全日本鍼灸学会雑誌
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44 巻 , 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 桑田 繁
    1994 年 44 巻 3 号 p. 213-220
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本論文は, 単一被験者法における内的妥当性と外的妥当性について論述することを目的とした。第1に, 内的妥当性を高める方法として被験者内再現化を論じた。第2に, 外的妥当性を検討する方法として直接的再現化と系統的再現化について論じ, 両者を同一実験内で実現させる計画法を述べた。第3に, 再現化の中で生じる個体差に対する対処法を紹介した。最後に, 外的妥当性に対する群間比較法と単一被験者法の相違を指摘し, 鍼灸学の臨床研究における利点を論議した。
  • 鍋田 智之, 北小路 博司, 和泉 克典, 川喜田 健司
    1994 年 44 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ラットの尿管に人工結石を作製し, その直後の体幹および大腿内側部における筋電活動の変化と術後1週間の同一電極を用いた筋の電気刺激による発声閾値を指標とした痛覚閾値を記録・検討した。記録部位は, ヒトの尿管結石において痛覚過敏の認められた内転筋および腹斜筋とした。結石作製直後の急性実験において内転筋・腹斜筋に同側優位の周期的な筋電活動の亢進が認められた。また, 亜慢性実験において, 尿管結石の作製により, 内転筋・腹斜筋に痛覚閾値の低下が認められた。これらの結果は, 実験性尿管結石ラットの局所に筋緊張を伴う痛覚過敏が発生することを示しており, 本実験モデルの今後の圧痛点研究における有用性が示唆された。
  • 二本柳 賢司
    1994 年 44 巻 3 号 p. 227-232
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    骨格筋に対するAgおよびAuイオンの作用濃度の違いが金鍼, 銀鍼の使用法の違いに関与する可能性を知るため, Agイオンで発生した筋収縮に対するAuイオン共存の効果を調べた。5μMAgイオンと20μMAuイオンの同時投与は収縮開始までの時間を5μMAgイオン単独時の6秒から60秒へと延長し, 発生張力も著しく抑制した。筋の壊死もなく, 顕微鏡下できれいな横紋構造がみられた。Ag (5μM)―収縮発生直後の20μMAuイオン投与は一過性張力の収縮時間の短縮とその後の持続性張力の抑制をもたらした。筋の構造は正常に維持されていた。Auイオンの投与を遅らすと収縮の抑制がみられなくなった。Auイオンの前処置ではAg収縮による細胞壊死を抑制し得なかった。
    以上の結果は使用濃度, 使用順序, 投与時期等の条件の違いにより, Ag, Au両イオンの相互作用に違いが生じることを示している。
  • 古東 司朗, 中本 和夫
    1994 年 44 巻 3 号 p. 233-237
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鍼灸治療による医療事故の一つである医原性気胸は, 一般には, 発生頻度が希であるとされ無視されがちである。しかし今回の当院における調査の結果, 6年8ヵ月の間に頸, 肩, 胸郭部の施鍼によって749例中4例 (0.53%) に気胸が発生していることが分かった。その内の3例は入院治療を行った。このことより鍼による医原性気胸は無視のできない医療事故のように思われた。よって, 胸郭周囲部への施鍼においては, 局所解剖を熟知し, 患者の体型を考慮する必要がある。また, 雀啄をしたり, パルス電流を流したり, 保温の毛布をかけるときには鍼が深くならぬように配慮する。頸椎症, 頸肩腕症候群, 胸郭出口症候群に対する施鍼では気胸が起こり得ることを念頭におき施鍼する必要があると思われた。
  • 石神 龍代, 黒野 保三, 絹田 章, 冨田 靖延, 林 尚臣, 渡 仲三, 松本 美富士
    1994 年 44 巻 3 号 p. 238-243
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    名古屋市立大学病院第二内科膠原病・リウマチ専門外来において米国防疫センター (CDC) 及び本邦厚生省調査研究班の診断基準を満足し, 長期経過観察が可能で, informed concent が得られ, かつ従来から報告されている各種薬物療法抵抗性の慢性疲労症候群症例8例に対して鍼治療を施したところ, 慢性疲労症候群の中心的症状である激しい疲労感は明らかに改善し, 随伴症状である様々な身体症状も一部の症例において改善がみられた。また, 免疫学的検査において低下していた末梢血γδT細胞比率が有意に回復した。
    以上の結果から, 鍼治療は従来からの薬物療法に加えて, 慢性疲労症候群の一つの治療法として有用であることが示唆された。
  • 石井 努, 池内 隆治, 勝見 泰和, 松本 勅, 片山 憲史, 越智 秀樹
    1994 年 44 巻 3 号 p. 244-248
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    変形性腰椎症の患者40名 (男性28名, 女性12名, 年齢42~80才, 平均61.2才) に対して運動療法とSSP療法を併用した鍼治療を行い, ペインスケール法を用いて治療効果の検討を行った。鍼治療は腎兪, 志室, 大腸兪など腰部を中心に雀啄術を行い, ほかに症状に応じて治療点を加えた。鍼治療の後に, 運動療法として Williams Exercise より, 腹筋・背筋の強化運動および背筋とハムストリングスのストレッチ運動を行わせた。そのうちの背筋の強化運動中には背筋部にSSP療法を併用した。
    その結果, 平均治療回数5.6回, 治療期間は35.9日であり, 治療効果はペインスケールで10から0または1に改善した著効が22.5%, 2~5に改善した有効が55.0%, 6~8に改善したやや有効が20.0%となり良好な治療成績が得られた。
  • 河井 正隆, 中村 辰三
    1994 年 44 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鍼灸師という職業人にまで学生の意識を高揚させていくことが求められる専門学校教育の中で (以下, 社会化機能という), その実態を知るために学生に対する意識調査を実施し, 検討を行った。
    方法としては平成5年7月, 本校鍼灸科3年生172名を対象に, 無記名方式で意識調査を実施した。
    入学前, 在学中, 卒業時の3段階による社会化の実態に視点をあて「順調タイプ」「葛藤タイプ」「無目的タイプ」の3タイプに分類し検討した。その結果約8割が「順調タイプ」の学生であり,「無目的タイプ」の学生はいなかった。これは専門学校の1つの特性と思われる。しかし,「葛藤タイプ」の学生が1割存在しており, このタイプの学生への内面的な調査研究, 教育的配慮が今後の課題と考えられる。
  • 森川 和宥, 北村 智, 吉備 登, 王 財源, 遠藤 宏, 武内 哲郎
    1994 年 44 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 河瀬 美之, 石神 龍代, 堀 茂, 山田 耕, 服部 輝男, 黒野 保三
    1994 年 44 巻 3 号 p. 261-265
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    我々は過去2回, 高血圧患者に対する予備調査を報告し, (社) 全日本鍼灸学会第9回中部ブロック学術集会において高血圧患者に対する鍼治療の検討と題してコロトコロフ第3音時血圧値に着目し, その結果を報告した。
    今回はさらに症例を積み重ね検討を行った結果, WHO血圧分類で境界域領域であった症例に対し, コロトコフ第3音時血圧値を指標にしてみたところ, 100mmHgから110mmHgの間で有意な差が認められた。このように降圧状態に差がみられたということは, 高血圧患者の経過及び予後をみる上で何らかの指標になるものと推察される。
  • 福田 裕康, 黒野 保三
    1994 年 44 巻 3 号 p. 266-271
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鍼灸の有効性は, 未だ客観的に明らかにされていない。
    現代はストレス社会といわれ, 種々不定愁訴を訴え鍼灸院に来院してくる患者の中には, 器質的疾患を有しない患者も少なくはない。これらの患者に対し鍼治療を行い客観的に推移・有効性を検討する目的で (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班不定愁訴カルテを用いた。結果, 初診時の不定愁訴指数が22点であったものが自覚症状の軽減と共に不定愁訴指数の減少が見られ最終時には17点となり効果判定は「やや有効」となり鍼治療の有効性が示唆された。
  • 田中 良和, 黒野 保三
    1994 年 44 巻 3 号 p. 272-277
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ストレス社会と言われる現代において, 不定愁訴を訴え鍼灸院に来院する患者が多くなってきた。今回, 一症例ではあるが興味ある結果が得られたので報告したい。本症例は多くの不定愁訴を訴え, かつ, 気管支喘息を併発している患者に対し, 太極療法 (黒野式全身調整基本穴) を21回行った結果, 自覚症状 (喘息症状を含む) の殆どが消失し, 他覚的所見においても改善傾向にあった。また, (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班不定愁訴カルテを使用したところ, 不定愁訴指数減少率が43.6%で効果判定は有効となり鍼治療の有効性が定量的に見出すことが出来た。
  • 中村 弘典, 黒野 保三
    1994 年 44 巻 3 号 p. 278-282
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    今日の糖尿病の大きな目的は合併症の予防または進行の抑制であり, 糖尿病のコントロール状態を良好に保つことが大切である。そこで内科で糖尿病と診断され合併症と考えられる両下肢のつり及び糖尿病性の自覚症状を有する症例に対し鍼治療を行い, (社) 全日本鍼灸学会愛知地方会の糖尿病カルテを使用して糖尿病のコントロール状態を客観的に検討した。鍼治療開始後, 自覚症状及び合併症の指標となる空腹時血糖値及びヘモグロビンA1Cに改善がみられた。このことから, 鍼治療は糖尿病に対して有効であり, 糖尿病を治療することにより合併症の改善に対して有効であることが示唆された。
  • 北村 智, 森川 和宥, 吉備 登, 王 財源
    1994 年 44 巻 3 号 p. 283-286
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • Charles Vincent, M. Phil
    1994 年 44 巻 3 号 p. 288-299
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Disappointingly little has been achieved by literally hundreds of attempts to evaluate acupuncture for chronic pain. Major methodological flaws are apparent in the vast majority of studies. Controlled studies have shown positive findings for low back pain, and equivocal results for migraine and asthma. Nevertheless larger scale studies are warranted for all these disorders, though other types of musculo-skeletal pain, tension headache and arthritis are also possible candidates.
    Controlled trials of any treatment have become an immensely difficult and technical undertaking. They are expensive, time-consuming and ideally require the collaboration between practitioners and researchers and consultation with a statistician. It is not really possible for acupuncturists in private practice to mount such trials, and it is very difficult for a professional association or college. However, it is clear that there is no longer any point in conducting small, preliminary studies of acupuncture treatment. There are dozens of such studies, with some encouraging findings. The only way acupuncture can gain full acceptance as a valid form of treatment is through good controlled trials that are large enough to answer the questions they pose.
    Ter Riet's list of criteria as a good starting point for anyone designing a trial of acupuncture. Specific points I would emphasize after reviewing the existing research on acupuncture are:
    1. Trials should be single blind; it is not feasible to conduct double-blind trials. Some trials are nevertheless incorrectly described as double blind.
    2. A range of outcome measures should be used, preferably with some independent assessment. An adequate follow-up is essential.
    3. Considerable care needs to be taken in the choice of control group, especially with placebo controls. For a placebo I suggest a form of acupuncture treatment that is designed to have minimal effects. It will be the option that is the closest match to the true treatment and avoids the difficulties inherent in randomizing patients to a non-acupuncture treatment.
    4. It is very useful to check the adequacy of any control treatment with a measure of credibility, or similar assessment, as the choice of control is frequently a matter for criticism.
    5. Trials have generally been too small to permit firm conclusions. Ter Riet (Ter Riet, Kleijnen et al. 1990) implies that 50 patients per group are needed. This may not be necessary. However preliminary calculations of the necessary size for a reasonable power need to be carried out.
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