全日本鍼灸学会雑誌
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59 巻 , 2 号
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巻頭言
教育講演
  • 田中 忠蔵
    原稿種別: 教育講演
    2009 年 59 巻 2 号 p. 104-115
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    皮膚刺激に対する脳の応答性をfMRI研究の立場から検討した。 まず、 fMRIの原理、 実際の方法について、 方法から生じる短所について、 さらには脳賦活課題の提示方法と課題提示に結びついた解析方法の特徴について紹介した。 また、 個体の解析とグループ解析の方法について計算のfMRIを例に詳説した。 実際の例として鍼通電刺激や温熱刺激のfMRIの検討から、 鍼灸刺激が通常の皮膚刺激と異なって、 痛みの処理系に類似した処理が行われていることを提示した。 さらには、 fMRIで検討された鍼灸の研究成果が著明雑誌に掲載され、 その後取り下げられた経緯について述べた。 最後に最近のトピックスとして、 脳賦活課題が提示されない場合のfMRIについてNIHの例を元に安静時や睡眠時の状態について紹介した。 この方法は、 鍼灸施術が施術した後にも効果を有することについて、 今後、 新しい観点から検討できる可能性について説明した。
原著
  • 冨田 賢一, 北小路 博司, 本城 久司, 中尾 昌宏
    原稿種別: 原著
    2009 年 59 巻 2 号 p. 116-124
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    【目的】夜間頻尿に対する温灸治療の有効性を評価するため、 対照として温度が十分に上昇しないsham温灸を用いたランダム化比較試験を行った。
    【方法】夜間頻尿を有し薬物療法に抵抗性を示す36名の患者を対象とし、 温灸群 (n=20) とsham温灸群 (n=16) の2群にランダムに割り付けた。 治療は、 患者自身が自宅で下腹部の中極穴に1週間毎日3壮施灸を行った。 温灸群とsham温灸群で治療前1週間と治療中1週間の平均夜間排尿回数の変化について比較検討した。
    【結果】1日あたりの平均夜間排尿回数の推移は、 温灸群では治療前と比較すると有意な減少がみられた。 sham温灸群では治療による変化に有意差はみられなかった。
    【結語】中極穴への温熱刺激が1週間の平均夜間睡眠中排尿回数を減少させた可能性が示唆された。 中極穴への温灸治療は夜間頻尿に対して有効な治療方法の一つになり得ると思われた。
報告
  • 松本 淳, 金子 聡一郎, 村田 一知朗, 鎌田 剛, 川久保 勳, 赤尾 清剛, 大野 康, 湊口 信也, 藤原 久義
    原稿種別: 報告
    2009 年 59 巻 2 号 p. 125-133
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    【目的】内科入院患者の鍼灸治療の利用状況に関する詳細な報告はない。 今回、 当院循環・呼吸・腎臓内科病棟 (以下、 当科) における鍼灸治療の現状について、 鍼灸治療の依頼状況を中心に報告する。
    【方法】2004年6月から2007年3月に当科入院中に鍼灸治療が依頼された患者を対象に、 鍼灸依頼愁訴 (主訴)、 入院基礎疾患、 依頼愁訴と基礎疾患との関連の有無を調べた。
    【結果】鍼灸依頼件数は266 件であった。 依頼愁訴の最多は、 嘔気・食欲不振・しびれなどの肺癌化学療法副作用であり、 息切れ・呼吸困難、 癌性疼痛、 筋骨格系の疼痛、 食欲不振、 倦怠感などが続き、 少数例では便通異常や意識障害などが挙げられた。 また、 総依頼件数の86.4%が、 依頼愁訴と入院治療に関連を認めた。 1日の平均治療人数の推定値は約10人であり、 当科病床53床の約2割に相当した。
    【考察・結語】鍼灸依頼愁訴の多くが入院治療に関係していたことから、 当科における鍼灸治療の依頼に際して、 鍼灸治療が入院治療の一つとしての役割を期待されていたことが推察された。
編集者への手紙
国際部報告
  • 山下 仁, 津嘉山 洋, 若山 育郎, 川喜田 健司
    原稿種別: 国際部報告
    2009 年 59 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/15
    ジャーナル フリー
    来る2009年6月12日、 "腰痛症に対する鍼灸治療効果のエビデンスの現状"と題して、 埼玉で第2回JSAM鍼灸国際シンポジウムが開催される。 このシンポジウムのテーマの背景と、 議論になると予想されるポイントについて概説する。
     シンポジウムでは、 (1)腰痛に対するRCTの現状、 (2)日中韓におけるデータベースに基づいた腰痛治療法の紹介、 (3)Sham鍼、 という3つのセッションが設けられている。 EBMの枠組みの中で鍼灸の腰痛に対する有効性を検討する場合、 次のような議論が予想される。
       1) 偽鍼の治療的効果:プラセボ効果は区別できるのか?
       2) 偽鍼によるマスキング:ダブルブラインドは可能か?
       3) 具体的な治療テクニック:鍼灸施術の優劣に影響する因子は何か?
     招待発表者の多くは、 RCTや偽鍼開発で世界のトップジャーナルに鍼の論文を掲載している。 今回のシンポジウムで、 EBMの時代における他の医療職種との連携や医療政策への反映など、 今後の鍼灸の発展ために取り組むべき課題がより明確になることを望んでいる。
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