日本臨床麻酔学会誌
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32 巻 , 3 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
日本臨床麻酔学会第30回大会 シンポジウム ─術前絶食期間を考え直そう~Let’s Reconsider Preoperative Fasting Period~─
日本臨床麻酔学会第30回大会 シンポジウム ─胎児と母体をめぐる麻酔の問題─
  • 宮坂 勝之, 照井 克生
    2012 年 32 巻 3 号 p. 325
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
  • 鮫島 浩
    2012 年 32 巻 3 号 p. 326-330
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      3次医療施設である宮崎大学の検討では,帝王切開の20~25%は胎児適応であり,胎児心拍数モニタリング異常が最も多く,次に胎児発育遅延である.宮崎県のpopulation-based研究でも胎児適応で母体搬送される1/3は胎児心拍数モニタリング異常である.この病態の背景には,胎児-胎盤系の低酸素症や循環不全が存在している.その中には常位胎盤早期剥離に代表されるように非常に急激な変化をきたす病態もあれば,一方,軽度の胎児発育遅延のように慢性的な軽度の低酸素血症が主体である場合もあり,そのタイムコースはさまざまである.そこで産科医は,症例の持つハイリスク因子と胎児心拍数モニタリング所見をもとに,胎児低酸素症の重症度と,今後に悪化するタイムコースを予測し,帝王切開の緊急度を決定している.ここで重要な点は,産科医の想定している緊急度と,実際に麻酔をかける麻酔科医が判断した緊急度とが一致しているか,すなわち多診療科間で共通認識が得られているか,である.今回,自験例をもとに胎児適応での帝王切開の現状と,麻酔に伴う児の臍帯動脈血液ガス所見と,産科医が緊急度を決定する際の方法を紹介し,多診療科間で共通認識を持つための資料を提供することを目的として解説する.
  • 林 玲子
    2012 年 32 巻 3 号 p. 331-336
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      分娩の痛みは個人差があるが,陣痛の刺激により母体の血圧上昇,過呼吸を生じるような場合は二次的に臍帯血管の収縮,子宮胎盤血流低下をきたし,さらには間接的に胎児への酸素供給低下などの影響を起こしうることがわかっている.よって硬膜外麻酔による無痛分娩は,母体の痛みを取り除くだけではなく胎児に起こりうる二次的な悪影響を防ぐことが可能である.母体への硬膜外麻酔が与える胎児・新生児への影響は直接的,間接的なものが考えられるが,臍帯血流の維持を念頭に硬膜外麻酔による合併症の早期発見がなされるような麻酔管理が行われていれば,麻酔の利点を最大限に胎児・新生児に還元することが可能である.
日本臨床麻酔学会第30回大会 パネルディスカッション ─これからの術後鎮痛─
講座
  • 中山 禎人
    2012 年 32 巻 3 号 p. 350-358
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      レミフェンタニルの登場により,麻酔管理に対するわれわれ麻酔科医の考え方が大きく変化し,鎮痛を十分に図った麻酔管理が容易に行えるようになった.特に筋弛緩薬を使用しない全身麻酔管理や気管挿管,awake craniotomyや気管・気管支ステント留置術などの麻酔管理には,本薬剤は最適と考えられ,また術中ストレスホルモン分泌の抑制や尿量の確保,高血糖の予防目的でも有用性は注目されつつある.その一方,本薬剤は効果発現までが約1分と著明に短時間であるため,ロクロニウムを用いた気管挿管など,麻酔導入においても非常に有用である.麻酔科医にとって,レミフェンタニルの特性を熟知して使いこなすことは,よりよい周術期管理にとって,もはや必須と考える.
  • 松本 美志也, 白澤 由美子, 石田 和慶, 福田 志朗, 山下 敦生
    2012 年 32 巻 3 号 p. 359-365
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      胸腹部大動脈瘤手術時の麻酔で麻薬が虚血性脊髄障害を増悪させるか否かに関して議論がある.Kakinohanaらは,ラットの一過性脊髄虚血モデルで虚血再灌流後のモルヒネくも膜下投与による虚血性脊髄障害増悪の可能性を報告した.しかし,障害を増悪させるモルヒネの量は鎮痛効果を発揮する量の10倍以上である.一方,われわれは家兎の一過性脊髄虚血モデルで臨床使用量の2倍の大量フェンタニル(100μg/kg)あるいはレミフェンタニル(1μg/kg/min)と0.5MACのイソフルラン併用による全身麻酔に虚血性脊髄障害増悪作用のないことを報告した.麻薬の極端な大量投与が虚血性脊髄障害を増悪させる可能性は否定できないが,臨床使用量の範囲では増悪させる可能性はないと思われる.
原著論文
  • 山口 忍, 宮本 真紀, 吉村 文貴, 松本 茂美, 竹中 元康, 飯田 宏樹
    2012 年 32 巻 3 号 p. 366-370
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      当院ペインクリニック外来でガバペンチンを処方された慢性疼痛患者を後ろ向きに調査し,初期効果やリドカイン療法の効果が,長期効果の予測因子になりうるかどうかを検討した.患者数は507例,帯状疱疹後神経痛160例,脊椎疾患167例,その他180例であった.ガバペンチンの維持投与量は757±417mg,服用期間は7.2±7.8ヵ月であった.初回投与時には64%,長期投与後では67%の患者で有効以上の効果を認め,疾患群ごとの有効性に差はなかった.また,初期効果において有効であった症例の92%が,長期投与後にも効果があった.副作用は25%でみられ,最も多かったのはふらつき,次に眠気であった.重篤な副作用はなく,副作用により内服の中止に至った症例は発生例のうち41%であった.今回の結果から,ガバペンチン投与初期の鎮痛効果により各患者のガバペンチンの長期効果が予測できる可能性が示唆された.
  • 柴崎 雅志, 志馬 伸朗, 中嶋 康文, 石井 祥代, 溝部 俊樹, 佐和 貞治
    2012 年 32 巻 3 号 p. 371-374
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      小児の気管チューブの挿入長は安全域が狭く,その決定に注意が必要である.現時点で利用可能な5つの挿入長決定法の有効性を比較し,不適切となる原因を調査した.適切な気管チューブの先端位置は「胸部X線写真による気管チューブの先端位置が両側鎖骨中線と気管分岐部より0.5cm頭側の間」と定義し,気管挿管後,胸部X線写真により気管チューブ先端の適切範囲を評価し,各種挿入長決定法に基づき算出した挿入長との関係を評価した.各種決定法で適切範囲内に収まる割合は56.0~64.0%,浅過ぎる割合は26.0~42.0%,深過ぎる割合は0.0~14.0%であった.現存する挿入長決定法では適切範囲内に収まる割合は低く,各種挿入長決定法により不適切な位置になる原因も異なっている.今後,より正確な挿入長決定法の構築が必要である.
  • 大久保 涼子, 番場 景子, 北原 泰, 小村 玲子, 西巻 浩伸, 傳田 定平
    2012 年 32 巻 3 号 p. 375-380
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      当院で行われた左側臥位の胸腔鏡下食道切除術(VATS-E)(L群)と腹臥位VATS-E(P群)各70例について後ろ向きに検討した.P群はL群と比べて胸部操作中の動脈血二酸化炭素分圧の最高値が高く,重篤な経皮的動脈血酸素飽和度低下の発生が多かった.また,体位変換の困難さに伴い麻酔導入時間が長かった.しかしP群は胸部操作中出血量,総輸液量,術中水分出納,胸部操作中の不整脈や術視野不良が有意に少なかった.腹臥位VATS-Eは呼吸管理や体位変換などの今後検討すべき問題点はあるが,循環動態は安定しており安全に管理できた.
症例報告
  • 石川 義継, 鳥越 桂, 平賀 一陽, 福田 貴介, 渋谷 鉱, 高地 明
    2012 年 32 巻 3 号 p. 381-383
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      非オピオイドや弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な癌性疼痛や慢性疼痛の患者に,フェンタニル貼布剤を用いた鎮痛が行われる.今回,常用中のフェンタニル貼布剤(デュロテップ®MTパッチ)8.4mg/3日を手術直前に剥離後,6時間を経て退薬症状が生じた症例を経験した.術後(剥離6時間後)に多呼吸や頻脈,発汗過多といった退薬症状が出現した.フェンタニル持続静注を2日間行い治療した.低体温による皮膚血流低下,全身状態不良や術中出血量の程度により血清フェンタニル濃度低下をきたした可能性がある.フェンタニル貼布剤常用患者では,剥離後早期に退薬症状が出現する可能性もあるため,周術期管理に注意を要する.
  • 中川 秀之, 今西 宏和, 寺尾 和久, 有山 淳, 林田 眞和, 北村 晶
    2012 年 32 巻 3 号 p. 384-389
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      後尖の中等度の僧帽弁逆流(MR)に対して,僧帽弁形成術(MVP)を行った.術前の経胸壁心エコー(TTE),麻酔導入後の経食道心エコー(TEE)では,左室壁運動異常はなく,左室壁肥厚はあるが流出路狭窄(LVOTO)はなかった.収縮能,拡張能に問題はなく,軽度の大動脈弁逆流(AR)があるのみだった.人工心肺離脱中に重度のMRを生じたため,人工心肺下に弁と腱索の修復と観察を行った.2度目の離脱時にも,中等度以上の中心性のMRを生じたが,収縮期前方運動(SAM)によるものと判断した.LVOTOが見られない程度のSAMであっても,2種のβ遮断薬(塩酸ランジオロールとプロプラノロール)を使用することで,MRは軽微になった.術後1年間,SAMは生じていない.
  • 小島 三貴子, 丸井 輝美, 竹本 真理子, 平松 瑠奈, 奥 和典, 大瀧 礼子
    2012 年 32 巻 3 号 p. 390-394
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      甲状腺癌の喉頭浸潤により,気管断面積がCT上で40%以下に減少した50歳の女性の麻酔管理を経験した.喉頭全摘術および頚部郭清術が予定されたが,声門部に腫瘍状組織が浸潤しており,挿管困難と思われた.意識下に経鼻的ファイバースコープによる挿管を試みたが,声門の通過は不可能であったため,局所麻酔下に大腿動静脈よりカニュレーションを行い,経皮的心肺補助による体外循環下に気管切開を行った.気管切開後はモンタンドンチューブを挿入し,全静脈麻酔による全身麻酔下に予定術式を完了した.手術翌日に人工呼吸から離脱し,その後は順調に経過した.迅速な体外循環の開始により,重度の気道狭窄症例を安全に管理し得た.
  • 川崎 政紀, 畑島 淳, 松田 富雄
    2012 年 32 巻 3 号 p. 395-401
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      人工股関節形成術(total hip arthroplasty:THA)の周術期合併症の一つとして脂肪塞栓症候群(fat embolism syndrome:FES)がある.脂肪塞栓症候群による脳梗塞は,発症時に重症であっても,迅速な対応・治療をすると症状は可逆的であることが多い.今回,人工股関節形成術後の脂肪塞栓による多発性脳梗塞に対し,早期診断と呼吸管理,およびヘパリン・シベレスタットナトリウム・エダラボンの併用療法によって良好な転帰をとった1例を経験したので報告する.
紹介
〔日本医学シミュレーション学会〕 紹介
  • 狩谷 伸享, 上農 喜朗
    2012 年 32 巻 3 号 p. 408-413
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
      妊婦の気道管理の特殊性について述べる.妊婦では挿管不能は300人に1人といわれ,一般外科手術の8倍の発生率である.妊婦の気道管理には解剖学的な問題のほかにも,低酸素への耐容の低さ,誤嚥などのリスクがある.分娩中にもMallampati分類は悪くなることが明らかになった.肥満妊婦では帝王切開や全身麻酔の可能性が高いと考えられ,麻酔科医による十分な術前評価が望ましい.ラリンジアルマスクは妊婦の気道困難症でも緊急時のツールとして確立しつつある.妊婦の気道困難症のアルゴリズムでは母体優先が原則ではあるが,母体の換気が確立した後には患者を覚醒させずに帝王切開を行うこともある.
Letter to the Editor
周術期の危険な不整脈診断のポイントと抗不整脈薬の上手な使い方 (第1回)
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