ヒスタミンH
2受容体拮抗薬ファモチジン20mgを帝王切開術の症例35例に筋注投与し,分娩時のファモチジン濃度を測定した.投与後77.6±17.5分において,母体血で259.7±85.3ng/me,臍帯静脈血で83.7±19.3ng/me,臍帯動脈血で75.5±23.7ng/me,羊水では24.8±18.7ng/meであった.胎盤移行率(臍帯静脈血中濃度/母体静脈血中濃度)は0.347±0.114であった.新生児のApgarscore,体重,黄疸,哺乳力,神経学的検査において異常と認められた症例はなく,非投与群39例と比較して差はみられなかった.ファモチジン術前投与は胎児へ移行するものの,新生児に特に問題となる影響を及ぼさなかった.
抄録全体を表示