手術後に問題となる皮膚損傷の原因を前向きに調査した.手術室入室時,手術終了時,翌日午前に仙骨部・臀部と踵部を観察し異常の有無を記録した.仰臥位で手術を受けた患者384例中6例において,術後1~2日目から3日以上持続した発赤,水疱あるいは潰瘍が発生した.手術終了時の観察記録で熱傷は認められず,また仙骨部・腎部への皮膚消毒液の流入もみられなかった.したがって,皮膚損傷のおもな原因は,電気メス熱傷や消毒液による炎症ではなく,褥瘡であることが明らかになった.褥瘡の発生と年齢,術式,手術時間,麻酔方法との間に有意な関連は見出せなかった.防止対策には術後の体位変換が重要と思われた.
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