全日本鍼灸学会雑誌
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64 巻, 2 号
全日本鍼灸学会雑誌
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巻頭言
JLOM関連委員会
  • -国内規格とISO- (第4回ISO/TC249全体会議報告)
    東郷 俊宏, 木村 友昭, 形井 秀一, 松本 毅, 中野 亮一, 金安 義文
    原稿種別: JLOM関連委員会
    2014 年 64 巻 2 号 p. 90-103
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/24
    ジャーナル フリー
     2009年に国際標準化機構(ISO)で設置が承認されたTC249では、 2010年の第1回全体会議 (北京) 以降、 2013年までに4回の全体会議を開催した。 この間、 鍼灸領域では、 鍼灸鍼の国際規格作成をscopeとするWG3と鍼灸鍼以外の医療機器の規格作成に特化したWG4の2つが設置され、 伝統医学領域の医療機器の国際規格策定が進められている。
     日本としては、 現在国内に存在する関連規格 (JIS規格;厚生労働省の定める認証基準など) と齟齬を来す国際規格が策定されぬよう、全体の流れを注視しつつ議論に参画しているが、TC249に出席しているメンバーのほとんどは、臨床家や医学研究者であり、必ずしも医療機器の専門家ではないことから、議論はしばしば平行線をたどり、ハーモナイゼイションは困難な場合が多い。
     本稿では、TC249における規格策定に関わってきた日本のエキスパートのうち、アカデミア2名、メーカー2名に2013年の5月に南アフリカ共和国のダーバンに於いて開催されたTC249 4th Plenary MeetingにおけるWG3, 4における議論についてそれぞれの立場から論じて頂いた。
臨床体験レポート
  • 本田 達朗, 金原 正幸, 酒井 梨名, 張 文平, 西村 甲, 浦田 繁
    原稿種別: 臨床体験レポート
    2014 年 64 巻 2 号 p. 104-112
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/24
    ジャーナル フリー
    【目的】労働で繰り返しの使用により発生したと思われる左肘と左膝の疼痛に対して、M-Testで身体動作をチェックし、動きの制限を改善させる1回の鍼治療で5ヵ月間継続した症状が奏効したので報告する。
    【症例】50歳、女性。主訴:左肘内側痛、左膝内側痛。現病歴:2013年7月下旬頃から職場で食用油の一斗缶(18リットルの油)の上げ下げを頻繁に行っていた。同年12月に左肘、左膝の痛みが強くなったため本大学附属鍼灸センターを受診した。仕事で重い物を持ち上げることを繰り返したことが原因の軟部組織疼痛と思われる症例である。
     この患者に対して、M-Testを用いて身体上の制限動作をチェックした。制限動作から治療すべき経絡、経穴が導き出され治療を行った。患者の労働での具体的な動作は、左手は一斗缶の金具に指を引っかけ、手関節と肘関節は軽く屈曲させ持ち上げるものであった。また、食用油を鍋に注ぐ際に左手関節は背屈させ、缶を支えていた。M-Testの結果から、(1)左肘関節屈曲・伸展、(2)左肩関節伸展、(3)左股関節内旋・外旋動作の制限動作は労働における動作と関連性があると思われたため、これらをターゲットモーションに設定しM-Test理論に基づく鍼治療を行った。
    【経過】初診治療前と再診治療前のVisual Analog Scale (VAS)を比較すると、左肘が90mm→18mm、左膝は80mm→15mm (初診時前→再診時前) でいずれも症状は劇的に改善した。
    【考察】M-Testで判明した制限動作は身体上の異常箇所や治療経穴を特定でき、鍼刺激により身体の動きが改善したとともに動作時痛が改善した可能性がある。
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