ムコ多糖症の一型であるMorquio症候群の患者で, アデノイド切除, 両鼓膜チューブ留置術後に, 上気道浮腫をきたし, 遷延性肺炎を生じた症例を経験した. 麻酔導入時は特に問題なく, 挿管も容易であった. 術中, 出血のため手術に時間を要した. 術後, 一回換気量300m
l および呼気終末二酸化炭素分圧40mmHgであったため抜管した. しかし, 上気道閉塞による末梢動脈血酸素飽和度低下のため再挿管し, ICUに入室, 人工呼吸管理を開始した. 気管支および喉頭ファイバー検査で, 気管, 咽喉頭粘膜の浮腫, および発赤を認めた. 術後6日目に抜管し, ICUを退室したが, その後遷延性の肺炎を認めた. 本症候群患者の上気道手術においては, 術前・術中・術後を通して上気道評価, ならびに呼吸管理が重要である.
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