日本臨床麻酔学会誌
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14 巻, 10 号
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  • 高折 益彦, 木村 健一, 福井 明, 福永 仁夫
    1994 年 14 巻 10 号 p. 745-749
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    NLA変法(ジアゼパム,ペンタゾシン,笑気)麻酔下に手術を受ける症例中,消化器疾患,内分泌機能異常,腎機能異常を有しない症例を対象に麻酔中の血清マグネシウム(Mg)濃度の変動を観察した.麻酔中の輸液には乳酸リンゲル液,1/2乳酸リンゲル液(KN 3 A®)を使用し,初めの1時間はそれぞれ7.5ml/kg,次の1時間にはそれぞれ2.5ml/kg を注入した.この間血圧,心拍数,動脈血pH, Po2, Pco2 に変化を認めなかった.また血清ナトリウム,カリウム濃度,血清アルブミン濃度に変化を認めなかった.血清カルシウム(Ca)濃度は低下傾向, Ca++は有意の低下を示した.血清Mg濃度はわずかながら低下傾向を示した.血清Ca++値の変動と血清Mg値の変動との間にはr=0.56でわずかながら相関性が認められた.
    以上の結果から一般手術中は血清Mg値は著しい変動はしないものとの結論に達した.
  • 本間 康之, 金谷 憲明, 岩崎 寛, 大森 英哉, 関 純彦, 並木 昭義
    1994 年 14 巻 10 号 p. 750-754
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    脊椎麻酔時の麻酔域判定にミダゾラムが及ぼす影響を調べた.脊椎麻酔下に手術を予定された患者40名を対象とし,脊椎麻酔施行後に術中鎮静を目的としてミダゾラム0.05mg/kgを静注した.手術終了後の麻酔レベルを,(1)ミダゾラムによる鎮静下,(2)フルマゼニル0.2mg(F群,n=20)または生理食塩水1ml(C群,n=20)静注4分後の2回,cold-sensation法,pinprick法を用い判定した.また,F群では静脈血中ミダゾラム濃度も測定した.F群ではフルマゼニル投与後で,10/20名(50%)が1分節以上の冷覚消失域の変化を認め,7/20名(35%)で1分節以上の痛覚消失域の変化を認めた.C群では1/20名(5%),2/20名(10%)でそれぞれ1分節以上の冷覚,痛覚消失域の変化を認めた.F群で平均血清ミダゾラム濃度は50.8±42.6ng/mlであったが,麻酔域の変化とミダゾラム血中濃度とは特に関連はみられなかった.脊椎麻酔中のミダゾラム投与により,術後の麻酔域判定があいまいになる可能性がある.
  • 今泉 均, 坂野 晶司, 藤村 直幸, 中山 禎人, 氏家 良人, 金子 正光
    1994 年 14 巻 10 号 p. 755-761
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    煙吸入後に低酸素血症を呈した6症例を対象に,肺血流シンチグラム(肺血流シンチ)と肺換気シンチグラム(肺換気シンチ)の検討を行なった.
    肺血流シンチでは,受傷24時間後から非区域性,多発性の欠損像を胸膜側に認め,1~3週間持続した.一方,受傷1週間後に施行した肺換気シンチの1回吸入像では,欠損像はみられないものの,air trapping現象による洗い出し遅延が両肺の広範囲にみられ,換気の不均等分布が証明された.低酸素血症の原因は,肺野全体に及ぶ不均等換気に対して低酸素性肺血管収縮が十分に働かなかったか,またはair trapping部位とは関係ない部位に受傷機転に基づく肺血管攣縮が生じ,換気/血流比の不均等分布が引き起こされたためと推定された.
    煙吸入による肺障害は,暴露直後には臨床症状を伴わない場合もあるが,数時間を経て顕在化する換気/血流の不均等分布によって発現する低酸素血症に注意を払うべきである.
  • 横井 雅一, 小林 佳郎, 佐藤 公泰, 土井 淳, 武田 純三, 福島 和昭
    1994 年 14 巻 10 号 p. 762-770
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    <研究1>外傷患者(外傷群:336名)のCK, LDH, GOT, GPT値を外傷以外の患者(対照群:406名)と比較した.<研究2>脊椎疾患,脊損患者などのCK値について検討した.
    CK, LDH, GOTとも外傷群で有意に高かったが,10,000IU/l以上の症例はなく,多発外傷では単発外傷より高値であった.部位では脊椎,骨盤,胸腹部外傷で高値であった.
    脊損患者でCK値が高値であったが,全例1,000IU/l未満であった.以上から,外傷患者では骨格筋逸脱酵素値は高値を示すが,10,000IU/l以上となることはまれであること,脊損患者のCKは軽度の高値を示すことが結論づけられた.
  • 吉田 長英, 藤田 達士, 馬場 浩介, 五十 嵐康, 丸山 悠司, 後藤 文夫
    1994 年 14 巻 10 号 p. 771-776
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    ジブカインを用いた脊椎麻酔の前投薬にクロニジン0.3mgを経口投与し,知覚遮断および運動遮断時間を計測した.クロニジン投与により知覚遮断時間は有意に延長したが,運動遮断時間には有意差を認めなかった.脳脊髄液中のNE, MHPG, DA, DOPACはクロニジン投与で低下した.これらの成績より,CSF中のNEがクロニジン投与群で非投与群に対して低下したのは,クロニジンの下降性ノルアドレナリン作動性延髄脊髄路抑制作用を反映したものと考えられる1).クロニジンは下降性ノルアドレナリン作動性延髄脊髄路を介してではなく,直接脊髄後角のαレセプターに作用して知覚遮断時間を延長させたものと考えられる.
    一方,5-HTおよび5-HIAAには変化を認めなかったことから,クロニジンはセロトニン作動性神経系に対しては影響を及ぼさないと考えられる.
  • 小佐井 和子, 長田 直人, 高崎 眞弓, 近藤 修
    1994 年 14 巻 10 号 p. 777-782
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    頸部硬膜外麻酔は循環動態への影響が少ないといわれているが,神経遮断範囲の違いで差があるかどうかを調べた.2%メピバカイン7mlを使用し,遮断範囲が第5頸髄から第5胸髄までの高位群と,第1胸髄から第10胸髄までの低位群で比較した.高位群では,心拍数は14%減少し,肺毛細管楔入圧は35%上昇したが,平均動脈圧,右室拡張終期容量,心係数は変化しなかった.低位群では,心拍数は19%減少し,平均動脈圧は20%低下し,心係数は39%減少した.肺毛細管楔入圧,右室拡張終期容量,右室駆出率は変化しなかった.頸部硬膜外麻酔の遮断範囲が胸髄下部へ及ぶと,上部だけのときに比べて循環抑制が強くなると考えられた.
  • 合谷 木徹, 合谷 木徹, 山下 正夫
    1994 年 14 巻 10 号 p. 783-786
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    359例の小児を体重により2群に分け,腰部硬膜外麻酔の発現時間を比較,検討した.硬膜外腔に,0.25%ブピバカイン0.75ml•kg-1を投与後,執刀時の患児の反応およびその時間を記録した.執刀までの時間は,10kg未満群で20.1±8.74(分)に対し,10kg以上群では,18.0±7.87(分)であり,有意差はなかった.しかし,10kg以上群では,10kg未満群に比べ執刀時の反応が有意に多く認められた(p<0.01).硬膜外麻酔で無痛域を得る場合,体重10kg以上の児では10kg未満の児より執刀までの待ち時間が長く必要であると示唆された.
  • 山本 健, 李 文志, 松本 豊, 田代 勝己, 小林 勉, 藤田 信一
    1994 年 14 巻 10 号 p. 787-792
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    麻酔科医14名を対象として,手指の細菌汚染と,手洗いの効果を調べた.延べ40件の手洗い前培養の結果,表皮ブドウ球菌をはじめとする皮膚常在菌に加えて,4件にメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が,2件にエンテロバクターが検出された.表皮ブドウ球菌を対象として手洗い用消毒薬の効果を比較したところ,ウエルパスは家庭用石鹸に比べて有意に優れた除菌率を示したが,ヒビスクラブ,イソジンと家庭用石鹸との間には,除菌率に有意差が認められなかった.麻酔科医が日常行なう短時間の手洗いには,ウエルパスが適していると考えられた.
  • 春國 いづみ, 水山 和之, 佐藤 重仁, 山下 創一郎, 永沼 利博, 内藤 裕史
    1994 年 14 巻 10 号 p. 793-797
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    感染性心内膜炎による著明な肺高血圧を伴った僧帽弁閉鎖不全のため僧帽弁置換術を予定されていた38歳男性患者で,手術予定日の前日に細菌性脳動脈瘤が破裂したため,中等量のフェンタニルとイソフルレンを併用した全身麻酔下に緊急に脳動脈瘤トラッピング術が施行された.麻酔導入後,心拍出量が著明に低下したため,ドブタミンとアムリノンの持続静注を併用したところ,心拍出量が改善し,肺動脈圧も低下した.
  • 塩浜 恭子, 吉岡 斉, 弘田 博子, 長谷 浩吉
    1994 年 14 巻 10 号 p. 798-801
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    高度の心機能低下を示した拡張型心筋症(DCM)患者の胃切除術の麻酔管理を経験した.術前の心機能の評価で心エコー上左室駆出率が17%と非常に低下していたため,麻酔中の低血圧に対して麻酔導入前に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を用意のうえ,麻酔管理を行なうことで患者と家族の麻酔の同意を得た.麻酔方法は硬膜外モルヒネ持続注入とフェンタニールーミダゾラム-笑気麻酔で行なった.導入時に血圧低下が生じたため,昇圧剤に加えてIABPを作動させた.それにより血圧は上昇,安定し,その後の循環動態は周術期を通じて良好に維持された.DCMも含め,高度の心機能低下の症例には術前にIABPの挿入を考慮する必要があると思われた.
  • 高岡 誠司, 安藤 香子, 天笠 澄夫, 三浦 美英
    1994 年 14 巻 10 号 p. 802-806
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,女性.18歳の時にもやもや病と診断され,左浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術を受け,その後,時々構音障害や眩暈,右手麻痺発作を起こしていたが,特に治療は受けていない.今回妊娠37週で,分娩管理を目的に入院となった.陣痛,経膣分娩による過換気,血圧変動による脳梗塞•脳出血を避けるため,帝王切開術のための麻酔として全身麻酔を選択した.麻酔はミダゾラムとフェンタニールおよび亜酸化窒素-酸素-セボフルランで導入•維持した.また術後鎮痛に硬膜外ブロックを用いた.母子ともに順調に経過した.もやもや病合併患者の分娩は,帝王切開術が望ましく,またその管理には産科,小児科,脳外科,麻酔科の協力が必要であると考えられた.
  • 大西 佳彦, 林 行雄, 溝口 徹, 畔 政和
    1994 年 14 巻 10 号 p. 807-811
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤,閉塞性動脈硬化症のためY字グラフト術が施行された症例で下肢末梢循環のモニターとして近赤外分光法(NIR)を使用した.NIRでの酸化ヘモグロビンは腹部大動脈遮断により減少した.減少した酸化ヘモグロビンは外腸骨動脈への再吻合遮断解除後も完全な回復を示さなかった.症例は術後下肢の循環不全に陥り,集中的な薬物療法を行なったが不幸にも11病日後に足関節よりの切断術を余儀なくされた.NIRは迅速かつ的確に病変を捕らえていた.NIRの装着は簡便,非侵襲的であり末梢循環のモニターとして有用であると考えられた.
  • 月山 淑, 伊良 波浩, 西田 純子, 畑埜 義雄
    1994 年 14 巻 10 号 p. 812-816
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    われわれは,5例の左心低形成症候群hypoplastic left heart syndrome (HLHS)に対する姑息的シャント手術の麻酔経験から,いくつかの麻酔管理上の問題点について報告する.HLHSにおいては,肺血流と体血流のいずれかの血流偏重は重篤な循環悪化を招く.すなわち肺血流増加は血液酸素化を改善するが,体血流減少による体血圧低下,代謝性アシドーシスの進行,乏尿を招き,逆に体血流増加は肺血流減少による低酸素血症を招く.このため管理要点は,PaO2を指標とした肺血流維持と,かつ十分な尿量確保ができる体血流維持が重要であることが認識された.体血流の指標となる尿量は綿密かつ持続的に監視されるべきであり,microdripを用いた測定が必要であると考える.
  • 田辺 久美子, 橋本 友紀, 丹羽 雅紀, 竹田 智雄, 原田 知和
    1994 年 14 巻 10 号 p. 817-821
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    55歳女性.右半甲状腺切除術執刀約20分後,最高気道内圧が15から40cmH2Oに上昇し,血圧および脈拍数が低下し,一時心停止となった.後日,肺血流シンチグラムで両肺野に血流欠損を認めた.全身麻酔中の肺梗塞発症の報告例は少なく,ほとんどはなんらかの塞栓子発生の原因を有している.本症例では術前に塞栓子を形成していたとは考えにくく,ショック直後に肺梗塞の診断を下す根拠は乏しかったが,心停止前後の経過,諸検査結果より最終的に肺梗塞を強く疑い,早期に抗凝固療法を開始し救命しえた.全身麻酔中に,原因不明の突然の呼吸循環動態の変化が生じた場合,肺梗塞は考慮されるべき合併症の一つである.
  • 篠原 昌之, 松本 勉, 奥田 泰久, 北島 敏光, 緒方 博丸
    1994 年 14 巻 10 号 p. 822-824
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    巨大喉頭蓋嚢胞を有する患者の麻酔を経験した.患者は67歳,男性で,画像診断で喉頭蓋舌面を覆っている径30mmの巨大嚢胞が確認され手術となった.通常の麻酔導入では換気困難および挿管困難が予想されたため,意識下気管支ファイバーを用いた挿管を施行し,特に問題もなく麻酔を終了した.
  • 武部 佐和子, 油布 克巳, 青野 寛, 山本 公三, 真嶋 良昭, 前田 正人
    1994 年 14 巻 10 号 p. 825-828
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    帝王切開術後にHELLP症候群と判明した症例を経験した.術前よりの高度乏尿から無尿となり,輸液や利尿薬投与にも反応しなかった.術後6時間ごろから高血圧の改善とともに利尿が得られるようになった.本症例の無尿の主な原因としては循環血液量の減少のほか,血管攣縮が考えられた. HELLP症候群は急激に発症し,予後も重篤なので,麻酔管理を円滑に行なうためには早期診断が重要であり,重症妊娠中毒症の患者が消化器症状を呈した場合には本症候群も念頭におく必要がある.
  • 佐原 まゆみ, 新田 俊一, 田代 勝己, 谷口 巧, 小林 勉
    1994 年 14 巻 10 号 p. 829-833
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    拡張相肥大型心筋症を合併した患者に対する後縦靱帯骨化症の手術麻酔を経験した.58歳男性で,術前より多源性期外収縮や心室頻拍を認め,左室駆出率は37%と低値であった.術中は腹臥位をとらせるため心室頻拍や心室細動に対処できるように監視除細動装置(FG-1400)を装着し,大量フェンタニールで麻酔した.導入直後,心係数の減少(1.6l/min/m2)と肺動脈楔入圧の上昇(19mmHg)を認めたが,ドパミンとドブタミンおのおの2μg/kg/minの少量投与により,良好な経過を得た.
  • 宮田 章正, 白崎 修一, 前田 朝平, 安澤 則之, 谷津 祐一, 土橋 伸行
    1994 年 14 巻 10 号 p. 834-837
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    リドカイン•テトラカインの共融混合物による局所麻酔軟膏を,成人20人,小児15人の術前点滴確保時に臨床使用し,その鎮痛効果および副作用を検討した.また,リドカインの血中濃度も同時に測定した.成人15人,小児11人で皮膚表面の完全な除痛が得られ,穿刺時の効果でも成人17人(85%),小児11人(73%)に有効と認められた.貼付部位に軽度の蒼白を5人に,発赤を4人に認めたが,手術終了時には消失していた.リドカインの血中濃度は0~0.1μg/mlの範囲内であった.リドカイン•テトラカイン局所麻酔軟膏は静脈路の確保をはじめとした処置時の皮膚表面麻酔に十分臨床応用可能と考えられた.
  • 谷口 淳朗, 浜谷 和雄
    1994 年 14 巻 10 号 p. 838-841
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    嘔気,嘔吐,めまい,左上下肢の失調を随伴した片頭痛発作に,延髄外側の脳梗塞(延髄外側症候群,Wallenberg症候群)を合併した48歳男性の1例を経験した.本症例では椎骨動脈造影とMRIにて後下小脳動脈の閉塞および延髄外側の小梗塞が確認され,片頭痛による脳梗塞(migrainous infarction)の1例と考えられた.
  • 滝 健児, 中山 雅康, 金谷 憲明, 佐藤 正子, 山澤 弦, 松本 真希, 並木 昭義
    1994 年 14 巻 10 号 p. 842-847
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    当科では,麻酔管理上の問題を有する患者の情報を早期より得るために,術前に麻酔科外来を受診させるシステムを作成し1989年より行なっている.受診者数は年々増加し,現在では全麻酔症例の13%を占めている.外来受診の原因となった合併症は,頻度順に循環器系疾患,呼吸器系疾患,神経•筋疾患であった.また全外来受診数の9%の患者で,検査•処置の追加が行なわれた.本システム施行後,前日または当日に手術が中止や延期になった症例の割合が全麻酔件数の約1%低下しており,不意の手術中止や対策不備の状態で麻酔を施行することが減少したものと考えられる.
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