全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
56 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 田山 文隆
    2006 年 56 巻 1 号 p. 2-15
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    私は臨床家でありながら大学で研究する機会を与えられた。ヒトを対象に無侵襲法で鍼刺激の脳内神経伝導、末梢の血流、心拍出量などの測定や、また免疫系への影響を研究した。しかし、日常の臨床から鍼の効果はこのような西洋医学的な部分の研究方法では真価は証明できないのではないかという疑問を感じた。鍼灸は心身一如を旨としており、また理論のみではなく技術が伴うから、現代の科学論では次元が異なると考えた。
    鍼灸理論の基本は “気” であるから、気の研究の必要性を感じ文献的に調べた。その過程から西洋医学的に解明するには不可能な部分が多すぎると考えた。科学的研究の必要性は認めるが、現行の研究方法では鍼灸の真髄の証明は不可能であろう。
    東洋医学の解明にはマイケル・ポラニーの暗黙知や今西錦司の類推するなどの思想を包括した、新しい研究方法の開発が優先されてこそ可能になるのではないか。
  • 小戝 健一郎
    2006 年 56 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    遺伝子を治療道具として使う遺伝子治療は、臨床試験が世界中で進んでいます。実際の医療手技は、遺伝子導入ベクターを注射するだけというように一般医療と近く、癌など、一部は一般医薬化も近いといわれています。一方、近年話題の再生医学には二種類あり、まず元来の生体の再生能を利用し、再生誘導物質を投与して生体内で障害した臓器を再生・治療するという理想的な治療法があります。さらに近年開発が期待されているのは、多分化能と無限増殖能を持つES (胚性幹) 細胞などから、体外で目的の細胞を創って細胞移植するという、臓器移植に代わる治療法です。また骨髄細胞移植を用いた再生医学は、科学的メカニズムには疑問もありますが、臨床応用もなされています。
    このような先端医療開発や臨床応用も、西洋、東洋の医学と連携し、全人的な医療を目指している点で、実は鍼灸学と同じ目標を共有しています。
  • 山田 鑑照, 尾崎 朋文, 松岡 憲二, 坂口 俊二, 王 財源, 森川 和宥, 森 俊豪, 吉田 篤, 北村 清一郎, 米山 榮, 谷口 ...
    2006 年 56 巻 1 号 p. 27-56
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    経穴研究委員会 (前経穴委員会) は福岡で開催された第54回全日本鍼灸学会学術大会ワークショップIIにおいて、経絡・経穴について3つの検討テーマを6名の委員により報告した。
    第1テーマ : 経絡・経穴の解剖学的検討
    1) 経絡と類似走行を示す解剖構造について (松岡憲二) : 遺体解剖による経絡の走行と神経・血管の走行との類似性についての研究。
    2) 上肢経絡・経穴の肉眼解剖学的研究 (山田鑑照) : 豊田勝良元名古屋市立大学医学部研究員の学位研究である上肢経絡・経穴の解剖学的研究紹介並びに山田の研究として皮下における皮神経・血管の走行と経穴・経絡との関係についての報告。
    第2テーマ : 日中における刺鍼安全深度の研究
    1) 中国における刺鍼安全深度の研究と進展状況 (王財源) : 中国刺鍼安全深度研究で権威のある上海中医薬大学解剖学教室厳振国教授のデータの紹介と最近の中国における刺鍼安全深度研究の進展状況報告。
    2) 経穴の刺鍼安全深度の研究を顧みて (尾崎朋文) : 尾崎が今まで発表してきた経穴部位の刺鍼安全深度の研究並びに厳振国教授のデータと同じ経穴との比較研究。
    第3テーマ : 少数経穴の臨床効果の検討
    1) 少数穴使用による鍼灸の臨床効果 (坂口俊二) : 1~4穴使用による鍼灸臨床効果ついての医学中央雑誌文献の検索・分析。
    2) 合谷-穴への各種鍼刺激が皮膚通電電流量に及ぼす影響 (森川和宥) : 合谷穴-穴への置鍼刺激、直流電気鍼刺激、鍼通電刺激が皮膚通電電流量に及ぼす影響についての研究。
  • 山下 仁, 形井 秀一, 石崎 直人, 江川 雅人, 楳田 高士, 宮本 俊和, 小松 秀人
    2006 年 56 巻 1 号 p. 57-67
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    2004年度に引き続き、鍼の安全管理に関連する情報のレビューを行った。2005年度に取り上げたテーマは次のとおりである :
    1. 刺鍼時の安全性
    2. 鍼の品質と強度
    3. 用具の滅菌と保管
    4. 周辺器具の衛生と扱い方
    5. 行政側から発行された指導要領・通達
    6. 衛生管理面に関する届出基準と鍼廃棄システム
    この作業で示された安全性に関する情報が、今後の学校教育、日常臨床、マニュアル作成、および研究に反映されることが望ましい。
  • 廣田 里子, 伊藤 和憲, 勝見 泰和
    2006 年 56 巻 1 号 p. 68-75
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】慢性腰痛に対してトリガーポイント治療が有用であるとする報告はあるが、圧痛点治療との効果の違いは詳細に検討されていない。そこでトリガーポイント治療と圧痛点治療の効果の違いを明らかにするために慢性腰痛患者9例を対象に比較試験を行った。
    【方法】6か月以上の腰痛を訴える65歳以上の患者を対象とした。患者を組み入れ順にトリガーポイント治療群と疼痛局所に存在する圧痛点への治療 (圧痛点治療群) に振り分け、5回 (週1回) の治療を行い、1か月後に追跡調査を行った。評価項目は腰部の主観的な痛み (Visual Analogue Scale : VAS) 及びquaity of life (QOL) の把握 (Roland-Morris Disability Questionnaire : RDQ) とした。
    【結果】トリガーポイント治療群ではVAS・RDQともに有意な改善を認めた。圧痛点治療群では改善は有意ではなく、トリガーポイント治療群の改善のほうが顕著であった。
    【考察と結語】圧痛点治療よりトリガーポイント治療の方が顕著にVAS・RDQの改善がみられ、治療効果に相違がみられた。このことからトリガーポイントは治療効果の点からも単なる圧痛点とは異なるものと考える。
  • 櫻庭 陽, 沢崎 健太, 本田 達朗, 森山 朝正
    2006 年 56 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    【目的】維持透析医療において広く鍼治療が導入されるためには透析医療スタッフの理解や協力が不可欠である。本研究では、透析医療スタッフの鍼治療に対する理解の程度と、鍼治療経験後の鍼治療に対する考えをアンケート調査によって明らかにする。その結果から維持透析医療における鍼治療の可能性を検討した。
    【方法】鍼治療体験コーナーに来訪した透析医療スタッフ (105名) を対象に、どの程度鍼治療を理解しているかについてアンケート調査を実施した。次に、鍼治療 (円皮鍼) の体験によって対象者の鍼治療に対する理解に変化が生じたか、鍼治療の効果や方法に関するアンケート調査を行った。
    【結果と考察】鍼治療を経験している対象者は少なかった。また、経験の有無に関係なく多くの人が恐怖心を持っていたが、円皮鍼による治療体験によって恐怖心は払拭された。これらの結果から、鍼治療は透析医療スタッフに十分理解されていないことが考えられる。一方で、鍼治療の衛生面や安全性に関して容認する人が多く、鍼治療が透析医療に貢献できると回答した人もいることから、今後さらに鍼治療が広まる可能性を感じた。今後、維持透析患者に対する鍼治療効果を含め、スタッフへの啓蒙活動を行って十分な理解を得ることが必要である。
  • 中澤 弘
    2006 年 56 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    アメリカ医師の鍼への関心は1970年に入ってからであるが、これはカルフォルニア大学ロスアンジエルス分校 (University of California Los Angeles : UCLA) のJoseph M.Helmsに負うところが最も大きい。Helmsはフランスを経て入ってきた中国鍼灸に彼独自の考案でenergyの概念を導入し、 “acupuncture energetics” という本を書いた。これは、今までに書かれた本の中では恐らく最も明快で完璧な医師のための鍼医学の原本といって良いだろう。また、彼の創ったアメリカ鍼医師学会 (American academy of medical acupuncture : AAMA) およびそこからさらに発展したアメリカ鍼認定医師学会 (American board of medical acupuncture : ABMA) は既に体系化され、米国における最も認められている医師の鍼灸学会である。その過去20年にわたる鍼医学の歴史と変遷をたどり、私ごとであるが一鍼開業医の現状を紹介したいと思う。
  • 2006 年 56 巻 1 号 p. 103
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
feedback
Top