全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
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46 巻, 2 号
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  • 河村 廣定, 二ノ宮 裕三, 船越 正也
    1996 年 46 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    針鎮痛をもたらす末梢求心路に capsaicin (cap) 感受性神経線維が関与するが, その鎮痛効果が身体のどの範囲に影響するのかを調べた。ラット右前肢上腕部に cap 1 回処理を加え, 処理側, 又は非処理側に針通電を加えた。両群による鎮痛効果の違いを顔面部 (間口反射誘発筋電図), 後肢 (ホットプレート=HP法), 及び尾 (テールフリック=TF法) で比較した。それら3部位の痛覚測定は共通して, 非処理側群で認められた針鎮痛効果は処理側群では認められなかった。以上の結果から, 全身性の鎮痛を生ずる針鎮痛効果の出現は cap 感受性神経線維を末梢求心路にしていることが示唆された。
  • 森 俊豪, 竹下 イキコ, 尾崎 朋文, 坂本 豊次, 西崎 泰清, 北村 清一郎
    1996 年 46 巻 2 号 p. 70-79
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    遺体を用いて計測した上頸神経節と体表指標構造との位置関係から, 乳様突起下端の30mm下方で, 頸部外側から頸椎横突起の直前に向けて水平方向に刺鍼する外側刺入法と, 舌骨端外端を刺入点とし, 上方45度, 外方15度に向けて頸椎横突起前面まで刺入する前部刺入法の2つの上頸神経節刺鍼法を考案した。ついで, 上記刺鍼法による刺入鍼の神経節への的中率と, 刺入鍼の周辺諸構造との位置関係を別の遺体で調べ, 外側刺入法では, 神経節への的中率は高いものの, 内頸動・静脈や外頸動脈を貫く可能性の高いこと, および前部刺入法では, 的中率はやや低くなるものの, 内頸動・静脈や外頸動脈を貫く可能性が低いことを明らかにした。
  • 中村 弘典, 黒野 保三, 石神 龍代, 堀 茂, 皆川 宗徳, 鈴木 光
    1996 年 46 巻 2 号 p. 80-84
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    糖尿病には多くの病型があり, 病態も多種多様であり, ストレプトゾトシン処理による糖尿病はインスリン依存型といわれている。我々は鍼治療の糖尿病への有効性について検討するため, ストレプトゾトシン糖尿病ラットに対し鍼治療を行い, 空腹時血糖値及び体重の変化について検討した。その結果, 鍼治療群は対照群に比べ空腹時血糖値において有意な低下が認められた。また, 鍼治療群は対照群に比べ体重が増加する傾向にあった。さらに, 鍼治療群は対照群に比べ体重1g当たりの空腹時血糖値において有意な低下が認められた。
    以上のことから, ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおいて鍼治療は血糖を低下させ, 体重増加を促進することがわかった。因果関係についてはまだ不明であるが, 膵臓のβ細胞のインスリン分泌障害や末梢でのグルコースの代謝に対する何らかの影響などが推察された。
  • 昔のモグサ工場について
    織田 隆三
    1996 年 46 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    搗き臼や水車は現在のモグサ工場ではみられないが, 昭和時代まで各地で使用されていた。これら消滅して行く機械装置を記録に残しておきたいと考え, 昔の工場関係者から話を聞き, 現地を訪れ, 文献を調べた。
    木島モグサ工場の水車は直径3.6mだったが亀屋佐京商店の水車は直径約5mあり30馬力と称され, モグサ生産量は日本一と言われていた。木島の搗き臼はケヤキで造られ, 臼は直径48cm深さ23cm, 杵は長さ280cmの柱状で一辺は11.5cmだった。
    関原モグサ工場は天保の頃 (1840年前後) の創業と伝えられているが, 昭和期における機械設備は木島モグサ工場と大体同じであった。
  • 矢野 忠
    1996 年 46 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 特にうつ状態性愁訴に対して
    絹田 章
    1996 年 46 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    現代社会は多くのストレスに満ちあふれ不定愁訴に悩む人々が増加している。またその年代層も確実に拡がりつつある。
    今回, 平成3年7月頃 (当時20歳) より種々不定愁訴を覚えるようになり, 次第に悪化し, 10月中旬幻覚症状がでてきたのでS病院に入院し, うつ病の治療を受療したが, 退院後も種々不定愁訴を訴えている患者に鍼治療を施し, その有効性を客観化するため (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班作製の健康チェック表を使用して検討した。その結果, うつ状態性愁訴が他の層別と比較して特に減少が認められた。それはうつ状態性項目の頭重や頭痛がある, 目がつかれるの2項目の大幅な改善がみられたためであった。この症例により健康チェック表の層別の意義と鍼治療の有効性を層別的に見い出すことが示唆された。今後, 特にうつ状態愁訴が改善される経緯について症例を集積して明らかにしていきたい。
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