全日本鍼灸学会雑誌
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53 巻 , 4 号
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  • 祖父江 逸郎
    2003 年 53 巻 4 号 p. 466-470
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    臨床のセンスは臨床の実践にあたり重要である。センスの内容は幅広く、その解釈も様々である。知、技、心の3つの要素がバランスよく、渾然一体として、ダイナミックに対応可能な臨床能力であると考えられる。コミュニケーション・テクニック、面接技法、患者心理の理解、臨床倫理、インフォームド・コンセント、告知、EBM、クリニカルパスなど、臨床で共通した基本的臨床能力といわれるものは、必須条件の一つである。さらに、それぞれの専門領域についての最新の知識、技術を熟知し、実践応用可能なことも必須条件である。知、技、心のうち、心については、かねてから主張してきたSympathy (共感) 、Sincerity (誠実) 、Service (奉仕) の3Sをとりあげたい。こうした3Sによる臨床の実践により患者との信頼はより一層深まる。
    臨床では、様々な問題を分析、理解し、適正な判断による的確な対応が必要である。具体的事例による修練を積み重ねることで、臨床のセンスが培われる。
  • 形井 秀一
    2003 年 53 巻 4 号 p. 471-483
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    日本式の鍼灸においては、「押し手」を用いた施鍼が一般的である。しかも、消毒後ではあるが、素手の押し手が行われる事が多い。日本の鍼灸師が日々の臨床の中で日常的に、しかもごく通常の方法として行っている押し手の方法は、世界的な鍼の安全の基準や、医療上の安全性の考え方との隔たりがあり、安全面や衛生面からも、世界から批判を浴びる可能性が高い点である。そして、早晩、口本鍼灸界として、押し手の問題にどのような見解を持つのかを明らかにしなければならない時期が来る事が予測される。
    その論議の際の材料として、押し手の歴史、諸外国と日本の現状、これまでの検討論文等についてまとめた。
    衛生上の安全面から考えると、押し手の際に、指サックやグローブ、特殊な鍼管やさや等を用いる方法があるが、それらを用いないで、衛生面を考慮した方法としては、清潔野を確保した上で、ヒビスコールなど速乾性の消毒液を使用する方法が選ばれる。だが、コーティングと消毒機能を兼ね備えた新たな素材で押し手の表面を覆う方法も考えられるのではなかろうか。
  • 高橋 徳
    2003 年 53 巻 4 号 p. 484-497
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    麻酔下のラットでの実験
    麻酔下に、小型トランスデューサを胃の漿膜面に縫着し、鍼の胃運動に及ぼす効果を検討した。腹部への鍼刺激により胃の弛緩反応が出現した。一方、下肢の鍼刺激では、胃の収縮反応が出現した。胃の弛緩反応は迷走神経切離では影響をうけなかったが、交感神経切離により消失した。鍼による弛緩反応は、グアネシジン (カテコールアミンのプロッカー) 、プロパノール (βプロッカー) 、ヘキサメソニウム (ニコチン受容体プロッカー) の前投与でも消失した。また延髄のRVLM (rostral ventral lateral medulla) において、腹部に鍼刺激により、c-fbsで染まるニューロンの数が特異的に増えているのが観察された。以上より、腹部の鍼刺激により、筋肉及び皮膚の知覚神経が興奮し、この情報が脊髄を上行し延髄のRVMLに行き、ここからpresynapticな交感神経系ニューロンに興奮を送り、最終的にカテコールアミンが放出されて、β受容体を介してして胃が弛緩するものと考えられた。
    コンシャスラット (非麻酔意識下のラット) での実験
    タイプA (MMCが見られないラット) とタイプB (MMCが見られるラット) という2群に分けて、それぞれに対する鍼の影響を検討した。タイプAでMMCのないラットに鍼をうつとMMCが出現した。一方、タイプBでMMCが元々あるラットに鍼をうつと今度はMMCが消失した。また、タイプAのラットでの鍼による収縮作用は、アトロピン、ヘキサメソニウム、迷走神経切離で消失した。鍼刺激による収縮増強作用は3時間以上観察されたが、この持続時間は、ナロキサン (オピオイドのプロッカー) の投与により短縮した。
    コンシャスドッグ (非麻酔意識下の犬) での実験
    バソプレッシンの投与により消化管の逆蠕動がおこり、頻回の嘔吐が見られた。このバソプレッシンの催吐作用は、内関の鍼の電気刺激 (10Hz) で著明に抑制された。このバソプレッシンの催吐作用は、胃命での電気刺激では抑制されなかった。内関の鍼刺激による制吐作用は、ナロキサンの投与により消失した。以上より、内関の鍼刺激が中枢のオピオイドを刺激して、バソプレッシンで誘導される嘔吐中枢の活動を、このオピオイドが抑制する可能性が示唆された。
    ヒトでの実験
    ヒトで、内関や足三里に鍼で電気刺戟 (1Hz) をした際の胃電図の変化を検討した。内関と足三里は、それぞれ単独の刺激ではslow waveの発現頻度には影響はなく、tachygastriaの発現にも影響はみられなかった。内関と足三里を同時に刺激すると、peak dominant frequencyが低下した。また、内関の鍼刺戟はpeakdominant powerを抑制し、逆に足三里では増強した。
    手術後の嘔気、嘔吐に対する鍼の効果の検討
    乳がんの手術をした患者75人をランダムに内関に鍼をした群、sham acupuncture群、オンダンセトロン投与群に分けて、術後の嘔気、嘔吐の頻度を検討した。sham acupuncture群やオンダンセトロン投与群に比較して、内関に鍼をした患者群では、術後2時間の嘔気、嘔吐の発現頻度が著明に減少した。術後の痛みの程度も、鍼をした群では他の群に比べて、その発現頻度が非常に減少していた。内関の鍼刺激には制吐作用があるだけではなく鎮痛作用もあるということが示唆された。
  • 真鍋 立夫, 尾崎 昭弘
    2003 年 53 巻 4 号 p. 498-509
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    高齢化社会にまっしぐらの日本です、これからは、ますます鍼灸療法のニーズがたかまって行くことでしょう。そこで、鍼灸療法が真に国民に愛されるようになるためには、「どこに行ってだれに治療してもらっても、一定の水準の鍼灸療法を、あたりまえに受けることができる。」
    これを目標に、個々の鍼灸師が自らの資質と技術の向上につとめなければなりません。それにもまして、まず「痛く無いバリ」をさせてもらうことをこころがけ、国民の鍼治療に対する不安感、恐怖感を取り去り、患者さんの皆さんが、安心して喜んで、気持ち良く治療を受けてもらえるように、我々全員が努力しなければなりません。
    そのためには、伝統的日本風の細い針による繊細な鍼灸療法の技術を研鑛し、鍼灸療法を単なる刺激療法に終らせること無く、真の鍼灸療法とは、経絡、経穴を通して体表に補潟というテクニックを行って、体内の生命維持システムに呼びかける体表情報操作医療であるということを、「鍼灸のグローバルスタンダード」として、いまこそ、日本から世界に向けて発信しなければならないのではないでしょうか。
    私は、長年の鍼灸臨床経験を通して、身体に全く鍼を刺さなくても、臨床効果を得ることが出来ることを知りました。また、それをバイデジタルオーリングテスト (以後BDORTと記す) によって証明することも出来ました。
    私は体表に鍼を刺すのでは無く、一定の方向に鍼を貼付することによって臨床効果を出すことに成功しました。
    鍼を刺さないために、全く痛く無いその鍼灸療法のテクニックを「方向鍼」と呼び、そのために用いる独自のアイテムである鍼を、Vector Effect Needle [VEN] (方向針) と命名して、このたびの講演を機会に皆様に紹介したいと思います。
  • 東郷 俊宏
    2003 年 53 巻 4 号 p. 510-525
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    灸療法は湯液、鍼療法とともに日本、中国の伝統医学において中心的な治療法としての位置を占めてきた。交の原料であるヨモギは菖蒲とともに、古くから毒気を祓う力を持つ植物として採集され、古代中国で成立した『四民月令』や『荊楚歳時記』等では毎年五月五日にこれらを採集する習俗が年中行事の一環として記載されるほか、『詩経』、『楚辞』においても採集したヨモギを身にまとう習俗が歌い込まれている。
    1973年に中国長沙馬王堆漢墓より発掘された医学書 (畠書) には、支を治療手段として扱う文献が見られる。すなわち『五十二病方』で外科的処置が施された患部の薫蒸を目的として支を用いたことが記録されるほか、『霊枢』経脈篇の原型と考えられる『陰陽十一脈灸経』『足腎十一脈灸経』は各経脈の変動に由来する症候群と治療経脈との関係を指摘する。
    ツボ (孔穴) と疾病を対応させて灸治の方法を体系的に記述したのは『黄帝明堂経』が最初であり、同書の記述は『鍼灸甲乙経』をはじめ、多くの医学書に採録され、鍼灸治療の基本文献とされた。孫思遡と王煮はともに唐代を代表する医家だが、孫思遡が鍼灸両方を同等に扱ったのに対し、王煮は『外台秘要方』編纂に際して灸治のみを採録し、思遡と対照的な姿勢を取ったことがしばしば指摘される。しかし子細に検討すると、孫思遡の医書 (『千金要方』『千金翼方』) においても灸治の優越性を指摘する部分があり、また予防医学、養生手段としての灸治の意義を明確にしたほか、阿是穴を紹介するなど、灸療法の可能性を広げるうえで孫思遡の医書が果たした役割は大きい。『外台秘要方』も孫思遡の医書をベースに灸治を重視する立場を展開したものと考えられる。
    古代から中世までの日本医学を鍼灸に限定してみると、官職として鍼博士は置かれたものの、鍼は主に患部の切開や瀉血を目的とした外科器具として用いられ、実際の臨床は灸治が中心であったこと、また人神や日月の運行に基づく灸治の禁忌が忠実に守られ、吉日の選定にあたっては陰陽師が関わっていたことなどが『玉葉』、『明月記』などの日記資料から窺われる。十世紀末に丹波康頼によって編纂された『医心方』も、その構成は『外台秘要方』に類似し、灸治の記述に重点をおいている。
    近世に入ると、明代までに成立した医学書の大量の舶載を背景に経穴部位や治療経穴の文献学的研究、考証が進むと同時に、中世以降はじまった日本独自の灸治法 (和方灸、家伝灸) が集大成された。また養生法の一環としての灸療法が普及し、民間向けの灸治専門書の出版を見るようになる。15世紀末に始まる大航海時代以降、イエズス会士を筆頭に多くの西洋人が日本を訪れ、灸療法の知識を西洋にもたらした。17世紀初頭に長崎で印刷された『日葡辞書』には灸に関連する用語が多く採録されるほか、元禄期にはオランダ商館医として来日したケンペルによって本格的な紹介がなされた。ハンセン氏病 (らい病) の治療に灸が用いられていたことはやはりオランダ商館医であったテン・ライネの著作に記録されているが、明治期に東大医学部教授として日本に滞在したベルツの撮影した写真の中にも多くの灸痕を有するハンセン氏病患者の写真が残されている。
  • 新村 孝雄, 大場 雄二, 小島 孝昭, 筒井 宏史, 白石 武昌
    2003 年 53 巻 4 号 p. 526-533
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    はじめに : 本研究の目的は腎兪 (BL23) の経穴特性と遠道刺としての遠位経穴刺鍼の意義の検討と、その上行性興奮伝播経路の確認である。
    方法 : インフォームドコンセントを得た腰痛患者成人24名を対象に、前報の足太陽膀胱経委中 (BL40) の遠位経穴である承山 (BL57) ・飛陽 (BL58) ・崑需 (BL60) を通電刺激し、腎兪の応答性を、刺激前から刺激後最大90分間にわたって測定した。
    結果 : i) 通電刺激前の、腎兪の応答性は、男性群の方が女性群よりも低かった。ii) 承山通電刺激による腎兪の応答性は男性群で明らかに上昇、女性群では下降した。iii) 飛陽刺激では、男性群で変化なく、女性群では著明な下降がみられた。iv) 崑崙刺激では、男性群では変化なく、しかし、女性群では有意に上昇した。
    結論 : 以上の成績から、承山・飛陽・崑崙刺激実験では体幹部腎兪の応答性は、腰痛患者に於いて多様に変化することと経絡・経穴特性などを確認した。
  • 伊藤 和憲, 越智 秀樹, 池内 隆治, 北小路 博司, 勝見 泰和, 小嶋 晃義
    2003 年 53 巻 4 号 p. 534-539
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】高齢者の慢性腰痛に対し腰下肢後面の経穴へ鍼灸治療がしばしば行われているが、効果の見られない症例も存在している。そこで腰下肢後面の経穴治療で効果の得られなかった慢性腰痛に対してトリガーポイント鍼治療を試みた。
    【対象および方法】症例は6ヶ月以上慢性的に腰痛が存在している74, 71, 66歳の高齢者で、姿勢変化を呈しているが深部腱反射や筋力検査などの神経学的所見には異常のない患者であった。
    【結果】腰下肢後面の経穴に対して鍼治療を行っても症状に大きな変化は見られなかったが、トリガーポイント鍼治療を行うと主観的な腰部の痛みや疼痛生活障害評価尺度などの臨床症状に改善が見られた。
    【考察】このことから、腰下肢後面経穴への鍼治療で効果の得られない高齢者の慢性腰痛患者には、トリガーポイント鍼治療が効果的であると考えられた。
  • 谷口 勝, 加藤 麦, 秦野 良厚
    2003 年 53 巻 4 号 p. 540-548
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    東洋医学における疾病の理解は複雑系である生体を虚実という概念で捉えているが、これに影響を与え疾病を引き起こす五行リズムと生体全体との関係を示すモデルは未だ構築されていない。そこで本稿では、五行に起こるリズム異常の経過のうち虚邪と実邪についてモデル化することによって、五行リズムと生体統御機構との関係を検討することとした。
    その結果、五行の変化は常に全体に投影されており、この両者の制御機構が破綻することによって疾病が発生するというモデルを構築することができた.これにより、疾病の治療に当たっては疾病の五行的性質だけなく、その経過時期や患者の全体像を充分に考慮する必要があることが示唆された。
  • 内田 さえ
    2003 年 53 巻 4 号 p. 555-560
    発行日: 2003/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 53 巻 4 号 p. 575
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
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