全日本鍼灸学会雑誌
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57 巻 , 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
原著
  • 中島 美和, 井上 基浩, 糸井 恵, 勝見 泰和
    2007 年 57 巻 4 号 p. 491-500
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】頚肩部痛に対する鍼治療の有用性を明確にする目的で、局所注射を対照群としてランダム化比較試験を行った。
    【方法】対象 : 頚肩部痛を有する患者33名をランダムに鍼治療群と局所注射群の2群に割り付けた。介入 : 鍼治療群 (n=16) は直径0.18mmの鍼を使用し、10~20mmの深度まで刺入後、20秒間の雀啄術 (1Hz) を行った。局所注射群 (n=17) は25G針を用いて、使用する薬剤を塩酸ジブカイン配合剤とワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液として、10~20mmの深度で注入した。両群ともに患者の自覚的最大痛み部位に対して、4回 (1回/週) 施行した。評価 : 痛みのVisual Analogue Scale (VAS) とNeck Disability Index (NDI)、頚部神経根症治療成績判定基準を用いて行った。評価は施術者と別の者が行った。
    【結果】治療直後効果におけるVAS、および治療の継続による効果、治療終了後の持続効果におけるVAS、NDI、頚部神経根症治療成績判定基準について、全ての評価において鍼治療群は局所注射群と比較して有意に良好な結果を示した。
    【考察】鍼治療は局所注射と比較して、より有用な治療法となる可能性を考えた。これらの効果の相違には、痛みの抑制機構の違いが関与していると考えた。
報告
  • 松本 淳, 石崎 直人, 小野 公裕, 山村 義治, 矢野 忠
    2007 年 57 巻 4 号 p. 501-508
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【緒言】高齢者の愁訴として過敏性腸症候群 (IBS) を含めた慢性の便通異常が多い。IBS症状を呈した高齢患者2例に鍼灸治療を行い、効果を検討した。
    【方法】[症例1] 72歳女性。数十年前から腹痛を伴う下痢が多くみられた。2003年2月に増悪して大学病院内科に入院となり、精査にて異常所見なく一旦退院した。同年4月に再燃して再度入院となり、鍼灸治療を開始した。[症例2] 88歳男性。80歳頃から毎日腹痛や膨満感を伴う軟便や便秘がみられ、同科で投薬治療を受けたが症状の改善が得られず、鍼灸治療を開始した。
    [評価] 腹痛や便通状態は便通日誌、QOLはGSRS日本語版を用いた。
    【結果・まとめ】2例とも、鍼灸治療開始後に、腹痛・腹部膨満感の減少、便性状、QOLの改善が得られ、服薬量も減少した。鍼灸治療の休止1~2ヶ月後には、腹痛やQOLに軽度の再燃を認めた。2例とも鍼灸治療が有用であった。高齢者IBSに対し、鍼灸治療を積極的に試みる価値がある。
  • 新井 奈宇留, 智原 栄一
    2007 年 57 巻 4 号 p. 509-516
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】鍼刺激後の胃排出評価に、造影剤を使用しない非侵襲的なMRI法による測定が可能であることを確認した後、足三里 (ST36) に円皮鍼、Sham鍼を貼付し比較した。
    【方法】 (1) 健常成人14名を対象に造影剤無使用のMRI撮像条件にて水分負荷後60分間の胃排出を胃内容量経時的変化をもとに算出した。 (2) 健常成人8名を対象に円皮鍼及びSham鍼貼付後の水分負荷後胃排出をMRI法を用いて測定した。
    【結果】 (1) 造影剤無使用での胃排出測定は可能であった。 (2) 円皮鍼、Sham鍼両群の胃排出時間に有意差は認められなかった。また鍼の使用による有害事象はみられなかった。
    【考察】円皮鍼刺激による胃排出への影響が認められなかった理由として刺激強度の低さや短い刺激時間等が考えられる。しかし今回の造影剤を使用しないMRI法は、被験者への負担が少ないため非侵襲的な測定法として鍼灸医学研究に今後活用できると考える。
教育
  • 渡辺 雅彦, 河井 正隆
    2007 年 57 巻 4 号 p. 517-527
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】鍼灸養成学校の新増設に伴い入学者の多様化、患者ニーズの変化などあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師教育を取巻く状況は変化している。現状のカリキュラムはこの変化に対応出来ているか疑問である。そこで、今後のカリキュラムのあり方を検討する基礎的資料収集の目的で、アンケート調査を行ったので報告する。
    【方法】調査票は、全国の視覚障害者関係養成学校70校と (社) 東洋療法学校協会加盟校の全国専門学校41校の合計111校に郵送し、カリキュラム編成の責任者に記入を依頼した。
    【結語】回収率は70.3% (78校/111校) であった。調査の結果から、カリキュラム作成にあたっているのは一部の人達であることが分かった。また、個々の教員により教育が進められており、カリキュラムを基盤においたシステムとして教育が進められていない様子が見られた。
    今後のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師教育の発展を考えた時、モデル・コア・カリキュラムの導入が必要であり、議論を活性化させる段階である。
調査
  • 冨田 賢一, 渡邊 一平, 木村 美保
    2007 年 57 巻 4 号 p. 528-538
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    【目的】人々が灸治療に対して様々な印象を抱く要因の中で、特に艾〓の大きさと灸治療に対するイメージとの関係について調査した。
    【方法】新入生と学校来校者を対象に、灸治療に対するイメージについてアンケートを実施した。また自分が思っている大きさの艾〓1壮を作成させ、重量を測定した。
    【結果と考察】灸治療に対するイメージを自由に記載させた結果、熱い、痕が残る、効果的などの割合が高かった。作成した艾〓重量の比較では、経験者群 (26名) が未経験者群 (49名) と比較して有意に軽くなった。また、灸治療に対するイメージを基に3群に分類し、艾〓重量を比較した結果、ポジティブなイメージを持っている群の艾〓は軽い傾向を示した。これらの結果より灸治療に対する印象や治療経験によって、艾〓の大きさについてのイメージと関連していることが示唆された。
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