全日本鍼灸学会雑誌
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49 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 産地について (2)
    織田 隆三
    1999 年 49 巻 2 号 p. 283-291
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    わが国のモグサ主産地は江戸初期には岐阜・滋賀の二県だったが現在は新潟県である。この主産地変遷の過程や理由を明らかにしたいと考えこの研究を行った。江戸期については前回報告したので今回は明治以降 (1868~1998年) の分を報告する。
    1870年代には富山県が国内最大の産地だった。福井・新潟・石川三県がこれに続いていたが1930年前後には新潟県が日本一になっていたようである。現在高級モグサはほぼ百%新潟県で造られている。富山、滋賀両県でも造るが極めてわずかである。昭和の一時期長野・愛媛・福島・群馬県や北海道でも製造されたが今は途絶えている。
    新潟県が主産地になった理由は (1) 原料用ヨモギが豊富且つ良質であること、 (2) モグサの製造は冬季に行うが新潟では冬に人手が得やすく人件費が安いことの二点である。
  • 井島 晴彦, 黒野 保三
    1999 年 49 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    この患者は20年前に結核を発症し、治癒した後に体感温度や体温調節機能の異常を感じるようになった。しかし生活に支障のない程度であったし、営業の仕事が忙しかったこともあって、特に治療しないまま60歳の定年を迎えた。その後仕事を完全に止めたため、生活のリズムが急変した。それが心理社会的ストレスとなり、自律神経機能に変調をきたし体感温度や体温調節機能の異常からくる症状を悪化させたと思われる。さらにその苦痛と、病院での精密検査でも原因が解らず治療もされないことからくる不安から種々の不定愁訴を発症したものと思われる。従って、ホメオスターシスの賦活と症状の改善を目的とした鍼治療を行うこととした。
    外部環境の変化に応じた体温調節に、自律神経系の果たす役割は大きい。
    今回、定年退職という心理社会的ストレスにより自律神経に変調をきたし、体温調節機能の異常を主訴として、種々の不定愁訴を訴えていると考えられる患者に対し、 (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班不定愁訴カルテを使用し鍼治療を行ったところ、効果判定は比較的有効であった。その後の経過観察からも鍼治療の有効性を客観的に見出すことができた。また、体温調節に関するデータとして基礎体温を検討したところ、その変動がやや安定傾向を示しそれに伴う症状も軽減した。
  • 絹田 章, 中村 弘典, 皆川 宗徳, 黒野 保三
    1999 年 49 巻 2 号 p. 299-304
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    本症例は昭和59年に内科で血糖値が高いと言われてから5年間を経て糖尿病と診断されていることから糖尿病の進行が緩徐であったと思われる。また、経口血糖降下剤を服用してから血糖値が安定していたことからインスリン非依存型糖尿病であると推察する。しかし、糖尿病と診断された際、体がだるい・のどが乾く・急激な体重減少などの症状が現われているのでインスリン分泌障害が起きて糖尿病のコントロール状態が悪化していたものと思われる。原因としては過食や、人間関係による心理的ストレスの蓄積などが挙げられ、これが糖代謝異常を引き起こして糖尿病を発症したものと思われる。また、高血圧症についても糖尿病と診断される以前の高血糖から生じる高インスリン血症による糖尿病の合併症と推察した。
    したがってホメオスターシスの鼓舞を目的とした鍼治療を行うこととした。
    今日、糖尿病患者は著しく増加し、糖尿病管理に経口血糖降下剤の服用を余儀なくされている人々が多い。しかし、経口血糖降下剤の服用は副作用として心・血管系の障害をもたらすことが報告されている。
    今回、我々は経口血糖降下剤を服用し、血糖値が安定していたため、経口血糖降下剤の服用を中止していたところ、再び糖尿病のコントロール状態が悪化したインスリン非依存型糖尿病患者に対して鍼治療を施した。糖尿病に対する鍼治療の有効性を客観的に検討する目的で (社) 全日本鍼灸学会愛知地方会研究部糖尿病班の独自の糖尿病カルテを使用して検討したところ、糖尿病に伴う自覚症状に変化が認められた。またHbAlc値は、鍼治療開始後12カ月間、7%レベルを維持していることが認められた。
    これらのことから、鍼治療が糖尿病に対して何らかの影響を与えている可能性が示唆された。
  • インスリン療法による低血糖状態患者
    中村 弘典, 絹田 章, 黒野 保三
    1999 年 49 巻 2 号 p. 305-310
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    本症例は5年前に内科で糖尿病と診断され、原因としては家族的に美食家で高カロリー食による肥満がインスリン作用不足を招き、糖尿病を発症させたものと思われる。そしてインスリン療法を行っているが、この頃に肥満していたことや口渇・多尿・体重減少などの急激な症状がないことから、インスリン非依存型糖尿病と思われる。
    初診時に訴えている身体がだるく疲れやすい、手足がしびれる、眼がかすむ症状は初診時の食後3時間の血糖値が64mg/dlであったことから、インスリン療法による低血糖が誘因と思われる。
    また、膝痛は病院では糖尿病性のものと推察しているものの、糖尿病が膝痛の改善を困難にしている一因と考えられるが、インスリン療法により空腹時血糖値のコントロールがなされているにもかかわらず症状が改善されないことや関節の変形及び軟骨の損傷があると思われることから肥満及び加齢による膝痛と思われる。
    したがって、糖尿病専門医の指示に従って、インスリン注射の投与量を減らすと共に全身調整と膝痛の改善を目的とした鍼治療を行うこととした。
    今日の糖尿病治療は経口血糖降下剤やインスリン療法などの進歩により、糖尿病患者の生存期間や予後は著しく改善した。しかし、我々の鍼灸院に来院する糖尿病患者に経口血糖降下剤やインスリン療法の開始時期や投与量に疑問のある患者がみられる。そこで、今回インスリン療法を開始しているが、かえって血糖値を下げすぎていると思われる症例に対し、糖尿病専門医の指示に従って、インスリン注射の投与量を減らすと共に全身調整を目的とした鍼治療を行い、糖尿病カルテを使用し糖尿病のコントロール状態を検討した。その結果、主訴である両膝の痛みをはじめ、低血糖によると思われる自覚症状に改善がみられた。このことから、鍼治療は糖尿病のコントロール状態を良好に保つために有用であることが示唆された。
  • アルゼンチンの鍼灸事情
    相馬 英樹
    1999 年 49 巻 2 号 p. 311-316
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • その目的とメリット
    丹澤 章八
    1999 年 49 巻 2 号 p. 317
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
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