日本臨床麻酔学会誌
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26 巻 , 7 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
—日本臨床麻酔学会第25回大会 シンポジウム—
臨床麻酔の教育:医学生指導, 研修医指導, 救急救命士の挿管指導
  • 眞下 節
    2006 年 26 巻 7 号 p. 615
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
  • 上村 裕一
    2006 年 26 巻 7 号 p. 616-620
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      麻酔科の教育として, これまでは専門医への教育に関心が向けられ, 最近では研修義務化に伴い研修医の教育に話題が集中している. 麻酔科における最大の問題であるマンパワー不足についても, 麻酔科医が働きやすい環境が最も重要な問題とされている. しかし, 医学生がまず講義・実習で麻酔科に興味をもち, 研修終了後に麻酔科を専門に選択しなければ, マンパワーの充実はあり得ない. 医学部入学時に将来麻酔科医になろうと思っている学生は皆無に近い. 6年間の医学部教育で, いかに医学生に麻酔科に対する興味をもたせるかが, 研修で麻酔科を選択しその2年後麻酔科を専門とする学生を増やすポイントである. 大学および認定病院での麻酔科教育カリキュラムの充実と, 医学生の教育にあたる麻酔科医がゆとりをもって麻酔科の重要性・将来性, そして魅力を学生に示すことができる教育体制をつくることが重要である.
  • 竹田 清
    2006 年 26 巻 7 号 p. 621-626
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      新医師臨床研修制度において, 麻酔科は基礎研修科に位置づけられ, すべてのローテート医師が研修することになった. 本稿では新制度の検証, 麻酔科指導医の意識変化, 麻酔科研修の自己評価, 新制度の麻酔科指向への影響について私見を述べた. 厚生労働省が行ったアンケート調査によれば, 新制度に満足している研修医は大学病院では3分の1にすぎず, 今後, より一層の大学病院離れが懸念される. すべての研修医に麻酔科をアピールする好機であると考えられるが, その反面, 指導内容には若干の軌道修正が必要かもしれない. 研修内容に関する自己評価では手技優先の傾向がうかがえた. 最後に, 科の選択には業務以外にも生活様式など 「生活の質」 が影響することを米国学生の調査結果から紹介した.
  • 寺井 岳三
    2006 年 26 巻 7 号 p. 627-636
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      救急救命士の気管挿管が認められ, 病院での気管挿管実習が始まった. 大阪労災病院で実習を修了した救急救命士12名の問題点として, 麻酔器を用いたマスク換気が十分にできず, 人形を用いた事前訓練による悪い癖がついているため喉頭鏡操作がうまくできないことがある. 気管挿管成功率は92±6%であり, 個人間で技術にばらつきがみられるが, 年齢と成功率には有意な相関はなかった. 合併症は咽頭痛が12.5%, 嗄声が19.1%にみられた. 指導医は, 救急救命士が気管挿管を行うことの意義をよく理解し, 気管挿管実習とは総合的な気道管理実習の一部であると認識しなければならない. まずマスク換気がしっかりできること, そして確実かつ合併症を起こさない挿管技術を指導することが重要である.
—日本臨床麻酔学会第25回大会 パネルディスカッション—
麻酔科医とオピオイド
  • 小川 節郎
    2006 年 26 巻 7 号 p. 637
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
  • 萩平 哲
    2006 年 26 巻 7 号 p. 638-645
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      現代のバランス麻酔において最も重要な要素は 「鎮痛」 であり, 硬膜外麻酔などの神経ブロックが併用できない手術においてはフェンタニルなどの麻薬が 「鎮痛」 の主役となる. 残念ながら現在のところ, フェンタニルの薬理学的特性を正しく理解して使いこなしている麻酔科医は少数派であると推定される. フェンタニルの薬理学的基礎から実際の臨床での使用法に関して解説し, 「麻薬恐怖症」 に罹患している多くの麻酔科医の意識改革を促したい.
  • 益田 律子
    2006 年 26 巻 7 号 p. 646-653
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      現在, 数多くの施設で疼痛管理者としての麻酔科医に信頼と期待が寄せられている. 手術室を離れ, 長期的管理を託される疼痛には, (1)がん性疼痛, (2)急性疼痛, (3)慢性非がん性疼痛があげられる. 前2者に対するオピオイドの有用性は論をまたない. 特に侵害受容性疼痛でみられる突出痛に対して, PCAを用いたオピオイド投与法は麻酔科医の最も得意とする手法である. また近年, 慢性疼痛における分子機構の解明から, 慢性非がん性疼痛においてもオピオイドの有効性が広く認識されるようになった. オピオイドによる長期的疼痛管理を成功に導くためには, オピオイド各投与経路の薬理作用および副作用とその対策についての知識, 起こりうる医療事故とその対策, 適応の決定, 原疾患に対する理解と展望, 受療者の社会的環境についても深い考察が求められる.
  • 行岡 秀和
    2006 年 26 巻 7 号 p. 654-663
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      オピオイドはICUで用いられる最も一般的な鎮痛薬である. 鎮痛には心筋虚血, 肺合併症の予防など利点が多いが, 良好な鎮痛を得るには看護師の鎮痛に対する認識や疼痛の評価が重要である. 疼痛の評価としては, Numeric Rating Scale, フェイススケールなどが有用である. 人工呼吸患者では看護師による総合的な評価, 交感神経緊張のサインを指標にする. またRamsay鎮静スケールなどを用いて, 鎮静深度を評価することも重要である. オピオイド投与法は, 筋注・静注などの全身投与と硬膜外投与に分けられる. 硬膜外オピオイドは意識レベルの低下, アジテーション発症の頻度が低いためきわめて有用であるが, 硬膜外鎮痛の禁忌に注意する. 局所麻酔薬との併用が一般的である. 人工呼吸中はオピオイドにプロポフォール, ミダゾラムなどの鎮静薬を併用する. わが国は欧米に比べて, 「オピオイドの使用量が少ない」 と指摘されている. オピオイドによる疼痛管理により, ICU患者が安全かつ快適に過ごすことが望まれる.
—日本臨床麻酔学会第25回大会 パネルディスカッション—
もはや全身麻酔に笑気は不要か
  • 奥田 隆彦
    2006 年 26 巻 7 号 p. 664
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
  • 萬家 俊博
    2006 年 26 巻 7 号 p. 665-670
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      最近, 地球環境に及ぼす悪影響や種々の副作用を理由に亜酸化窒素 (笑気) が使用されなくなる傾向にある. プロポフォールとフェンタニルによる全静脈麻酔や酸素・空気・セボフルラン吸入とフェンタニルを併用した方法によって麻酔が成立し, 管理になんら困難を感じないことが多い. しかし, 鎮痛作用を有する亜酸化窒素を併用すれば, セボフルランの維持濃度やフェンタニルの投与量を減らしても安定した血行動態を維持できる. また, 亜酸化窒素は術中覚醒の予防に有用といわれている. 余剰麻酔ガスの分解処理対策を行い, その欠点や副作用を考慮して対象症例を限定すれば, 亜酸化窒素は手術室における全身麻酔にも有用な麻酔薬としてまだ存在する余地はあると考える.
  • 坂井 哲博
    2006 年 26 巻 7 号 p. 671-673
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      日本における笑気の歴史的意味を, 松木明知氏が上梓した『麻酔科学の源流』をもとに概観した. 時代背景として, 朝鮮戦争の負傷者が急増したための在日米軍病院における笑気需要の増大があげられる. 連合軍司令部の要請を受け, 笑気製造に加えて笑気麻酔の普及が積極的に行われた. さらに忘れてならないのは, 電気メスの普及とともに, それまで行われていたエーテル麻酔中の爆発事故が注目を集めたことである. その対策としても笑気麻酔の普及は不可欠と考えられた. どの薬物をどのように用いるかは麻酔科医の哲学による. 決して, 表面的な知識と限られた経験だけで決定されるものではない. 深い知識と経験を共有する態度とともに, 時間の因子を加味した歴史的意味を深く認識することが重要である.
原著論文
症例報告
  • 井上 久, 山田 真樹, 松田 善文, 清水 恵子, 新井 丈郎, 奥田 泰久
    2006 年 26 巻 7 号 p. 679-682
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      ラリンジアルマスク (LMA) と気管支ファイバースコープ (BFS) を併用する挿管方法は, 小児の挿管困難症例に対して多く行われている. われわれは近年発売されたソフトシールラリンジアルマスク™ (S-LMA) を改良し, 小児の挿管困難症例に対応している. 今回, 気管挿管がきわめて困難であった多発奇形を有する患児に, 改良型S-LMAとBFSを併用して安全に気管挿管することができたので報告する.
  • 朝倉 雄介, 加藤 尚子, 伊藤 洋, 西脇 公俊, 藤原 祥裕, 小松 徹
    2006 年 26 巻 7 号 p. 683-690
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      慢性3枝ブロックをもち糖尿病, 特発性間質性肺炎を合併した患者の血栓による急性大動脈閉塞の解除術中に完全房室ブロックに移行した症例を経験した. 完全房室ブロックにより一時的に観血的動脈圧は0mmHgとなったが, 硫酸アトロピン, およびエピネフリンの投与により自己心拍が再開し, 神経学的な所見を残すことなく集中治療室にて覚醒した. 慢性3枝ブロックを合併した症例における術前の一時的ペースメーカー挿入の適応も含め, 若干の考察を加え報告する.
  • Yusuke ASAKURA, Naoko KATO, Yuko SATO, Hiroshi ITO, Yoshihiro FUJIWARA ...
    2006 年 26 巻 7 号 p. 691-697
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      赤芽球癆を合併した播種性再発胸腺腫の麻酔管理を通じoxygen extraction ratio (OER; 酸素摂取率) が赤血球輸血開始の有用な指標となると思われた手術麻酔症例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性. 再発胸腺腫胸腔内播種に対し胸腔内温熱化学療法が施行された. 患者は赤芽球癆を合併しており, 手術室入室時のHbは4.2g/dLであったが, 同時に測定された心係数は2.4L/min/m2, 混合静脈血酸素飽和度は74%, 酸素摂取率は20%であり, 慢性貧血による代償機転が働いていると判断されたため赤血球輸血は施行せず手術開始となった. 手術進行とともに心係数は5.3L/min/m2に上昇, 混合静脈血酸素飽和度は65%に低下, 酸素摂取率は30%に上昇した. 代謝が低下している全身麻酔中でのこれらの値の変化は覚醒させた際に代謝が上昇すると耐容能を超える可能性が予測されたため, 2単位の赤血球輸血を行ったところ, Hbは5.2g/dLであったが, 心係数は3.8L/min/m2に低下し, 混合静脈血酸素飽和度は83%に改善, 酸素摂取率は14%まで低下し, それ以上の赤血球輸血を必要とすることなく手術終了とともに手術室にて抜管することが可能であった. 赤血球輸血の厳密な適応は障害された酸素運搬能の改善にあり, 失われた循環血液量の補正のために赤血球輸血が施行されることは容認されない. 酸素運搬能の障害の度合いに対しての耐容能が個々の患者により大きく異なるため, HbやHtのみで赤血球輸血の適応は規定されない. 慢性貧血患者においては2, 3-DPGの代謝の変化により酸素解離曲線の右方シフトが生じ, 通常の急性貧血よりも貧血に対する耐容能が高くなることが予測されるが, このような症例における赤血球輸血開始の指標は現在まで明確に示されていない. 過去の急性貧血における報告ではOERとして40~45%が輸血開始として適正な指標となり, 50%が耐容能の限界に近いとの報告もある. 待機手術でのエホバの証人の手術麻酔時や, 不規則抗体を多くもつために輸血血液の供給に問題がある症例などにOERをモニタリングすることによりOERが40%を超えた場合, 手術を一時中断してもらうことなどにより生命に危機的な状況を回避できる可能性がある. 今後さらにその有用性を積極的に評価, 検討していくべきであると思われた.
  • 山崎 豊, 齋藤 厚, 高橋 巨
    2006 年 26 巻 7 号 p. 698-702
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術を予定された30歳代女性の麻酔において, 二分脊椎を疑わせる皮膚陥凹・多毛・脂肪腫などの身体的特徴がなかったので, その存在に気づかずに, 全身麻酔下にTh12-L1間からの硬膜外穿刺を行い, 下部脊髄を損傷した. 術後の磁気共鳴画像 (MRI) で, Th11からL2に二分脊椎を合併していることが明らかとなり, 脊髄円錐部に病変を認めた. これに由来すると考えられる右下肢の永続的な温痛覚障害と運動障害を認めた. 硬膜外穿刺時は下部腰椎より上部の二分脊椎の合併にも十分注意する必要がある.
短報
掲載論文関連講座
  • 高崎 眞弓
    2006 年 26 巻 7 号 p. 706-710
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      椎弓や棘突起が欠損する二分脊椎は, 腰仙部に多いが, まれに胸腰部にも認められる. ときに表面に現れずに潜在している. 腰仙部の場合, 同部位の皮膚に脂肪腫, 皮膚陥凹または多毛を認めることがあるが, このような皮膚症状があるときは, 脊髄円錐が尾側まで伸びていることもある. 骨欠損部の脊柱管背側に硬膜外腔が存在するかどうか明らかでないので, 硬膜外穿刺は行わない方がよい. 実施するなら脊髄くも膜下麻酔を勧める. ただし, 脊髄末端と神経根が通常と異なるので十分な注意が必要である. 胸腰部の二分脊椎では, 皮膚症状はない. 棘突起が触れず, 欠損しているようなら硬膜外穿刺は行わない. 腰仙部でも胸腰部でも, 欠損部より頭側で棘突起を触れるところなら硬膜外穿刺を行うことができる. 英国では, 成人でも全身麻酔下に硬膜外穿刺を行うことが多い. しかし, ドイツでは脊髄損傷, 神経損傷が多いことから, 成人の全身麻酔下での胸部硬膜外穿刺を禁止している. それ以外の国でも, 小児を除いて全身麻酔下での穿刺は, 行うべきでないとの意見が多い. 筆者も同じ意見である.
第12回日本麻酔・医事法制 (リスクマネジメント) 研究会
  • 山口 忍, 竹中 元康, 福岡 尚和, 棚橋 重聡, 飯田 宏樹, 土肥 修司
    2006 年 26 巻 7 号 p. 713-717
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      他科から依頼された中心静脈カテーテル留置において, 以下のような症例を続けて経験した. 1例目は数週間前から汎血球減少症が進行していたが未治療のままの状態であった. 2例目は7日前の検査では正常範囲内であった血小板数が留置当日の血液検査で急激に低下していた患者で, 主治医は当日の結果を未確認であった. 2症例ともに合併症発生の危険が高いと判断し, 当日の留置を延期した. 確認不十分のまま留置を行っていた場合, 重大な医療事故を生じかねなかったと思われたため, これらの内容をインシデント事例として当院安全対策室に報告した. その結果, 当院リスクマネジメント委員会で検討が行われ, 患者の血液凝固能に関する院内統一基準が設けられるに至った.
  • 石井 浩二, 趙 成三, 原 哲也, 澄川 耕二
    2006 年 26 巻 7 号 p. 718-721
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      近年, 医療行為におけるリスクマネジメントが強く求められるなかで, 当院では2003年に麻酔前指示票を作成し, 術前絶飲食指示方法を院内で統一した. しかし, 絶飲食の確認が十分になされていないことが判明し, 確認方法も院内統一とした. 今回, 術前絶飲食指示・確認方法の院内統一後に小児の麻酔導入時誤嚥性肺炎を経験し, 適切な術前絶飲食の確認およびその後の迅速な処置と対応により患者家族とのトラブルを避けることができた. 術前絶飲食など必須の処置は, 統一された適切な指示・確認方法を確立することがリスクマネジメントの観点から重要である.
  • 阿部 文明, 野中 明彦
    2006 年 26 巻 7 号 p. 722-726
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      輸血拒否患者に対する対応方法に関する報告は多い. その根拠となる最高裁の判決が平成12年に出されている. 輸血拒否問題についてどのような点が新しく判断されたのかを, その判決文および原審である東京高裁の判決文から読み取り, 実際に対応の仕方を変えなければならない点はどこにあるのかを探った. 絶対的無輸血の契約は有効であること, また, 輸血に対する医師側の態度をあらかじめ明示しておく必要性が示され, それらがなされないと患者の自己決定権を奪うことになり違法性をもつことが示されていた. 従来からの考え方と大きく変わることはないが, 対処方法をあらかじめ明示し, それを遵守することが特に重要となったことがわかった.
  • 久米 正記, 玉木 章雅, 若林 みゆき
    2006 年 26 巻 7 号 p. 727-729
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      当院にてガーゼ遺残事故を経験し, 体内異物遺残防止マニュアルを改訂した. 手術に用いる器具・材料はX線不透過の素材のものとした. 器械・ガーゼカウントの結果は記録用紙に残し, 診療録に添付することにした. 体腔内手術については, 手術後のX線撮影を義務化した.
  • 木内 理子, 石山 忠彦, 奥山 克巳, 樫本 温
    2006 年 26 巻 7 号 p. 730-733
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      79歳男性患者に冠動脈バイパス術が施行された. 手術終了後全身麻酔下に経鼻的に胃管を挿入した. 胃管を吸引した際に, 空気は少し引けたが胃内容物は吸引されなかった. このとき気道内圧の低下やカプノグラフィに変化がなかったため, 気管内への迷入はないと考え, 上腹部の空気の注入音の聴取は行わなかった. 患者は, 挿管のまま集中治療室に搬送された. 胃管は, 胸部X線写真で気管支内に迷入していることが確認されたため抜去された. 無気肺, 気胸, 肺出血などの合併症はなかった. われわれは, このインシデントを確認不足による胃管の気管内迷入例として院内に報告し, 麻酔科内の胃管挿入マニュアルを作成した.
  • 嶋田 文彦, 野坂 修一
    2006 年 26 巻 7 号 p. 734-741
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      近年, 麻酔をめぐっての医事紛争がみられるようになってきた. 今回われわれは, 麻酔科医として 「麻酔記録が医事法制上いかなる意義を有するか」 検討を試みた. 1) 現在複数の麻酔科認定病院において用いられている麻酔記録 (含麻酔前後記録) を集め, その医事法制的問題点について考察した. 2) さらに昨今の電子カルテ化の動きに合わせて, 電子化麻酔記録の実際とその医事法制的問題点についても考察した. 3) 全般的に, 麻酔前記録については充実していた. しかし麻酔中および麻酔後記録はインシデント等の記載スペースが不十分であり, 今後の改善検討が望まれる.
  • 木内 淳子, 松村 陽子, 客野 宮治, 野坂 修一, 前田 正一, 江原 一雅
    2006 年 26 巻 7 号 p. 742-749
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/22
    ジャーナル フリー
      説明義務に関する最近の判例を検討した. 説明義務違反が理由で敗訴となった判例が増加していた. 1. 説明していない術式に変更する場合, 本人の意思を確認しなければならない. 2. 一般的な治療方法でなくても, 相当程度実施されている治療法であれば, 説明しなければならない. 3. 美容整形の場合はより厳密な説明が要求されている. 4. 一般的な手術に関する説明のみでなく, その患者に対する個別的な説明が要求されている. 5. 一定の条件下では, 生命に対する価値観より患者の宗教的信条などの自己決定権が優先されると, 最高裁で明確にされた. 従来は合理的医師基準説がとられていたが, 具体的患者基準説をとったいくつかの判例がみられた.
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