日本臨床麻酔学会誌
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25 巻, 7 号
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Lecture
  • Bert Dercksen M. D.
    2005 年 25 巻 7 号 p. 571-579
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      In this lecture I will try to give you an overview of the current status of Cardiopulmonary Resuscitation (CPR) in the Netherlands and in Europe. After a short introduction concerning the subject and a brief description of CPR in a historical perspective, I will go on with a description of Basic Life Support (BLS) as it is advised and performed in the Netherlands and in the rest of Europe. I will talk about the different BLS-CPR schemes that (used to) exist in Europe, and the controversy between the ABC and CAB schemes. I will describe the proven and suggested advantages and disadvantages of both schemes.
      Thereafter I will go into the subject “CPR without rescue ventilation” , because different studies suggest that the importance of the P-part (Pulmonary-part) in CPR is overestimated, and that under certain circumstances BLS without rescue ventilation is as good as the more common variant BLS with ventilation. These studies can also be used to support the CAB sequence or so to say the “Dutch view on BLS” .
      After a summary I will come to a conclusion.
—日本臨床麻酔学会第24回大会 パネルディスカッション—
術前麻酔科管理の問題点を徹底検証するPBL (Problem based learning)
  • 弓削 孟文
    2005 年 25 巻 7 号 p. 580-581
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
  • 稲田 英一
    2005 年 25 巻 7 号 p. 582-587
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      術前評価において術前検査のおもな役割は, 病歴や身体所見から示唆される病的状態の程度を評価し, 周術期の管理計画を立てる手がかりとなることである. 術前検査は, 患者のもつ疾患, 予定術式, 検査の特性などから決定される. それぞれ感度や特異度が100%という検査はなく, 偽陽性や偽陰性が起こりうる. さらに, 検査を行う患者群の有病率によっても, 感度や特異度は異なる. 心電図, 胸部X線検査, ヘモグロビン濃度測定などの術前検査はスクリーニング検査としての意義は低く, 病歴や身体所見から示唆されるものについて行うべきである.
  • 白石 義人, 安澤 則之
    2005 年 25 巻 7 号 p. 588-594
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      医療は一種の契約 (委任あるいは請負契約) に準じたもののうえに成立していると考えられる. 医師の説明義務が生ずる理由としては, (1) 患者の身体的侵襲を伴い, その違法性を阻却する必要性から患者自身の承諾を受けることが要請され, その前提としての必要性, (2) 人は自らの生き方を自ら決定する権利 (自己決定権) と知る権利を有しており, その権利に寄与するため, (3) 転医判断に関する情報提供および患者に対する適切な療養の指導の必要性, (4) 悪しき結果が発生した場合に患者の納得を得るため, と考えられる. 医師は, 患者等に対していかなる内容についていかなる範囲でその義務を負っているのかが問題となる. 医師は種々の情報を説明する場合, 基本的に医学的には素人である患者や家族の理解力, 認識力, 判断力, 年齢などを考慮し, さらに説明を受ける際の患者の精神状態を踏まえたうえで患者や家族の理解度をチェックしながら図や写真を使用するなどわかりやすい説明を心掛ける. また, 後から医師の説明を振り返るために, 必要最小限のことが記載されているパンフレットが配布されることが望ましい. 説明の有効性の条件は (1) 話し手が事態をよく理解していること, (2) 相手に理解させる知識と能力があること, (3) 説明する時間的余裕があること, (4) 聞き手に理解する知的レベルがあること, (5) 聞き手の情緒が安定していること, があげられる. 当院では, 原則として麻酔担当者が手術前日に麻酔科・蘇生科外来に患者を呼んで術前診察を行っており, その際, 術前診察のスーパーバイザー (専門医) が麻酔同意書を示し, (1) 麻酔方法, (2) 具体的な医療行為 (点滴, 気管挿管等) , (3) 麻酔の危険性 (日本麻酔科学会の偶発症例調査と当院の統計) , (4) 起こりうる合併症, (5) 非常にまれだが重篤な合併症, 等をチェックしながらインフォームドコンセントを得ている. 今日, 医師と患者間は, ますます冷たい債権債務関係, 対立関係としてみられる傾向にある. 本来医療は, 医師と患者が共同で疾病に対処するべきものであり, 両者の信頼関係を前提に出発して, 初めて成り立つことを再認識すべきである.
  • 中尾 三和子
    2005 年 25 巻 7 号 p. 595-602
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      麻酔管理において術前診察の果たす役割は今も変わらず重要であるが, いつ, どこで, 誰が行うかについては施設によって異なってきている. 県立広島病院における術前診察は, 通常, 手術1~2日前に, ベッドサイドで, 研修医を含めた担当麻酔科医が行う. 問題症例, 日帰り手術, 当日入院患者は術前診察担当麻酔科医が外来で術前診察を行う. 当院で手術を受けた患者60名へのアンケート結果では, プライバシーの保護, 家族への説明, わかりやすい言葉で話すなどの問題点が明らかになった. 今後これらの問題点を解決できれば, 担当麻酔科医が術前診察する方法は, 研修医の教育や患者との信頼関係を築くうえで優れた方法と考える.
  • 津田 喬子
    2005 年 25 巻 7 号 p. 603-607
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      術前診察は麻酔科周術期管理の第一歩である. 術前診察を受ける患者は, 患者の医学的問題点や手術・麻酔の危険度をわかりやすい言葉で, 誠実な態度で麻酔専門医から説明してもらいたい, 最適の術前処置を行ってもらいたい, 危機に面したときには最善の対応をすることを約束してもらいたいと願っている. 今日のように個々の患者の価値観や期待に適合する医療サービスが求められる状況下では, 医療者側に都合のよいシステムではなく, 現状の要望に応えるために術前診察のあり方や術前評価法の再構築が必要となってきた. 手術侵襲下の生体防御医学専門医としてリーダーシップを発揮すべき立場にある麻酔科医は, 個々の患者の期待や要望に適合する新たな術前診察システムを, 各施設の状況に合わせて構築することが重要であると考える.
—日本臨床麻酔学会第24回大会 ワークショップ—
TEE workshop II TEEをCABGの臨床にいかす
  • 野村 実
    2005 年 25 巻 7 号 p. 608-609
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
  • 長沢 千奈美, 野村 実, 尾崎 眞
    2005 年 25 巻 7 号 p. 610-615
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      OPCABは, スタビライザー等の周辺機器の急速な発達によりgraft開存率が向上し, 安全性の高い術式となってきたため, 近年, 多くの施設で標準術式となりつつある. 一方で吻合中の心筋虚血, 圧迫や脱転による循環動態の不安定化といった問題は残されたままである. OPCAB中の循環動態が不安定になる原因として, スタビライザーによる右室の拡張障害が指摘されているが, 今回, われわれの3次元経食道心エコーによる左室拡張終期容量測定で, 冠動脈吻合中は約60%まで前負荷の減少が認められた. OPCAB中の循環動態が不安定になる原因として, このような左室拡張終期容量の減少と, さらに症例によっては心筋虚血や僧帽弁逆流などが合併し, これらが複合的に起こる結果と思われる.
  • 清野 雄介, 野村 実
    2005 年 25 巻 7 号 p. 616-625
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      麻酔科医はTEEの結果を直接術中管理に反映させることができるが, 忙しい麻酔管理中にいかに効率的にTEEを行うか, 正確に診断するかということは大きな問題である. TEEを効率よく行うためには, 診るポイント・診る順序を決める, 視覚的評価の多用, 外科医や人工心肺技士との画像の共有といった点が重要である. CABGにおいては局所壁運動異常, 左室機能, 動脈粥状硬化病変・弁疾患などの術前に認識されていない病変の評価を行い, さらにOPCABの場合には脱転時の圧迫所見, 三尖弁・僧帽弁逆流の増加がないかを併せて確認する. また, 種々のカテーテル, カニューレ留置のガイドとしての使用, 心内遺残空気の確認は患者の安全を守るために役立つ.
  • 金 信秀
    2005 年 25 巻 7 号 p. 626-636
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      冠動脈疾患に合併する僧帽弁逆流症は, 通常の僧帽弁逆流症と異なり, 弁組織自体の異常はなく, 弁下組織を含む左室全体の形態異常や, 壁運動の異常が複雑に重なって起こる病態である. 原因は単純な弁輪拡大だけではなく, 腱索による弁尖の引きつれ (tethering) が大きく関与しており, 弁輪形成のみですべて解決するわけではない. 治療方針については, とくに中等度の僧帽弁逆流を合併した冠動脈疾患患者に関してさまざまな意見があり, また, 新しい治療法も模索されている. 麻酔科医として, 経食道心エコーを使って逆流程度を把握することはもちろん重要であるが, それだけにとどまらず, 病態や手術法の選択肢について深く理解し, 実際の臨床に役立てたい.
講座
  • 光畑 裕正
    2005 年 25 巻 7 号 p. 637-644
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      重症患者では中心静脈カテーテル (CVC) によるカテーテル関連血流感染 (catheter-related bloodstream infection: CRBSI) が比較的多くみられ, その管理は臨床上重要な問題である. クロルヘキシジン/スルファジアジン銀含有CVC (ARROWgard Blue® Catheters, Arrow International) はカテーテルcolonizationとCRBSIを有意に減少させる. 頻度は非常に低いものの, 副作用としてクロルヘキシジンによるアナフィラキシーが報告されている. 免疫不全状態にある重症患者にクロルヘキシジン/スルファジアジン銀含有CVCを使用するときには, その利益 (感染の防御) と不利益 (アナフィラキシーの発症) の利益衡量を考え適応を決定する.
  • 宮尾 秀樹, 小山 薫, 小高 光晴
    2005 年 25 巻 7 号 p. 645-651
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      心機能の評価法であるフォレスター分類は圧と流量を二次元で表し, 単なる物理量の目安で, 酸素需給バランスの考えは入っていない. したがって, 酸素消費量が極端に変化する病態 (麻酔中, 低体温時は低い酸素消費/重症感染症, 高体温時は高い酸素消費) では, 病態の評価が困難になる. 一方, 適正な酸素需給バランスの維持の指標として, Svo2 は動脈血酸素飽和度, 酸素消費量, Hb値, 心拍出量で決定される数値であり需要と供給の両面を反映する. しかしSvo2 では評価できない体循環のシャント増加, 酸素摂取率の低下の評価に乳酸値は重要である. この両者は麻酔中や重症患者管理に有用な指標である. 本稿ではSvo2 と乳酸値の意義と有用性について概説する.
原著論文
症例報告
  • 舘岡 一芳, 河本 瑞穂, 櫻井 行一, 安田 茂, 高畑 治, 岩崎 寛
    2005 年 25 巻 7 号 p. 657-661
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      全身麻酔症例の術中覚醒に関する前向き調査を過去2年間にわたって行った. 全身麻酔1,872例中2例に術中覚醒を認めた. この2例は手術室入室時ショック状態を呈していた. 麻酔中, 両症例のBIS値は60以下であったが, 血圧を維持するために十分量の鎮痛薬は使用できなかった. BIS値は安定した血行動態のもとで十分な鎮痛が得られている状態で評価するべきであり, 術中の鎮痛が不十分となる可能性が高いショック状態の症例では, BIS値による鎮静度の評価は術中覚醒を回避できない可能性が示唆された.
  • 大森 亜紀, 中畑 克俊, 山田 伸, 弘中 康雄, 伊良波 浩, 畑埜 義雄
    2005 年 25 巻 7 号 p. 662-665
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      症例は2歳, 男児. 生後よりファロー四徴症と診断されていた. 今回, 心室中隔欠損閉鎖術, 右室流出路筋肉切除および肺動脈弁切開術が施行された. 手術中, 脱血管挿入中に突然経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) が100%から92%に, 収縮期血圧が100mmHgから60mmHgに低下した. Anoxic spellを疑い, ランジオロール0.4mg/kgを投与したところ, SpO2, 血圧ともに速やかに回復し, 高度徐脈, 心不全などの合併はなかった. ランジオロールがファロー四徴症児のanoxic spellの治療薬として有用である可能性が示唆されたが, その至適投与量については今後の検討を要する.
  • 寺田 享志, 豊田 大介, 牧 裕一, 高橋 宏行, 濱田 良一, 落合 亮一
    2005 年 25 巻 7 号 p. 666-669
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      小児腎移植手術中に心嚢液の貯留をきたした報告は, われわれが検索した範囲内ではない. 今回, 血液型不適合の小児腎移植手術中に, 心嚢液の貯留を経食道心エコーモニターにより評価した症例を経験したので報告する. 症例は10歳, 女児で, 血液型不適合腎移植術を施行された. 術中に経食道心エコーモニターにより心嚢液貯留像を認めた. 術前の血漿交換, 手術中の大量出血とそれに伴う大量輸血および輸液のため心嚢液貯留が起こったものと考えられた. 本症例において経食道心エコーモニターは, 心嚢液貯留を発見するのに有用であった.
短報
  • 杉浦 良啓, 川上 浩文
    2005 年 25 巻 7 号 p. 670-674
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      疼痛外来の 「医療の質」 を知る目的で患者満足度調査を実施した. アンケート内容は, 人的サービス, 施設と機能, 時間管理, 医療情報提供, 麻酔科全体の印象の5項目で, 総数29の質問を設けた. 評価は 「不満」 を1点とし, 「満足」 が5点の5段階評価とした. 回答者数は32名 (回収率78%) で, 年齢は68±11歳 (平均値±標準偏差) , 年齢範囲は34~84歳, 男性6名: 女性24名 (未記入2名) であった. 人的サービス, 時間管理, 麻酔科全体の印象の項目では5点と4点の合計が60%以上を占めていた. 一方, 施設と機能, 医療情報提供では5点と4点の合計が60%以下の質問を認め, これら2つの分野での改善が必要なことがわかった.
第11回日本麻酔・医事法制 (リスクマネジメント) 研究会
  • 天方 義邦, 野坂 修一
    2005 年 25 巻 7 号 p. 677-683
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      医療事故の発生は医事紛争を引き起こして, ときには訴訟に発展することがある. これを防止するために, この医療過誤の発生そのものを起こさないようにするのはもちろんのこと, 医療に関する法的な考慮と予備知識を討議し, 研究する場として日本麻酔・医事法制 (リスクマネジメント) 研究会が重要な役割を果たして現在に至っている. これまでの成果で, 重要かつ基本的な問題について振り返って紹介するものである. まず, 医事紛争には原因があり, ときには賠償責任があること, 医療は医師法, 医療法, およびその他の関連する法律, ときには刑法などの法律によって規定された特殊な業務が中心となるものである. 医療過誤は許されないものであることを強調し, これまでの当研究会を振り返って温故知新としたい.
  • 石山 忠彦, 増井 健一, 熊澤 光生
    2005 年 25 巻 7 号 p. 684-688
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      医療の安全を確保するため, インシデントレポートに報告された事象を検討し活用することの有用性が報告されている. 今回, 当科でインシデントの報告を始めた1999年の報告と, 2004年の報告について, その総数と内容を検討した. 1999年に比べて2004年は, 総数, 麻酔器に関連したインシデントは減少していた. しかし, 薬剤に関するものが増加していた. インシデントの総数の減少は, インシデントレポートによる情報共有や, インシデントへの対策が効果を発揮したものと考えられる. しかし, 麻酔器, 薬剤の安全確保は麻酔科医個人にほとんどすべてがゆだねられており, 今後もインシデントが繰り返される可能性が高く, さらなる対策が求められる.
  • 三浦 耕資, 境 徹也, 北條 美能留, 冨安 志郎, 澄川 耕二
    2005 年 25 巻 7 号 p. 689-692
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      近年, 医療における安全確保が強く求められているなかで, 長崎大学病院においても積極的に医療安全対策を行っているが, エラーは起こりうるものである. 今回われわれは, 当院手術部において施行した硬膜外麻酔に伴い, 合併症をみた3症例について検討したので報告する. 合併症の内容は, 気胸, 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome: CRPS) , および脊髄後索障害であった. いずれの症例においても, 合併症発生後に十分な説明と誠意ある対応を心掛け, 医事紛争には至らなかった. なんらかの合併症が生じた場合, 麻酔科を起点として関係各科と連携しながら, きめの細かい対応を行う必要がある.
  • 山下 和範, 福崎 誠, 寺尾 嘉彰
    2005 年 25 巻 7 号 p. 693-695
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      症例は47歳, 男性. 頸椎神経根性疼痛の治療目的で星状神経節ブロック (stellate ganglion block ; SGB) を行った. 患者にSGBに関する説明を行い承諾を得た後, 血液凝固能検査で異常のないことを確認した. SGB施行1時間後までは問題なく経過し帰宅したが, その後に呼吸困難を訴えたため緊急入院となった. 頸部血腫の診断のもと, 緊急止血・血腫除去術が施行された. その後の経過は良好であったが, SGBによる一連の経過に対してクレームが発生した. 1年半にわたる話し合いの末, 示談となった.
  • 福田 謙一, 笠原 正貴, 西條 みのり, 林田 眞和, 一戸 達也, 金子 譲
    2005 年 25 巻 7 号 p. 696-701
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      歯科治療行為による知覚神経障害は決して少なくない. 歯科領域の知覚神経障害は, 日常生活で容易に不快感を認識できるため, 患者を長期にわたって苦しめることがあり, 医事紛争に発展するケースもある. ここでは, 東京歯科大学水道橋病院歯科麻酔科・口腔顔面痛みセンターに通院している知覚神経障害患者のうち, 発症が医原性で医事紛争に発展した症例のなかから5症例 (症例1: インプラント埋入, 症例2, 3: 根管充填処置, 症例4, 5: 抜歯処置) を取り上げ, 歯科治療後知覚神経障害による医事紛争の現状と歯科臨床における問題点について報告した. 歯科治療における事前説明や事後対応は, いまだ十分に確立されていないのが現状であった.
  • 木内 淳子, 安部 剛志, 松村 陽子, 野坂 修一, 前田 正一
    2005 年 25 巻 7 号 p. 702-706
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/29
    ジャーナル フリー
      2003年末までに, 判例時報などの法律雑誌に掲載された麻酔科関連領域の判例について検討した. 全身麻酔および硬膜外麻酔に関しては, 麻酔専門医による麻酔管理も訴訟の対象となっていた. 病院開設者とともに, 麻酔担当医も被告となっている症例が半数を占めた. 救急医療の領域では, 過失と結果の因果関係に関して, 医療側に厳しい判例が平成12年に最高裁判所から出された. この判断の影響でその後の救急医療領域で, 同じような判断が3判例みられた. 説明義務については, 過失がない場合においても, 十分な説明に基づく同意がない場合は下級審判決が覆り, 最高裁で医療側有責とされた. 今後麻酔科医には, 医療水準に合致した医療と十分な説明が求められると考える.
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