日本臨床麻酔学会誌
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12 巻, 2 号
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  • 中村 憲子, 笠間 晁彦, 西村 欣也, 片田 光晴, 奥野 滋子, 茅 稽二
    1992 年 12 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    動脈内留置カテーテルによる圧測定はinvasiveであるが,応用範囲の広さから手術室・ICU・NICU・CCUなどで多く利用されている.しかしこの部分からの採血では,血管穿刺部と採血部間の死腔量が影響し,血液電解質などに正確さの欠けることがある.市販輸液製剤,および臨床症例よりの採血血液を対象とした死腔量と廃液量の関係をNa+, K+, Ca++, Ht,血液ガス分析値等を用いて検討したところ,市販のモニターキットでは正確な値を得るためには死腔量の4倍以上の廃液が必要であり,また死腔部位に細径のチューブを用いた研究では,同じ死腔量であってもより少ない廃液量で正確な値が得られた.以上より正確な血液検査値を得るためには,より細径で死腔量の少ないモニターキットが望ましい.
  • 午前と午後の比較
    新谷 貞代, 長谷 敦子, 柴田 治, 長谷場 純敬, 後藤 裕
    1992 年 12 巻 2 号 p. 153-161
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    小児予定手術症例を午前(AM)症例(n=38)と午後(PM)症例(n=31)に分けて,絶飲食時間と麻酔開始時間が術前血糖値および血中ケトン体濃度に及ぼす影響,さらに術中の糖投与による影響についても検討した.術前血糖値はPM症例において低値の傾向を示し,術前血中ケトン体濃度,遊離脂肪酸値はPM症例がAM症例に比べ有意に高値を示した.糖投与後すべての群において血糖値は有意に上昇し,血中ケトン体濃度,遊離脂肪酸値は低下した.2歳以上の62例では,年齢,体重とヒドロキシ酪酸の間には有意な負の相関が,血中ケトン体濃度と遊離脂肪酸値の間には有意な正の相関(r=0.633)がみられた.小児の術前血糖値,血中ケトン体濃度は絶飲食時間だけでなく,その時間帯,ケトーシスになりやすい年齢,体重によって影響され,これらを配慮した術中糖投与が必要であると思われた.
  • 柴田 敏幸, 久保田 議康, 横山 秀男, 遠藤 三樹男, 三宅 有
    1992 年 12 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    平均37歳のASA分類class Iの下肢手術症例23名に対し,水平側臥位で第7頸椎棘突起からJacoby線間距離(7-Ja線間距離)を測定した.ついで,第3-4腰椎間正中より25G spinal針を刺入し,髄液の流出を確認した後,0.3%dibucaine2.1mlを15秒間で投与した.仰臥位にして麻酔域を5分間隔で30分間pin-prickで確認した.
    高身長者では7-Ja線間距離が高く,身長と7-Ja線間距離には[身長]=1.3×[7-Ja線間距離]+103.67の相関関係がみられた.麻酔域を麻酔薬投与5,15,30分後に調べたところ,各時間において麻酔域と7-Ja線間距離に相関関係があった.麻酔薬投与30分後の麻酔域は5分後のそれよりも約1椎体麻酔域が上昇した.
    7-Ja線間距離を考慮して脊椎麻酔を実施することは意義がある.
  • 山田 富夫, 山田 正弘, 池田 哲, 奥村 友季子, 服部 哲雄, 小長谷 九一郎
    1992 年 12 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    1~11歳の小児909例にスコポラミン(0.015mg/kg)+ヒドロキシジン(1mg/kg)の筋注を行ない,1歳ごとの11群に分け,鎮静効果と年齢との関係を明らかにし,年齢的層別の重要性を示す研究を行なった.効果判定は筋注後30分に担当麻酔医が「無効」(レベル1),または「有効」(レベル2~4)と判定した.年齢と「有効」症例の割合との相関はスピアマンの順位相関係数0.98と極めて強く,Mann WhitneyのU testで有意差を示さなかった年齢群は1歳,2~3歳,4~5歳,5~7歳,7~11歳に層別され,鎮静効果に及ぼす年齢の強い影響が実証された.したがって,小児の鎮静的前投薬の年齢的層別化を行なう必要性は明らかである.
  • 竹原 好文, 新木 正剛
    1992 年 12 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    家兎の急性脱血性ショックモデルを用いて,各脱血量ごとにカテコラミンと各種パラメーターを比較検討した.脱血操作に対しては血中エピネフリンが最も早く反応し,15ml/kg脱血では100倍以上に上昇した.ノルエピネフリンは15~20ml/kgの脱血で一旦低下し,その後急上昇する2相性の変化を示した.20ml/kg以上の脱血では乳酸,血糖をはじめ,Na,K,浸透圧,pHの大きな変化がみられ細胞障害が疑われた.輸液なしの35ml/kg以上の脱血は致死的であり,パラメーターのほとんどに有意な変化が認められた.ノルエピネフリンの動態からは比較的早期に交感神経系の抑制が起こり得る可能性があることが示唆された.
  • 百瀬 隆
    1992 年 12 巻 2 号 p. 179-187
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    3種類のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム,フルニトラゼパム,ミダゾラム)とペンタゾシンを用いたいわゆるNLA変法による全身麻酔で手術を受けた123例(初期検討試験53例,本試験70例)を対象に,フルマゼニルのベンゾジアゼピンに対する拮抗作用を検討した.また,患者の覚醒の程度を的確に評価し得る評価基準の作成を試みた.その結果,フルマゼニルは,ベンゾジアゼピンとペンタゾシンを用いたNLA変法麻酔からの覚醒に極めて有用性の高い薬剤であることが確認された.また,本試験で用いた評価基準は,患者の覚醒状態を細かく正確にとらえられ,覚醒状態を調べる上で好ましい基準であると考えられた.
  • 上平 敦, 斎藤 憲輝, 田中 彰, 増谷 正人, 遠藤 実
    1992 年 12 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    網膜動脈閉塞症および網膜静脈閉塞症の治療として高圧酸素療法,星状神経節ブロック,頸・胸部硬膜外ブロックを併用した治療を行ない,これらの治療を行ない得なかった患者群との比較を行なった.網膜動脈閉塞性疾患の患者で,高圧酸素療法と頸・胸部の交感神経ブロックの併用療法は視力の改善に有効であった.網膜静脈閉塞性疾患の患者では,高圧酸素療法は視力の改善に有効で,網膜浮腫の改善傾向がみられた.またこれに頸・胸部の交感神経ブロックを併用した場合,視力,ならびに網膜浮腫の改善に有意の効果を得ることができた.
  • 嚥下反射を指標として
    野崎 奈津子, 井出 徹, 高地 哲夫, 磯野 史朗, 水口 公信
    1992 年 12 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    ベンゾジアゼピン拮抗薬フルマゼニルの嚥下反射に及ぼす影響を検討した.嚥下反射は蒸留水を上咽頭に滴下することにより誘発し,頤舌骨筋の表面筋電図によりその評価を行なった.潜伏時間,活動電位積分値の大きさおよび嚥下回数をフルマゼニル投与の有無により2群に分け比較した.吸入麻酔薬の影響を調べたコントロール群と比較し潜伏時間はフルマゼニル投与により導入前の値に回復した.しかし,活動電位積分値はコントロール群同様回復しなかった.嚥下回数はフルマゼニル投与後増加した.フルマゼニル投与により呼名反応が出現し,抜管可能となっても嚥下反射は導入前と異なった状態である可能性があり気道防御の観点から注意を要する.
  • 麻酔科医個人の思考パターンの再現,およびその比較
    今村 知明, 堀内 忠樹, 奥田 平治, 内田 盛夫, 開原 成允
    1992 年 12 巻 2 号 p. 200-212
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    ファジイ理論の応用により麻酔指導医クラスの麻酔中の麻酔管理に関する知識を抽出しこれをメンバーシップ関数化し麻酔制御ルールを作った.そしてこの知識を推論系として用い,血圧や脈拍等の入力により吸入麻酔薬濃度が自動出力されるシステムを開発した.まず,知識を抽出した麻酔科医の過去の麻酔記録から血圧,脈拍を読み取りこのシステムに入力することで現場での吸入麻酔薬の変化とほとんど類似した変化を得ることができた.次に実際の患者にこのシステムを用い,術中は満足のいける血圧管理ができた.次に複数の麻酔科医から知識を抽出した.そして一人の医師の知識を用いると,他医のかけた過去の麻酔記録の吸入麻酔薬の変化を十分に再現させることができなかった.このことより各麻酔科医間の知識に独立性のあることを示唆した.
  • 阿部 浩, 熊谷 健二, 青野 允, 森 秀麿
    1992 年 12 巻 2 号 p. 213-217
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    体外循環時のfree radical発生の有無を検討する目的で生体内radical scavengerであるビタミンE,総ビリルビン,尿酸を測定した.対象は,成人体外循環下心臓手術20症例で,人工肺は,膜型,気泡型を各10症例とした.結果は,気泡型人工肺使用例においてビタミンEの有意な減少を認めた.従来,臨床におけるfree radical発生の有無の検討は過酸化脂質の増加を証明することによって行なわれている.ビタミンEはfree radicalによる膜脂質過酸化の連鎖反応を停止させ,このとき,膜内にて消費される.すなわち,今回のビタミンE減少は,体外循環によりfree radicalが発生したことを推測させた.
  • 井上 義崇, 谷川 攻一
    1992 年 12 巻 2 号 p. 218-222
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    脳外科緊急手術症例103例について,診断,術前合併症,術中合併症,Stress Index(血糖値/血清K値)を,Retrospectiveにまとめ,おのおのの因子と予後との関連について考察した.
    脳外科緊急手術症例の神経予後は,基本的には基礎疾患による脳損傷の程度により規定されていると考えられるが,脱水や出血に伴う循環血液量の低下に起因する周術期の循環動態の変化も,脳の二次的損傷の進行に影響を与えている可能性が示唆された.
  • 安田 信彦, イーガー エドモンドIII, ワイスコフ リチャードB, ロックハート ステフェンH, 谷藤 泰正, 天木 嘉清, 小林 建一
    1992 年 12 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    健康な成人男子7名に1.0%セボフルレン,0.6%イソフルレンを同時に投与し,終末呼気(FA)・混合呼気(FM)・吸入(FI)濃度と分時換気量(VE)を投与中から投与終了後6~7日間測定し,両者の薬物動態を解析した.投与開始後30分のFA/FIはセボフルレン0.85±0.02,イソフルレン0.73±0.03(平均±標準偏差),投与終了後5分のFA/FA0(FA0=投与中最後のFA)はセボフルレン0.16±0.02,イソフルレン0.22±0.02であった.肺からの排泄を除いて各組織の時定数は両者間に差がなかった.以上よりセボフルレンの体内への吸収・排泄はイソフルレンよりも速いが,各組織からの排泄は両者に差がないことが示唆された.
  • 青柳 光生
    1992 年 12 巻 2 号 p. 228-232
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患,脳動脈瘤,大動脈瘤など合併あるいは,それ自体が手術対象となる症例が増加傾向にある.これらの麻酔にあたっては心負荷を避け,血圧,心拍数をコントロールする必要がある.そこで麻酔導入の際,Laryngeal mask(LM)と従来の経口気管内挿管との血行動態に及ぼす影響について比較した.結果,心拍数,収縮期血圧,RatePressureProductともに,LMの方が変化が少なかった.表面麻酔を加えた場合は,さらに変化が少なかった.したがって,虚血性心疾患や動脈瘤などの患者ではLMの使用が適当と思われる.また食道逆流モデルでは,大量の誤嚥は防ぎうることが示唆された.その他LMの適応などにつき考察を加えた.
  • 小田 洋子, 溝部 俊樹, 宮崎 正夫, 畑中 哲生, 柴 禄郎
    1992 年 12 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    手術予定患者の不安を取り除くため,入院時より抗不安剤トフィソパムを約1週間投与し,その臨床的意義について考察した.抗不安剤の有用性は,21名の対象を任意にトフィソパム投与群とコントロール群の2群に分類し,入院時と手術当日の2回の心理テストState-Trait-Anxiety-Inventory (STAI)の特性不安と状態不安の変動より判定した.
    コントロール群において特性不安は変化していないが,状態不安は有意差は認めないものの上昇傾向を示しSTAIテストは術前の不安の判定に有用であるといえる.トフィソパム投与群では特性不安は変化しないが,状態不安は有意に低下した.トフィソパムは手術予定患者の不安に対して有用であり,副作用も少なく安全な薬剤であるといえる.
  • 大和田 哲郎, 稲葉 英夫, 佐藤 二郎, 内田 治男, 桜田 美江子, 水口 公信
    1992 年 12 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    Fluctuating PEEP(F-PEEP)とは,呼気終末圧を一定の周期,一定の圧差間で変動させる新しい型のPEEPであり,臨床例においてその効果を従来のPEEP(C-PEEP)と比較検討した.び慢性の肺障害であると考えられるARDSの症例においては両者にあまり差はみられなかったが,局所性の肺障害であると考えられる誤嚥性肺炎の症例においてはF-PEEPの方が明らかに著効を示した.したがって,F-PEEPは不均一な肺障害においては,臨床的にも大変有用であることを示している.そして,すでに報告した肺障害犬モデルでの肺酸素化能の改善効果と比較検討した.
  • 河野 克彬, 奥谷 龍, 福田 多恵子, 寺下 一弥, 石田 博厚, 宮本 巍
    1992 年 12 巻 2 号 p. 244-251
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    腎動脈下腹部大動脈瘤症例を対象に術中・術直後の腎機能に及ぼす持続硬膜外麻酔(EP群:16例)の影響について中等量フェンタニール麻酔(18例,フェンタニール30μg/kg)およびハロセン麻酔(13例)と比較検討した.硬膜外麻酔は0.5%ブピバカインを使用しT4~L3までの無痛域を確認後,3ml/hで持続注入,酸素・笑気で維持した.全例でドパミン,マニトールを併用しアルブミン添加乳酸加リンゲル液で輸液した.EP群ではカテコラミン・レニン分泌の亢進が抑制され循環動態は安定したが,バゾプレッシン分泌が著しく亢進した.GFRと腎排泄性因子は術前より増加したが他群と差はなく,CH2Oが比較的低値で経過しバゾプレッシン効果が推測された.
  • 今泉 均, 金子 正光, 伊藤 靖, 吉田 正志, 坂野 晶司
    1992 年 12 巻 2 号 p. 252-260
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    二次救命処置でも蘇生できない心停止16症例に対して,stand-by方式の人工心肺(CPB)を施行し,3年間の成績と問題点について検討した.
    症例は16~75歳(平均45歳)で,13例がDOAで,6例が心室細動,ほかの10例が心静止であった.
    搬入までは15~30分(平均25分),搬入からCPB開始までは19~70分(平均46分)を要した.神経学的な改善は7例(50%),心拍再開は13例(81%)にみられたが,完全脳蘇生は1例(6%)にすぎなかった.
    本法は,心蘇生が得られる以前から酸素加血による冠・脳循環を維持でき,心蘇生率のみならず神経学的予後の改善が期待できる方法であるが、完全な脳蘇生を得るには,適応や装置の即応性など今後も検討が必要である.
  • 中溝 玲恵, 出原 郁, 田代 典子, 松井 久美子, 武田 昭平, 外丸 輝明
    1992 年 12 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞によって発生する心室中隔穿孔は死に直結する重篤な合併症である.今回,80歳男性の本症患者の結腸癌によるイレウスの手術の麻酔を経験した.麻酔導入はフェンタニール,サイアミラールで行ない,硬膜外麻酔と酸素,笑気,セボフルレンの吸入で麻酔を維持した.本症の麻酔管理では肺動脈圧を上昇させないことが要点と考えられたので,硬膜外麻酔を主体として自発呼吸下で行なうことにしたが,自発呼吸が出現せず調節呼吸となった.しかし,硬膜外注入で肺動脈圧は低下し,硬膜外麻酔は有用と考えられた.また,心臓壁の運動の観察に腹部臓器用ではあったが,超音波ファイバースコープは有用なモニタであった.手術は無事終了し16日後に退院した.
  • 中谷 俊彦, 斉藤 洋司, 田中 章生, 佐倉 伸一, 小坂 義弘
    1992 年 12 巻 2 号 p. 266-269
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    Romano-Ward症候群を有する4歳男児の右ソケイヘルニア根治術の麻酔を経験した.術前に定期内服しているプロプラノロールを継続させ,左星状神経節ブロックと仙骨硬膜外麻酔を併用した,酸素,笑気,エンフルレンの全身麻酔にて,術中術後と不整脈の発生をみることなく,無事終了することができた.左星状神経節ブロックにてQT間隔の短縮を得ることができたことは,不整脈の予防に有用であったと考えられる.
  • 七戸 康夫, 升田 好樹, 高橋 広巳, 小瀧 正年, 表 哲夫, 並木 昭義
    1992 年 12 巻 2 号 p. 270-273
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    ピーナッツによる気管支異物と鑑別が困難であった気管支粘液栓塞症を経験した.症例は1歳6ヵ月の女児.喘鳴・呼吸困難を主訴に来院,気管支鏡による異物除去術が酸素-ハロセンーフェンタニール麻酔下に行なわれ,左主気管支に陥頓した粘液塞栓を摘出し得た.本症のように呼吸困難が強い場合,気管支鏡下に塞栓を摘出しなければならない.その際の麻酔管理においては通常の気管支異物摘出術の麻酔管理の注意点に加え,本疾患の成因として喘息などのアレルギー疾患が関与していることを考慮する必要がある.麻酔法としては催不整脈作用,肝毒性の弱いイソフルレンの使用も適当と思われる.
  • 成人例報告
    戴 敏, 渡辺 誠治
    1992 年 12 巻 2 号 p. 274-279
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    成人にみられた急性喉頭蓋炎について報告する.1990年12月,患者は46歳男性で,軽度の感冒症状以外には特記すべきことはなかった.朝9時にゴルフを開始し,12時に喉頭違和感が出現し,15時に嚥下困難と,普通の姿勢での呼吸困難が出現した.しかし,発声は普通で,仲間は彼の言葉を理解できた.17時前完全に気道が閉塞し,意識消失した.経口的気管内挿管を試みたと同時に緊急気管切開が成功し救命した.ここ数年成人にもこの危険な病態の発症がまれではないとの認識が高まりつつある.小児の場合は,初診医になる可能性がある,麻酔科医,耳鼻科医,小児科医の間の緊密な連携が不幸な結果を避けるために重要である.
  • 軽部 伸亮, 井上 大輔, 塚田 裕一, 内山 正教, 山本 亨, 武藤 芳照
    1992 年 12 巻 2 号 p. 280-286
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    体育スポーツ指導者に対し,救急蘇生法の講習を行ない,その理解度に関するアンケート調査を行ない,その結果を検討した.「昏睡位」や「下顎挙上法」等の医学用語や人工呼吸と心マッサージの組み合わせの実施についての理解度が低い結果となつた.一般市民にこれらの技術を普及させるためには,講習時に使用する医学用語の見直しや,指導内容の統一が必要と思われる.
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