全日本鍼灸学会雑誌
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54 巻 , 5 号
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  • 小川 卓良, 金井 正博, 永田 勝太郎, 福田 文彦, 真柄 俊一, 山口 智, 大串 重吉, 齋藤 晴香, 鈴木 昌子, 半田 由美子
    2004 年 54 巻 5 号 p. 672-685
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    近年、癌治療における西洋医学の発展は喧伝されるが、癌死は増加の一途で成果は実際にはあまり現れてない。鍼灸においては癌は不適応とされてきたが、緩和ケアやQOLの改善などに有効、そして癌の消滅症例も報告されるようになってきた。このため本テーマについて検討することが求められシンポジウムが企画された。指定発言者からは、癌の治療に一喜一憂し、とまどう鍼灸師の心うちや、ともに肺癌で亡くなったご両親の治療体験報告、西洋医学で不治か治療拒否した患者を鍼灸治療で回復させた症例報告などがあった。
    病院内で鍼灸治療を行うシンポジストの報告では、終末期癌患者に対し現代医学的治療と併用しての鍼灸治療の有効性やその適応についての報告、有効率と治療期間・回数との相関や、進行度や罹病期間と有効性には相関が無く、末期でも鍼治療を施行する環境が整っていれば十分効果が期待できるとの報告があった。また、鍼治療が自律神経機能に及ぼす影響として、副交感神経機能の方進が若干あることも報告された。
    安保理論に基づいた鍼治療を実践しているシンポジストは、安保氏の主張より劣るがQOLの改善、延命に有効であること、特に末期スキルス胃癌患者が長期延命している実態と、癌三大療法のうち、放射線治療が一番患者の抵抗力をそぐ治療であることを報告した。
    健康創成論を唱えるシンポジストは、鍼治療により疼痛緩和や生体の修復力の増強が有意に高いことなどから、鍼が癌に対して直接的効果を有している可能性があることを実証した。病因追求論の限界と健康創生論の重要性を述べ、鍼灸治療のみならず補剤を用いるとともに、患者の心のあり方へのアプローチの必要性を述べた。
    本シンポジウムでは、鍼灸治療の緩和ケアの有効性が示唆され、現時点では確実なエビデンスはないものの、癌に対する治療の一環としての鍼灸治療の有効性が示唆されたといえよう。今後、癌に対する鍼灸治療の本格的な研究が望まれたシンポジウムであった。
  • 梅田 雅宏, 下山 一郎, 木村 友昭, 田中 忠蔵
    2004 年 54 巻 5 号 p. 686-697
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    中枢神経を介した鍼灸の治療効果を調べることを目的に、鍼灸刺激により生じる中枢神経の局所活動を人の脳で調べる方法について紹介する。鍼灸刺激は感覚刺激として入力され、中枢神経で処理される。この時の脳の応答を調べる方法として脳波が広く用いられてきた。しかし、脳波を利用した方法は中枢神経の活動場所を特定する点で問題があった。この問題を解決するために、神経の電気活動に伴って発生する微弱な磁場を空間的に並べられた受信コイルで捉え、磁場発生源の位置を推定するMEG法、この神経活動に伴い変化する血液中のオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンのそれぞれを、近赤外光の吸収スペクトルの差から分離して捉える赤外分光法、さらに、血液中に生じたデオキシヘモグロビンが持つ磁化率変化を信号強度に反映させた脳機能核磁気共鳴画像 (fMRI) 法を取り上げ、中枢神経における局所活動について調べる方法を紹介する。
  • 尾崎 昭弘, 若山 育郎, 田中 秀明, 鈴木 俊明, 新原 寿志
    2004 年 54 巻 5 号 p. 698-716
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    本セミナーでは、臨床研究と基礎研究の視点から筋疾患および筋機能・代謝における鍼灸の効果と現状について紹介し、総括した。
    臨床研究では、筋疾患または筋機能を筋電図などの客観的指標で評価している現状について紹介した。表面筋電図を用いた筋機能の評価では、静止筋電図、動的筋電図、筋電図パワースペクトル解析に分けて紹介し、運動器系疾患を中心に鍼、手技療法の効果と現状を考察した。頸部ジストニア患者では、10回の鍼治療で臨床症状は48例中72.9%に改善がみられ、筋電図による評価では全例に効果を認めた。薬剤性ジストニアでも同様の成績を得た。書痙患者では、10回の鍼治療で多くの症例で書字評価テスト、自覚的評価、筆圧の改善を認めた。
    基礎研究のレビューでは、鍼、鍼通電、経皮的電気神経刺激 (TENS) などが筋張力、筋代謝 (エネルギ上代謝、細胞内pH、乳酸代謝) 、筋循環、侵害あるいは非侵害刺激により誘発される運動反射に及ぼす影響を紹介し、その機序と今後の課題について考察した。
  • 川喜田 健司, 張 峻赫, 高橋 則人, 鍋田 智之, 津嘉山 洋, 徐 廷徹, 李 相勲, 文 祥官, 津谷 喜一郎, 丹澤 章八
    2004 年 54 巻 5 号 p. 717-727
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    本ワークショップの目的は、両国の医療における鍼灸治療の位置づけについて相互理解を深め、これまで両国で行われてきた臨床研究の報告を行い、その成果や問題点について意見交流を行うことにあった。日本からは、 (1) 風邪症状に対する和式鍼手技による多施設RCT、 (2) 肩こりに対するシャム鍼を使った圧痛点への鍼刺激、 (3) 腰痛に対する鍼通電とTENSの効果比較の研究成果とその問題点について紹介した。一方韓国側からは、 (1) シャム耳鍼の開発とその有用性についての検討、 (2) 蜂毒を用いた慢性関節リウマチ患者の治療成績、 (3) 脳卒中後遺症の筋痙縮患者に対する通常の鍼治療に痙縮に特化した鍼通電治療を加えた群の比較研究の3題が報告された。いずれも興味深い内容であり、その討議の過程において両国で鍼灸治療の置かれている立場の違いなど、その実情がお互いに理解できた意義は極めて大きく、今後の日韓共同臨床研究への発展が期待できるものであった。
  • 山下 仁, 形井 秀一, 石崎 直人, 楳田 高士, 宮本 利和, 江川 雅人
    2004 年 54 巻 5 号 p. 728-743
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    鍼灸臨床で行われている安全性に関する知識や手順には、科学的根拠に乏しい逸話や思い込みも含まれている。鍼灸の安全性を向上させるためには、エビデンスがどれくらい蓄積しているかを整理し、吟味し、活用することが重要である。全日本鍼灸学会研究部安全性委員会では、現在までに報告されている鍼灸の安全管理に関連する研究成果をレビューする作業を開始した。2004年度に取り上げたテーマは次のとおりである :
    1. 鍼灸学校における安全性教育と損害賠償の現状
    2. 手洗いと手指消毒法
    3. 施術野の消毒法
    4. 刺鍼から抜鍼までの操作
    5. 安全な刺鍼深度
    6. 施術環境の衛生
    この作業で明らかになった知識や疑問が、学校教育、日常臨床、マニュアル作成、および研究に反映されることを望んでいる。
  • 朝日 麻美, 廣 正基, 福田 文彦, 澤田 千浩, 下尾 和敏, 矢野 忠
    2004 年 54 巻 5 号 p. 744-755
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】高齢高血圧患者の血圧日内変動と東洋医学的所見との関連性について検討した。
    【対象と方法】対象は高齢者39名とし、携帯型自動血圧測定装置を用い24時間血圧測定を行った。東洋医学的所見の調査には明治鍼灸大学方式弁証スコア (MeijiOrientalMedicalScore : MOS) および気血水スコア (富山医科薬科大学、寺澤ら) を用いた。
    【結果と考察】血圧日内変動において夜間睡眠時に血圧低下を示す正常群 (dipper) と夜間低下を示さないnon-dipPer、早朝高血圧を示すsurge typeなどの異常群が認められた。血圧リズム正常群に比べて血圧リズム異常群においてMOSでは肺・腎・気虚・血虚が、気血水スコアでは血虚、気欝の項目が有意に高い値を示した。また、「病証あり」と判別された病証数においても、MOS・気血水スコアともに血圧リズム異常群で有意に多かった。以上のことより、複数の病証を呈する高齢高血圧患者においては、異常な血圧日内変動リズムの存在が示唆された。
  • 箕輪 政博, 形井 秀一
    2004 年 54 巻 5 号 p. 756-767
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】日本のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師 (以下あはき師) 学校養成施設の附属臨床施設の実態を調査すること。
    【方法】2002年4月現在の (財) 東洋療法研修試験財団の名簿に基づき、全国121のあはき師学校養成施設の附属臨床施設に関して5大項目49問のアンケ一ト調査を試みた。
    【結果】有効回答校は100校 (82.6%) であった。92校 (92.0%) で附属臨床施設を有し、医療施設を併設しているという学校が7校 (7.0%) 、施術所開設の届け出をしていない学校が24校 (24.0%) あった。ディスポ-ザブル鍼は93.1%の学校で具備されていたが、シングルユースについては、85.2%でまだ実施しておらず、安全性に関しては再検討が必要である。また、42/85校 (49.4%) で何らかの有害事象を経験していたが、賠償責任保険の加入は49校 (49.0%) であった。視覚障害者を教育している学校群の臨床開始年代は1930年代以前 (18校) が最も多く、施術頻度が最も高いのは学生 (93.8%) であり、施術料金は525円以下が最も多かった。一方、晴眼者の専門学校の臨床開始年代はあはき法改正後の1990年代に集中しており、有資格者の施術頻度が最も高く (82.1%) 、施術料金は1,576~2,100円が最も多かった。
    【まとめ】日本のあはき師教育の附属臨床施設や臨床実習の実態が明らかになったが、平均的な姿は見えてこなかった。附属臨床施設の運営形態や臨床実習指導についての基準を今後考えていく必要がある
  • 廣 正基, 北小路 博司, 水沼 国男, 岩 昌宏, 矢野 忠
    2004 年 54 巻 5 号 p. 768-778
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的と方法】経絡経穴学の授業を受けた本学在学生1999年度2年生117名を対象としてアンケート調査による授業評価を行い、その有用性について検討した。その結果を踏まえて授業の方式を一部変更し、その効果を検討するために、2000年度2年生117名を対象に1999年度と同じアンケート調査による授業評価を行い、1999年度のそれと比較検討した。
    【結果】1999年度の授業評価アンケートで高い評価であった項目は、教師については「熱心さ」、「質問や相談に応じる」、授業科目については「教師のデモは必要」、「資料は理解に役立つ」であった。一方、低い評価であった項目は、教師については「授業の準備が十分」、「時間を有効に利用」、授業科目については「担当する教師の人数は適切」、「各自取穴を行う時間は適切」、「進め方は適切」であった。これらの結果を踏まえて2000年度では授業方式を一部改変したところ、1999年度との比較では、教師については「授業の準備が十分」、「時間を有効に利用」、「質問や相談に応じる」の項目で肯定的な評価が有意に増加し、授業科目についても「進め方は適切」、「各自取穴を行う時間は適切」、「資料は理解に役立つ」の項目も肯定的な評価が有意に増加を示した。
    【結語】学生による授業評価は授業の改善の方策を立てる上で有効であり、また学生の意欲を高める上で有効であることが示唆された。
  • 松本 淳, 石崎 直人, 小野 公裕, 矢野 忠, 山村 義治
    2004 年 54 巻 5 号 p. 779-784
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    [目的] 胃内視鏡検査の際には、胃運動抑制を目的に抗コリン薬やグルカゴンなどの前投与を行う。今回、これらの薬剤の代替手段として、中院穴 (CV12) への鍼刺激を行い、その有用性を検討した。
    [方法] 鍼刺激群は19例で平均年齢66.1±9.9歳、薬剤投与群は41例で平均年齢64.3±12.9歳であった。鍼刺激群は、内視鏡検査前に10分間の中〓穴の雀啄刺激を行い、内視鏡挿入後も刺激を続けた。検査後、内視鏡医が蠕動運動抑制の程度と検査への支障の評価を2種類のVASとカテゴリ分類したスコアを用いて行った。薬剤投与群は、通常の前処置を行い、同様の評価を行って鍼刺激群と比較した。
    [結果とまとめ] VAS評価及びカテゴリ評価において鍼刺激群が薬剤投与群に若干劣るものの両群に有意差は無かった。このことから中〓穴への鍼刺激が、胃内視鏡検査における薬剤投与の代替手段として有用であることが示唆された。
  • 周 恰
    2004 年 54 巻 5 号 p. 789-790
    発行日: 2004/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
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