[目的]この研究の目的は, 仰臥位から側臥位に体位変換することにより気管支腔から気管支カフの逸脱を示唆する, 気管支カフ圧の減少値を調べることにある.
[方法]全身麻酔導入後, 二腔気管チューブ (DLT) で気管挿管した (n=18) . DLTの位置を気管支ファイバースコープで確認した後, 気管, 気管支両方のカフが漏れのないよう最少量の空気を注入した. 両側のカフ圧変化は仰臥位から側臥位に体位変換後に記録した. 気管支カフの位置を気管支ファイバースコープで確認し, カフの逸脱の程度とカフ圧の変化の関係について調べた.
[結果]気管カフ圧は仰臥位で21.2±2.4cmH
2Oから側臥位で15.2±7.8cmH
2O (平均±SD,
P=0.003) に減少した. 6症例では急速に10cmH
2O以上のカフ圧減少を認め, 6症例すべてで気管支腔から気管支カフが逸脱しているのを認めた.
[結論]二腔気管チューブ (DLT) の気管支カフ圧は仰臥位から側臥位の体位変換で減少した. 気管支カフ圧の急速な減少 (10cmH
2O以上) は気管支腔からの気管支カフの逸脱によるものであった. 気管支カフ圧の持続的なモニタリングは気管支カフの逸脱を検知するのに有用である.
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