鍼刺激・鍼通電刺激が末梢血流動態に影響を及ぼすことが過去の多くの研究から知られている。赤外線サーモグラフィを用いた研究では、鍼刺激・鍼通電刺激による皮膚温分布の変化が明らかになり、超音波ドップラ血流計や放射性同位元素を用いた研究では、脳や心臓、臍帯における鍼刺激・鍼通電刺激の効果を画像としてとらえることを可能にした。レーザ・ドップラ血流計を使用することによって、鍼刺激・鍼通電刺激による末梢循環における反応の自律神経機序が明らかになってきた。
筆者らは、ピンチ刺激・鍼通電刺激の微小循環動態に及ぼす効果について、生体顕微鏡システムを用いた研究を行ってきた。これらの研究から、ピンチ刺激によって体性-交感神経反射による微小血管レベルの反応が出現することや、蛍光トレーサーを用いた検討により、一酸化窒素を介して微小血管に血管拡張を起きることが示された。
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