日本臨床麻酔学会誌
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27 巻, 5 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
—日本臨床麻酔学会第26回大会 シンポジウム—周術期の代謝管理と輸液療法―麻酔科がどこまで関われるのか?
—日本臨床麻酔学会第26回大会 パネルディスカッション—硬膜外麻酔で作用時間の異なる局所麻酔薬をどのように使うか?
—日本臨床麻酔学会第26回大会 イブニングディスカッション—今後,周術期の麻薬性鎮痛薬の使用はこうなる
講座
症例報告
日本小児麻酔学会第12回大会
  • 嵩原 裕夫
    2007 年 27 巻 5 号 p. 521-527
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      日本小児外科学会認定施設 (125施設) を対象に 「小児麻酔に関するアンケート調査」 を行った. その結果, 日本の小児外科医からの提言としては, (1)臓器の未熟性や特殊な生理状態を熟知した経験豊富な小児専門の麻酔科医の管理による麻酔, (2)「麻酔・手術による小児期のトラウマ構築の予防」 「怖くない手術室への入室」 「痛くない術後」 への配慮と工夫, (3)周術期を通して麻酔科医と小児外科医のバリアのないコミュニケーション, 等に集約された. 小児外科医からの一方的な提言に終わることなく, 少子化時代のなかで小児麻酔にかかわる麻酔科医と小児外科医が相互理解のもとにさらなる協力体制を構築していく礎になることを心から期待するものである.
  • 川人 伸次, 北畑 洋
    2007 年 27 巻 5 号 p. 528-538
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      小児の経食道心エコーは成人に比べ合併症の危険性が高く, 普及の障害となってきた. 小児においては事故抜管, 気道の圧迫, 左房・大動脈の圧迫が最も問題となる. しかし, 合併症という罪の反面, 小児においても経食道心エコーが非常に有用であった症例, 経食道心エコーにより救命できた症例もしばしば経験される. 近年では, 経食道心エコーなしでは事実上試行不可能といわれている小児心房中隔欠損症のカテーテル治療も普及しつつある. 小児麻酔において経食道心エコーを安全かつ効果的に使用するためには, その功と罪をよく理解し, 十分な適応の検討, 適切なプローブの選択, 慎重な操作, 経験の蓄積が必要となる.
すぐ役に立つレミフェンタニル(アルチバ)の使用法(第2回)
  • 佐藤 健治, 中塚 秀輝, 森田 潔
    2007 年 27 巻 5 号 p. 540-548
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      胸部外科手術では, 分離肺換気中の酸素化を維持するために低酸素性肺血管収縮 (hypoxic pulmonary vasoconstriction: HPV) を阻害しない麻酔方法の選択が重要となる. レミフェンタニルは覚醒遅延の心配がなく十分な効果部位濃度の維持が可能となる結果, HPVを抑制するような高濃度の吸入麻酔薬投与の必要がなくなる. また, プロポフォールを併用した全静脈麻酔はHPVを抑制せず鎮痛をオピオイドに依存するため有利となる. 一方, 速やかな鎮痛作用の消失は術後疼痛管理に特別な配慮を必要とするが, 胸部外科手術では硬膜外鎮痛の優位性が知られ, 持続鎮痛で良好な術後疼痛管理が可能である. レミフェンタニルは胸部外科手術に適したオピオイドである.
  • 稲田 英一
    2007 年 27 巻 5 号 p. 549-556
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      レミフェンタニルは超短時間作用性のオピオイドであり, 持続静注においてもcontext-sensitive half-timeが延長しないという特徴をもっている. 調節性に優れており, 心臓大血管手術のようなストレスの大きい手術において有用と考えられる. レミフェンタニルの併用で, 静脈麻酔薬や揮発性麻酔薬の必要量は減少するが, 術中覚醒を防ぐためには十分量を用いる必要がある. 術後鎮痛のために, モルヒネやフェンタニルなどのオピオイドを投与する必要がある. 早期抜管は可能であるが, その有用性は証明されているわけではない. 今後使用経験を重ねるうちに, その応用範囲も広がることが期待される.
  • 二階 哲朗, 齊藤 洋司
    2007 年 27 巻 5 号 p. 557-562
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      レミフェンタニルは, その薬理作用から鎮痛を主体にした手術麻酔管理が可能となる画期的なオピオイドである. しかしレミフェンタニルの超短時間作用性を考慮した場合, 麻酔からの覚醒や呼吸状態の回復は速やかであるが, その一方, 術後疼痛管理には注意を要する. 局所麻酔薬とフェンタニルやモルヒネを併用した持続硬膜外鎮痛やintravenous patient controlled analgesia (ivPCA) 法は, レミフェンタニル麻酔後の安全かつ効果的な術後鎮痛方法である. 麻酔中の疼痛管理から術後疼痛管理への適切な切り替え方法が重要となる.
  • 村川 和重, 森山 萬秀, 柳本 富士雄, 中野 範, 福永 智栄, 森田 美由紀
    2007 年 27 巻 5 号 p. 563-571
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      周術期の疼痛管理の重要性が認識され, 各種の鎮痛法が広まってきているが, 従来はオピオイドがその中心であった. しかし, 周術期のオピオイドの使用は, さまざまな副作用の発生頻度を増加させ, 術後の回復を遅らせる要因ともなっている. 一方, 優れた鎮痛効果と副作用の発現頻度が少ないなどの利点をもつ, 局所麻酔法を応用した疼痛対策が注目され, 合併症の発生頻度が少ないなどの特徴から, 末梢神経ブロックを全身麻酔と併用する方法が関心を集めている. 末梢神経ブロックは, 硬膜外ならびに脊髄くも膜下鎮痛法などと比べ, 重篤な合併症の発生頻度がきわめて低く, しかも必要とする部位に特異的な鎮痛効果が得られるという利点があり, さまざまな部位の手術に応用できる.
  • 長田 理
    2007 年 27 巻 5 号 p. 572-578
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/06
    ジャーナル フリー
      レミフェンタニルの特徴は, 蓄積性がなく調節性が良いことである. しかし, 副作用として, 低血圧, 徐脈の頻度が高く, オピオイドに特徴的な筋硬直が時としてみられる. また, レミフェンタニルの効果が速やかに消失することにより, 時として嘔吐を伴うほどの激しい疼痛が術直後から出現し, 麻酔中の体温低下による悪寒やシバリングが強く表れるという不利な面もある. このため, レミフェンタニルの鎮痛効果が消失する前に神経ブロック, 他の中長時間作用性オピオイドやNSAIDsなどを用いて十分な術後痛対策を行うとともに, 体温管理を積極的に行うことが重要である.
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