日本臨床麻酔学会誌
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34 巻 , 5 号
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症例報告
紹介
  • 徳嶺 譲芳, Alan T. Lefor, 米井 昭智, 前原 康宏, 菊地 龍明
    2014 年 34 巻 5 号 p. 669-673
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      内頚静脈穿刺によるカテーテルの脊柱管内誤挿入は,重篤な神経損傷を起こす可能性がある.この合併症は,小児から成人,さらに穿刺手技を問わず報告されている.これまでの報告で,さまざまな原因があげられたが,すべてを説明する機序は想定されていない.われわれは,機序として以下の3つの要因を仮定した.(1)頚部を過度に回転させる,(2)穿刺針を内側に向ける,(3)穿刺針を深く刺しすぎる.われわれが検討した過去の報告11症例中10症例はこの3つの要因のいずれかで説明可能であった.脊柱管内誤挿入による重篤な神経障害を避けるには,解剖の理解と,これらの要因を避ける穿刺技術が必要であろう.
日本臨床麻酔学会第33回大会 招待講演
  • 市田 蕗子
    2014 年 34 巻 5 号 p. 674-683
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      小児循環器医学の診断技術の進歩や内科的・外科的治療により,重症の先天性心疾患でも生存率は飛躍的に向上した.一方で,精神神経発達の異常が予想を超えて高頻度であることが明らかになってきた.この発達の異常には,染色体異常や遺伝子異常などの患者固有の因子,心疾患に伴う脳循環の異常や低酸素,あるいは手術や内科的治療に伴う危険性などの因子のほか,家庭や学校,職場などの環境の因子も影響を及ぼしている.先天性心疾患児の発達障害は,認知,社会性,言語,注意欠陥など高次脳機能の障害が特徴的である.早期から,心理発達検査スクリーニングを行い,発達異常を認識し,心理カウンセリングなどのサポートを始めることが重要である.
  • 鈴木 敦夫
    2014 年 34 巻 5 号 p. 684-691
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      病院の手術室の管理運営には,手術のスケジューリング,麻酔科医のシフト作成,手術部の看護師のシフト作成などオペレーションズ・リサーチ(OR)を用いて解決できる数多くの問題がある.ここでは,南山大学の鈴木研究室と愛知医科大学の麻酔科学講座とで共同開発した,麻酔科医のシフト作成を支援するシステムの紹介をする.このシステムの作成にあたっては,現場で使いやすいように,スケジュールやシフトを作成している麻酔科医の知識や経験が活かせるような工夫をしている.現在,これらのシステムは愛知医科大学の麻酔科学講座で試用中である.
日本臨床麻酔学会第33回大会 招請講演
  • 和藤 幸弘
    2014 年 34 巻 5 号 p. 692-698
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      1995年の阪神・淡路大震災以降,災害医療体制の整備が進められてきたが,2002年の「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」制定を契機に内閣府,厚生労働省によって2005年から広域医療搬送計画と日本DMATの整備拡大が加速度的に推進されている.日本DMATは災害急性期に活動するチームで,2011年の東日本大震災でも全国すべての都道府県から383チームが東北の被災地域で医療活動を行い,広域医療搬送も実施された.この大災害で大規模な日本DMATの活動が稼働することが証明され,2014年現在1,150チーム(586医療機関)が登録しており,さらに拡大が図られている.一方で急性期の医療活動以外の問題点が広く認識された.本稿では広域医療搬送計画と日本DMATについて,また現在の災害医療の問題点について解説する.
日本臨床麻酔学会第33回大会 シンポジウム ─外科医と術後回復能力強化プログラムを語り合おう─
日本臨床麻酔学会第33回大会 シンポジウム ─緩和ケアを支える多職種チーム─
  • 田口 奈津子, 小川 真生
    2014 年 34 巻 5 号 p. 714
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
  • 安部 能成
    2014 年 34 巻 5 号 p. 715-721
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      緩和ケアとは,命を脅かす病気に付随した問題に直面した患者,および患者家族の人生のQOLを改善する方法,といわれている.これは,身体的,心理社会的,スピリチュアルな次元への広がりを持つため,その対応には複数の専門職によるチーム医療が必要である.日本緩和医療学会の調査によれば,全国から480以上の緩和ケアチームの登録があるが,そのメンバーは医師,看護師,薬剤師,MSW,リハビリテーション専門職,栄養士,臨床心理士,歯科医・歯科衛生士となっている.そこでのリハビリテーション専門職の役割は,その日が訪れるまで最大限のADL,およびQOLの維持に努めることであり,目的において緩和ケアの定義と同一であるが,手段において異なる.
  • 恵紙 英昭
    2014 年 34 巻 5 号 p. 722-730
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      ヒトと漢方薬は自然の生き物という共通点がある.漢方においては患者の診断・治療とは全人的治療であるという考えが根底にあり,薬と身体との対話(反応)を大切にしている.これは精神科治療(サイコオンコロジー領域)にも共通しており,細かく患者の訴えを聴取し,生活環境,食生活,嗜好,生活リズム,家庭生活,人間関係などの情報を得て治療を行っている.患者とのコミュニケーションでは,傾聴,つらさを共感する姿勢,安心感と情緒的サポートが大切であり,繊細さを求められる.それを多職種という緩和ケアチームで実践することが大切である.構成生薬の薬能・薬性を考えながら処方するが,治療者は患者の「食べられなくなったら死ぬのではないか」という恐怖と不安を十分に理解し,消化器症状を軽減しながら治療することを忘れずに薬物を投与することを意識した方がよいと考える.本稿では,症例を呈示して漢方薬の有用性を示したい.
  • 小川 恵子
    2014 年 34 巻 5 号 p. 731-737
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      漢方医学(漢方方剤内服治療,鍼灸治療,推拿)の大きな利点は,現代医学だけでは対処できない症状(全身倦怠感,食欲不振など)に対する効果が高いことである.漢方医学は全人的医療であり,診察による治療効果もあると考えられ,緩和ケアとの親和性が高い.特に日本の漢方方剤による治療は,健康保険で薬剤投与を受けられ,品質・安全性が管理されており,がんの治療と並行して行うことが容易である.服薬が困難になった場合には,鍼灸治療が有用である.近年,緩和ケアにおける鍼灸治療の臨床研究は多くなされ,われわれも接触鍼法がCIPNの補助療法として有効であることを示したが,エビデンスとして確立するためには質の高い無作為比較試験が望まれる.
日本臨床麻酔学会第33回大会 専門医が伝えるプロの技 ─小児麻酔─
  • 前川 信博, 蔵谷 紀文
    2014 年 34 巻 5 号 p. 738
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
  • 金谷 明浩, 亀山 良亘, 山内 正憲, 蔵谷 紀文
    2014 年 34 巻 5 号 p. 739-744
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      小児の覚醒時興奮は自傷行為のリスク,看護スタッフの負担,両親の満足度を低下させるなど,術後の大きな問題の一つである.リスク因子には年齢,術前不安,性格,痛み,麻酔方法,術式がある.麻酔方法は重要で,血液/ガス分配係数の小さいセボフルランやデスフルランは広く使用されているが,小児の覚醒時興奮の原因として注目されている.予防・治療にはオピオイド,ミダゾラム,ケタミン,α2受容体作動性鎮静薬,非ステロイド性抗炎症薬などの周術期投与が有効とされている.プロポフォールによる麻酔維持も予防に有効である.小児では覚醒時興奮が生じにくい麻酔方法を選択するべきで,発生した場合は適切に治療を行わなければならない.
  • 関島 千尋, 蔵谷 紀文
    2014 年 34 巻 5 号 p. 745-749
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      新生児には在胎週数や出生体重などの違いによりさまざまな状態が含まれ,必要な管理も異なる.術中の不十分な鎮痛による過剰なストレス応答は予後を悪化させる可能性が示されている.近年,各種の麻酔薬,特に揮発性麻酔薬などの鎮静薬による幼若期の脳に対する神経毒性が動物実験レベルで示されている.近い将来,超短時間作用型オピオイドによる十分な鎮痛と筋弛緩薬による不動化を中心とした麻酔法が主流となっていくであろう.新しい麻酔関連薬剤の登場と周術期管理の進歩により,単に新生児というだけでは術後人工呼吸の適応にはならなくなった.
  • 茅島 顕治
    2014 年 34 巻 5 号 p. 750-754
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      小児の内頸静脈穿刺では超音波による穿刺前の血管走行確認が重要と思われる.穿刺部位背側近傍には,特に小児では,総頸動脈のほかにも,椎骨,鎖骨下,甲状頸,頸横,および下甲状腺動脈などが走行する場合があり誤穿刺の合併症も報告されている.動脈走行の異常および多様性も知られ,超音波ドプラーカラーフローで穿刺前に血管走行を確認しておきたい.超音波ガイド下穿刺でも穿刺に先立つシミュレーション訓練により超音波画像上穿刺針先端を確実に描出する能力を高めたい.さらに,内頸静脈後壁穿通は避けられないと認識し,時に静脈背側を走行する動脈を避けて針を進め,より安全な穿刺につなげたい.
  • 門崎 衛
    2014 年 34 巻 5 号 p. 755-759
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      小児麻酔領域でのエコーとして,心臓麻酔管理におけるエコー検査の有用性について解説する.新生児,特に未熟児の心臓麻酔管理においては脳室内出血や脳室周囲虚血の予防が肝要であり,この評価に経泉門脳エコー検査が有効である.また,経食道心エコー(TEE)の心臓麻酔領域での有用性は広く知られるところであるが,乳児期早期の患者に対するTEE検査では,成人と異なり気道への影響を考慮する必要がある.すなわち,プローブの形状の特性として,シャフトに比し,先端が若干大きく太い,マルチプレーンタイプでは挿入する深さにより,気道への影響が変化することの認識が重要で,対象となる患者の体型が小さいほど影響が生じやすいため,新生児や乳児では注意が必要である.
日本臨床麻酔学会第33回大会 専門医が伝えるプロの技 ─末梢神経ブロック─
講座
  • 宮尾 秀樹
    2014 年 34 巻 5 号 p. 788-795
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      2013年10月に新規ヒドロキシエチルスターチ(HES)製剤,ボルベン輸液6%が日本で発売された.第3世代HESとして,全世界で最も頻用されているHESである.2013年6月に欧州において規制当局によるHESの販売停止勧告がなされた.その根拠となる研究は重症敗血症患者に対する腎代替療法率がHES群に多かったという論文であった.その後新しい論文発表や欧州麻酔学会からの声明等もあり,同年12月に販売停止勧告は取り下げられた.手術患者への第3世代HES使用は他の輸液剤に比べて腎機能への影響は小さく,輸血率も少ない.ボルベン輸液6%の紹介,HESと腎機能,止血凝固系に関して述べる.
  • 木山 秀哉
    2014 年 34 巻 5 号 p. 796-806
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      バランス麻酔を適切に行うには薬物相互作用の知識が不可欠である.鎮痛薬濃度,鎮静薬濃度をそれぞれx座標,y座標とすれば,麻酔経過はxy平面上の点の軌跡になる.各種刺激に対する反応確率を示すアイソボログラムを重ね合わせると,薬理効果の推移を表現できる.独Drager社のSmartPilot ViewTMは実測した揮発性麻酔薬濃度,あるいは薬物動態モデルに基づいて計算した静脈麻酔薬・鎮痛薬の効果部位濃度を2次元グラフとして描記する.過去の薬物濃度だけでなく15分先までの濃度予測が可能である.数学的で難解な薬物動態/薬力学をビジュアル化して,質の高いバランス麻酔を可能にする麻酔の「航行支援装置」になり得るソフトウェアである.
  • 松田 光正
    2014 年 34 巻 5 号 p. 807-813
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
      日本麻酔科学会医事紛争解決事案症例調査によると,医事紛争原因の約30%は気道トラブルで,その多くは死亡や重篤な後遺症をきたしている.近年このような事例を解消するためにさまざまなビデオ喉頭鏡が登場している.新しいビデオ喉頭鏡のMcGRATH® MACはカメラによる間接視野と実際の展開による直接視野の両方で喉頭展開を視認でき,またブレードの形状も従来の喉頭鏡に近く,麻酔科医にとって特別なトレーニングを行う必要がない.本稿ではMcGRATH® MACの通常の気管挿管における有用性に加えて,これを用いてダブルルーメンチューブ(DLT)を挿管する際に必要なポイントを解説する.
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