われわれは,臨床例において体外循環(CPB)下開心術中の,サイトカイン,特に好中球活性化因子として最近注目を浴びているインターロイキン8 (IL-8),インターロイキン6 (IL-6)の変動を明らかにすることにより,細胞障害との関係について検討した.対象は,成人体外循環下開心術症例11例で大量フェンタニール(100μg・kg-1),酸素麻酔を基本とした.その結果,(1)再灌流1時間後よりクレアチンキナーゼ(CK), CK-MB,好中球数,顆粒球エラスターゼ(GEL)の増加が認められたこと,(2)再灌流1時間後よりIL-8, IL-6の産生が増加すること,(3)IL-8とGEL, IL-8とCK-MBとの問に正の相関が認められることより,IL-8産生により活性化された好中球により細胞障害が起こる可能性が示唆された.
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