日本臨床麻酔学会誌
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38 巻 , 7 号
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原著論文
  • 原田 真依, 柿沼 玲史, 澤村 成史
    2018 年 38 巻 7 号 p. 737-743
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    〔背景〕経カテーテル的大動脈弁植え込み術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)における局所麻酔下鎮静法(local anesthesia with sedation:LAS)の安全性,有用性を検討した.〔方法〕2016年11月から13カ月間のTAVI 116例中,LAS 14例の周術期経過を後ろ向きに検討した.また同期間の全身麻酔(general anesthesia:GA)症例と手術経過や術後回復等に関する因子を比較した.〔結果〕LAS群の多くは重症呼吸器合併症を有していた.14例中2例で鎮静中の呼吸管理に難渋したが,すべてLASで手術を完遂した.GA群で輸液量が多かった他は所要時間,術後回復等に差はなかった.〔結論〕LASは重症呼吸器疾患を合併したTAVIの管理に有用であったが,術中の呼吸状態を厳重に監視する必要がある.

症例報告
短報
日本臨床麻酔学会第37回大会 教育講演
  • 市原 靖子
    2018 年 38 巻 7 号 p. 760-769
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    悪性高熱症は主に全身麻酔中に突然高熱を発する,常染色体優性遺伝の筋肉疾患である.発症には遺伝素因,抑制因子の欠如,および誘発因子が関与する.本症の特異的な症状はないが,早期発見・早期治療がなされなければ死に至る.この疾患の素因を術前検査から診断することは難しい.日本麻酔科学会では会員が悪性高熱症に対する理解を深め,実践できるよう,悪性高熱症管理ガイドラインを2016年に制定した.本ガイドラインは患者救命を最優先にする必要な処置が記載されている.ただし,ガイドラインでは原則を記載したのみで,本疾患の病態を理解し,現場の状況によって適宜修正する必要はある.

日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─緩和ケアにおける麻酔科医の役割─
日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─周術期管理チームを既に導入した施設からの提案:次の一手は?─
日本臨床麻酔学会第37回大会 特別企画 ─本邦における臨床研究─
  • 田中 誠, 山田 芳嗣
    2018 年 38 巻 7 号 p. 822-823
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー
  • 中山 力恒
    2018 年 38 巻 7 号 p. 824-830
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    臨床研究の根源の多くは,日常の漠然とした疑問やアイデアであると思う.それらを検証可能かつ臨床的に意義を有するような“良い”仮説に転換することが,実際に研究をスタートする上で非常に重要である.しかし,明確な仮説を立てるということは想像以上に難しく,頭を悩ませる場合が少なくない.したがって,筆者らは,第一段階として仮説生成型研究を行い,その結果を基に仮説を生成することで第二段階の仮説駆動型研究に展開するという研究デザインを血管確保に関する一連の研究で用いた.ここでは,それらの臨床研究を紹介しながら,仮説を立てることの重要性について再考したい.

  • 吉田 敬之
    2018 年 38 巻 7 号 p. 831-835
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    臨床医学は臨床研究の結果を根拠に実践されている.臨床研究の実施を通じ,自らの手によって臨床医学の世界をわずかでも変容させることで得られる興奮や喜びは大きい.“研究”というと壮大なテーマを想像する向きがあるかもしれないが,当該分野に熱心な臨床医が抱く疑問に関する研究であれば,さまつに思えるテーマであっても,その答えを求める臨床医は相当数いるはずであり,意義のあるものになるだろう.また,日頃から研究の種になり得る疑問や工夫の余地を探しながら麻酔を行うと,より深い観察眼と興味を発揮して症例を管理できる.臨床研究をやらされるのではなく,自発的に愉しんで行えるマインドセットを身に付けたい.

講座
  • 田中 克明
    2018 年 38 巻 7 号 p. 836-842
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    酸素運搬能は心拍出量,酸素飽和度,ヘモグロビン値,動脈血酸素分圧の4因子で規定される.しかし,これらを連続的かつ正確にモニターできる機器の開発・普及は途上にあり,急激な経過をとり得る産科危機的出血の病態評価において,汎診療科的に使える段階にはない.産科危機的出血への対応指針ではショックインデックス(SI)が病態評価基準である.特にSI 1.0,1.5は臨床判断上の分水嶺である.妊産婦では通常,心機能・呼吸機能が大きくは障害されていないために,酸素運搬能維持のために最も重要となるのはヘモグロビン値の維持である.そのためには迅速な輸血の供給体制構築と安全・確実な輸血の投与が必要である.

第24回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 特別講演
  • 岡崎 淳一
    2018 年 38 巻 7 号 p. 844-848
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    平成29(2017)年3月働き方改革実行計画がとりまとめられ,平成30(2018)年6月働き方改革推進法が成立した.労働基準法に原則1月45時間,1年360時間とする時間外労働の法的上限が定められた.医師については,応召義務等の特殊性や地域医療への影響を考慮し,5年間適用が猶予され,現在,有識者会議で,その後の規制の在り方や労働時間の短縮策等について検討が行われている.労働基準法の定義によれば,勤務医は労働基準法の労働者であり,現在でも,病院内で研究・研修を行う場合のルールや管理方法を明確にする,緊急患者対応の際は労働基準監督署長の事前許可ないし事後届出の活用,宿・日直は勤務実態に留意するなど適切な労働時間管理が必要である.

第24回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会 シンポジウム:鎮静における問題点を探る
  • 小原 勝敏
    2018 年 38 巻 7 号 p. 849-856
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    苦痛の少ない内視鏡診療において,鎮静は不可欠である.2013年にEBMに基づいた「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン」が公表されたが,本ガイドラインは内視鏡診療上,鎮静が必要と考えられた局面において,どのような鎮静法が良いかの指針を示したものである.鎮静時には偶発症として重篤な呼吸抑制をきたす危険性があり,十分なインフォームドコンセントが不可欠であり,さらに偶発症発生時に迅速に対応できる体制をチーム医療として整備しておく必要がある.また,内視鏡医は鎮静・鎮痛薬の特徴ならびに対象とする患者背景や呼吸循環動態の変化に関するリスクを十分に理解し,医療事故防止に努めることが重要である.

  • 長坂 安子
    2018 年 38 巻 7 号 p. 857-868
    発行日: 2018/11/15
    公開日: 2018/12/26
    ジャーナル フリー

    近年,日本の医療水準はほとんどの医療分野で米国と肩を並べるまで成長した.しかし麻酔の分野では,いまだ患者がリスクに晒されている領域がいくつか存在する.それらに共通している点は,非麻酔科医が麻酔業務を兼務した結果,不幸にして患者が偶発症に遭遇し,時に命を落としていることである.鎮静もその例にもれない.鎮静の対象となる手術や処置内容は,術者にとって安易に施行できるものが多い反面,実はむしろハイレベルの麻酔技術が要求される.そして,日本の鎮静現場でのガイドラインの遵守と鎮静・鎮痛薬投与の実態,麻酔科医以外が行う鎮静の許可をだれがどの基準で与えるのかなど,そこかしこに不透明さがある.本稿では,日本の現状と諸外国のガイドラインを照らし合わせ問題の根源に光を当て,麻酔科のチームが鎮静施術者の力となり,いかに患者の安全に貢献できるかを探求してみたい.

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