経食道心エコー法TEEを用いて気腹法および吊り上げ法腹腔鏡下胆嚢摘出術(LSC)中の左室機能を調べた.合併症のない20人(気腹群:11人,吊り上げ群:9人)を対象とした.TEEにより1回拍出量(SV),左室駆出率(EF),左室拡張早期流入血流速(EV),心房収縮期流入血流速AV,そのA/E比などを測定した.(1)麻酔導入後,(2)気腹(吊り上げ)直後,(3)約30度の頭部挙上後,(4)気腹(吊り上げ)30分後,(5)気腹(吊り上げ)解除10分後に計測を行なった.EF,SVは,気腹群で,気腹中および吊り上げ群と比し有意に低下した.A/E比は,気腹群で,1に比し有意に上昇した.また,気腹群では,SVとA/E比は,r=0.451 (P<0.01)の相関関係があり,気腹ガスによる左室拡張能障害も心機能抑制を起こしている可能性が示唆された.
抄録全体を表示