慢性肺塞栓摘出術の麻酔を2例計3回経験し,術中の右室機能の変化につき検討した。麻酔法は症例1では,酸素-フェンタニールにて,症例2では酸素-ハロタンにて行ない,手術は,開胸,片肺換気下に,肺動脈を閉塞して塞栓の摘出を行なった。また片肺換気下で,プロスタグランディンE
1 (PGE
1)を投与し,その前後での循環動態の変化を測定した。術側肺動脈遮断により血圧,心拍出量の低下する症例がみられ,その原因として肺血管抵抗上昇による右室後負荷の上昇と右室収縮機能の低下が考えられた。肺動脈カテーテルよりのPGE
1投与は,肺血管抵抗には変化を与えず,体血管抵抗を低下させ,血圧の低下を招く可能性がある。
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