全日本鍼灸学会雑誌
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63 巻 , 3 号
全日本鍼灸学会雑誌
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巻頭言
会頭講演
  • 清水 大一郎
    原稿種別: 会頭講演
    2013 年 63 巻 3 号 p. 160-166
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
     1990 年にペインクリニックで開業し、 慢性疼痛の患者の対応に非常に難渋した。
     その時に出会ったのが東洋医学 (鍼・漢方薬) である。 1992 年より田山文隆先生が主宰されていた東洋医学筑後研究会 (現・東洋医学氣血研究会) に入会し、 鍼治療を学び、 施行すると慢性疼痛には効果的であった。
     1999 年よりがん患者さんが来院されるようになった。 その中で最後を自宅で迎えたいという切なるニーズがあることが判り、 7 月より在宅での看取り (在宅緩和ケア) を開始した。 2012 年 12 月までの 13.5 年間で 382 名の訪問診療を経験し、 在宅での看取りは 241 名 (63%) であった。 2012 年の内訳は 41 名の訪問診療を施行し、 在宅死 26 名 (63.4%)、 緩和ケア病棟死 8 名 (19.6%)、 一般病院死 7 名 (17%) であった。 訪問診療を行った患者さんのうち 10 名に鍼治療を施行した。 食欲不振・全身倦怠感等の症状緩和が目的で、 方法は円皮針貼布、 曲池 (LI 11) ・足三里 (ST 36) を選穴した。 そして、 41 名すべての患者さんに 「ハウトケア」 という精油を使用し経穴・経絡を刺激する手足のマッサージを施行した。 時間があれば家族の方にも同マッサージを行った。
      「西洋医学は病気のみが対象となってきており、 東洋医学では病気ではなく病人を看ることが基本となっている」 という言葉を実感している。 病気ではなく病をもった人を看るということは、 緩和ケアの基本である全人的ケアにも結び付く。 東洋医学を学び実践することが自ずと在宅緩和ケアを進める大きな力になっている。
     鍼治療を学んだことで、 慢性疾痛の患者さんからがん患者さんまでと治療対象が広がった。 そして患者さん達から難治性症状が和らいだとの感謝の言葉を頂けるようになった。 あらためて鍼の凄さを認識している。
     今後も鍼灸に助けながら、 がん患者さんと同行していきたいと願う。
原著
  • 長岡 里美, 新原 寿志, 日野 こころ, 谷口 博志, 角谷 英治
    原稿種別: 原著
    2013 年 63 巻 3 号 p. 167-175
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    【目的】灸頭鍼の艾球中心温度と落下地点の温度を測定し、 鍼柄接触による熱傷と艾球落下による熱傷に注意すべき時間帯について検討した。
    【方法】灸頭鍼には、 ステンレス製毫鍼と灸頭鍼用艾を用い、 艾球のサイズは、 0.15 g (直径 13±1 mm)、 0.30 g (直径 16±1 mm)、 0.60 g (直径 24±1 mm) とした。 艾球の中心温度測定は、 K 型熱電対温度センサプローブを艾球の中心に挿入して、 また、 落下地点の温度測定は、 刺鍼点の外方 2 mm に測定プローブを静置することにより行った。 落下地点の温度は、 艾球を任意の時点で強制的に落下させて測定した。 各測定は 5 回ずつ行い、 結果は平均±標準偏差で表した。
    【結果】艾球中心の最高温度は、 艾球 0.15 g、 0.30 g、 0.60 g で各々569±26℃、 606±26℃、 624±48℃であり、 要した時間は、 各々72±8 秒、 109±4 秒、 167±14 秒であった。 一方、 45℃未満となる時間は、 各々点火後 180±8 秒、 227±2 秒、 345±13 秒であった。 艾球 0.15 g において、 点火後 30 秒で落下させた場合の落下地点温度は、 落下後 1 秒、 5 秒、 10 秒の時点で各々60±6℃、 97±7℃、 137±11℃であり、 45℃未満となるまでには点火後 120 秒を要した。 艾球 0.30 g において、 点火後 30 秒で落下させた場合、 各々66±7℃、 96±6℃、 129±2℃であり、 45℃未満となるまでには点火後 180 秒を要した。 艾球 0.60 g において、 点火後 30 秒で落下させた場合、 各々64±5℃、 97±6℃、 124±10℃であり、 45℃未満となるまでには点火後 270 秒を要した。
    【結論】艾球の中心温度すなわち測定センサプローブの測定値を鍼柄の温度とみなした場合、 抜鍼時の鍼柄接触による熱傷は、 艾球 0.15 g、 0.30 g、 0.60 g において各々点火後概ね 180 秒、 240 秒、 360 秒まで、 一方、 艾球の落下による熱傷は、 各々点火後 120 秒、 180 秒、 270 秒まで注意する必要があると考えられた。
  • 岩元 英輔, 村瀬 健太郎, 谷之口 真知子, 本石 希美
    原稿種別: 原著
    2013 年 63 巻 3 号 p. 176-185
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
    【目的】通常治療・ケアに併用した異なる鍼通電療法 (Electroacupuncture: EA) の刺激部位が、 褥瘡の臨床評価に与える影響を検討したので報告する。
    【方法】対象は骨盤部分の褥瘡を発生した患者 56 名を、 通常治療・ケアのみ行う対照群 (n=19)、 通常治療・ケアに褥瘡周囲への EA を併用する局所 EA 群 (n=19)、 通常治療・ケアに両側の委中穴 (BL 40)・承山穴 (BL 57) の EA を併用する遠隔 EA 群 (n=18) の 3 群間に封筒法にて無作為に割付けた。 通常治療・ケアの方法は褥瘡予防・管理ガイドラインに準拠した方法で行った。 局所 EA の方法は、 創部周囲の正常皮膚部位に 10 mm から 30 mm の深さで刺入し、 通電刺激の波形は双極性パルス波、 周波数 3 Hz、 刺激時間 10 分間を週 5 日行った。 遠隔 EA の方法は、 委中穴と承山穴に約 10 mm 刺入し、 局所 EA と同様の通電刺激を行った。 評価は DESIGN-R と創サイズを、 割付け結果を把握しえない看護師が開始時から 6 週後まで行った。
    【結果】DESIGN-R と創サイズの実測値は 3 群間に有意差を認めなかった。 開始時を 100%とした変化率で比較した結果、 DESIGN-R 変化率は、 4 週後以降に対照群に比べ局所 EA 群に有意な低値を認めた (P <0.01)。 また 6 週後には遠隔 EA 群に比べ局所 EA 群に有意な低値を認めた (P <0.05)。 創サイズ変化率は、 4 週後以降に対照群に比べ局所 EA 群に有意な低値を認めた (P <0.01)。 また 6 週後には遠隔 EA 群に比べ局所 EA 群に有意な低値を認めた (P <0.05)。
    【結論】通常治療・ケアに併用した創部周囲への EA は、 褥瘡の早期改善に有用な方法であることが示唆された。
資料
国際部報告
  • 金子 泰久
    原稿種別: 国際部報告
    2013 年 63 巻 3 号 p. 205-211
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/23
    ジャーナル フリー
     2013 年 4 月 11 日~13 日にイギリス・ロンドンで 8 th annual International Congress of Complementary Medicine Research (ICCMR)が開催された。 主催はイギリスの国営医療サービス事業である National Health Service からサポートを受けている王立ロンドン統合医療病院およびサウスハンプトン医科大学であった。 6 つのプレコングレスワークショップ、 8 つの全体セッション、 10 のシンポジウム、 90 の一般口演、 255 のポスター発表が行われ、 参加者は約 450 名であった。 鍼灸のみならず幅広い統合医療(Integrative Medicine: IM)・補完代替医療(Complementary and Alternative Medicine :CAM)の研究が発表され、 ヨーロッパにおける IM、 CAM の認知度や普及率は国によって異なることが明らかになった。 なお本学会への参加は全日本鍼灸学会国際部からの予算で行った。
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