日本臨床麻酔学会誌
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29 巻, 2 号
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日本臨床麻酔学会第27回大会 パネルディスカッション—麻酔科医によるがん疼痛マネジメント—
日本臨床麻酔学会第27回大会 パネルディスカッション—心臓麻酔の知識スタンダード—
  • 川村 隆枝
    2009 年 29 巻 2 号 p. 131
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
  • 池崎 弘之, 松村 純也, 金 上浩, 南淵 明宏, 坂本 篤裕
    2009 年 29 巻 2 号 p. 132-142
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      心臓外科手術の進歩に合わせるように, 麻酔科学もこれに伴走, 時にリードしながら心臓麻酔の領域を確立してきた. 1980年代のハロタン, モルヒネ, 大量フェンタニル時代を経て, 少量フェンタニル, レミフェンタニル, セボフルランの併用, 硬膜外麻酔の併用などにより, 比較的早期に術後人工呼吸を終了させる, いわゆるFast Trackの概念が台頭してきている. Fast Trackは患者周術期のQOLを上昇させることは間違いないだろう. これからもわれわれは心臓麻酔のガイドライン的知識, 教科書的技術の習得に加え, “知恵, 技”を日々の経験, 実践をとおして研鑽し, 自分なりの心臓麻酔のスタンダードを創り上げていく必要がある.
  • 国沢 卓之
    2009 年 29 巻 2 号 p. 143-151
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      心臓麻酔で必要とされるモニターは, 他の麻酔と比較して, 種類が多岐にわたる. それぞれのモニターの適応と選択について議論することも重要だが, 加えて, これらの機器から正確な情報を得て, 臨床に反映させる必要がある. それぞれの機器の特徴や原理を理解し, ピットフォールや弱点を把握したうえでモニターとして活用することが大切である. 心臓麻酔の術中モニターでは, 各領域に精通し, 多くの情報を総合的に判断する必要がある. またTEEは, 最も有用なモニターの一つであり, 多くの情報を引き出すことが可能である. 最終的には多くのモニター機器を十分に理解し, TEEを有効活用することが求められる.
講座
  • 北原 雅樹
    2009 年 29 巻 2 号 p. 152-159
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      適切な診断を行うため, また治療効果を確認しつつ最適な治療法を施行するために, 痛みの評価はきわめて重要である. しかし, 国際疼痛学会の痛みの定義からも, 痛みを客観的に測定することは不可能であり, 患者の自己報告を中心に評価せざるを得ない. また, 痛みは患者のさまざまな面に影響する多因子性のものであるので, 痛みの強さや頻度などの評価だけでは不十分で, 身体的機能, 心理的機能, 患者の全般的な満足度, 有害事象などについても考慮しなければならない. 痛み評価法の研究は欧米を中心に進められてきたが, 痛みは言語や文化にも大きく影響されるため, 日本の状況に合った痛みの評価法を選択する必要がある.
  • 益田 律子
    2009 年 29 巻 2 号 p. 160-170
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      脊髄を鎮痛標的とする硬膜外鎮痛法および脊髄くも膜下鎮痛法は, 術後疼痛, 急性疼痛, 緩和医療において非常に強力かつ良質な鎮痛効果を提供する反面, 適切な施術と管理が行われなければ有害作用が発生し, 時に, オピオイド呼吸抑制, 血腫, 感染, 神経損傷といった重篤な合併症に至ることもある. 本稿では周術期と緩和医療を中心に疼痛医療における硬膜外鎮痛法・くも膜下鎮痛法の適応を再考し, 安全かつ確実に硬膜外鎮痛法とくも膜下鎮痛法を実践するための要点について概説する.
  • 藤原 祥裕, 伊藤 洋, 神立 延久, 小松 徹
    2009 年 29 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      麻酔は手術などによる痛みから人類を救い, いわば人道主義のシンボルとして人類に大きく貢献したと評価されている. 近年, 有効かつ安全な鎮痛法として超音波ガイド下神経ブロックが大きな注目を集めているが, このような技術は, 従来の鎮痛法に比べ, 救急・集中治療領域でも応用可能であると考えられる. 今後世界的に, 正当な理由なく十分な鎮痛を施さないのは基本的人権の侵害であるとみなされる可能性がある. 麻酔科医は患者の痛みを取り除くため, 臨床・研究を通じて最大限の努力をする責務を負っているのみでなく, 他の専門分野の医療従事者にも有効な鎮痛手段について紹介していく必要がある.
  • 今村 佳樹, 岡田 明子
    2009 年 29 巻 2 号 p. 177-188
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      口腔顔面領域にみられる侵害受容性疼痛は, 深部痛が主体をなし, 容易に関連痛を生じる. この関連痛が鑑別診断を難しいものにしており, しばしば不適当な対応を導いている. 口腔顔面領域の関連痛で最も頻度の高いものは, 咀嚼筋や頸部筋群から生じるもので, 注意深い触診によってトリガーポイントと主症状との関係を証明できれば確定診断が可能となる. 歯科における神経因性疼痛は, 多くが医原性の疼痛で情動の関与もあり, 難治性である. 舌痛症, バーニングマウス症候群は, 精神疾患との関連も考えられるが, 末梢神経傷害の可能性も指摘されている. 口腔顔面痛の多くは, いまだ機序が十分に解明されていない. 今後さらなる解明が望まれる.
  • 原 哲也, 澄川 耕二
    2009 年 29 巻 2 号 p. 189-198
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      心筋虚血再灌流傷害の制御は周術期管理における重要な課題である. 心筋酸素需給バランスを考慮した全身管理に加え, 薬理学的プレコンディショニング (PPC) の活用が不可欠である. PPCの機序にはアデノシン三リン酸感受性K (KATP) チャネル, mitochondrial permeability transition pore, 活性酸素種, プロテインキナーゼ, 一酸化窒素などが関与している. 吸入麻酔薬とニコランジルはいずれもKATPチャネルを開口させ, PPCによる心筋保護効果を発揮する. 周術期においては加齢, 糖尿病, ある種の麻酔薬など, プレコンディショニング効果を減弱させる多くの因子が影響するため, 複数のKATPチャネル開口薬の併用と周術期の継続的投与により, より確実な心筋保護対策を図るべきである.
原著論文
  • 松本 睦子, 倉迫 敏明, 仁熊 敬枝, 八井田 豊, 石井 典子, 小倉 麻耶
    2009 年 29 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      1歳から7歳までの小児鼠径ヘルニア170症例について, (1)腸骨鼠径神経ブロック (n=22) , (2)腸骨鼠径神経ブロックとフルルビプロフェン静注 (n=24) , (3)腸骨鼠径神経ブロックとアセトアミノフェン座薬 (n=28) , (4)皮膚切開予定部 (皮切部) への皮下局所麻酔とアセトアミノフェン座薬 (n=96) の各鎮痛方法で, 術後の痛み・不機嫌, 鎮痛薬の投与, 投与までの時間, 嘔吐について後ろ向きに検討した. 各項目はそれぞれ, (1)は16例 (73%) , 6例 (27%) , 0. 88時間, 1例 (4.5%) , (2)は10例 (42%) , 8例 (33%) , 2. 8時間, 0例 (0%) , (3)は8例 (29%) , 1例 (3.5%) , 0.33時間, 0例 (0%) , (4)は10例 (10%) , 1例 (1%) , 6時間, 1例 (1%) であった. 小児鼠径ヘルニアの術後痛に対して, 皮切部への皮下局所麻酔とアセトアミノフェン座薬の投与が有用であった.
症例報告
  • 大江 裕美子, 寺嶋 克幸, 古市 昌之, 岸川 洋昭, 坂本 篤裕
    2009 年 29 巻 2 号 p. 204-213
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      異常浸潤性胎盤は, 子宮筋層に癒着または浸潤し, 基底脱落膜の部分的もしくは完全な欠如を伴うまれな妊娠である. 絨毛浸潤の程度により癒着胎盤・嵌入胎盤・穿通胎盤に分類され, 穿通胎盤は周辺臓器にまで達することがある. 妊娠中や分娩時には, 子宮破裂や致死的大量出血, 母体の重篤な合併症に対する子宮摘出術と, 将来の生殖能力を喪失するリスクが高い. 近年, 帝王切開数の増加に伴い, 異常浸潤性胎盤の発生率が増加している. しかし, この異常妊娠に対する適切な管理方法はいまだ確立されていない. われわれは, 最近経験した異常胎盤の周術期管理2症例を示し, 発生頻度や診断方法, 管理戦略などに関する最近の文献のレビューを行った.
  • 楠本 剛, 仁田原 慶一, 比嘉 和夫, 杉 恭之, 生野 慎二郎, 濱田 孝光
    2009 年 29 巻 2 号 p. 214-216
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      51歳, 男性. 声帯ポリープで喉頭腫瘍摘出術が予定された. Kennedy-Alter-Sung症候群を合併しており, 上下肢の筋力が低下していた. 麻酔はプロポフォール, フェンタニル, セボフルランで導入した. バッグマスクで過換気にして自発呼吸消失後に気管挿管した. 麻酔はセボフルランで維持し, 麻酔導入から手術中を通して筋弛緩薬は使用しなかった. 手術終了後に嚥下反射と覚醒を確認して抜管した. 周術期の呼吸器合併症はなかった.
  • 河野 伸一, 東 秀和, 小島 康裕, 上原 博和, 佐藤 重仁
    2009 年 29 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/04/11
    ジャーナル フリー
      重症な呼吸機能低下を伴った若年性進行性肺嚢胞患者で両側肺嚢胞切除術を同時に行う麻酔を経験した. 同時に両側の肺嚢胞切除術を行う場合, 手術が長時間に及び侵襲も大きくなるが, 早期のリハビリ開始と入院期間の短縮が期待できる. 本症例は重症の肺気腫で呼吸機能が著明に低下していた. このため早期離床が重要であるとの観点から硬膜外鎮痛を併用した. 術後に喘息の増悪やMRSA肺炎, 膿胸を合併し治療に難渋したが, 約4ヵ月で軽快し, 退院した. 両側一期的VATS (video assisted thoracoscopy) を本症例のように重篤な呼吸機能低下例に施行する場合, 硬膜外鎮痛の併用は有用であると考えられた.
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