全身麻酔予定患者26人を対象として,経口クロニジン前投薬がチアミラール,サクシニルコリンによる麻酔導入と気管内挿管時の循環動態に及ぼす影響を検討した.クロニジン群(n=12)にはクロニジン5μg/kgを90分前に経口投与し,対照群(n=14)には,投与しなかった.クロニジン群における,入室時,サクシニルコリン投与30秒後,60秒後,挿管直後および挿管5分後の収縮期血圧は対照群に比べ有意に低かった.収縮期血圧180mmHg以上の高血圧はクロニジン群の1名,対照群の8名で差がみられた(P<0.05).クロニジン群の心拍数は,睫毛反射消失時,サクシニルコリン投与30秒後,および挿管直後において対照群に比較して有意に低値であった.経口クロニジン前投薬はチアミラールとサクシニルコリンによる麻酔導入と気管内挿管時の血圧,心拍数を低値に抑制し,異常高血圧の発生を有意に減少させた.
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