全日本鍼灸学会雑誌
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54 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 菅原 正秋, 吉川 恵士, 林田 眞和, 有田 英子, 花岡 一雄
    2004 年 54 巻 2 号 p. 120-136
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    痛みが主観的なものであることを説明するのに次の定義がよく用いられている。即ち、痛みとは「組織の実質的あるいは潜在的な傷害に結びつくか、そのような傷害をあらわす言葉を使って表現される感覚、情動体験」 (International Association for theStudy of Pain : IASP, 1994) である。痛みを客観的に評価することは、その痛みをもたらす疾患の診断に必要であるばかりか、痛みに対する治療効果の判定にも必要なことである。
    慢性疼痛の評価法として、VAS (Visual analog scale) やNRS (Numerical ratlngscale) などがよく用いられるが、近年、Face visual analog scaleや神経選択的電流知覚検査 (CPT検査) なども多用されている。また、ドラッグチャレンジテストは評価法であるばかりか、有効な治療法となり得ることもあり注目されている。
    慢性疼痛の治療法としては、エピドラスコピーや光線療法などの報告が増加している。エピドラスコピーとは慢性腰下肢痛を有する患者に対しておこなう内視鏡下手術で、本邦では腰椎椎間板ヘルニア、failed back syndrome, 腰部脊柱管狭窄症などの腰下肢痛を有する症例に対し、施行する機会が増えてきた。光線療法では、直線偏光近赤外線治療器やキセノン光治療器の有効性を示す報告が多くみられる。神経ブロックは依然としてペインクリニックにおける中心の治療法であるが、非侵襲的な治療法も望まれており、鍼治療や光線療法などの理学療法も今後大いに需要が高まると予想される。
  • 岩楯 公晴, 伊藤 春雄, 勝村 聖子, 松山 永久, 佐藤 慶太, 米村 勇, 伊藤 洋子
    2004 年 54 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    現在、鍼治療は世界的に最も一般的な補完代替医療の一つである。気胸は鍼治療に起因する重篤な有害反応の中では最も頻度が高く、誤って胸腔内に刺入された鍼により肺が穿刺されることにより生じると考えられる。鍼治療により気胸が生じた症例はこれまでにも報告されているが、我々が知る限り剖検例の報告はない。
    今回我々は、鍼治療後に両側性緊張性気胸が生じ死亡した症例の剖検所見について報告する。症例は治療終了後短時間で呼吸困難と胸痛を訴え、約90分後に死亡した。肉眼的に左右胸腔内の壁側胸膜に数ヶ所の出血斑を認め、同部から胸腔内に鍼が刺入し肺が穿孔されたことが示唆された。また、傍脊柱領域の壁側胸膜には多数の黒色点を認めたが、組織学的には多量の炭粉様穎粒ないしはそれを貧食したマクロファージからなり、以前にも鍼による胸腔内への穿通が生じていた可能性が考えられた。
  • 山下 仁, 形井 秀一
    2004 年 54 巻 2 号 p. 142-148
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    鍼治療後に両側性気胸を起こしたとされる症例報告文献について、臨床鍼灸学の立場から概説した。解剖所見が示されている論文から、鍼灸臨床において肺または胸膜まで鍼が到達する例が予想以上に存在しており、その中の一部が気胸を発症し、さらにその中の少数例が重篤な症状に陥ることが示唆された。文献検索では国内外で23例の両側性気胸の症例が見出された。我々はこれらの症例から教訓を学ぶだけでなく、その背景にある教育内容の再検討やフェイルセーフの発想の導入についても考えるべきである。
  • 鄭 仁基, 李 栽東, 金 昌煥
    2004 年 54 巻 2 号 p. 149-162
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は足三里の配穴を用いた鍼通電刺激が高血圧自然発症ラツト大脳皮質のNADPH-diaphorase, 神経型一酸化炭素合成酵素, 神経ペプチドY, 血管作動1生腸管ペプチドに及ぼす影響をみることを目的とする。
    【方法】ラットを次の4群, すなわち, 無処置群, 足三里鍼通電群, 足三里+陰陵泉鍼通電群, 足三里+曲池鍼通電群に分けた。それぞれの経穴には, 0.5cmの深さに刺鍼し, 周波数2Hz, 持続0.2msの矩形波で, 筋収縮が観察できる程度に通電を行った。通電は, 1回10分とし, 隔日で10回行った。その後, NADPH-diaphorase (NADPH-d) 陽性神経細胞は組織化学的方法で, 神経型作酸化炭素合成酵素 (nNOS), 神経ペプチドY (NPY), 血管作動性腸管ペプチド (VIP) 各陽性神経細胞については免疫組織化学的方法にて評価した。
    【結果】足三里+陰陵泉鍼通電群のNADPH-d陽性神経細胞の吸光度は, 足三里鍼通電群に比べ, 大脳皮質のすべての部位で, 足三里+曲池鍼通電群では, 一次体性感覚野, 視覚野, 聴覚野, 嗅周囲皮質で有意に上昇していた。また, 足三里+曲池鍼刺激群のNADPH-d陽性神経細胞の吸光度は, 足三里+陰陵泉鍼通電群に比べ, 作次体性感覚野を除いたすべての部位で有意に低下していた。
    nNOS陽性神経細胞の吸光度は, 足三里通電群に比べ, 足三里+陰陵泉鍼通電群ではすべての部位で, 足三里+曲池鍼通電群では聴覚野, 嗅周囲皮質, 島状皮質で有意に上昇していた。また同様に, 足三里+曲池鍼通電群では, 足三里+陰陵泉鍼通電群に比べ, 大脳皮質のすべての部位で有意に低下していた。
    NPY陽性神経細胞の吸光度は, 足三里鍼通電群, 足三里+陰陵泉鍼通電群に比べ, 足三里+曲池載通電群の作次運動野, 一次体性感覚野, 帯状皮質で有意に低下していた。
    VIP陽性神経細胞の吸光度は, 足三里+陰陵泉鍼通電群では, 足三里鍼通電群に比べ, 帯状皮質を除いたすべての部位で有意に上昇していた。同様に, 足三里+曲池鍼通電群では, 足三里鍼通電群に比べ, 聴覚野, 帯状皮質, 嗅周囲皮質で有意に低下していた。また, 足三里+陰陵泉鍼通電群に比べると, すべての部位で有意に低下していた。
    【結語】足三里を中心に配穴を追加することにより高血圧自然発症ラットの作酸化窒素 (NO) システムやペプチド作動システムに影響を与えることができる。従って, 配穴の選択は鍼の効果を左右する重要な要素であることが示唆された。
  • 小田 剛, 今井 賢治, 新原 寿志, 咲田 雅一
    2004 年 54 巻 2 号 p. 163-178
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】人為的に阻血にしたラット下肢への鍼刺激が, 筋血流・筋重量・筋動態にどのような影響を及ぼすかを, 更に上記における鍼刺激の最適条件を検討した。
    【方法】SD系雄性ラットの右大腿動脈を切断して, 阻血にした下肢の前脛骨筋に40mm, 20号のステンレス鍼を3~5mm刺入して鍼刺激を行った。鍼刺激の方法は置鍼または鍼通電とし, 各種の刺激 (置鍼5h/day, 鍼通電5h/day, 鍼通電1h×5回/day, 鍼通電15min×5回/day, 鍼通電1h/day, 鍼通電15min/day) を5日間連続して行った。切断7日後に放射性マイクロスフィア法で血流量を, また健側肢に対する阻血肢の重量比から筋萎縮の程度を確認し, 無処置群, 阻血群, 阻血+置鍼群, 阻血+各種の鍼通電群で比較した。さらに前脛骨筋の筋線維の状態を観察するために染色を行った。
    【結果と考察】無処置群に比べて, 阻血群では明らかな筋血流量の低下が認められ, 阻血に鍼通電を加えた群では血流量の増加を確認した。5h/day, 1h×5回/dayといった長時間の鍼通電は血流量の増加を引き起こす一方で, 筋重量比は低下していた。しかし15min×5回/dayの刺激では, 他群に比べ顕著に筋血流量が増加し, さらに筋重量比の変化はなく, 筋萎縮を引き起こさないことが確認された。また染色結果から阻血群に比し, 毛細血管新生所見とVEGF (Vascular Endothelial Growth Factor) 産生所見が見られ, これらが血流量増加に大きく関与していることが示唆された。
  • 絹田 章
    2004 年 54 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    近年、わが国において食生活が欧米化し、生活習慣病ともいわれている大腸癌に罹患する人が増加している。また、大腸癌手術後の後遺症で悩んで居られる患者が多いこともまた事実である。今回、一例ではあるが、大腸癌手術後の機能障害と思われる排便過多と種々不定愁訴を訴えて来院した患者に対して鍼治療を施し、症状の推移を客観的に検討する目的で (社) 全日本鍼灸学会研究部不定愁訴班作成の健康チェック表を使用して鍼治療の有効性を検討した。治療方法は随証療法、太極療法 (黒野式全身調整基本穴) 、局所療法で30ミリ18号鍼を用い、単刺術で行った。その結果、大腸癌手術後に生じた不定愁訴に対して14回の鍼治療を施したところ、鍼治療の有効性が客観的に証明された。また、大腸癌手術後の機能障害と思われる排便過多が改善され、鍼治療が手術後のケアとして有用である可能性が示唆された。
  • 津谷 喜一郎
    2004 年 54 巻 2 号 p. 186-190
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    After the one-and-a-half years of combined efforts that started in June 2002, the Memorandum of Understanding (MOU) among three society related in acupuncture in Japan and the Republic of Korea-Japan Society of Acupuncture and Moxibustion (JSAM), the Korean Acupuncture and Moxibustion Society (KAMS), the Korean Oriental Medical Society (KOMS) -was finally signed on 14 February 2004 at the Westin Chosun Hotel, Seoul, Republic of Korea. This article presents a history of the development of the MOU and the proceedings at the celebration ceremony, as well as current and future activities on the basis of the MOU.
  • 2004 年 54 巻 2 号 p. 251
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
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