子供が手術を受けると決まったとき, その手術の大きさにかかわらず, 児も親も麻酔や手術に対する不安感や恐怖感を感じるのは, 当然の感情である. それ故, 小児医療においては児の精神的愛護だけでなく, 親に対する精神的な援助も求められる. 麻酔科医や手術室看護師は, 手術前に患児や親と直接接触する機会を利用して, この不安感や恐怖感の解消のために努力するのも務めの一つである.
われわれの施設の日帰り手術部門では, 児や親がとくに不安を感じたり, 求めていることを分析し, 実際の行動として以下のことを実践して効果を上げている. (1) 術前オリエンテーションの充実, (2) 音楽療法の取り入れ, (3) 母児同時入室, 親立ち合いによる麻酔導入, (4) 麻酔導入時の工夫 (キャラクターグッズの活用, 吸入麻酔薬への芳香の添加, 医療者側の服装) , (5) 術後の疼痛の緩和, (6) 帰宅後のフォローアップ. これらの確実な実践によって, 子供達にとって 「手術が楽しい思い出となるように」 を目指している.
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