日本臨床麻酔学会誌
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32 巻, 7 号
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日本臨床麻酔学会第31回大会 招待講演
  • 筒井 正人
    2012 年 32 巻 7 号 p. 835-841
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase:NOS)には,神経型NOS,誘導型NOS,内皮型NOSの3種類のアイソフォームが存在する.従来,生体内におけるNOS系の役割が,NOS阻害薬を用いて薬理学的に広く検討されてきた.しかし,NOS阻害薬はさまざまな非特異的作用を有するため,NOS系の真の役割は,いまだ十分に解明されていない.この点を検討するために,著者らは,NOS系完全欠損マウスを世界に先駆けて開発した.興味深いことに,このマウスには,高度の冠動脈硬化を伴う自然発症の急性心筋梗塞が認められた.さらに,このマウスには,代謝症候群,高脂血症,拡張期心不全の病態も見出された.以上より,NOS系が多彩な循環器病の成因に重要な役割を果たしていることが示唆された.
日本臨床麻酔学会第31回大会 招請講演
  • 江木 盛時
    2012 年 32 巻 7 号 p. 842-850
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      糖尿病は最も頻繁に生じる生活習慣病の一つであり,その周術期血糖管理は重要である.各経口糖尿病薬は,異なる作用機序で血糖降下作用を呈しているため,特有の作用と合併症が存在する.糖尿病患者は,重症化以前より高血糖にさらされており,非糖尿病患者と同様な周術期血糖管理を行うべきか,いまだよくわかっていない.糖尿病患者の急性期血糖管理は非糖尿病患者と異なっている可能性があり,慢性的な高血糖にさらされた糖尿病患者が,急性期において急速に血糖値が変化する(特に低下する)ことは,生体にとって有害であるかもしれない.High levelなエビデンスが報告されるまでは,糖尿病患者の周術期血糖管理はやや高めに維持することを推奨する.
日本臨床麻酔学会第31回大会 シンポジウム ─日本における妊産婦死亡:麻酔科医の立場から考える─
  • 奥富 俊之
    2012 年 32 巻 7 号 p. 851
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
  • 稲田 英一
    2012 年 32 巻 7 号 p. 852-857
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      分娩時出血は妊産婦死亡の重大な原因である.全前置胎盤などの危険因子がなくとも危機的出血が起こりうる.産科出血の特徴は,出血量が循環血液量を大きく超える場合があること,中等度の出血量でも産科DICを合併すること,急速にフィブリノゲンが低下すること,体外に出た出血量からは出血量の推定が困難なことなどである.日本麻酔科学会や他の4学会は「産科危機的出血への対応ガイドライン」を合同で作成した.産科出血の危険因子がある場合には分娩前に貯血をしておくことや,分娩時の出血量の推定や高次施設への母体搬送の指標としてショックインデックスを利用すること,早期から新鮮凍結血漿を投与することを推奨している.
  • 加藤 里絵
    2012 年 32 巻 7 号 p. 858-865
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      日本や英国の妊産婦死亡症例の検討を通して,麻酔科医には手術室における麻酔以外に,妊産婦の死亡を減らすためにいくつかの役割があることがわかってきた.その一つが妊産婦の心肺蘇生への関与である.妊産婦の心肺蘇生は,一般成人における方法におおむね準ずるが,いくつかの相違点がある.(1)子宮左方転位を行うこと,(2)胸骨圧迫部位をやや頭側に置くこと,(3)早期に確実な人工呼吸を確立すること,(4)急速輸液を考慮すること,(5)死戦期帝王切開術を考慮することなどである.除細動や薬剤の投与は一般成人における方法と変わりがない.特に死戦期帝王切開術を行うためには施設ごとの入念な準備が必須であり,その体制の確立において麻酔科医は大きな役割を担うと考えられる.
  • 角倉 弘行
    2012 年 32 巻 7 号 p. 866-870
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      無痛分娩を普及させることにより分娩の安全性が向上する理由として,以下の4つが考えられる.無痛分娩を希望する妊婦に対して麻酔科医が分娩前診察を行うことにより,緊急の帝王切開術が必要になった場合でも余裕をもって対処することが可能となる.実際に硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した妊婦では,緊急帝王切開の際にも全身麻酔を避けることができる.無痛分娩が普及すれば分娩フロアーに麻酔科医を配置できるようになるので,無痛分娩を選択していない妊婦の分娩の安全性も向上する.さらに無痛分娩が普及して産科麻酔に専従する麻酔科医の数が増えれば,産科麻酔の教育の機会が増えるだけでなく教育の質も向上する.
日本臨床麻酔学会第31回大会 パネルディスカッション ─エコーガイドCV穿刺のEvidenceを考える─
  • 鈴木 利保, 坂本 篤裕
    2012 年 32 巻 7 号 p. 871
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
  • 松田 光正
    2012 年 32 巻 7 号 p. 872-882
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      われわれの施設では1994年以来,中心静脈穿刺の穿刺器材として低侵襲的中心静脈穿刺キットであるセーフガイド®を使用し,患者の安全や術者の穿刺時のストレス軽減を主眼に置いて長年この器材の改良を続けてきた.近年超音波ガイド下中心静脈穿刺が推奨されるようになり,穿刺時の静脈虚脱や静脈後壁の貫通などが観察されることによって,血管への侵襲の少ないセーフガイド®の有用性が再確認されるようになってきた.本稿では臨床で用いる穿刺針の構造的特徴を示し,セーフガイド®の開発の経緯とそれらの改良から得た知見をもとに超音波ガイド下中心静脈穿刺に適した穿刺器材について解説する.
  • 杖下 隆哉
    2012 年 32 巻 7 号 p. 883-889
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      中心静脈カテーテル留置術は臨床の現場で長きにわたりさまざまな目的に使用されてきた.多くは安全に行われてきたが,一方で合併症による死亡例も報告されている.従来のランドマーク法や近年脚光を浴びるようになった超音波ガイド下法など穿刺手技に関しての議論は多いが,中心静脈穿刺術の安全管理や教育といった環境に関する議論は少ない.当院で「中心静脈穿刺と管理に関するワーキンググループ」の立ち上げにかかわってきた経験から,中心静脈カテーテル留置環境,教育,安全管理について考察した.
  • 徳嶺 譲芳
    2012 年 32 巻 7 号 p. 890-896
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      超音波ガイド下中心静脈穿刺は,高い穿刺成功率と低い合併症発生率により,中心静脈穿刺の新たな標準手技であると見なされている.しかし最近,超音波ガイド法での合併症が徐々に報告されるようになった.超音波ガイド法のエビデンス研究について調べたところ,ランドマーク法は,超音波ガイド法に比べ,手技の記載が簡略あるいは不明確で,標準化に問題があることが判明した.このため,研究にはバイアスが存在しているかもしれない.ランドマーク法は,穿刺に必要な解剖学的知識を合理的に運用できれば,超音波ガイド法と同等の結果が得られる可能性がある.一方,超音波ガイド法も単に超音波を用いる安易な方法では,合併症は回避できない.
  • 笹野 寛, 森田 正人, 薊 隆文, 藤田 義人, 祖父江 和哉
    2012 年 32 巻 7 号 p. 897-905
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      近年発表された,小児における超音波ガイド下内頸静脈穿刺のメタアナリシスでは,超音波ガイドが穿刺を容易にすることが示されなかった.これは,小児においては,超音波ガイド下穿刺が直ちに穿刺を容易にせず,手技の訓練およびなんらかの追加の工夫が必要なことを示しているのかもしれない.超音波ガイド下穿刺を困難にする要因の一つに,穿刺針や超音波プローブが静脈を潰すことがある.本稿では,静脈が潰されないための対策としてわれわれが行っている皮膚牽引静脈拡張法を紹介し,超音波ガイド下法における穿刺針の針先の見え方などについて述べる.
講座
  • 櫻谷 正明, 吉田 研一, 前岡 侑二郎, 荘川 知己, 大下 彰彦, 河村 夏生
    2012 年 32 巻 7 号 p. 906-912
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      当院ICUはオープン型のICUであるが,RST(Respiratory Support Team)が活動を開始し,鎮静管理・呼吸管理を可能な限り一元化するようにした.RSTを通して,他職種のスタッフと連携を図りICU内でさまざまな取り組みを開始した.鎮静スケールRASS(Richmond Agitation Sedation Scale)を導入することで過剰鎮静が減り,自発呼吸試験SBT(Spontaneous Breathing Trial)を導入することで挿管日数は短縮した.デクスメデトミジンを用いることで浅い鎮静でも患者が快適であり,SBT中の鎮静管理も容易であった.積極的に早期離床・リハビリテーションを開始しているが,重大な有害事象なく行えている.これらのRSTによる介入前後での当院ICUの変化を紹介する.
原著論文
症例報告
  • 榎畑 京, 長谷川 麻衣子, 國吉 保, 磯脇 純和, 松永 明, 上村 裕一
    2012 年 32 巻 7 号 p. 919-922
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      麻酔からの覚醒遅延の可能性が高いStiff Person症候群を合併した症例での腹腔鏡下胃瘻造設術において,デスフルランを使用した全身麻酔で管理した.術中はレミフェンタニル(0.2~0.5μg/kg/min)併用下にデスフルラン3%を投与し,適切なBIS値,鎮痛,循環動態を維持することができた.術後,覚醒遅延,筋弛緩作用の遷延,自律神経症状を呈することなく,フェンタニルの持続静脈内投与で十分な鎮痛が得られた.Stiff Person症候群患者において,デスフルランを用いた麻酔管理が有用であった.
  • 成田 湖筍, 金澤 正浩, 鉄 周平, 安藤 智子, 福山 東雄, 鈴木 利保
    2012 年 32 巻 7 号 p. 923-928
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      ロクロニウムによるアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症したと考えられるKounis症候群の1例を経験した.内頚動脈内膜剥離術の予定手術患者にレミフェンタニル,プロポフォール,ロクロニウムで麻酔を導入したところ,心電図上ST上昇を認め,高度循環虚脱となった.直ちに循環虚脱に対する治療を行ったが,その後全身性皮膚紅潮を認め,薬物によるアナフィラキシーを疑った.後日の皮膚テストでロクロニウムによるアナフィラキシーと診断した.本症例はアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症し,呼吸器所見がなく,皮膚症状の発現が遅かったことが特徴であった.心臓はアナフィラキシーの標的臓器であり,アナフィラキシーに心筋虚血を併発する “Kounis症候群” に注意が必要である.
  • 今石 美緒, 柴山 愛子, 志賀 洋介, 稲田 耕三
    2012 年 32 巻 7 号 p. 929-933
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      症例は37歳の女性.妊娠30週時に左自然気胸を発症,胸腔ドレーンを挿入したが呼吸苦が改善せず入院同日に胸腔鏡下肺部分切除術(VATS)を施行した.周術期に低酸素血症をきたしたが母体・胎児ともに異常は認めず経過は良好であり,妊娠38週で経腟分娩にて健児を出産した.妊婦の自然気胸治療に関する明確なガイドラインはなく,保存的治療を行い分娩後に手術という待期的な方法を勧める報告が多い.しかし,肺の酸素化不良による母体・胎児への悪影響が予測される場合には早期手術を考慮してもよいと考えられた.
  • 原 温子, 永田 太郎, 井上 彰子, 漢那 悦子, 松角 貴子, 谷口 良雄
    2012 年 32 巻 7 号 p. 934-937
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      81歳,女性.内視鏡下副鼻腔手術を施行後,鼻出血のため緊急止血術を施行したが,外科的止血が困難であった.著明な血小板低下を認め,血小板輸血にも反応しないため,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を疑いγグロブリン(15g/日),ステロイド(60mg/日)の投与を施行し合併症なく退院した.多くのITP合併症例は術前に診断されており,適切な治療により血小板数を維持しながら周術期管理を行えるが,本症例は周術期に発症したため危機的な血小板減少をきたした.周術期の止血困難ではITP急性発症も念頭においた迅速な対応が必要である.
  • 板橋 俊雄, 濱屋 和泉, 水戸野 裕之
    2012 年 32 巻 7 号 p. 938-942
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      症例は3歳,女児.左主気管支閉塞と左心室圧迫を伴う直径約10cmの巨大な前縦隔腫瘍に対して胸腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.循環モニターとして経食道心エコー(TEE)を使用した.術中,急激な血圧低下を認めたが,TEEにて腫瘍による心臓圧迫を認め,術者に喚起を促し圧迫の解除を行った.また,鏡視野上では判別することが困難な心血管系組織と腫瘍との境界をTEEで描出し,心血管の損傷を防ぎ安全に剥離操作を行うことができた.TEEは術中に生じる循環変動の原因検索だけでなく,手術の安全性向上にも寄与した.縦隔腫瘍患者の麻酔導入後に急激に起こる呼吸・循環変動の原因を検索する際,即座に使用できるようにTEEを準備することが肝要であると思われた.
  • 平山 三智子, 西川 光一
    2012 年 32 巻 7 号 p. 943-947
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      頚椎後方手術後に,脳神経麻痺による嚥下および構音障害を生じた3症例を経験した.3症例とも術後に舌偏位が認められ,末梢性の舌下神経麻痺と診断された.1症例のみ迷走神経麻痺によるカーテン徴候を合併していた.嚥下および構音障害は術後2週間から3ヵ月間に改善し,以降も良好に経過している.脳神経麻痺の原因には,舌下,迷走神経を栄養する上行咽頭動脈の挿管チューブによる血流障害,術操作による直接障害,頚部の牽引に伴う神経の伸展による障害が疑われた.頚椎後方手術後の脳神経麻痺の発生はまれであるが,術後の嚥下障害や構音障害の原因となることを医療従事者が十分認識し,誤嚥の予防に取り組むことが必要である.
〔日本医学シミュレーション学会〕 短報
第18回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 特別講演
  • 芳賀 繁
    2012 年 32 巻 7 号 p. 954-960
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      事故が起き,被害が生じた場合,わが国では警察が捜査して責任者を特定し,刑事裁判で裁くということが行われている.本稿では,ヒューマンエラーと刑事罰の現状を紹介し,ミスを結果論で裁くことが安全性向上に寄与しないどころか,マイナスの作用をすることを解説する.東日本大震災などで,マニュアルを超えた臨機応変な対応の重要性が再認識されるに至った.安全文化の一要素に「柔軟な文化」があり,それは近年ヒューマンファクターズの分野で注目される「レジリエンス工学」の概念に通じる.組織や個人の柔軟性,レジリエンスを支えるためにも,ヒューマンエラーを結果論で処罰しない「公正な文化」が必要なことを論じる.
第18回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 教育講演
  • 太城 力良
    2012 年 32 巻 7 号 p. 961-965
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      診療報酬の2010年度改定では,医療安全の評価はわずかに増加した.麻酔器は除外されたが,生命維持装置の保守点検に対して安全加算が認められた.医薬品情報提供や放射線治療機器についても治療計画,保守点検のための安全管理料が新設された.兵庫医科大学病院の医療外収入と室料差額を除いた2010年度の収入は276億円,その中で安全管理に関わる診療報酬は合計3,063万円(医療収入の0.11%)であった.感染制御の診療報酬加算は1,972万円だった.薬剤師・看護師各1名,事務職員2名の計4名の専従の人件費,兼務スタッフ,医療安全教育・研修費,弁護士コンサルティング料,医師賠償責任保険料などの総支出を考慮するとき,医療安全を評価する診療報酬は,十分ではない.
第18回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 シンポジウム:大量出血と医療事故
第18回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 原著論文
  • 安本 幸正, 田中 裕, 京極 伸介, 幅下 貞美, 唐島 孝影, 神山 洋一郎
    2012 年 32 巻 7 号 p. 980-984
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      麻酔は医療事故のリスクが高い診療行為である.2009年度と2010年度の麻酔関連インシデント・アクシデント報告41件を分析し,その対応について述べる.影響レベルが3a以上の報告は9件であった.機器関連は,高度障害のリスクがあり,麻酔機器の更新,始業点検・メンテナンスの見直し,バックアップ体制の構築などが必要である.与薬関連は,誤薬,注入経路間違いが多く,指示内容確認の重要性を意識し,口頭指示をなくすシステムの構築が必要である.麻酔導入後の急変は全例重大な障害を残し得た.患者の術前状態の十分な把握と術者と麻酔科医との十分な討議を徹底してもらった.重大事故に対して担当科と関連診療科によるチーム医療アプローチが有用である.
  • 木内 淳子, 江原 一雅, 瀬尾 憲正, 野坂 修一, 水谷 渉
    2012 年 32 巻 7 号 p. 985-993
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/12
    ジャーナル フリー
      平成11(1999)年以降平成21(2009)年までの医療事故に対する医療刑事裁判83例のうち手術室での医療事故25例を検討した.簡易裁判所ではなく,地方裁判所に起訴される率は,手術室での事故は11例(44%)で全医療刑事裁判と比較して高かった.手術室での事例では,36名が被告人となりそのうち医師は32名(89%)であった.刑事訴訟に至った手術室での事故の原因は,医療の質に関するものが21例(84%)であった.最近の医療に関する刑事裁判は判決まで長期間を要しているが,公判により無罪となる判決が出てきたことは注目するべきである.
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