全日本鍼灸学会雑誌
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59 巻 , 1 号
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巻頭言
ワークショップ
  • 笠原 由紀, 深澤 洋滋, 田原 壮平, 栗林 恒一, 東家 一雄
    原稿種別: ワークショップ
    2009 年 59 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    【目的】免疫研究委員会の活動として、 臨床に携わる鍼灸師が持つ 「鍼灸と免疫」 に対する意識の現状分析を行い、 そこから示唆される今後の課題を提言することを目的とした。
    【方法】東洋療法学校協会に加盟する専門学校43校、 および国内で鍼灸師の養成課程をもつ大学6校において勤務する鍼灸師を対象に無記名アンケートによる意識調査を行い、 単純集計により解析した。
    【結果】調査対象校49校に総計960件のアンケートを送付し、 32校から263件の有効票を回収した。 鍼灸治療を受けている患者は一般に感染に対する抵抗力が高まっていると考える回答は56.4%、 また、 鍼灸は免疫力を高める予防医学の一つと考える回答は83.3%であり、 鍼灸は免疫に対して効果的と考える回答が多数を占めていた。 しかしながら、 実際の臨床現場において患者の免疫力を客観的に評価しているという回答は11.0%に留まり、 大多数が患者からの主観的な申告で判定しているという結果であった。
    【結論】肯定的な回答が多かった鍼灸の免疫力向上作用について科学的検証を行うためにも、 鍼灸師が臨床現場で実施可能な非侵襲性かつ客観的な免疫力の評価方法を模索し導入していくことが重要と思われた。
原著
  • 伊藤 里子, 伊藤 伊藤, 勝見 泰和
    原稿種別: 原著
    2009 年 59 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    【目的】高齢者の慢性腰痛患者を対象にトリガーポイント鍼治療と疼痛局所への圧痛点鍼治療の治療効果を検討した。
    【方法】明治国際医療大学附属病院整形外科を受診した6か月以上の腰痛を訴える高齢者39名を対象とし、 コンピューターによりランダムにトリガーポイント群、 圧痛点群、 sham群に群分けし、 5回 (1回/週) の治療を行った (一重盲検比較試験)。
    【評価】治療効果は腰下肢の痛み (Visual Analogue Scale :VAS) と腰痛QOLの把握 (Roland-Morris Disability Questionnaire :RDQ) にて評価した。
    【結果】5回治療終了時・治療終了1か月後・3か月後にトリガーポイント群は有意な改善がみられたが、 圧痛点群やsham群では有意な改善がみられなかった。
    【考察と結語】高齢者の慢性腰痛に対しては、 疼痛領域に存在する圧痛部位に治療を行うよりも、 筋肉由来の痛みを考慮したトリガーポイント鍼治療を用いることで長期間効果が継続することが明らかとなった。
  • 森戸 麻美, 原 早苗, 梅田 伸威, 野元 和夫, 高崎 正彦
    原稿種別: 原著
    2009 年 59 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
     平成16年から平成17年にかけて行ったOSCE評価者間における一致率の比較について検討するとともに医療面接とはり実技における評価者とSPの評価の関連についても検討した。 対象者は、 平成16年度 (以下第1回トライアル)、 17年度 (以下第2回トライアル) にOSCEを受けた3年生で、 学生数はそれぞれ13名と32名である。 第1回および第2回トライアルでは4つのステーションを設定し、 課題は医療面接、 身体診察、 はり実技、 きゅう実技を行った。 第1回トライアルと第2回トライアルにおいて、 ステーション別に一致率を比較したところ、 身体診察・はり実技の評価者の一致率で有意な改善が認められた。 評価者とSP評価の関係については、 医療面接評価者とSPの評価に相関が認められ、 はり実技において評価者とSPの評価に相関は認められなかった。 一致率の改善した理由として一致率の低かった評価項目を改定し、 その項目の明確化、 細分化を行い、 また、 評価者間での評価項目の事前打ち合わせの回数を増やし、 模擬トライアルを行うことで、 マニュアルの解釈の統一性を持たせたことが原因と思われる。 評価者とSP評価の関係については、 それぞれにSP評価を評価に取り入れることは意義があることだが、 SP評価を試験の成績に取り入れるためにはSPの評価に統一性を持たせることが必要と思われる。
  • 奥野 浩史, 竹田 太郎, 笹岡 知子, 福田 文彦, 石崎 直人, 北小路 博司, 矢野 忠, 山村 義治
    原稿種別: 原著
    2009 年 59 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】自覚的な肩こりと肩上部の硬さとの関連性について検討した。
    【方法】肩こり群 (n=60) および非肩こり群 (n=10) に対し、 肩こり自覚度と硬さの評価を鍼灸治療前後に行なった。 硬さは生体組織硬さ計 (PEK-1) と第3者による触診により評価した。 治療担当者に肩こり治療の有無を記入させた。
    【結果・考察】硬さ計と触診による硬さの評価は有意な相関を認めた。 しかし、 肩こり群と非肩こり群との2群間の硬さには差を認めず、 肩こり群の自覚度と硬さに相関関係は認められなかった。 さらに鍼灸治療前後の自覚度と硬さの変化量にも相関を認めないことから、 肩こりと硬さとの関係性が無いことが明らかになった。 また、 鍼灸治療効果は肩こり治療をした群で高かった。 以上のことから、 臨床上感じられる触診結果と肩こりの自覚度との整合性の矛盾について、 その一部を示すことが出来たと考える。
海外紹介
  • 北川 裕康, 蔀 耕司
    原稿種別: 海外紹介
    2009 年 59 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
     セイリン株式会社は20年以上ドイツを中心に、 欧州諸国へディスポーザブル鍼灸針の輸出を行っており、 今日では欧州各国で当社鍼灸針が使用されている。 2007年11月より、 欧州鍼灸市場の調査を行うため、 ドイツ (ミュンヘン市) に駐在員事務所を開設した。
     ドイツでの鍼治療は、 医師及びハイルプラクティカーによって行われており、 医師の間では鍼治療は一般的な治療として地位を確立している。 2000年~2006年にかけては、 鍼治療を公的保険での適応疾患にすべきか判断するため、 鍼治療の効果を科学的に検証することを目的に40,000人を対象にGerman - Studiesが実施されるなど、 臨床と研究、 いずれの分野においても活発な活動が行われている。 また、 西洋医学領域とは別にハイルプラクティカーとよばれる資格がドイツには存在し、 鍼灸、 ホメオパシーなどの自然療法が、 古くから行われていることより、 ドイツでは鍼治療が広く国民の間に普及している。 本稿では駐在員事務所開設後の活動で得た知見の中で、 これまで、 あまり知られてこなかったドイツの鍼灸資格制度、 鍼治療に関する医療保険、 及び主要な協会を中心に報告する。
国際部報告
  • 若山 育郎, 高澤 直美, 東郷 俊宏, 津谷 喜一郎
    原稿種別: 国際部報告
    2009 年 59 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
     2008年11月7日から3日間にわたって中国北京郊外の九華山荘においてWHO Congress on Traditional Medicine (WHO伝統医学会議) が開催された。 Opening ceremonyではWHO事務局長のDr. Margaret Chanが講演し、 Primary Health Careと予防医学における伝統医学・補完代替医療の重要性を訴えた。 また、 会議期間中に採択された北京宣言では、 各国政府主導による伝統医学のHealth Care Systemへの組み込みが必要であることが強調された。
     会議に並行して、 世界鍼灸学会連合会 (WFAS) をはじめ伝統医学関連の4つのサテライトシンポジウムが開催された。 WFASシンポジウムでは、 会議の主旨に従い、 各国における伝統医学・補完代替医療の現状や教育・研究・法整備などの実態に関するセッションが用意されていた。 WFAS執行理事会ではWFAS憲章の改訂などについて審議されたが、 その概要については別稿に譲る (本誌 p.52)。 昨年の北京シンポジウムにて予備的に開催されたUniversity Cooperation Working Committeeは、 今回も開催され、 当面の目標として国際的な教科書の制作を行っていきたいとの提案がなされた。
  • 津谷 喜一郎, 若山 育郎
    原稿種別: 国際部報告
    2009 年 59 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
     2008年11月6日に中国北京で開催されたWFAS執行理事会では、 2007年以降の活動報告のほか、 WFAS会員証の改訂、 WFAS 憲章改訂、 第7回WFAS世界鍼灸学術大会開催地などについての審議がなされた。 会員証と憲章の改訂については、 WFAS加盟団体が設立時に比べ倍増してきていることに対応するために事務局から提案があった。 第7回WFAS世界鍼灸学術大会開催地については、 韓国で開催することが既に決定していたが、 昨年後半からの世界的な経済危機により開催が困難であるとの申し入れがあり、 執行理事会はそれを受け入れた。 代替候補地としてフランス・ドイツ共催案が浮かんだがそれぞれの代表が持ち帰り検討することとなった。 また、 WFASホームページ上のWFAS倫理綱領に関する提言が津谷によりなされ承認された。
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