江戸時代のモグサ主産地は近江 (滋賀県) と言われていたが現在の主産地は新潟県 (越後) である。この主産地変遷の過程や理由を明らかにしたいと考えこの研究を行った。
図書館・県市町村史編纂室・地方史研究者・モグサ業界関係者等を歴訪し、地方史・古文書の閲覧、伝承の聞き取り等を行い、また書面によって照会した。その結果江戸の初期は近江と共に美濃 (岐阜県) が主産地だったこと、ついで北陸地方 (福井・富山・石川県) に伝わり、天保の頃 (1830年代頃) には越後 (新潟県) でも生産されていたことが明らかになった。また伊予 (愛媛県) や筑紫 (福岡県) でも造られていたことを知った。
主産地が北陸地方へ移動した主な理由は、1.原草のヨモギ類が豊富なこと、2.モグサ製造は冬に行うが北陸の冬は雪のため仕事が少なく人手が得やすいことの二つである。
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