日本臨床麻酔学会誌
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20 巻, 7 号
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  • 後藤 宏
    2000 年 20 巻 7 号 p. 417-421
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
  • 林 和子, 重見 研司, 杉町 勝, 田中 義文
    2000 年 20 巻 7 号 p. 422-429
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    左心-動脈カップリング(Ees/Ea)は,負荷非依存性の左心室収縮能力(Ees)と動脈の後負荷(Ea)との比率であり,心ポンプ機能を表わす優れた指標である.私たちは,心収縮期時間と動脈圧を用いてEes/Eaを容易に1心拍ごとに算定する方法を開発してきた.今回はこの方法の臨床応用として,食道聴診器に取り付けたコンデンサマイクから取り込んだ心音と,心電図,橈骨動脈圧を同時にコンピュータに取り込み,これらを用いて実際にEes/Eaを算定する装置を試作し,手術中のEes/Ea推移を自動モニタリングしてその有用性を検討した.術中のEes/Eaモニタリングは,血管作動薬,強心薬,出血等による循環動態の変化をよく反映した.
  • セボフルラン麻酔とプロポフォール麻酔との比較
    鎮西 美栄子, 津高 省三, 鎮西 恒雄, 長田 理, 田上 恵, 花岡 一雄
    2000 年 20 巻 7 号 p. 430-439
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    催眠レベルの指標として脳波のBispectral Index(BIS)と,心拍変動のリアルタイムな指標として期待されるエントロピー(ENT)とを同時測定し,セボフルラン(SEV)麻酔(チアミラールとSEV吸入による急速導入後,SEV-亜酸化窒素吸入で維持)とプロポフォール(PF)麻酔(PFをTarget controlled infusionで急速導入後,PF-亜酸化窒素吸入で維持)のBISとENTに及ぼす作用を比較した.SEV及びPFによる麻酔導入後,BISとENTはいずれも減少した.SEVはPFと比較して,BISの抑制が小さい濃度でもENTの抑制が大きかった.BISとENTでみる限り,SEVとPFはいずれも,催眠作用と心拍変動の抑制作用を併せもつが,SEVはPFに比べると相対的に心拍変動への影響が大きい可能性が示唆された.
  • マスクを顔面から離した場合の検討
    城山 和久, 河本 昌志, 弓削 孟文
    2000 年 20 巻 7 号 p. 440-443
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    35歳以下の健康成人14名を対象とし,マスクを顔面から離して酸素投与した場合の深呼吸法の有用性を検討した.酸素流量を6l•min-1あるいは9l•min-1,マスクと顔面の距離を2.5cmあるいは5.0cmとし,30秒間の4回深呼吸後と30秒間の安静呼吸後の終末呼気酸素濃度を比較した.深呼吸法と安静呼吸法の終末呼気酸素濃度はそれぞれ流量6l•min-1,距離2.5cmで27%,25%,流量6l•min-1,距離5.0cmで21%,20%,流量9l•min-1,距離2.5cmで32%,29%,流量9l•min-1,距離5.0cmで23%,21%(中央値)で,いずれも深呼吸法で有意に高かった.マスクを顔面から離して酸素投与した場合,終末呼気酸素濃度を早く上昇させる点で,深呼吸法は安静呼吸法と比較して有用である.
  • インドシアニングリーン(ICG)負荷試験を指標にして
    松本 延幸, 土屋 雅彦, 小泉 實意子, 村上 康郎, 水上 智, 松本 勲
    2000 年 20 巻 7 号 p. 444-448
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    セボフルラン麻酔時の肝血流量に及ぼすジルチアゼムの影響をインドシアニングリーン(ICG)負荷試験により測定した.対象は手術侵襲が肝循環に与える影響や全身循環動態の変動が少ない膝関節鏡手術患者8名で,前回報告のセボフルラン麻酔単独群8名と比較した.ジルチアゼム投与はセボフルラン麻酔開始から5μg•kg-1・min-1で持続投与し,麻酔前と麻酔開始2時間後にクリアランス法でICGを,インピーダンス法で心拍出量を測定した.ジルチアゼム投与群では非投与群に比べて,心拍出量とICG消失率が良好な状態で維持されたことから,少量のジルチアゼムの持続投与は心拍出量の減少を抑制し,麻酔中の肝血流量を良好に保つものと考えられる.
  • 丹野 英, 大江 恭司, 布宮 伸, 村田 克介, 大竹 一栄, 窪田 達也
    2000 年 20 巻 7 号 p. 449-453
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    人工呼吸管理下の患者に,プロポフォールを夜間のみの鎮静目的で使用した際の血中脂質代謝と細胞性免疫に与える影響について検討した.食道癌術後患者を対象とし,術後より7日間,午後10時から翌朝8時まで持続投与を行なった群(Prop群)とミダゾラム単回静注を適時行なった群(non-Prop群)に分け,術後1,3,7日目の血中脂質,Con A活性,NK活性を測定したところ,Prop群でnon-Prop群に比してHDL-コレステロールの有意な減少及びNK活性の有意な上昇を認めたが,Con A活性には有意な変化を認めなかった.Prop群でのプロポフォールの平均投与量は1.9±0.5mg・kg-1•h-1であった.プロポフォールによる鎮静は細胞性免疫を抑制することはないが,夜間のみの間歇的投与であっても7日間以上のプロポフォールの使用は低HDL血症から高脂血症に陥る可能性が示唆された.
  • BISを指標としたプロポフォール鎮静下において
    磯山 裕子, 尾崎 眞, 森岡 宣伊, 松川 隆, 鈴木 英弘
    2000 年 20 巻 7 号 p. 454-459
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    Bispectral Index(BIS)を指標にして,プロポフォールによる鎮静を十分に深いレベルに保ったうえで,気管挿管時の血圧上昇と頻脈を抑える目的で,ジルチアゼム及びニカルジピン投与の効果を比較検討した.婦人科予定手術62症例をプロポフォール(P),プロポフォール+ジルチアゼム(P+D),プロポフォール+ニカルジピン(P+N)の3群に無作為に分類し,BISを挿管時40以下に維持して入室から挿管10分後までの平均血圧,心拍数を比較した.平均血圧は挿管により直前の値に対して3群とも有意に上昇したが,上昇の度合いはP群に比べてP+D,P+N群で有意に抑制された.心拍数はP群と比較してP+D,P+N群で有意に上昇した.プロポフォールにより十分な鎮静状態にある場合,挿管による交感神経刺激反応を抑制するためのジルチアゼムやニカルジピンの投与は,代償性の頻脈を強く引き起こす可能性があることが示唆された.
  • 吉岡 秀樹, 鎌田 信仁, 中村 敏克, 長尾 乃婦子, 志賀 健人, 木村 邦之
    2000 年 20 巻 7 号 p. 460-464
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    出血性ショック等から術中心停止に至った,頸部脊髄損傷を合併した外傷性弓部大動脈損傷の緊急手術の麻酔を経験した.
    70歳,男性.転落事故後,発見から約45分後に当院に搬入.到着時意識レベルはJCS20で,到着直後に呼吸停止に陥り,気管挿管,人工呼吸を施行した.両下半身の完全麻痺,貧血及び血圧低下の進行があり,C6~7の脊髄損傷及び弓部大動脈損傷,両側血胸の診断で,大動脈吻合術が施行された.麻酔は大量フェンタニル及びパンクロニウムで導入,維持した.術前術中に頸部脊髄損傷と大量出血による急激な血圧低下から心停止に陥ったが,頸髄損傷に起因する以外の障害を起こさずに救命し得た.
  • 奥田 友宏, 木村 太, 鎌田 信仁, 長尾 乃婦子, 中村 敏克, 木村 邦之
    2000 年 20 巻 7 号 p. 465-468
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    大動脈弁狭窄症患者の大動脈弁置換術に際して,人工心肺から離脱直後に経食道心エコー(以下TEE)画像にて,左房内に術前の経胸壁心エコーではみられなかった腫瘍様陰影が発見された症例を経験した.人工心肺を再開し,直視下で原因を検索したが,原因は明らかにできずに手術を終了した.術後1ヵ月のTEEでも左房内腫瘍様陰影を認めたが,術後に施行したCTやMRI検査では左房内に腫瘍はみられなかった.術後に,TEEにて腫瘍様陰影を呈する疾患について考察した結果,左心耳と左肺静脈の折り返しが腫瘍様にみえたのではないかと考えられた.
  • 譜久山 寛, 瀬戸 篤, 新島 邦行, 竹中 伊知郎, 門屋 辰男
    2000 年 20 巻 7 号 p. 469-471
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    深部静脈血栓症を合併した患者の人工膝関節全置換術の麻酔を経験した.周術期の肺血栓塞栓症を防止するため,術前,一時的下大静脈フィルタ(TIVC-F)を挿入して,全身麻酔下で手術を行なった.周術期,特に問題はなかった.TIVC-Fを抜去した時,フィルタ内に小さな新鮮な血栓が付着していたが,フィルタが血栓塞栓子を捕捉したのか,血栓がフィルタ内で形成されたのか病理学的に鑑別できなかった.
  • 佐藤 恵理, 荻野 祐一, 関 慎二郎, 吉川 大輔, 守田 敏洋, 後藤 文夫
    2000 年 20 巻 7 号 p. 472-475
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    まれな疾患である小児の重症筋無力症(MG)に対する胸腺摘出術の麻酔管理を経験した.患者は10歳の女児で,1歳3ヵ月で眼瞼下垂が出現し,その後は軽快・再燃を繰り返していた.3ヵ月前より嚥下困難が出現し,抗コリンエステラーゼ薬によるコントロール不良のため胸腺摘出術が予定された.チオペンタールの投与のみでTOFR(train-of-four ratio)の漸減がみられ,イソフルラン2.3%の吸入でT1も低下した.15分間マスク換気し,T165%, TOFR72%に低下したところで,気管挿管した.麻酔は亜酸化窒素,酸素,イソフルランにフェンタニルを適宜加えて維持し,筋弛緩薬は使用しなかった.吸入麻酔停止後,すみやかに自発呼吸が出現した.コントロール不良のMGであったが,筋弛緩薬の使用を避けることにより,安定した周術期管理を行なうことができた.
  • 山本 純, 川名 信, 佐藤 紀, 並木 昭義
    2000 年 20 巻 7 号 p. 476-479
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    ディスポーザブルパルスオキシメータセンサ(マリンクロット社製,typeIID-20)の使用回数,時間と測定精度について検討した.橈骨動脈カニュレーション後,SpO2と末梢循環の指標のPERFをroom air下で測定し,血液ガス分析を行なった.センサの精度は以下の式よりprediction error(PE)を求め,評価した.
    PE=(SpO2-SaO2)/SpO2×100
    今回の研究の結果から,使用回数及び使用時間によって,PEの平均値には統計的に有意な差は生じなかったが,3回以上使用するとPEが3%を超すセンサが出現することが示された.センサのチェック装置を導入することで,ディスポーザブルセンサを複数回使用することが可能となることが考えられた.
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