術後に,異型狭心症と診断された患者の前立腺全摘術において収縮期圧80mm Hg台の術中の血圧低下に対し,3種の昇圧薬の投与を行なった.エチルフェニレフリン,フェニレフリンの投与ではST変化はみられず,血圧は改善したが,ドーパミン投与直後にSTの上昇と血圧低下がみられた.本症例は,異型狭心症患者にドーパミンを使用する際には,他の昇圧薬よりも冠スパズムを発生しやすいので,慎重を期する必要があることを示唆している.また,高血圧症患者では,本症例のように,術前にニフェジピンなどの服用により異型狭心症の自覚症状がみられない場合があるので,十分な術中管理が必要である.I はじめに術中の冠スパズムの発生に昇圧薬の投与が関与していることを示唆する報告は多いが,どの薬剤が,よりスパズムの発生に関与しているかは明らかではない.今回,術後,異型狭心症と診断された患者の前立腺全摘術において収縮期圧80mm Hg台の血圧低下に対し,エチルフェニレフリン,フェニレフリンの投与ではST変化はみられず血圧上昇が得られたが,ドーパミンの投与後にST上昇,血圧低下をきたした症例を経験したので報告する.
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