著者の所有しているデータをもとに, エスモロール, ランジオロールなどのβ
1遮断薬に関して将来的な新しい臨床応用法を探ってみた. 臨床研究における結果として, (1) 高用量ランジオロールの投与は電気痙攣療法時に生じる急激な血圧上昇や心拍数増加の予防に有効であり, また, 痙攣時間も短縮せず, したがって治療効果を衰えさせる可能性が少なく, 電気痙攣療法時に使用される薬剤として推奨される. (2) ランジオロールの投与によりセボフルランを用いた1回深呼吸法 (single breath vital capacity rapid inhalation induction) による意識消失時間を短縮させる. (3) ヒトにおいてランジオロールはセボフルランの最小肺胞濃度を低下させる. 以上の3つの結果が得られた. この結果より, β
1遮断薬が本来もつ心拍数減少作用のみを期待するだけではなく, その中枢神経に及ぼす作用, 麻酔薬の必要量を減少させる作用などを応用し, 将来的に周術期を通して新しい臨床使用法が可能と考える.
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