全日本鍼灸学会雑誌
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61 巻 , 1 号
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巻頭言
パネル展示
シンポジウム
実技公開
  • 北川 毅, 高野 道代, 王財 源
    原稿種別: 実技公開
    2011 年 61 巻 1 号 p. 37-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
     近年、 美容が鍼灸業界などで話題を集めている。 専門学校や一部の大学などでは、 すでに授業の一環として行われ、 臨床現場においてもの日々、 要望が強まりつつあるのが現状である。 ほんの十数年前までは美容のために鍼灸が用いられることは一部を除いてタブー視され、 鍼灸師の美容に対する関心は高くはなかった。 しかしながら鍼灸を 「美」 の世界に求められるといった背景には、 健康のみでは満足しきれない、 より高い生活の質を望む私たちの、 若さと美しさへの願望が見え隠れしているようにも感じられるのである。 これは日本のみではなく、 隣国の中国でも同じ事が言える。 中国の美容産業は年々と増加し、 ダイエットブームによる自然健康食品の大流行、 富裕層の増加にともなうエステ市場にも、 化粧品会社の参入が、 日々、 美容市場を拡大させているという。 日本でもここ数年間における美容産業は年々と広がりをみせる。 このような中で、 2010年6月に第59回全日本鍼灸学会学術大会が大阪中之島にある国際会議場で開催された。 とりわけ今回の鍼灸学会に、 初めて美容鍼灸の公開実技が行われることもあり大きな話題を呼んだ。 定員350名の会場が隙間なくギッシリと満席となり、 さらに座席がなくて立ち見席で埋め尽くされ、 遂には入場制限までが出るほどの反響をぶりであった。 そこで今回は学会で実技を公開してくださった方々の先生方の美容鍼灸に対する考え方や、 施術法について執筆をお願いし、 今後の美容鍼灸のー展望となれば幸いである。
原著
  • 菊池 友和, 山口 智, 五十嵐 久佳, 小俣 浩, 鈴木 真理, 田中 晃一, 磯部 秀之, 三村 俊英
    原稿種別: 原著
    2011 年 61 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
    【はじめに】本邦でVDT作業者のQOLや作業能力を指標とした鍼治療に関する報告は極めて少ない。 そこで、 この前向き研究では鍼治療がVDT作業者のQOLと作業能力に及ぼす影響について検討した。
    【方法】VDT作業者61例、 男性41例、 女性20例である。 鍼治療は1回/週、 個々の頸や肩の症状に応じて行った。 評価はSF-36とWAIを、 初診時と1ヵ月後の値を統計学的に検討した。
    【結果】VDT作業者のSF-36は、 身体的健康度、 精神的健康度、 体の痛み、 日常役割機能 (身体) が上昇し、 活力も上昇する傾向が認められWAIも上昇した。 治療前のSF-36の各項目とWAI値、 さらに鍼治療後における体の痛みとWAI値の改善率に正の相関関係が認められた。
    【結論】鍼治療によりVDT作業者の有する頸肩こりの症状が改善するとともに、 QOLと作業能力が向上した。 今後増加が予想されるVDT作業者のQOLや作業能力の向上に対し、 鍼治療の有用性が高いことが示唆された。
  • 遠田 明子, 宮本 俊和, 福林 徹
    原稿種別: 原著
    2011 年 61 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
    【はじめに】長期臥床やギプス固定など様々な状況によって骨格筋萎縮は惹起される。 鍼灸治療は筋疲労の回復等に用いられているが、 その治効メカニズムは解明されていない。 本研究では、 骨格筋萎縮に対する低周波鍼通電療法の効果を、 分子生物学的手法を用いて検証した。
    【方法】8週齢のマウス (C57 BL/6) を用いて、 2週間の後肢懸垂を行い、 筋萎縮モデルを作成した。 群分けは4群とし、 通常飼育群 (N群)、 後肢懸垂コントロール群 (HS群)、 後肢懸垂+置鍼群 (Chishin群)、 後肢懸垂+鍼通電1 Hz群 (1 Hz群) とした (各群n=5)。 鍼通電刺激は、 後肢懸垂開始の翌日から毎日30分間、 深麻酔下のマウスの両肢腓腹筋遠位部2ヵ所に2週間連続して行った。
    【結果】ヒラメ筋の筋湿重量は後肢懸垂により減少し、 鍼刺激により減少していく状態が抑制された。 HS群と1 Hz群間 (P<0.01)、 HS群とChishin群間 (P<0.05) で統計学的有意差が見られた。 また筋線維断面積においても、 HS群と1 Hz群間 (P<0.01)、 Chishin群と1Hz群間 (P<0.05) で有意差が見られた。 萎縮関連遺伝子Atrogin-1、 MuRF1のmRNAは後肢懸垂により発現量が増加し、 鍼刺激によって増加していく状態が有意に抑制された (各P<0.01、 P<0.05)。 以上のことから、 鍼刺激による骨格筋萎縮の回復は、 萎縮関連遺伝子Atrogin-1、 MuRF1の発現量を抑制することによる可能性が示唆された。
    【結論】本研究では、 鍼通電療法は筋萎縮を起こしたヒラメ筋湿重量の減少の抑制、 および筋線維断面積の減少の抑制に有効であり、 また、 萎縮関連遺伝子Atrogin-1、 MuRF1の発現量の増加を抑制する可能性があることが示唆された。
報告
  • 山崎 翼, 福田 文彦, 竹田 太郎, 石崎 直人, 山村 義治, 苗村 健治
    原稿種別: 報告
    2011 年 61 巻 1 号 p. 68-76
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
    【目的】肺癌の化学療法に伴い急性嘔気の遷延を認めた2症例に対して鍼灸治療を行い、 治療効果が得られたので報告する。
    【症例】症例1:79歳、 男性。 早期肺癌(腺癌)のため右肺下葉切除術を施行し、 術後補助化学療法が開始された。 制吐薬の投与にもかかわらず、 化学療法開始後24時間以内に、 急性嘔気と胃部不快感が出現し、 遷延したため、 嘔気の軽減を目的として内関、 天枢に鍼治療 (置鍼) 後、 天枢、 中カンに灸治療 (知熱灸) を開始した。 症例2:64歳、 女性。 早期肺癌 (腺癌) の術後4年5ヵ月後に、 左大脳2ヶ所に脳転移による再発を指摘されたため、 γ-ナイフによる治療が行われた。 引き続き、 全身化学療法が開始され、 開始後24時間以内に、 制吐薬の投与にもかかわらず急性嘔気と胃部不快感が出現し、 遷延したため、 嘔気の軽減を目的として天枢、 中カンに灸治療 (知熱灸) を開始した。 なお、 鍼灸治療は、 2症例とも退院期間及び土日を除き、 毎日行った。
    【結果】2症例とも、 鍼灸治療を併用した結果、 嘔気は軽減し、 食欲の改善が認められた。 特に、 治療直後において、 VASによる嘔気、 胃部不快感は有意に改善した。
    【考察】2症例とも、 化学療法中に制吐薬を投与していたが、 嘔気と胃部不快感が24時間以内に発症し、 24時間以後も持続しており、 これらの症状は急性嘔気の遷延と考えられた。 これらの嘔気は化学療法の継続を制限するほどではなかったが、 患者の食欲を低下させていた。 これらの症状に対して制吐薬に鍼灸治療を併用した結果、 鍼灸治療施術直後の嘔気の軽減とともに食欲の改善が認められた。 このことは、 肺癌の化学療法の施行において、 臨床上の問題となる副作用である急性嘔気に対して、 鍼灸治療が有効な治療法であり、 補完医療としての可能性を示唆するものと考えられた。
臨床体験レポート
  • 桜田 恵里, 星 慎一郎, 形井 秀一
    原稿種別: 臨床体験レポート
    2011 年 61 巻 1 号 p. 77-84
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
    【目的】強皮症を発症し様々な愁訴を持つ患者に、 医学的治療と併用して9ヵ月間の鍼灸治療を行った結果、 良好な経過が見られたので報告する。
    【症例】強皮症と診断された50代の女性。 主訴は顔面部の異常感覚、 口腔内の違和感。 薬物治療を継続するが、 顔面の異常感覚、 口腔内の粘り感が続く。 自律神経の調整を目的に鍼灸治療を行った結果、 顔面部違和感に若干の軽減、 レイノー症状、 KL-6値に改善が見られた。 しかし治療の中断、 再開後、 主訴の変化が乏しいため、 触診を重視した治療法に変更した結果、 主訴に対し、 より効果的であった。
    【方法】 主訴の自覚症状の変化、 不眠・レイノー症状の頻度、 薬物の服用量、 血液の変化を見た。
    【結果】治療開始後、 不眠・レイノー症状の改善、 KL-6値の正常化、 顔面部異常感覚の軽減等が見られた。 触診を重視した治療法は、 より効果的な結果となった。 口腔内の粘り感は不変であった。
    【考察】今回の症例は、 継続していた薬物治療に鍼治療を併用することで、 皮膚の異常感覚、 レイノー症状等の強皮症特有の愁訴が改善した。 これらの変化を患者自身が体感することで、 病そのものや、 薬の副作用に対する不安の軽減に繋がったと推察される。
国際部報告
  • 高澤 直美
    原稿種別: 国際部報告
    2011 年 61 巻 1 号 p. 85-94
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
     2010年3月19日から21日まで、 Society for Acupuncture Research (以後、 SAR) の2010年国際学会がアメリカ合衆国のノースカロライナ州チャペルヒルのシェラトンホテルで開催された。 18日にはワークショップも開催された。
     この会議はSARとノースカロライナ大学医学部物理療法リハビリテーション学部の共催で行われた。 テーマは 「鍼の世界におけるトランスレーショナルリサーチ (Translational Research: 以後TR):科学、 臨床、 コミュニティの橋渡し」 で、 19の国と地域 {アメリカ (141名)、 韓国 (36名)、 中国 (16名)、 日本 (9名)、 イギリス (8名) など} から、 計238名の事前参加登録があった。
     鍼研究は、 これまで基礎科学研究が臨床研究や治療の現場にうまく活用されてこなかったという認識のもとに、 TRの実践を促す内容となっていた。
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