全日本鍼灸学会雑誌
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54 巻 , 4 号
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  • 松下 嘉一
    2004 年 54 巻 4 号 p. 568-580
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    六世紀に仏経経典と共に中国医学が日本に紹介されて以来、日本の医学は中国医学をべ-スとして独自の発展を遂げてきました。従って、飛鳥時代から明治時代にいたる1300年間、日本の医学の中心は漢方・鍼灸でした。しかしながら、明治時代になり、当時の政府により西洋医学が制度化してからは、漢方・鍼灸は人為的に衰滅せしめられ、「時代後れ」あるいは「非科学的」という印象を与えられてしまいました。ところが、今日、漢方・鍼灸は諸外国の学者や国内の研究者により科学的な裏付けがなされ、次第に見直されつつあります。
    このように-旦衰退したかに見えた漢方・鍼灸は、現在再び新たな発展を遂げつつありますが、こうした東洋医学の復興の過程における千葉県の先達の貢献・業績は誠に多大なものがあります。本稿ではその先達の業績を思い起こしてみたいと思います。
    東洋医学の普及と研究は、今後、益々盛んになってくるものと期待されますが、私達はこうした先達の業績を忘れず、常に基礎を大切にして、互いに切磋琢磨していくことが必要です。
  • 服部 孝道
    2004 年 54 巻 4 号 p. 581-591
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    自律神経系は呼吸、循環、消化、代謝、分泌、体温維持、排泄、生殖など、生体にとって最も基本的な機能調節を担う神経系である。随意的に運動機能の調節を行う体性神経系とは異なり、自律神経系は随意的な制御を受けずに無意識的に機能しており、平滑筋、心筋、腺などを支配し、生体の内部環境の恒常性 (ホメオスタシス) の維持に重要な役割を果たしている。本講演では私どもの教室で取り組んでいる自律神経研究の中から起立性低血圧と食事性低血圧および神経因性膀胱を取り上げ、その病態と診断および治療について述べた。これらはいずれも頻度が高く、患者のADLを阻害し、時に重篤な合併症をきたす重要な疾患であるが、あまり注目されておらず、見逃されていることの多い疾患である。治療法や予防法があるので、積極的に見出し、治療することが望まれる。
  • 韓 晶岩
    2004 年 54 巻 4 号 p. 592-603
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    微小循環とは細動脈、毛細血管、細動脈を含めた血管床であり、全身血管系の90%以上を占め、体内の物質交換と新陳代謝を営む重要な場である。微小循環障害は、血管径と血行速度、活性酸素の過剰産生、血管壁への白血球と血小板の膠着、血管透過性の方進、血管外の肥満細胞の脱穎粒などの一連の多彩な変化を含む。微小循環障害は心脳血管障害のみならず、糖尿病の血管合併症、肝腎機能障害、婦人科疾患にも関連する。
    中医学では、微小循環障害に対して漢方と鍼灸を用いて治療し、良い臨床効果が得られているが、そのメカニズムに関してはまだわからないところが多い。そこで、著者は1991年より、慶鷹義塾大学医学部消化器内科にて、倒立型生物顕微鏡に接続したCCDカメラ、蛍光カメラなどの微小循環観察システムを用い、FITC標識アルブミンによる血管透過性の観察、DHR蛍光色素強度変化による局部活性酸素の産生部位と産生動態の観察などの方法により、種々の原因による微小循環障害動態の変化を経時的に観察し、さらに漢方、鍼による予防と治療効果、そのメカニズムについて検討したので、その成績の一部を紹介する。
  • 李 建穆, 李 吉崇, 李 承勲, 張 鍾徳, 徐 銀美, 崔 貞善, 金 楊中
    2004 年 54 巻 4 号 p. 604-619
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    【目的】灸治療, 灸法の標準化方法を確立し, その有用性について検討することにより, 一般に広めることを目的とした。
    【方法】古典や過去に報告された論文, 文献資料などの灸法に関する記述を参考にして検討した。
    【結果と考察】
    1. 灸法の起源, 歴史, 分類, 効果の発現メカニズムを文献的検討により明らかにした。
    2. 灸法を一般化するための, 標準化の手順について提案, 考察した。すなわち, 灸の特徴的な燃焼パターンが灸法の温熱刺激で最も重要であり, 臨床的な効果をもたらしていると考えられるが, その特徴的なパターンと臨床効果の関連について継続的な研究が必要である。
    3. 灸法の有用性について検討した。
    灸治療の効果としては, (1) 造血機能, (2) 鎮痛機能, (3) 免疫増強効果, (4) 抗酸化作用, (5) 利尿作用, (6) ホルモン分泌の調整, (7) 癌化の抑制, (8) 自然治癒力の促進, (9) 肝機能, 血糖値, コレステロール値などの是正などが挙げられる。
  • 越智 秀樹, 勝見 泰和, 北小路 博司, 小嶋 晃義, 伊藤 和憲
    2004 年 54 巻 4 号 p. 620-626
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】脛骨内側穎骨壊死症の5症例について臨床所見を分析した。また我々が考案した検査法として脛骨粗面部を叩打し、健側と患側のひびき感覚の違いを確認するテストを施行し (以下、脛骨叩打テスト) 有用性を検討した。
    【対象および方法】膝痛を主訴として受診し、四肢専用MRlで脛骨内側穎部に骨壊死様所見が確認された患者女性5名を対象とした。これらの症例の臨床所見として (1) X線像、MRl所見以外に (2) 問診項目 (3) 理学所見を確認した。また脛骨叩打テストを施行した。
    【結果および考察】膝関節の疼痛の誘因はすべての症例で明らかでなく、この時点での疼痛の程度は激痛が3例、強い痛みと答えたものが2例であった。理学所見では内側関節裂隙には著明な圧痛が、また脛骨内側顆部にも圧痛所見があった。脛骨叩打テストではすべての症例で健側と患側との叩打による左右差が確認できた。このことから発症状況、圧痛所見など特徴的な臨床所見を確認するとともに、脛骨叩打テストを行うことは本疾患などの重篤な病態把握に有用な一方法であると考えられた。
  • 半田 美香子, 恒松 隆太郎, 徳竹 忠司, 宮本 俊和, 中野 秀樹
    2004 年 54 巻 4 号 p. 627-635
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】刺鍼手技中に生じる被験者の痛みの感覚を中心とした評価を行い、指サック使用時の刺鍼操作性を検討した。
    【デザイン】被験者と施術者をブラインド化させた無作為化比較試験。
    【方法】16人の施術者と被験者を対象とし、施術者は被験者の腰部に左右各1本刺鍼した後、低周波鍼通電を行った。この実験は指サック非使用時と使用時でそれぞれ行い、実験の順序はランダム化した。被験者には刺鍼操作時や鍼通電時の痛みの程度と質について質問紙に回答させた。施術時間についても計測した。施術者には指サック使用によって感じる施術上の不便さについて調査を行った。
    【結果】大多数の施術者は指サックを使用しての鍼施術に不便さを訴えた。痛みの程度は指サック非使用時と使用時で統計学的な差は認められなかったが、使用時に高値を示す傾向が見られた。痛みの質は指サック非使用時と使用時で統計学的な差は認められなかったが一部の項目については、指サックの非使用時と使用時との間で選択された数に違いが認められた。被験者は指サックの使用・非使用を識別できなかった。指サック非使用時と使用時で施術時間に有意な差は生じなかった。
    【結論】指サック使用は刺鍼時の痛み・操作時間に影響を及ぼさない。被験者は刺鍼操作時の指サック使用・非使用を識別できない。
  • 直本 美知
    2004 年 54 巻 4 号 p. 636-641
    発行日: 2004/08/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    英国には、医師を除いておよそ2,400人が鍼治療を行っている (5,100人が医師、看護師、理学療法士として鍼治療を行っている) 。また、約1,300人が専門の団体に所属しながら、各種ハーブ療法を行っている。現在、鍼治療とハーブ療法は法的に規制されていない。ということは、資格の有無に関わらず、誰でも鍼治療やハーブ療法を行うことが可能である。しかし、多くの治療家は自主的に専門団体に所属している。専門団体は、治療家の資格や治療の技術のレベルなどの基準を設定すると共に、その維持と向上に努めているが、団体によってその基準にばらつきがあり一定でないのが現状である。その結果、患者や医療関係者にとって、何を基準にして鍼やハーブ療法の治療家を選べばよいかが明確ではないという問題がある。これらの問題を反映して、2004年3月保健省から鍼治療とハーブ療法を法律で規制する案が提出された。保健省は、無資格の治療家から患者を守ることが必要であると判断し、法律規制案を通して鍼とハーブ療法の治療家たちの意見を募ることになった。
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