が鍼灸院を訪れるケースが増加しつつある。
そこで, 筆者は不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の有効性を実証医学的に見出す目的で, 昭和61年10月26日 (社) 全日本鍼灸学会研究部に不定愁訴班を新設し, 健康チェック表の作成と重症度判定基準及び効果判定基準の作成を行った。
今回作成した健康チェック表は, 筑波大学健康調査表・CMI (コーネル大学健康調査表)・Y-Gテスト (矢田部, ギルフォード性格テスト)・MMPI (ミネソタ式多面人格目録) 等を総合的に検討し, 再現性, 妥当性, 項目数の必要性について統計学的処理をし検討を加えたものである。したがって初診時に患者の状態が自律神経失調性, 神経症性, うつ状態性, その他に層別して把握できるとともに鍼灸治療により, どの項目に対し効果があったのかを統計学的に検討することができる。故にこの健康チェック表を指標として不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の有効性を定量的に見出すことができ, 種々統計処理を行い, 不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の有効性を多角的に検討し、 研究していくことも可能であると言える。
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