術中,SpO
2の低下によりメトヘモグロビン(MetHb)血症が発見され,術式を変更とした1例を経験した。患者は64歳,男性。肺癌の診断で,右肺上葉切除術を予定した。麻酔導入中のSpO
2は93%と低値であったが,動脈血液ガス分析ではPaO
2 546mmHg (FIO
2=1.0)と高値であった。MetHbが10.2%と高値を示していたことがわかり,術式を肺部分切除術に変更した。分離肺換気中,SpO
2は92~94%で推移したがPaO
2の低下は認められなかった。呼吸器外科関連手術では低酸素血症によるトラブルが生じやすいため,本症例のようなMetHb血症の存在は周術期呼吸管理を難しくする一因となる。
抄録全体を表示