周術期患者の情動状態の推移を検討するため,悪性疾患患者12例と良性疾患患者18例に感情プロフィール検査である日本語版Profile of Mood States(以下POMSテスト)を施行した.POMSテストは緊張,抑うつ,怒り,活動性,疲労,情緒混乱の6因子につき分析した.その結果,緊張,抑うつ,情緒混乱の3因子は良性疾患患者では術後有意に低下し,活動性が有意に増加した.悪性疾患患者では全因子が周術期を通じて有意に変化せず高値を持続し,術後1週目から3週目まで活動性以外の5因子が良性疾患患者に比べ有意に高かった.したがって悪性疾患患者では術後も情動状態の改善がみられず,周術期の十分な心理面でのケアの必要性が認められるとともに,精神心理面の客観的評価としてのPOMSテストの有用性が示唆された.
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