日本臨床麻酔学会誌
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34 巻 , 7 号
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原著論文
  • 東 加奈子, 喜多 沙奈, 岩垣 圭雄, 佐野 治彦, 青山 和義, 竹中 伊知郎
    2014 年 34 巻 7 号 p. 821-827
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      McGrath®喉頭鏡とAirwayScope®を用いた喉頭展開に必要な頭部伸展度を計測した.正常頚椎の患者50名を仰臥位,頭部を中間位とし,角度計付きゴーグルを装着した.全身麻酔+筋弛緩下に,いずれかの喉頭鏡(各25名)を用いて喉頭展開し,角度計で頭部伸展角を計測した.また,ボランティア6名を対象に,X線的に計測した頭蓋-第4頚椎伸展角と頭部伸展角を比較した.McGrath®喉頭鏡とAirwayScope®を用いた喉頭展開に必要な頭部伸展角は,9.9±2.8°と6.6±2.8°であった(P<0.0001).また,頭部伸展角と頭蓋-第4頚椎伸展角との間には緊密な相関関係が認められた(r=0.94,P<0.0001).両喉頭鏡とも比較的少ない頭部伸展(おそらく頚椎伸展)で喉頭展開可能であり,頚椎不安定性を有する患者の気管挿管に有用である可能性が示唆された.
  • 山口 聡, 大野 義一郎, 北村 治郎
    2014 年 34 巻 7 号 p. 828-833
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      下肢切断術患者の術後院内死亡リスク因子について,2008年1月から2011年12月までの期間に当院で下肢切断術を施行した36症例を対象として,診療録と麻酔記録から後ろ向きに調査した.全症例が糖尿病または閉塞性動脈硬化症を合併しており,術後院内死亡率は31%(11症例)で,死因は敗血症,肺炎,脳卒中であった.術前,術中,術後の既知因子を多変量解析したところ,低アルブミン血症と術後輸血が独立して院内死亡のリスク因子であった.両者ともに院内死亡の予測因子のみならず原因因子の可能性があり,今後本研究を基にさらなる前向き研究による評価が必要である.
症例報告
短報
紹介
日本臨床麻酔学会第33回大会 招請講演
  • 稲田 英一
    2014 年 34 巻 7 号 p. 854-859
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      「危機的出血への対応ガイドライン」が発表されてから7年が過ぎた.ガイドラインの普及による危機的出血の頻度低下や,予後の改善についての直接的なエビデンスはない.しかし,日本麻酔科学会の調査は,5,000mL以上の出血例における予後の改善を示唆している.ガイドラインの改訂が進行中であるが,フィブリノゲンの供給法や,Massive Transfusion Protocol(MTP)の導入などについての検討が行われている.フィブリノゲン補充のための乾燥人フィブリノゲン製剤やクリオプレシピテートの使用についての議論が行われている.産科危機的出血における自己血回収法使用の是非についても検討が進められている.
  • 土井 松幸
    2014 年 34 巻 7 号 p. 860-866
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      レミマゾラムはイミダゾベンゾジアゼピン骨格を持ち,ジアゼピン環にエステル結合を含む側鎖を持つことが特徴で,代謝物が薬理活性を示さない.健康ボランティアを対象とした第I相試験では,単回投与時の消失相血中半減期は39~53分であった.0.2mg/kg単回投与で全被験者が意識消失した.64歳以下の非高齢者55症例,65歳以上の高齢者30症例を対象とした前期第II相試験では,麻酔維持での平均投与速度は非高齢者で1.02mg/kg/h,高齢者で0.72mg/kg/hで,血圧,脈拍の変動は軽微であった.レミマゾラムは,水溶性製剤であること,循環動態の安定性と特異的拮抗薬を持つ点でプロポフォールを凌駕する.レミマゾラムは全身麻酔時の催眠作用に優れた特性を備えており,有望な次世代の静脈麻酔薬である.
日本臨床麻酔学会第33回大会 シンポジウム ─周術期神経系モニタリング─コツとピットフォール──
  • 松本 美志也, 飯田 宏樹
    2014 年 34 巻 7 号 p. 867
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
  • 山下 敦生, 石田 和慶, 松本 美志也
    2014 年 34 巻 7 号 p. 868-874
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      胸部下行・胸腹部大動脈瘤手術時の脊髄虚血モニターとして運動誘発電位(MEP)が推奨されている.手術中に大動脈を遮断しMEP振幅の変化を見ることで,再建すべき分節血管の存在を判断することもできる.しかしMEPは偽陽性が多く,その影響因子として麻酔薬,体温,部分体外循環,年齢,術前脳・脊髄機能障害,記録部位,手術時間,肥満などがあげられる.この中で重要なものは麻酔薬,体温,部分体外循環である.麻酔薬の代謝を考慮し投与量を調節することで,偽陽性の頻度を減少させることができる可能性がある.今後はいまだ定まっていないMEP診断基準が制定され,容易にモニタリングできるマニュアルが作成されることが望まれる.
  • 福岡 尚和, 上田 恭平, 堤 久美子, 飯田 宏樹
    2014 年 34 巻 7 号 p. 875-884
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      運動誘発電位(motor-evoked potential:MEP)モニタリングは術中運動神経機能評価目的で行われ,脳外科,脊椎・脊髄外科領域でその臨床上の重要性が増してきている.一方,MEPは麻酔薬,筋弛緩薬の影響を受けやすく,MEPの波形解釈に難渋することも多い.このため専門の医師や臨床検査技師等にMEPモニタリングを依頼している施設もあるのが現状である.当院では麻酔科医主導によるMEPモニタリングを行っているが,MEPモニタリングの基礎を含めて,脊椎手術(主に側弯症),脊髄手術,脳外科手術それぞれの領域におけるMEPモニタリングの実際とピットフォールについて解説する.
  • 林 浩伸, 赤崎 由佳, 川口 昌彦
    2014 年 34 巻 7 号 p. 885-890
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      術後視機能障害は患者の生活の質に関わる重大な問題である.視機能障害発生リスクのある手術では,術中視機能モニタリングとして視覚誘発電位(VEP)モニタリングが有用である.プロポフォール麻酔,高輝度LEDによる網膜光刺激装置の使用,光刺激が網膜に到達したことを確認するための網膜電図(ERG)の併用をすることで全身麻酔下でも再現性のあるVEP波形を記録することが可能になった.今後,VEPモニタリングは術中に神経機能を評価できる誘発電位の一つとして普及していくと思われる.まずは明確なアラームポイントの設定が早急の課題である.
  • 吉谷 健司, 大西 佳彦
    2014 年 34 巻 7 号 p. 891-895
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      近赤外線分光法(NIRS)を用いた局所脳酸素飽和度(rSO2)は非侵襲的に連続測定が可能なため手術中に用いられることも多くなった.しかし,使用してみると個人間で測定値にばらつきが大きく,同じように%表示されるパルスオキシメーターで測定される動脈血酸素飽和度(SpO2)と同様には使いにくいことがわかる.しかし,NIRSによるrSO2もその簡便さから捨てがたいものがある.このジレンマを解決するために少し掘り下げてrSO2について考えてみる必要がある.パルスオキシメーターとどの点が異なるのか,測定値のばらつきはなぜ起こるのか,正確なrSO2は可能なのかなどについて考えてみることにする.
  • 坪川 恒久
    2014 年 34 巻 7 号 p. 896-905
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      Bispectral Index(BIS®)とAEP(aepEX®)は代表的な麻酔深度モニターである.BIS®は自発脳波を解析して指数を計算しているのに対して,aepEX®では聴覚誘発電位を利用している.BISRは単純な周波数解析だけではなく,4つのコンポーネントを組み合わせているが,詳細なアルゴリズムは公開されていない.一方,aepEX®は0~144msの範囲に含まれる誘発電位曲線の長さを指数化している.BIS®は術中覚醒記憶に対する感度は高いが,偽陽性が多い.aepEX®は中潜時の聴覚誘発電位を含んでいることから,理論的にはより意識の有無を反映しやすいと期待されているが,この2つのモニターを直接比較した研究が待たれる.
日本臨床麻酔学会第33回大会 シンポジウム ─女性麻酔科医─
  • 小澤 章子, 大江 容子
    2014 年 34 巻 7 号 p. 906
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
  • 増田 美奈, 上村 裕一
    2014 年 34 巻 7 号 p. 907-914
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      鹿児島大学では女性医師復帰支援として大学・附属病院・部局のおのおのが支援を行っている.特筆すべき点として,医員を対象とした短時間雇用制度を制定しており,これにより育児休業からの復帰が円滑になっている.また,部局の取り組みとしては麻酔科専門医を含め,資格を取るのに不足ない十分な研修が行われるようプログラムを策定するとともに,手術枠の改変を含めたシステムの再構築を行い,育児中医師が勤務を続けやすい体制をとっている.今後はジョブシェアや短時間正社員制度による雇用の拡大とともに各人のキャリアアップを支援し,地域医療再生の一助となるよう人材育成を行っていきたいと考えている.
  • 小森 万希子
    2014 年 34 巻 7 号 p. 915-918
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      日本麻酔科学会の調査によると,10年前と比較して,学会の会員数の女性の割合は27%から35%に増加し,代議員の女性の割合は3.9%から6.7%に増加している.しかし,女性医師がフルタイムで働ける条件はまだ十分に満たされておらず,そのために30代から麻酔科医を中断する女性医師が多い.日本では高齢化と外科技術の進歩に伴い,手術を受ける患者が増えてきているが,麻酔科医師はいまだ不足しており,これは深刻な問題である.女性麻酔科医師の支援策としては女性医師復帰プログラムがある.これに加えて,麻酔科医師の労働条件の改善はもとより,自らがキャリアを継続し向上させるという強い意志を持った女性医師を育成することが重要である.
  • 安心院 純子
    2014 年 34 巻 7 号 p. 919-923
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      近年,女性医師数の増加により,国や各施設では「仕事と家事・育児の両立」「管理者,指導的役割としての将来」を勘案した制度改革や環境改善の検討がなされている.病院内の併設保育施設や育児のための短時間勤務制度の導入が進み,女性医師が働きやすい環境になりつつある.今後,われわれ女性医師はワークライフバランスを考慮した新しい働き方を視野に入れ,一人一人がキャリアデザインを明確にできるよう,支援環境の整備をより広めていく必要がある.その一方で女性医師はこのような環境を当然のものと思わず,周囲の理解や援助を得ているからこそ今の自分があるということを自覚し,努力する必要がある.
  • 中原 絵里
    2014 年 34 巻 7 号 p. 924-930
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      子育て女性医師を支援する法律,制度,施設は充実してきたが,それらを利用する女性麻酔科医の背景と取り巻く環境は実に多様で,一概に当てはめることは困難である.仕事と家庭のバランスの考え方は一人ひとり異なり,それぞれのスタイルで人生を謳歌していけばよいが,医師を志したときの自分の気持ち,周囲の応援を一たび思い起こせば,そう簡単に仕事を諦めることもないのではないかと思う.女性麻酔科医の第三世代として,自分のこれまでを振り返りながら,子育て女性医師を活用することで生じるメリット,子育て女性医師がうまくやっていくコツについて述べ,第四世代の先生方につなげたい.
日本臨床麻酔学会第33回大会 専門医が伝えるプロの技 ─ペインクリニックにおける神経ブロック療法─
第20回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 特別講演
  • 宇賀 克也
    2014 年 34 巻 7 号 p. 954-960
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
      本稿は,医療に係る個人情報が,機微性が高く保護の必要性が高い反面,患者の治療や公衆衛生の向上,医学の進歩のために有効活用される必要がある情報でもあり,保護と利用の両立を図ることが重要であることを指摘する.そして,医療分野における個別法制定の議論の経緯を概観し,現時点において,医療分野における個人情報の保護と利用に係る個別法を制定する必要があるか否かを検証し,必要性を肯定する理由を論ずる.そして,かかる個別法制定の指針を検討し,国,独立行政法人等,地方公共団体,民間事業者に共通のルールを定めること,医療等IDと紐づけられる個人情報について厳格な保護措置を講じた上で必要な範囲で情報連携を可能とすることを提言している.
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