術前2週間以内のかぜ既往,および,術直前のかぜ症状の有無が術中・術後の合併症に与える影響を検討した。7歳以下の小児306例を,里吉らのかぜスコアを用いて,Ia群:かぜ既往があり,術直前のかぜスコアが3点以上,Ib群:かぜ既往があり,術直前のかぜスコアが2点以下,II群:かぜ既往がなく,かぜスコアが2点以下の3群に分類した。対象手術は主に外科の鼠径ヘルニア,形成外科の体表の手術であった。
Ia, Ib群はII群より術中呼吸器系合併症が多かった。術後合併症はIa群で他の2群より有意に発生頻度が高かったが,Ib, II群間に有意差はなかった。以上の結果より,術前にかぜ既往がある場合,術直前のかぜ症状が顕著であれば予定手術は延期すべきである。しかし,かぜ既往があっても,かぜ症状がないか,軽度である場合は,必ずしも延期する必要はなく,総合的な判断が望ましい。
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