日本臨床麻酔学会誌
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30 巻, 5 号
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日本臨床麻酔学会第28回大会 教育講演
  • 西川 精宣
    2010 年 30 巻 5 号 p. 717-726
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      交感神経系は自律性生理機能に大きくかかわっているが,痛みの発生や持続にも関与しており,特に難治性疼痛の治療を考えるうえで検討すべき領域である.脊髄鎮痛,つまり薬剤の脊髄くも膜下投与と硬膜外投与を含んだ主として脊髄への直接効果による鎮痛法は,薬剤投与量の減量,副作用の軽減や作用時間の延長を期待できる.ネオスチグミンを除き,交感神経抑制が同時に生じる薬剤が多いが,少なくとも末梢交感神経遮断は痛覚過敏減弱にあまり影響していないようである.体内埋め込み型のくも膜下カテーテル注入装置は難治性疼痛治療の新たな展開をもたらす可能性があり,脊髄レベルでの交感神経遮断の役割を明らかにしていくことは意義があると考える.
日本臨床麻酔学会第29回大会 教育講演
  • 萩平 哲
    2010 年 30 巻 5 号 p. 727-734
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      声門より末梢に気道狭窄を有する患者の管理は非常に難易度が高い.特に縦隔腫瘍などによる場合,気道系だけでなく心臓や大血管への圧迫にも注意しなければならない.これらの手術では,調節呼吸による換気および酸素化の維持が行える保証はない.一方で自発呼吸を残した管理も安全とはいえない.トラブルはどの局面でも生じうる.人工呼吸によって酸素化の維持が困難である場合には補助循環によるサポートの考慮が必要となるが,適応には利点も欠点もある.補助循環の適応の可否は個々の症例により異なる.術前から外科医と綿密な打ち合わせを行い,患者および家族に十分な説明を行い,インフォームドコンセントを得たうえで手術に臨む必要がある.
日本臨床麻酔学会第29回大会 シンポジウム ─TIVA新時代到来! 筋弛緩薬をどう使うか?─
日本臨床麻酔学会第29回大会 パネルディスカッション ─周術期不整脈の管理と治療─
  • 藤田 喜久, 松田 直之
    2010 年 30 巻 5 号 p. 764
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
  • 畠山 登, 青木 優太, 木下 浩之, 寺前 洋生, 松田 直之, 山崎 光章
    2010 年 30 巻 5 号 p. 765-770
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      全身性炎症反応症候群(SIRS)にはさまざまな病態が伴うが,頻脈性不整脈もこの経過中にしばしば遭遇する病態である.心筋においても他の臓器と同様に炎症による変化が観察され,不整脈や心不全発症の原因となる.心房細動などの頻脈性不整脈発症には,炎症による交感神経の過緊張状態,カテコラミンに対する反応性の変化,活動電位を構成するイオンチャネルの発現に対する影響,炎症により過剰産生されたNOによるイオンチャネル機能の修飾などさまざまな要因が関係している.このような状態においてはもはやカテコラミンのみによる治療は効果に限界があり,PDE III阻害薬とβ遮断薬を使った治療などの新しい治療戦略の構築が求められる.
  • 尾前 毅
    2010 年 30 巻 5 号 p. 771-778
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      心臓血管手術術後に最も発症頻度が高い合併症は術後心房細動である.術後心房細動は生命予後への影響は少ないと考えられてきたが,近年術後心房細動の発症が慢性心房細動と同様に生命予後に影響を与えている可能性が指摘されている.術後心房細動の危険因子としては,従来からの因子に加えて炎症反応,メタボリック症候群などの関与が報告されている.予防法としてはβ遮断薬,アミオダロンの投与が有効であるが,副作用も多いため投与に際しては注意を要する.術後心房細動発症時,心機能低下症例では洞調律維持療法を行う.心機能が維持されている症例では心拍数維持療法を行う.しかし,心房細動が48時間以上継続する症例では抗凝固療法を同時に施行する.
  • 高橋 伸二
    2010 年 30 巻 5 号 p. 779-784
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      レミフェンタニルの登場など麻酔管理が進歩し,術中頻拍症は減少した.しかし,予期せぬ術中不整脈は依然重要な問題である.American Heart Associationから頻脈治療のアルゴリズムが紹介されており,周術期にも対応が可能である.頻拍症が起きたら,診断を考えるよりもまず患者が安定しているか不安定なのかを判断する.不安定ならばただちに同期下カルディオバージョンを施行する.容認できる血圧で推移する場合には診断し治療する.狭いQRSの頻拍症は発作性上室性頻拍症であることが多く,治療薬はATPである.再発予防に洞調律回復後はβブロッカーで心拍数を抑える必要がある.狭いQRSの不規則な頻拍症ならば心房細動を疑い,心拍数をコントロールするかリズムをコントロールする.塩酸ランジオロールは超短時間作用性で心拍数のコントロールに使用しやすい.心拍数が抑えられると発作性の心房細動の一部は自然に洞調律に回復する.超短時間作用性なので血圧が低下したら投与を減量,中止すればよい.人工心肺離脱時心室性不整脈に,塩酸ニフェカラントとβブロッカーを併用すると有効である.麻酔科医は周術期頻拍症に対して効果的にβブロッカーを使用することが望まれる.
講座
  • 徳嶺 譲芳
    2010 年 30 巻 5 号 p. 785-791
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      中心静脈穿刺は,初期臨床研修医が学ぶべき基本手技の一つに定められている.一方,中心静脈穿刺の手技は,従来のランドマーク法より超音波ガイド下に穿刺する方が,安全かつ円滑に行えるというエビデンスが確立し,手技の普及が期待されている.超音波ガイド下中心静脈穿刺の普及には,手技の標準化,教育方法および各医療機関での運用を含めた教育システムの構築が急務であると考える.特に教育方法においては,インストラクターの養成や教育機材の充実が必要である.中心静脈穿刺の教育システムの構築には問題が山積しているが,不幸な事故を未然に抑止するため,今まさに取り組むべき時期に来ている.
症例報告
  • 星島 宏, 竹内 梨紗, 塚本 真規, 岩瀬 良範, 菊地 博達
    2010 年 30 巻 5 号 p. 792-794
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      今回,強直性脊椎炎のため,セミファーラー位の体位のみ可能な患者にAirway Scope®(AWS)を用い気管挿管を行った症例を報告する.通常,セミファーラー位の患者に気管挿管を行うためには,直視型喉頭鏡では難しく,気管支ファイバーが第一選択となる.しかし,気管支ファイバーは,視野が得られにくく,手技に熟練を要し,装置が高価であるなどの欠点を有する.AWSは,これらの欠点を補い,患者の体位が特殊な場合でも気管挿管をより円滑に行うことが期待される.本症例では,セミファーラー位の患者にAWSを用い問題なく気管挿管を行うことができた.AWSは,セミファーラー位の患者に対して,気管支ファイバーを用いるより,より円滑に気管挿管が行える可能性が示唆された.
  • 田畑 江哉, 猪股 伸一
    2010 年 30 巻 5 号 p. 795-798
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      経食道心エコー(transesophageal echocardiography:TEE)のプローブが中咽頭壁を損傷し,先端が前縦隔に逸脱した症例を経験した.僧帽弁置換術術後の出血に対して緊急で再開胸止血術が行われた.出血源は上行大動脈の送血管挿入部位であった.術中に心機能のモニター目的および大動脈解離の有無の検索目的でTEEプローブの挿入を試みた.挿入は困難であったが操作を繰り返すうちにプローブを前進させることが可能となった.しかし約40cm挿入したところでプローブ先端が前縦隔に逸脱していることに気づいた.穿孔の原因としてTEEプローブを術中に挿入したため頭位およびプローブの挿入角度に制限があったこと,ステロイド・免疫抑制剤の長期内服による結合組織の脆弱化が考えられた.
  • 小寺 厚志, 上妻 精二, 宮崎 直樹, 橋本 正博, 瀧 賢一郎, 江崎 公明
    2010 年 30 巻 5 号 p. 799-803
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      症例は55歳の女性で,30歳時より気管支喘息に対して加療中であった.今回,喘息発作と腹痛を主訴に救急外来を受診した.ステロイドの投与にても喘息発作のコントロールは不十分であったが,臍ヘルニア嵌頓の腹部症状を優先して緊急手術が施行された.麻酔法は硬膜外麻酔併用脊髄くも膜下麻酔法で行い,自発呼吸下にケタミンとプロポフォールを持続投与した.術中の喘息発作は徐々に軽快し,ケタミン投与下にコントロールできた.一方,手術時間が長時間となり,術中に脊髄くも膜下麻酔による鎮痛効果が減弱したが,硬膜外麻酔とケタミンを用いることで再び鎮痛効果を得ることができた.以上から,本麻酔管理法は喘息患者に対して有用であると考えられた.
紹介
〔日本医学シミュレーション学会〕原著論文
  • 駒澤 伸泰, 植木 隆介, 岡野 紫, 下出 典子, 中川 雅史, 上農 喜朗
    2010 年 30 巻 5 号 p. 822-827
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      胸骨圧迫を中断せずに気管挿管を迅速かつ安全に施行できれば,蘇生率の向上が期待される.われわれは以前の報告で,単一施設におけるマネキンを用いた研究において,胸骨圧迫中の気管挿管におけるエアウェイスコープ®(AWS)の有用性を示した.今回,多様な麻酔経験をもつDAM実践セミナー参加者34名を対象とし,マッキントッシュ型喉頭鏡(McL)とAWSによる胸骨圧迫施行中の挿管時間と成功率,および両デバイス経験数との相関を検討した.前回報告と同様に胸骨圧迫中にMcLを用いた挿管時間は,非胸骨圧迫時に比して有意に延長していたが(非胸骨圧迫 vs 胸骨圧迫,15.0±3.3秒 vs 20.7±10.2秒,P‹0.01),AWSは延長しなかった(非胸骨圧迫 vs 胸骨圧迫,12.7±3.3秒 vs 13.0±4.2秒).McLを用いたときの成功率は胸骨圧迫下で有意に低下したが(P‹0.01),AWSでは低下しなかった.McL挿管数と胸骨圧迫中の挿管時間の間には有意な負の相関がみられた(P‹0.05).一方,AWS挿管数と胸骨圧迫中の挿管時間の間にはみられなかった(P=0.91).胸骨圧迫中のAWSを用いた気管挿管は,McLに比して経験が短くても正確かつ迅速に使用できる可能性が,多施設からの被験者においても示された.
術後管理におけるPCAの上手な使い方(第2回)
  • 白石 義人
    2010 年 30 巻 5 号 p. 830-835
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      簡易型PCAポンプ(シリンジェクター®)の利点はまず,初期導入費用が不要で日本においては保険請求可能な点である.次に,構造が単純で操作にかかわる医療関係者や患者への研修教育も簡単である.故に機械的な誤操作も少なく,廃棄器具の回収も不要である.一方,欠点としては細かい設定調節ができない点や記録できずアラーム機能がないことである.特に簡易型PCAポンプであるシリンジェクター®の特徴は,利点として正確な残量の確認が可能でありPCAの注入が容易であることである.欠点としては充填量が少ないことがあげられるが,重量が軽い分だけ患者にかかる負担は小さい.
  • 白石 義人
    2010 年 30 巻 5 号 p. 836-841
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      簡易型PCAポンプ(バクスターインフューザーPCAシステム)の利点はまず,初期導入費用が不要で日本においては保険請求可能な点である.次に,構造が単純で操作にかかわる医療関係者や患者への研修教育も簡単である.故に機械的な誤操作も少なく,廃棄器具の回収も不要である.一方,欠点としては細かい設定調節ができない点や記録できずアラーム機能もない点である.特に簡易型PCAポンプであるバクスターインフューザーの特徴として,5日間を超える長時間投与が可能なことがあげられる.欠点として,正確な残量の確認が目視不可能であり,重量の測定によらなければならない.またPCAの注入のボタン操作がやや難しい.
  • 大友 重明, 笹川 智貴, 国沢 卓之
    2010 年 30 巻 5 号 p. 842-848
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      硬膜外麻酔の代替鎮痛法の一つとして,intravenous patient-controlled analgesia(IV-PCA)は非常に有用な手段である.そして,IV-PCAの導入を簡便に,かつ患者にとって安全に提供するためのデバイスとして携帯型精密輸液ポンプ「CADD Legacy®」がある.本稿において,その特徴および使い方,利点,欠点等を,当院での実際の使用方法を交えながら紹介する.
  • 稲垣 喜三
    2010 年 30 巻 5 号 p. 849-853
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      Gemstar PCA pumpは,ホスピーラ・ジャパン社が上市した機械式(電気駆動式)精密自動注入装置(ポンプ)である.このポンプの特徴は,自己調節鎮痛(patient-controlled analgesia:PCA)にのみ用いる機種と,それ以外に6つの用途に対応する投与モードを搭載する機種を有する点である.さらに,従来の機械式ポンプの欠点を十分に補っており,日本人に使用しやすいポンプとなっている.投与履歴や投与中のイベントの記憶容量,および携帯性に難があるものの,その高い汎用性から広い医療領域での活用が期待できるポンプであるといえる.
  • 稲垣 喜三
    2010 年 30 巻 5 号 p. 854-859
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      PCAを用いた術後鎮痛やがん性疼痛管理を安全に実施するためには,注意深い患者の観察と,PCAポンプの正確な設定および確実な動作の確認が不可欠である.回診では,薬物投与経路の誤接続やPCAに由来する副作用発現の有無を中心に観察し,患者の鎮痛に対する評価を傾聴することが大切である.また,PCAポンプの初期設定や設定の変更,薬物の処方内容は必ず記載して,薬物の過小あるいは過剰投与を防止することは,鎮痛の質を維持し副作用発現を最小化することにつながる.
  • 橋口 さおり
    2010 年 30 巻 5 号 p. 860-867
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      硬膜外鎮痛法に伴うリスクの回避のためのIV-PCAへの移行,術後痛管理施行の広がりから,今後,IV-PCAの使用はさらに拡大することが見込まれる.IV-PCAは本来,モルヒネなど単回静注でも持続時間が長い薬物をボーラス使用することによって,個々の患者に合わせた薬液量を投与し,過剰投与を防ぐしくみであるが,本邦では持続投与が中心の使用法が広がりつつある.本稿では,IV-PCAの基本原理,よく使用されるオピオイドと設定,実際の投与例について解説する.
  • 若崎 るみ枝, 櫻井 静佳, 柴田 志保, 比嘉 和夫
    2010 年 30 巻 5 号 p. 868-873
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      オピオイドを用いたIV-PCAは,術後鎮痛法として広く利用されてきている.IV-PCAでは患者自身がオピオイドを投与でき,オピオイドの血中濃度の上昇が速やかで,患者が痛みを感じてから短時間で痛みは消失するので,患者の満足度は高い.近年,周術期の抗凝固薬の使用が増加し,IV-PCAの需要は増加している.IV-PCAは設定が適正であれば,安全に使用できる.しかし,患者のなかにはオピオイドの副作用のために,術後鎮痛法として十分に活用することができない場合がある.副作用には,重大な合併症につながるものがあり,早期発見と治療,予防策が重要となる.本稿では,オピオイドの副作用とその対処法を紹介する.
  • 若崎 るみ枝, 櫻井 静佳, 柴田 志保, 比嘉 和夫
    2010 年 30 巻 5 号 p. 874-878
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      IV-PCAは,非常に有効な術後鎮痛法として普及しつつある.しかし,オピオイドを使用することから,外科医や看護師,薬剤師などが,その使用を敬遠することがある.電動式PCAポンプを使用する場合,その機能や操作法,トラブルの対処法がわからず,困惑する場面がみられる.IV-PCAのトラブルは薬剤,電動式ポンプ,患者,医療関係者のいずれにも関係するものがあり,多岐にわたる.IV-PCAを安全に実施するためには,日常頻度が高いトラブルを知り,事前に対策を立てておくことが重要である.本稿では,IV-PCAの実施時に起こることが多いトラブルを列挙し,その対応法を紹介する.
  • 小幡 典彦, 溝渕 知司
    2010 年 30 巻 5 号 p. 879-891
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      術後痛対策として硬膜外鎮痛法は非常に効果的な方法であり,最近では術後の鎮痛だけでなく中長期的なアウトカムまで改善する可能性が示されている.硬膜外鎮痛の薬剤投与方法には,単回投与法,持続投与法および自己調節硬膜外投与法(自己調節硬膜外鎮痛 patient-controlled epidural analgesia:PCEA)があるが,PCEAは単回投与や持続投与のみに比べ,鎮痛の質や患者の満足度が高く,さまざまな専用デバイスも開発されたことにより,安全かつ確実に行われるようになっている.使用される薬剤は,局所麻酔薬とオピオイドが主体であり,現在では両者を併用することが一般的である.最も適した薬液の種類,濃度,投与方法などは,議論のある点で今後の更なる検討が必要であるが,硬膜外に投与するおのおのの薬剤の特性を知って使用する必要がある.
  • 比嘉 達也, 垣花 学
    2010 年 30 巻 5 号 p. 892-896
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      術後疼痛管理における硬膜外PCA(PCEA)は,多くの研究で利点が示され,われわれ麻酔科医の得意とする疼痛管理法として広く普及している.しかし,使用する薬剤や硬膜外麻酔法そのものによる副作用は意外と多く,そのためにPCEA自体が中止されるなどで満足な鎮痛が得られないこともまれではない.副作用としては悪心・嘔吐が最も多く,掻痒感,しびれ・筋力低下,傾眠・呼吸抑制,低血圧,尿閉などがあげられる.副作用対策について理解することは,患者の周術期疼痛管理の質の向上と安全につながるので重要である.
  • 比嘉 達也, 垣花 学
    2010 年 30 巻 5 号 p. 897-900
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
      術後管理におけるPCEAは,多くの研究で利点が示されている.しかし,副作用だけでなく,患者の命を脅かすようなトラブルを引き起こす可能性もある.PCEAの主なトラブル,合併症として硬膜外血腫,硬膜外膿瘍,カテーテルのくも膜下迷入,人為的エラーなどがある.本稿ではその対応についてまとめる.
日本臨床麻酔学会国際交流委員会特別企画
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