【背景】横浜市立大学附属病院手術室では,2006年まで,年に1度手術室をクローズして避難訓練を行っていた.これは主に火災を想定し職員の避難に重点を置いた訓練であった.この年,病院の災害対策マニュアル整備をきっかけに,手術室独自の災害対策マニュアル作成が行われた.このマニュアルは実際に機能するのか検証し,その不備を改善する目的で,災害に主眼を置いた訓練が企画された.
【訓練の実際】[2007年]マニュアルを使用した訓練を行うため,シミュレーショントレーニングの訓練形態を初めて採用した.具体的には机上訓練を用いてマニュアル検証を行った.[2008年]前年の反省点をふまえ改正されたマニュアルを再検証し,アクションカードや災害状況報告書,そのほか災害対策の物品を整理した.[2011年]2009年,2010年は,緊急時のトレーニングをシミュレーショントレーニング法で実施した.この経験を生かし,2011年は再度地震災害をテーマに,新しい訓練法を取り入れた.[2012年]これまでの経験を生かし,もう一つの大学病院である市民総合医療センターにて,この病院の特徴をふまえた災害訓練を行った.
【訓練の成果と課題】・実際に使用しなければ明らかにできないマニュアルの問題点を改善できた./・多職種の参加者が共通認識を持つことができた./・実際に体験することで効率よく学習でき,実際の震災時もあわてることがないよう物品の面でも精神的な面でも準備を整えられた./・大規模な訓練の実施は時間的にもマンパワーの面でも困難であり,小規模なトレーニングを繰り返し行うことも必要であることが認識された.
【結語】手術室災害トレーニングを繰り返し行い,効果的であったと思われるが,今後も継続していくために最適なトレーニング法を新たに模索する必要もあると考えられた.
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