日本臨床麻酔学会誌
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28 巻, 4 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
—日本臨床麻酔学会第27回大会 シンポジウム—神経麻酔,神経集中治療における脳脊髄保護
—日本臨床麻酔学会第27回大会 パネルディスカッション—小児麻酔の知識スタンダード
  • 秦 恒彦, 重見 研司
    2008 年 28 巻 4 号 p. 563
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
  • 川名 信
    2008 年 28 巻 4 号 p. 564-572
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     新生児は出生直後からそれまで胎盤循環に依存していた呼吸循環を自力で確立するが, 各臓器が安定・成熟するまでには時間がかかる. 出生直後に手術を必要とする疾患の場合, 手術の緊急性と各臓器の成熟度をバランスにかけて手術時期を決定する. 術前評価としては妊娠分娩経過, 先天性心疾患の有無の確認などが重要である. 麻酔方法は基本的には成人と同様であるが, 患児に合った気管チューブ, 麻酔回路を選択し, 術中は十分な保温対策を行う. 輸液, 薬物投与は新生児の特殊性と病態をよく理解し, 術者と十分な打ち合わせをして臨むことが重要である.
  • 蔵谷 紀文
    2008 年 28 巻 4 号 p. 573-577
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     高解像度のビデオ機器や手術機械の進歩により小児の腹腔鏡手術の適応は拡大している. 腹腔鏡手術は同等の開腹手術に比して多くの利点が期待されている. 手術中は気腹操作による腹腔内圧の上昇, 吸収された二酸化炭素ガス, および術中体位の影響によりさまざまな生理的変化をきたしうる. 麻酔は, 特に小児の場合, 気管挿管による全身麻酔が望ましい. 気腹中は特に呼吸状態に注意する. 小児用のカフ付き気管チューブは利点が大きいが, 小児ではカフ圧をモニターするなどの注意が必要である. 術後痛は軽度とはいえない場合もある. 熟練した外科医の方が合併症発生率が低くなることが知られている.
  • 竹内 護, 多賀 直行, 岡田 修, 大塚 洋司, 篠原 貴子, 瀬尾 憲正
    2008 年 28 巻 4 号 p. 578-582
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     小児心臓麻酔は, 小児麻酔と心臓麻酔の両方の高い知識を必要とする難易度の高い麻酔の一つである. 先天性心疾患を中心とした小児心臓手術においては, 基本に忠実な周術期管理が重要であり, 肺血管抵抗 (PVR) をコントロールすることが, 最も患者の状態を良くする近道である. 今後adult congenitalの増加に伴い, 再心臓手術や他疾患手術の増加が見込まれる. 今まで小児心臓手術にかかわらなかった麻酔科医も, 先天性心疾患の血行動態を理解する必要がある.
講座
  • 国沢 卓之
    2008 年 28 巻 4 号 p. 583-589
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     肺動脈カテーテル (PAC) と経食道心エコー (TEE) は循環モニターとして重要な機器である. PACが異常値を示し, TEEで原因検索を行いたいと感じる状況に比較的よく遭遇する. PACが異常値を示す病態を想定し, TEEによる診断過程の症例を呈示し, TEE診断の要点を概説する. その後, 危機管理にTEEを役立てることができるよう, 両者の特徴と診断法のアプローチの違いを解説する.
  • 高畑 治
    2008 年 28 巻 4 号 p. 590-598
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     迅速導入での留意点について, 前酸素化の効果, スキサメトニウムやロクロニウムなどの筋弛緩薬使用法, 輪状軟骨圧迫の効果と方法を中心に文献的考察を加えて検討した. 安全で確実な迅速導入施行には, 術前回診での気管挿管困難の予測に加え, 麻酔導入前での十分な酸素化が必須となる. 麻酔導入薬としてはチアミラール, プロポフォールの選択が多いものの, 安定した血行動態を得るには麻薬性鎮痛薬の併用が勧められる. 非脱分極性筋弛緩薬ロクロニウムは迅速導入において有用であるが, スキサメトニウムと同等の作用発現時間を求めると, 使用量が増加し作用が延長することを考慮しなくてはならない.
原著論文
  • 稲森 雅幸, 塩川 泰啓, 打田 智久, 鎌本 洋通, 冬田 昌樹, 古賀 義久
    2008 年 28 巻 4 号 p. 599-602
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     食道癌手術患者を, 術中の輸液製剤としてMgイオン含有酢酸リンゲル液 (フィジオ140® ) を用いた群 (P群) とMgイオン非含有酢酸リンゲル液 (ヴィーンF® ) を用いた群 (V群) に分け, Mgイオン濃度の変動を執刀前, 術中および術後 (ICU入室1日目) , ICU入室2日目, ICU入室3日目に計測し, 濃度変化を検討した. 術中および術直後のMgイオン濃度はP群, V群ともに執刀前値と比較して有意に減少した. V群では術中値と比較して術直後も有意に低下していたが, P群では術中濃度と術直後濃度の間に有意な低下を認めなかった. ICU入室2日目には, 両群ともに執刀前値に回復した. Mgイオン含有酢酸リンゲル液は, 術中から術直後までのMgイオン濃度の低下を抑制することができ有用であった.
  • 田中 克哉, 河野 崇, 岡田 剛, 江口 覚, 大下 修造
    2008 年 28 巻 4 号 p. 603-610
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     短時間作用型β1受容体遮断薬であるランジオロール単回投与が心係数に及ぼす影響を意識下およびプロポフォール麻酔中で検討した. 手術室入室後, 一般的なモニタとインピーダンス法による心拍出量測定装置を装着した. ランジオロール0.1mg/kgを静脈内に投与し, 5分間の血行動態と心係数を測定した. その後, プロポフォールで麻酔導入し, 気管挿管後, 再度ランジオロールを投与し同様の測定を行った. 意識下では心拍数は85%に低下し, 心係数は90%に減少し, また麻酔中では心拍数, 心係数ともに85%に低下した. これらよりランジオロールによる心係数低下は, 1回拍出量は不変で心拍数低下に依存することが示唆された.
  • 稲村 実穂子, 高良 麻紀子, 斉藤 美和子, 新見 能成
    2008 年 28 巻 4 号 p. 611-619
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル フリー
     経食道心エコー法を用いてオフポンプ冠動脈バイパス術中に左室壁のintegrated backscatter (IB) 信号と局所心機能の関係を調べた. 局所心機能の指標には2D tissue tracking法で求めた収縮期ピークストレイン値を使用した. IB信号が正常なセグメントでは平均収縮期ピークストレイン値が有意に高かった. また, 術前akinesisおよびsevere hypokinesisを示すセグメントでは, IB信号が正常であれば術後にストレイン値が改善し, 異常であれば改善しなかった. IB信号の解析により, 局所心機能と心筋のviabilityを評価できる可能性が示唆された.
症例報告
掲載論文関連講座
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